アルバイトで遊ぶお金をたくさん稼ぎたいと考えている学生やフリーターの方は多くいると思います。
ですが、お金を稼ぐときに気をつけなければいけないことがあります。それは「扶養」と「親の税金」についてです。
1年間に稼ぐ金額や扶養から外れたときの税金などについて、親に扶養されている子供(高校生や大学生など)はチェックしておくことをオススメします。
では最初に、アルバイトでお金を稼ぎすぎるとなぜ親の税金が上がるのかについて下記で説明していきます。税金について何も知らない高校生や大学生などの方はチェックしておきましょう。
アルバイトをたくさんして1年間(1月~12月まで)の収入が103万円を超えると、あなたは扶養親族の対象から外れてしまいます。
※給料以外にも収入がある方は所得48万円を超えると親族の税金が上がる?を参照。
※出典:国税庁扶養控除
扶養親族じゃなくなると、あなたを扶養している親族(親など)は扶養控除を利用できなくなってしまいます。
そうなれば、あなたの親族(親など)は税金が安くなる制度を受けられなくなってしまうのです。
※扶養控除とは:16歳以上の扶養親族がいると税金が安くなる制度。
したがって、アルバイトの稼ぎが103万円を超えてしまうと親の税金が高くなってしまうので、アルバイトをしている方は1年間に稼ぐ金額に注意しなければいけません。
※扶養親族の対象から外れると、今まであなたを扶養していた親の税金の負担が増えてしまいます。
では次に、扶養から外れたときに親の税金がどれくらい増えるのか下記で説明していきます。年収別にシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。
扶養親族の対象から外れると親の税金がどれくらい高くなるのか。年収別に税金額をシミュレーションしているのでチェックしてみましょう。
あなたの1年間(1月~12月まで)の収入が103万円を超えてしまうと、あなたを扶養している親などは扶養控除を利用できなくなってしまいます。
※扶養控除とは:16歳以上の扶養親族がいると税金が安くなる制度。
たとえばあなたの親が扶養控除を利用できなくなると、親の年収にもよりますが税金の負担は年間約5~17万円※増す場合が多いでしょう。
※親の年収を250万円~950万円とした場合。
親族の年収 | 親族が支払う税金 |
---|---|
年収250~400万円のとき | 親族が支払う税金は約52,000円高くなります。 ※所得税は19,000円、住民税は33,000円 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
年収500~600万円のとき | 親族が支払う税金は約71,000円高くなります。 ※所得税は38,000円、住民税は33,000円 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
年収700~900万円のとき | 親族が支払う税金は約110,000円高くなります。 ※所得税は76,000円、住民税は33,000円 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
※扶養控除の対象となる家族1人あたりの年間額。
※上記の表は親族(40歳以下・社会保険加入のサラリーマン)が扶養控除を利用できなくなった場合のシミュレーション。
19歳以上22歳以下の学生が扶養から外れた場合
親族の年収 | 親族が支払う税金 |
---|---|
年収250~430万円のとき | 親族が支払う税金は約77,000円高くなります。 ※所得税は31,500円、住民税は45,000円 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
年収540~640万円のとき | 親族が支払う税金は約110,000円高くなります。 ※所得税は63,000円、住民税は45,000円 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
年収740~940万円のとき | 親族が支払う税金は約170,000円高くなります。 ※所得税は126,000円、住民税は45,000円 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
※扶養控除の対象となる家族1人あたりの年間額。
※上記の表は親族(40歳以下・社会保険加入のサラリーマン)が扶養控除を利用できなくなった場合のシミュレーション。
では次に、年収103万円を超えないようにする理由について下記で説明していきます。「扶養親族」についてよくわかっていない方はチェックしておきましょう。
1年間(1月~12月まで)の収入が103万円を超えてしまうと扶養親族の対象から外れてしまいます。
※収入が給料のみの場合。
※「103万円を少し超えたくらいなら大丈夫」というわけではないので気をつけましょう。
扶養親族とは「扶養されている親族」のことであり、下記の条件にすべて当てはまる方をいいます。
※たとえば親が子供を養っている場合、親にとっての扶養親族は「子供」になります。
扶養親族から外れてしまうと、あなたを扶養している親などは扶養控除を利用できなくなってしまいます。そうなれば親の税金の負担が増えてしまうので、アルバイトをする学生などは下記の「扶養親族の条件」についてチェックしておきましょう。
※扶養控除とは:16歳以上の扶養親族がいると税金が安くなる制度。
※また、青色申告者の配偶者以外の親族で青色事業専従者にあてはまり、給与の支払を受ける方または白色申告者の配偶者以外の親族で事業専従者にあてはまる方は、扶養親族に該当しません。
※出典:国税庁扶養控除
この場合、1年間の合計所得が48万円以下なので、あなたは扶養親族の対象となります。
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。
では次に、130万円以上稼いだときの社会保険の扶養について下記で説明していきます。親の税金以外にも気をつけることがあります。
「103万円を超えてもいいからもっと稼ぎたい!」と考える方もいると思いますが、その際にはさらに気をつけないといけないことがあります。
それは130万円の壁です。1年間の収入が130万円以上になると社会保険の扶養からも外れてしまいます。
そうなれば自分で社会保険の保険料を支払うことになるので、1年間に稼ぐ金額によっては手取りが少なくなってしまいます。
※社会保険に加入すれば保険料がかかるため。
※103万円を超えて稼ぐ場合は下記の記事をチェック。
子供の収入が103万超えたら?学生は年収いくらがおすすめ?
上記で説明していた「103万円を超えると親の税金が高くなる」のはいわゆる「103万円の壁」のことであり、親に負担がかかってしまうボーダーラインのことです。
ですが、「130万円の壁」とはあなた本人に負担がかかってしまうボーダーラインです。130万円以上稼ぐと社会保険の扶養の対象から外れてしまう※ので、自分で社会保険に加入して保険料を支払わないといけなくなります。
※あなたの親が社会保険に加入している場合。
ちなみに、1年間に収入が130万円だとするとあなたが支払う年間の保険料は約19万円となります。
したがって、130万円を少し超えるくらいの収入だと手取りが減ってしまい、逆に損してしまう可能性があるので、社会保険の扶養でいられる収入にしておくことをオススメします。
※※働く日数や時間によっては130万円未満でも勤務先の社会保険に加入して保険料を支払うことになります。くわしくは社会保険の加入条件は?パート主婦やアルバイトも対象になる?を参照。
では次に、扶養から外れてもまた扶養に戻れるかについて下記で説明していきます。一生戻れないわけではありません。
収入が増え、扶養から外れたとしても「扶養でいられる条件」を満たせば、ふたたび親族の扶養に戻ることはできます。
税法上の扶養と社会保険の扶養で分けて説明していきます。
たとえば、2021年(1月~12月まで)のアルバイト収入が103万円を超えてしまって、2021年は親の扶養親族の対象から外れたとします。
※アルバイト収入のみであるとします。
※子供が就職して収入が年収103万円を超えた場合も同様に扶養から外れます。
しかし、2022年(1月~12月まで)のアルバイト収入が103万円以下なら、2022年は親の扶養親族になることができます。
以上のように、税法上の扶養(扶養親族)についてはその年の12月31日時点での状況で判断されるので、一度扶養から外れたとしても翌年に条件を満たせば扶養親族の対象になることになります。
※出典:国税庁扶養控除
※扶養親族の対象から外れるときにすることは難しくありません。親が年末調整や確定申告をするときに申請手続きすることになります(今まで申請していた「扶養控除」を適用せずに提出するだけです)。
社会保険の扶養については「扶養に入ろうとする時点以降の年間の見込み収入額」で判定されます。したがって、社会保険の扶養から外れても、今後1年間で年収130万円未満であると見込める場合は、ふたたび社会保険の扶養に入る条件を満たすので、扶養に戻ることができます(加入している保険組合が判定することになります)。
※収入以外の条件を満たしている場合。くわしくは下記の記事で説明しています。
たとえば、2か月連続でアルバイト収入が約11万円になり、3か月目以降もそれが続くようなら130万円以上になると見込まれるため、社会保険の扶養から外れてしまう場合があります。
※くわしくは社会保険の扶養とは?保険料が0円になる?収入などの条件は?を参照。
では次に、扶養控除を利用したときの税金のシミュレーションを下記で説明していきます。計算過程が気になる方はチェックしておきましょう。
あなたの親御さんが扶養控除を利用したときの税金をシミュレーションしてみましょう。
扶養控除で所得税はいくらになる?
たとえばあなたの父親の年間収入が給与収入のみで380万円、所得控除が110万円(
①まずは給与所得の計算
上記の条件のとき、給与所得は、
となります。給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。
②次に課税所得を計算
総所得金額は計算できたので(260万円)、次に課税所得を計算します。課税所得は、
となります。
最初に決めた条件から、所得控除は110万円(
となります。
③所得税を計算
課税所得がわかったので次に所得税を計算します。所得税は、
となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、
となります。
扶養控除を適用しないとどうなる?
扶養控除38万円が利用できなければ、そのぶん課税所得が増えるので、
となり、扶養控除を適用した場合と比べて税金の負担が重くなってしまいます。
したがって、あなたが親に扶養されており、親の税金の負担を増やしたくなければ1年間の収入を103万円以下にしておくことをおすすめします。
では最後に、ここまでのまとめと扶養から外れるデメリットについて下記で説明していきます。扶養から外れるつもりの方は知っておきましょう。
ここまで説明したように、親に扶養されているフリーターや学生などがアルバイトでお金をたくさん稼ぐと、親の税金が高くなってしまいます。
したがって、親に扶養されている方がアルバイトをする際は扶養の範囲内でお金を稼ぐことをおすすめします。
たくさんお金を稼いで年収103万円を超えて扶養から外れる場合には、親に報告をしておいたほうがいいかもしれません。
※親の税金がいくら増えるのかあらかじめ伝えておきましょう。あらかじめ伝えておけばショックを受けずに済むと思います。
※もし103万円を超えてお金を稼ぎたい場合または親の扶養から外れたい場合は、下記のデメリットについても知っておきましょう。
自分の収入と親の税金がどう関係しているのか等の内容は学校では習わないので、これからアルバイトを始めようとしている方は覚えておきましょう。また、103万円を少し超えるくらいの「中途半端な金額」を稼ぐと逆に損してしまう可能性があるので、自分の収入をどれくらいにするかしっかり把握しておくことをオススメします。
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