国民年金の全額免除制度とは、国民年金保険料を全額免除してその期間の保険料を0円にしてくれる制度です。
国民年金については国民年金とは?で説明しています。
ただし、全額免除を受けるには申請をする必要があります。
免除を受けるための条件や免除のデメリットなどについて説明しているので、免除を受けようとしている方はチェックしておきましょう。
では最初に、年金の保険料と免除制度について下記で説明していきます。年金について何も知らない方は1年間にかかる国民年金の保険料についてチェックしておきましょう。
20歳から60歳未満の方はみんな国民年金保険に加入して保険料を支払う決まりになっています。
学生であっても20歳になれば年金保険に加入して保険料を支払わなければいけません。
ですが、お金がなくて経済的に困っている人は全額免除を申請することで保険料の支払いが免除になります。
申請をしないと保険料は免除されないので、免除してもらうつもりの方は手続きを忘れないようにしましょう。
国民年金の保険料は1年間で約20万円(月額約16,000円)です。ですが、「全額免除」の申請を行えば該当年度の保険料は0円となります。
ただし、免除をしたぶんの期間が長ければそれだけ老後の年金が減ることを覚えておきましょう(どれくらい減額されるかについてはページ下記で説明しています)。免除したぶんは10年以内ならあとで支払うことができます。
※学生の場合は保険料を先送りできる学生納付特例もあります。
こんなページもみられています
年金の支払いはいつまで?何歳まで?何も知らない人向け
では次に、全額免除の条件について下記で説明していきます。自分の収入が少なくても全額免除を受けられない場合があるのでチェックしておきましょう。
全額免除を受けるには条件があります。かんたんに説明すると、あまりお金を稼いでいないことが条件です。
くわしく説明すると、本人と配偶者と世帯主の所得を合計した金額が67万円以下※である必要があります。
※前年の1年間(1月~12月まで)の金額。
※子供などがいない場合。くわしい内容はこちらの審査表を参照。
※参照:日本年金機構国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
「所得67万円ってなに?」というひとのために、下記でわかりやすく説明していきます。
免除を「①受けられる場合」と「②受けられない場合」をシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。
ただし、あなたの年収が130万円や150万円などの場合、所得67万円を超えてしまうので、全額免除を受けることができないので注意しましょう。
※3/4免除や半額免除などが受けられる場合があるので、全額支払うのが難しい方は免除申請をしましょう。
では次に、親族と同居していても全額免除が受けられる場合について下記で説明していきます。親と同居している方はチェックしておきましょう。
親などと同居していても全額免除を受けられる場合もあります。
上記でも説明したように、本人と配偶者と世帯主の所得を合計した金額が67万円以下※なら全額免除を受けることができます。
※前年の1年間(1月~12月まで)の金額。
※子供などがいない場合。くわしい内容はこちらの審査表を参照。
では、親と同居している場合でシミュレーションしていきます。
たとえば父親が世帯主であり、あなたが独身である場合。
あなたと父親の所得の合計が67万円以下なら全額免除を受けることができます。
まず親の所得を計算
たとえば父親は65歳以上で、年金収入が1年間で130万円のとき。
父親の年金についての所得は20万円となります。
次にあなたの所得を計算
あなたのアルバイト収入が1年間(1月~12月まで)で100万円のとき。
あなたの給与所得は45万円となります。
それぞれの所得を合計
父親の所得が20万円、あなたの所得が45万円なので、所得の合計は65万円となります。
上記の場合、本人と配偶者と世帯主の所得を合計した金額が67万円以下なので、あなたは全額免除の対象となります。
以上のように、あなたと世帯主の前年1年間(1月~1月まで)の所得がそれほど多くない場合は全額免除を受けることができます。全額免除を受ける際には申請を忘れないようにしましょう。
では次に、所得が多くて免除されない場合について下記で説明していきます。退職したばかりの方などは注意しましょう。
国民年金は前年1月~12月の所得をもとに免除の対象になるか審査されます。
したがって、今年3月末で会社を退職して4月から無職で収入が無かったとしても今年度4月~翌年3月までの保険料は免除されません。
※世帯主と配偶者と本人の前年1月~12月の所得の合計が67万円以下なら免除の対象になります。くわしい計算過程は上記で説明しています。
なので、退職して初年度は国民年金の支払いが免除されないことが多いので、ある程度お金を準備しておくことをオススメします。
※国民年金の保険料は月額約17,000円、年間約20万円です。
では次に、全額免除の申請について下記で説明していきます。条件にあてはまっても申請の手続きをしないと免除は受けられないので注意しましょう。
免除を受けるには申請書を提出または送付する必要があります。
※免除の条件にあてはまっても、何もしなければ保険料は免除されません。
申請はお住まいの市区町村役所や年金事務所にて受け付けています。申請書の書き方はこちらのページで説明しています。
全額免除の申請の手続きを行えば、国民年金保険料は0円になります。
本人や世帯主の氏名、希望する免除区分、扶養親族などを記入して提出することになります。
年金免除・納付猶予の申請書の書き方は下記のページでくわしく説明しています。
免除申請をしたのに納付書が届く場合があります。申請の結果は、申請してから約2~3か月後に通知ハガキでお知らせがきます。したがって、行き違いになっているだけなので安心してください。
全額免除が承認された場合は納付書を破棄してください。免除申請の結果が届くまでは保険料は納付せずに納付書を保管しておいてください。
では次に、年金の支払いを滞納したときのリスクについて下記で説明していきます。免除の申請をしないでそのままにしている方は注意しましょう。
老後の年金は65歳になると受け取ることができます。ほかにも、病気やケガで障害を負ったり死亡したときには年金を受け取ることができます。
しかし、国民年金を支払っていなければ「老後の年金」も「障害年金」も「遺族年金」も受け取れません。
さらに、年金を支払わないで滞納(未納)していると延滞金が加算されたり、親族の財産が差し押さえされたりするので注意しましょう。
「でも、お金がなくて払えない…」という人は国民年金の免除制度を利用すると、年金が受けとれないといった問題を解決できるんです。
なので、もし保険料を支払うのが経済的にきびしいときは免除制度をかならず利用しましょう。
年金の免除をしたときのデメリットは老後の年金が減ってしまうことです。
たとえば2年間(24ヶ月ぶん)国民年金保険料の支払いを全額免除申請し、免除したぶんをあとから支払う追納をしなかった場合、老後にもらう国民年金(老齢基礎年金)は年間約2万円減額※されます。
※全額免除した期間以外(20歳から60歳までのうち38年間)はすべて保険料を支払った場合。ちなみに、40年間すべて保険料を支払った場合には老後にもらえる国民年金(老齢基礎年金)は年間約78万円となります。厚生年金に加入していた期間があれば受けとる年金額はそのぶん増えます。
ただし、免除されたぶんをあとから支払う追納を行えば老後にもらう国民年金は減額はされません。
全額免除を受けた期間については10年以内※であれば保険料をさかのぼって納める「追納」ができます。将来受け取る年金額を減らしたくない人は経済的に余裕が出来てから追納をしましょう。
※たとえば2019年4月ぶんは2029年4月末まで。
※10年を過ぎたぶんは支払うことが出来ません。この場合、上記で説明するように老後の年金が減ってしまいます。
以上のように、去年の所得が少なければ国民年金の支払いを全額免除することができます。
※ただし、自分の収入が0円でも世帯主がたくさんお金を稼いでいる場合は全額免除を受けられないことを覚えておきましょう。
全額免除を受けられない場合、支払いを先送りする国民年金の納付猶予を受けられる場合があるのでチェックしておきましょう。
また、免除をした期間が長いほど老後の年金は少なくなることを覚えておきましょう。