国民年金の納付猶予とは、50歳未満の方の国民年金保険料を先送りしてその期間の保険料を0円にしてくれる制度です。
たとえば現在無職で収入がなく、保険料が支払えないという方は納付猶予を申請することができます。
※学生の場合は学生納付特例が申請できます。
※全額免除については全額免除制度で説明しています。
※ほかにも半額免除などもあります。くわしくは国民年金の免除制度を参照。
では最初に、納付猶予を受ける条件について下記で説明していきます。自分が納付猶予の条件にあてはまるかチェックしておきましょう。
納付猶予を受けるには条件があります。かんたんに説明すると、あまりお金を稼いでいないことが条件です。
条件についてくわしく説明すると、50歳未満であり、本人の前年1年間の所得が67万円以下※(給与収入なら年間122万円)である必要があります。
※独身の場合。
※配偶者がいる場合には配偶者の所得も合計して67万円以下。
「所得67万円ってなんのこと?」という方のために、具体的に金額をあてはめてシミュレーションしながら説明しているのでチェックしておきましょう。
以上のように、前年1年間(1月~12月まで)の所得が67万円以下なら納付猶予の申請が認められます。
※学生の場合は学生納付特例が申請できます。
※全額免除については全額免除制度で説明しています。
※ほかにも半額免除などもあります。くわしくは国民年金の免除制度を参照。
では次に、納付猶予の申請について下記で説明していきます。申請書に記入して手続きを行わなければ猶予は適用されないので気をつけましょう。
納付猶予を受けるには申請をしなければいけません。何もしないで年金の保険料が先送りされるわけではありません。
納付猶予の申請の手続きを行い、申請が認められれば国民年金保険料は0円になります。
申請はお住まいの市区町村役所や年金事務所にて受け付けています。
本人や世帯主の氏名、希望する免除区分、扶養親族などを記入して提出することになります。
くわしい申請書の書き方は下記のページで説明しています。
国民年金の免除・納付猶予申請書の書き方
免除申請をしたのに納付書が届く場合があります。申請の結果は、申請してから約2~3か月後に通知ハガキでお知らせがきます。したがって、行き違いになっているだけなので安心してください。
納付猶予の申請が承認された場合は納付書を破棄してください。申請の結果が届くまでは保険料は納付せずに納付書を保管しておいてください。
では次に、納付猶予を申請したときのデメリットについて下記で説明していきます。保険料が先送りされますがデメリットもあります。
納付猶予の申請をすればその期間の保険料は先送りされますが、年金を受けとる資格は得られます。
ただし、猶予した期間は年金額には反映されないため、あなたが受けとる年金は減額されます。
※全額免除の場合は1/2の減額で済みます。ですが、猶予を申請してあとから保険料を納付しなければ老後の年金は全額減額されます。
どれくらい年金が減額されるのか下記で説明しているのでチェックしておきましょう。
年金の納付猶予にはデメリットがあります。それは、老後の年金額が減ってしまうことです。
たとえば2年間(24ヶ月ぶん)国民年金保険料の支払いを猶予申請し、猶予したぶんをあとから支払う「追納」をしなかった場合、老後にもらう国民年金(老齢基礎年金)は年間約4万円減額※されます。ただし、追納を行えば老後にもらう国民年金は減額はされません。
※猶予した期間以外(20歳から60歳までのうち38年間)はすべて保険料を支払った場合。ちなみに、40年間すべて保険料を支払った場合には老後にもらえる国民年金(老齢基礎年金)は年間約78万円となります。厚生年金に加入していた期間があれば受けとる年金額はそのぶん増えます。
納付猶予を受けた期間については10年以内※であれば保険料をさかのぼって納める「追納」ができます。
将来受け取る年金額を減らしたくない人は経済的に余裕が出来てから追納をしましょう。
※たとえば2019年4月ぶんは2029年4月末まで。
※10年を過ぎたぶんは支払うことが出来ません。この場合、上記で説明するように老後の年金が減ってしまいます。
では次に、年金の支払いを滞納したときのリスクについて下記で説明していきます。納付猶予などを申請しないで滞納しているひとは気をつけましょう。
老後の年金は65歳になると受け取ることができます。ほかにも、病気やケガで障害を負ったり死亡したときには年金を受け取ることができます。
しかし、国民年金の保険料を滞納して「未納」にしておくと「老後の年金」も「障害年金」も「遺族年金」も受け取れません。
※老後の年金を受け取るには10年以上の受給資格期間が必要なため。
※障害年金と遺族年金については保険料納付済期間(免除期間を含む)が3分の2以上必要なため。
※出典:日本年金機構老齢年金
さらに、年金を支払わないで滞納していると延滞金が加算されたり、親族の財産が差し押さえされたりするので注意しましょう。
「でも、お金がなくて払えない…」という人は国民年金の免除制度を利用すると、年金が受けとれないといった問題を解決できるんです。
なので、もし保険料を支払うのが経済的にきびしいときは免除制度をかならず利用しましょう。
納付猶予制度とは20歳から60歳未満の方が支払うことになる国民年金保険料を先送りしてくれる制度です。
現在お金が無くて保険料が支払えない方はかならず申請しましょう。
また、納付猶予を受けるには条件があることや猶予をした期間が長ければ長いほど老後の年金が減ることを覚えておきましょう。
国民健康保険に加入しているひとは前年1年間の所得が少なければ保険料が減額されます。
くわしい条件などについては下記の記事で説明しているので気になる方はチェックしておきましょう。
無職の場合の国民健康保険料はどれくらい?所得が少ないと安くなる?
※国保の減額については申請は不要です。