年金・保険関連
更新日:2023年4月1日
老齢厚生年金の経過的加算ってなに?どんなときに関係するの?
経過的加算とは、老齢厚生年金の一部分であり、昭和36年4月以前に加入していた方や20歳前・60歳以降に厚生年金に加入しているひとに上乗せされる部分です。

ただし、以下のシミュレーションで説明するように加算される金額には上限があるので注意しましょう。
※老齢厚生年金 = 報酬比例年金 + 加給年金 + 経過的加算
※報酬比例年金については老後の年金はどうやって計算する?を参照。
※加給年金とは一定の条件を満たす家族がいる場合に上乗せされる年金です。くわしくは加給年金とは?を参照。
経過的加算がどれくらいになるかシミュレーション
経過的加算は以下のように計算されます。

上記でも説明したように厚生年金に加入している月数(厚生年金の被保険者月数)が20歳前や60歳以降にある場合などに経過的加算は増えることになります。

ただし、※1の「厚生年金の被保険者月数」は480月が上限であるため、厚生年金に加入している期間が480月を超えてもそれ以上経過的加算が増えることはありません。

計算式がよくわからないひとのために数値をあてはめてシミュレーションしてみましょう。

経過的加算

※1 厚生年金被保険者月数は480月が上限。
※加入可能年数は国民年金の加入していた年数のこと。基本的には40年。

※参照:日本年金機構老齢厚生年金の受給要件・年金額

経過的加算のシミュレーション①

【下記の条件でシミュレーション】
●20歳に入社して60歳まで(40年間)勤務
●20歳~60歳まで(40年間)厚生年金に加入
上記の条件だと、経過的加算は以下のようになります。



経過的加算を式にあてはめて計算
(1,657円 × 1 × 480ヶ月)-( 795,000円 × 480ヶ月/40 × 12ヶ月)= 360円経過的加算

上記のように、20歳~60歳まで40年間厚生年金に加入している場合、経過的加算は360円になるので年金額にあまり影響しません。

経過的加算のシミュレーション②

【下記の条件でシミュレーション】
●24歳に入社して62歳まで(38年間)勤務
●24歳~62歳まで(38年間)厚生年金に加入
上記の条件だと、経過的加算は以下のようになります。



経過的加算を式にあてはめて計算
(1,657円 × 1 × 456ヶ月)-( 795,000円 × 432ヶ月/40 × 12ヶ月)= 40,092円経過的加算

上記のように、厚生年金に加入している期間が480ヶ月を満たしていなければ、60歳以降に厚生年金に加入して働くと経過的加算が増えます。60歳以降に2年間働くことで老後の年金が1年間に約4万円加算されます。

経過的加算のシミュレーション③

【下記の条件でシミュレーション】
●24歳に入社して64歳まで(40年間)勤務
●24歳~64歳まで(40年間)厚生年金に加入
上記の条件だと、経過的加算は以下のようになります。



経過的加算を式にあてはめて計算
(1,657円 × 1 × 480ヶ月)-( 795,000円 × 432ヶ月/40 × 12ヶ月)= 79,860円経過的加算

上記のように、60歳以降に4年間働くことで老後の年金が1年間に約8万円加算されます。ただし、これ以上厚生年金に加入して働いても経過的加算は増えません(経過的加算については厚生年金の加入期間が480ヶ月が上限であるため)。
※厚生年金の加入期間が480ヶ月を超えても報酬比例年金は加算されます。報酬比例年金については加入期間に上限はありません。

経過的加算のシミュレーション④

【下記の条件でシミュレーション】
●20歳に入社して62歳まで(42年間)勤務
●20歳~62歳まで(42年間)厚生年金に加入
上記の条件だと、経過的加算は以下のようになります。



経過的加算を式にあてはめて計算
(1,657円 × 1 × 480ヶ月)-( 795,000円 × 480ヶ月/40 × 12ヶ月)= 360円経過的加算

上記の条件だと、60歳以降に2年間働いて厚生年金に加入していたとしても経過的加算はあまり増えません。なぜかというと20歳~60歳までに40年(480ヶ月)厚生年金に加入しており、加入期間が上限(480ヶ月)に達してしまっているので、経過的加算はそれほど増えずに360円となってしまうのです。
※厚生年金の加入期間が480ヶ月を超えても報酬比例年金は加算されます。報酬比例年金については加入期間に上限はありません。

※老後の年金がどれくらいになるかについては老後の年金はどうやって計算する?を参照。