国民年金の免除制度とは?免除すると保険料が0円になる?

2022.11.17 更新

20歳から60歳未満の人は国民年金に加入して保険料を支払うことになります。ですが、お金がなくて払えないという人もいると思います。この記事では国民年金の免除制度について簡単に説明していきます。
この記事の目次
国民年金の免除制度とは?(この記事の要点)

国民年金の免除制度とは、国民年金の保険料の支払いを免除してくれる制度です。

本人の経済状況などによって全額免除納付猶予をしてくれます。

いずれも申請をする必要があります。申請をしないと滞納することになるので気をつけましょう。

この記事の要点

  • 国民年金の保険料は年間約20万円だが、全額免除なら0円になる。

  • 免除を受けるにはあまりお金を稼いでいないことが条件。

  • 免除を受けるには申請が必要

  • 国民年金を滞納するとデメリットがある。

では最初に、国民年金の免除制度の種類について下記で説明していきます。一部免除や納付猶予などがあるのでチェックしておきましょう。


自分にあてはまる免除制度を申請しよう
本人の所得によって免除制度を選択

全額免除のほかにも一部免除や納付猶予などがあり、その人の経済状況などによって選択することになります
※たとえば、あなたが学生で免除申請をすると「学生納付特例」を受けることになるケースが多いでしょう。


ちなみに、すべての国民は20歳から60歳になるまで国民年金に加入して保険料を支払う決まりになっており、国民年金保険料は月額16,590円(年間約20万円)となっています。
※参照:日本年金機構国民年金保険料


ですが、全額免除なら保険料が0円になります。

国民年金の免除制度は以下のとおり
全額免除
保険料が全額免除され、年金の受給資格と1/2の年金額が保障されます。つまり、全額免除でも半額分の年金はもらうことができます。
●一部免除(半額免除など)
申請者の所得によって保険料が1/4~3/4免除され、年金の受給資格と7/8~5/8の年金額が保障されます。

※免除されるには所得要件があります。くわしくは下記の審査表を参照。
学生納付特例
学生で所得が一定以下の場合、保険料の支払いを先送りしてくれます。
納付猶予
50歳未満で所得が一定以下の場合、保険料の支払いを先送りしてくれます。

※そのほか失業等を理由とした「特例免除」もあります。

世帯主(親など)が稼いでいる場合は?
たとえば自分の収入が0円だが、世帯主がたくさんお金を稼いでいる場合、全額免除の対象外となってしまいます。そんなときは納付猶予を申請することで保険料を先送りすることができます。
※くわしくは全額免除とは?で説明しています。

では次に、免除しても年金を受け取れることについて下記で説明していきます。減額されますが年金は受け取れます。


全額免除でも年金を受けとれる!
免除をしても年金は受け取れるが金額が減ってしまう

お金がなくて年金を払うのがむずかしいときは免除制度をかならず利用してください。


免除の申請をしないまま未納にしておくと年金の受給資格が得られません。ですが、免除制度を利用すれば年金が受けとれないといったことを防げるのです。


免除・猶予の申請をしないで滞納している方は年金が受け取れなくなるので、お金が無くて年金を払えない方は必ず申請して免除してもらいましょう。
※滞納しているとデメリットを受けることになります。くわしくは下記で説明しています。

年金を全額免除するとどうなる?

たとえば、20歳から60歳まで年金の支払いを全額免除したとしても、1年間に約40万円の年金を受け取ることができます。

※20歳から60歳まで全額免除をしないで国民年金の支払いをした場合、1年間に約80万円の年金を受け取ることができます。
厚生年金に加入している方は年金額がさらに上乗せされます。
※老後の年金は65歳から給付開始されます。

つまり、全額免除をするともらえる年金額は減額されます。

ただし、10年以内にあとから追納をすれば老後の年金が減額されることはありません。お金に余裕が出来たら、過去のぶんの年金を支払うことをオススメします。

※免除申請をしないでずっと未納にしておくと年金は1円も受け取れません。

では次に、全額免除を受けるための条件について下記で説明していきます。全額免除を受けようとしている方はチェックしておきましょう。


全額免除を受けるための条件は?年収いくらまで受けられる?シミュレーション
免除をするには去年の所得が少なくないとダメ

免除を受けるための条件は、簡単に説明すると「1年間にあまりお金を稼いでいない」ことです。

たとえば、全額免除を受けるためには前年所得が下記の条件にあてはまらなければいけません。
※去年1月~12月までの本人・配偶者・世帯主の所得合計額

よくわからない方のために具体的に金額をあてはめてシミュレーションしてわかりやすく説明していきます。

全額免除を受けるための前年所得の条件

(扶養親族等の数 + 1) × 35万円 + 32万円 以下の場合に全額免除が受けられる。
※去年1月~12月までの本人・配偶者・世帯主の所得合計が上記の金額以下でなければいけません。

扶養親族については扶養親族とは誰のこと?を参照。
※参照:日本年金機構国民年金保険料の免除制度
【例1】独身、1人暮らしの場合

本人が世帯主であり、配偶者無し、扶養親族が0人の場合、次の金額以下なら全額免除になります。

(扶養親族等の数0 + 1) × 35万円 + 32万円 = 67万円

したがって、上記の場合、去年1月~12月までの所得が67万円以下なら全額免除の対象になるということになります。


ここから全額免除の対象になるかシミュレーション
たとえば本人の収入が給与収入のみであり、その金額が100万円のとき、所得は、

100万円給与収入55万円給与所得控除 = 45万円給与所得
給与所得控除については給与所得とは?を参照。

となります。したがって、所得の合計は

本人の所得45万円(給与所得のみ) = 合計45万円

となります。前年所得が67万円以下なので、この場合全額免除の対象となります。
※67万円を超えている場合は「一部免除」が適用されることがあります。一部免除は保険料が1/4~3/4免除される制度です。くわしい条件はこちらの審査表をチェックしておきましょう。

※親族と同居しており、本人以外の親族がたくさんお金を稼いでいる場合は免除が適用されません。そんなときは、納付猶予制度を受けるようにしましょう。保険料を先送りすることができます。

免除についてくわしくはこちら
全額免除を受けたい方は全額免除制度とは?を参照。
納付猶予を受けたい方は納付猶予制度とは?を参照。
学生納付特例を受けたい方は学生のあいだは年金を納めずにすむ?を参照。

では次に、世帯主(親など)と同居しており、本人が独身の場合について下記で説明していきます。




【例2】世帯主と同居、独身の場合

所得が0円の世帯主(たとえば父)と同居しており、配偶者無し、扶養親族が0人の場合、所得が次の金額以下なら全額免除になります。

(扶養親族等の数0 + 1) × 35万円 + 32万円 = 67万円
扶養親族についてはこちらを参照。

たとえば本人の給与収入が1年間(1月~12月まで)で100万円のとき、給与所得は、

100万円給与収入55万円給与所得控除 = 45万円給与所得
※給与所得控除については給与所得とは?を参照。

となります。

世帯主の収入を0円とすると、所得は0円となります。

したがって、所得の合計は

本人の所得45万円 + 世帯主の所得0円 = 45万円

となります。所得が67万円以下なので、この場合全額免除の対象となります。

ただし、世帯主がたくさんお金を稼いでいる場合は本人の所得が67万円以下でも「本人と世帯主の所得合計」が67万円を超えていれば全額免除の対象にはならないので気をつけましょう。所得審査については下記の審査表を参照。

※世帯主がお金たくさん稼いでいる場合は納付猶予制度を受けるようにしましょう。保険料を先送りすることができます。

全額免除を受けたい方は全額免除制度とは?を参照。

では次に、免除申請のやり方について下記で説明していきます。申請をしなければ免除を受けることはできません。

免除申請のやり方は?
申請書を提出して認められれば免除される

免除の条件にあてはまっても、何もしなければ保険料は免除されません。

免除を受けるには申請書を提出または送付する必要があります。

申請はお住まいの市区町村役所や年金事務所にて受け付けています。

年金免除・納付猶予の申請書の様式

※国民年金の免除申請をしたのに納付書が届く場合があります。申請の結果は、申請してから約2~3か月後に通知ハガキでお知らせがきます。したがって、行き違いになっているだけなので安心してください。全額免除が承認された場合は納付書を破棄してください。免除申請の結果が届くまでは保険料は納付せずに納付書を保管しておいてください。

申請書の書き方は?

免除をするつもりの方は申請書に記入して、お住まいの地域の役所または年金事務所に提出・郵送をしましょう。本人や世帯主の氏名、希望する免除区分、扶養親族などを記入して提出することになります。

くわしくは下記の記事で説明しています。
国民年金の免除・納付猶予申請書の書き方

では次に、国民年金の保険料を未納にしたときのデメリットについて下記で説明していきます。未納は避けましょう。


国民年金を未納にするとデメリットがある?どうなるの?

老後の年金は65歳になると受け取ることができます。ほかにも、病気やケガで障害を負ったり死亡したときには年金を受け取ることができます。


しかし、国民年金の保険料を滞納して「未納」にしておくと「老後の年金」も「障害年金」も「遺族年金」も受け取れません。
※老後の年金を受け取るには10年以上の受給資格期間が必要なため。
※障害年金と遺族年金については保険料納付済期間(免除期間を含む)が3分の2以上必要なため。

※出典:日本年金機構老齢年金

さらに、年金を支払わないで滞納していると延滞金が加算されたり、親族の財産が差し押さえされたりするので注意しましょう。

未納にしないで免除制度の申請をしましょう

「でも、お金がなくて払えない…」という人は免除制度を申請すれば、年金が受けとれないといった問題を解決できます。
※免除等をした期間については受給資格期間に反映されるので、年金を受け取る資格が得られます。

なので、もし保険料を支払うのが経済的にきびしいときは免除制度をかならず利用しましょう。未納にしているリスクについてくわしくは下記の記事で説明しています。

免除を受けるための所得条件は?審査表

申請をすれば誰もが免除等を受けられるわけではありません。免除等を受けるには前年1月~12月までの所得が決められた金額以下である必要があります。

下記の金額にあてはまれば免除等を受けることができます。

免除・猶予を受けるための審査表

※参照:日本年金機構国民年金保険料の免除制度

区分 所得条件
全額免除 (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 以下であること
4分の3免除 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 以下であること
半額免除 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 以下であること
4分の1免除 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 以下であること
納付猶予 (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 以下であること
学生納付特例 128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等 以下であること

※前年1月~12月までの所得が審査対象です。
世帯主配偶者と本人の所得合計で審査されます。
※納付猶予については本人と配偶者の所得合計で審査されます。
※学生納付特例については本人の所得のみで審査されます。
扶養親族等控除額とは扶養控除配偶者控除(配偶者特別控除)、勤労学生控除のこと。前年に扶養親族等控除を受けている方は控除額(年末調整・確定申告で申告した控除額)を加算して判定します。

注意
※失業手当(基本手当)・児童手当・児童扶養手当・遺族年金・障害年金などは非課税所得なので審査の所得に合計されません。

では最後に、ここまでのまとめについて下記で説明していきます。免除を受ける方はザッと把握しておきましょう。


ここまでのまとめ

お金が無いからといって免除申請もせずにそのまま知らんぷりしているとデメリットがあるので気をつけましょう。

特に、これから20歳になる方は何も知らずに過ごしていると、いきなり年金保険料を請求されて驚くと思います。お金が無くて支払えない場合は学生納付特例を申請しましょう。

免除の申請をしないで保険料を滞納しているとデメリットがあることもしっかり覚えておきましょう。

ここまでのまとめ

だれでも年金を免除できるの?
免除を受けるには一定の条件がある
※くわしくは上記で説明しています。


学生も年金の支払いを免除できるの?
学生の場合は保険料の支払いを先送りしてくれる学生納付特例がある


免除してもらうには何か手続きをするの?
免除を受けるには申請が必要
※くわしくは上記で説明しています。


免除申請しないまま年金を支払わないとどうなる?
免除申請をしないで保険料を支払わないと、障害年金や遺族年金などがもらえなくなってしまうデメリットがある。
※くわしくは上記で説明しています。

以上のように、あまりお金を稼いでいなければ年金の保険料は免除することができます。ただし免除を受けるには申請が必要なことを覚えておきましょう。

また、前年の所得が少ないひとは国民健康保険料も減額される場合があります。気になる方は下記の記事をチェックしておきましょう。
無職の場合の国民健康保険料はいくら?所得が少ないと安くなる?