かんたんに説明すると、所得税とは1年間(1月~12月)の所得にかけられる税金です。したがって、所得がなければ所得税は0円になります。
収入すべてが課税されるわけではなく、「所得」にたいして課税されるのがポイントです。
※課税とは「税金がかけられる」という意味。
所得税は、稼いだお金すべてにかけられるわけではありません。
以下の計算式をみてわかるように、収入から所得を計算し、所得の合計から所得控除を引き、税率をかけると所得税が計算できます。
どのように所得税を計算するのか下記でわかりやすくシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。
STEP1.まず1年間にかせいだ収入から所得をもとめる
※たとえば給与所得や事業所得など。
↓
STEP2.すべての所得を合計して「総所得金額」をもとめる
※所得が1種類しか無ければその金額が総所得金額になる。
↓
STEP3.以下の計算式によって所得税をもとめる
たとえば1年間(1月~12月末まで)の収入が給料のみで155万円のとき、給与所得は100万円になります。
ほかに所得がないとすると、あなたの総所得金額は100万円になります。
所得控除を50万円、税率を5%とすると、あなたにかかる所得税は以下のようになります。
(
総所得金額とは:各種所得の合計(一部所得は除く)。
所得控除とは:税の負担を軽くするもの。
※税率については所得税率とはを参照。
※個人事業主の所得税は下記で計算しています。
上記の例では所得税が25,000円かかっていますが、あなたの収入が多くなければ所得税は0円になります。くわしくは下記で説明していきます。
収入が少なければ所得税は0円になります。
たとえばアルバイトやパートをしている方で、1年間の収入が103万円以下なら所得税はかかりません(所得税が0円)。
※収入が給料(給与収入)のほかに無い場合。
※所得税がかかるのは給与収入103万を超えてからです。
※所得控除が基礎控除だけの場合。くわしくは下記の計算式で説明していきます。
「なんで103万円だと所得税が0円になるの?」というひとのために、年収103万円のときの税金計算をしていきます。
となります。給与所得以外に所得がないので、48万円が総所得金額となります。
したがって、所得税は、
となります。以上のように基礎控除48万円があるので、アルバイト収入103万以下なら所得税が0円になります。以上が所得税が0円となる理由です。
所得控除額がもっと多ければ収入が103万円以上でも所得税はかかりません。ただし、住民税については一定以上の所得から課税されます。くわしくは住民税がかからない?0円になるときを参照。
会社員やアルバイトのように勤務先から給料をもらっているひとの所得税は以下のようになります。
稼ぎによって所得税率が増えていくため、年収が増えるごとに所得税の割合も増えていきます。
※所得税率については所得税率って?を参照。
気になる方はチェックしておきましょう。
年収 | 所得税 |
---|---|
100万円 | 0円 |
103万円 | 0円 |
150万円 | 約1.3万円 |
200万円 | 約2.7万円 |
300万円 | 約5.5万円 |
400万円 | 約8.5万円 |
500万円 | 約14万円 |
600万円 | 約20.4万円 |
700万円 | 約31.3万円 |
1,000万円 | 約83.9万円 |
1,500万円 | 約211万円 |
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では、会社から給料をもらっている方の税金がどのように計算されるかシミュレーションしてみましょう。条件は以下のとおりです。
この条件のとき所得税はいくらになる?
たとえば1年間(1月~12月末まで)の収入が300万円で給与収入だけの場合、所得税はいくらになるか。
①まずは給与所得を計算
上記の条件のとき、給与所得は、
となります。
給与所得のほかに所得がないので、202万円が総所得金額となります。
②次に所得税を計算
総所得金額がわかったので所得税を計算します。所得税は、
となります。
※住民税については、住民税とは?を参照。
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会社員やアルバイトをしている方が副業をして稼いだときの所得税をシミュレーションしてみましょう。
副業をしている方は計算のやりかたを知っておくことをオススメします。
また、下記で説明しているように確定申告が必要になる場合があるので注意しましょう。
②次に副業の所得を計算
1年間(1月~12月まで)の副業収入が68万円のとき雑所得は68万円となります。
③2つの所得を合計する
2つの所得を合計します。合計すると総所得金額は270万円となります。
④課税所得を計算
総所得金額がわかったので課税所得を計算します。所得控除を90万円とすると、課税所得は180万円となります。
⑤さいごに所得税を計算
そして最後に所得税率をかけて所得税を計算することになります。
課税所得が195万円以下なので税率は5%になります。したがって、所得税は9万円となります。
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フリーランスなどの個人事業主の方は所得が48万円以下なら所得税はかかりません。
※くわしく説明すると、所得から所得控除を引いた金額が0円なら所得税はかからないということ。
個人事業主の税金がなぜ0円になるかについては以下の計算例で説明しています。個人事業主の方はチェックしておきましょう。
となります。事業所得以外に所得がないので、48万円が総所得金額となります。
したがって、所得税は以下のようになります。
所得控除額がもっと多ければ所得が48万円以上でも所得税はかかりません(言い換えると、所得から所得控除を引いた金額が0円なら所得税はかからないということ)。ただし、住民税については一定以上の所得で課税されます。
会社員やパート・アルバイトなどの方は毎月の給料から所得税が勝手に引かれることなります。
※これを源泉徴収といいます。くわしくは以下で説明。
したがって、雇われているひとは自分で確定申告をする必要がないので安心してください。
※サラリーマンなどでも副業をしていたり、給料が2,000万円を超えているひとなどは確定申告が必要になります。
自営業や個人事業主などの方は1年間の収入を申告(確定申告)して所得税を納めることになります。
源泉徴収とは
会社などが給料等を支払うときに税金をあらかじめ差し引き、その差し引いた税金を支払者(会社など)が本人のかわりに国に納付する制度。
源泉徴収については源泉徴収とは?を参照。
年末調整とは
税金を払い過ぎたり少なかったりしたときに過不足を調整してくれるもの。たとえば、源泉徴収された所得税が少なかったときは足りない分が徴収されます。
源泉徴収された所得税が必要以上に多かったときには払い過ぎた分がキャッシュバックされるようになっています。
年末調整については年末調整とは?を参照。
確定申告とは
1年間(1月~12月末まで)の所得を申告して、自分にかかる所得税を納める手続き。自営業のひとが主に関係しますが、サラリーマンやアルバイトの方も確定申告が必要になることがあります。
確定申告については確定申告とは?を参照。
ここまで説明したように、所得税は1年間の所得にかけられる税金です。したがって、お金を稼いで収入を得ても所得が0円なら所得税はかかりません。
所得税の計算方法を覚えてしまえば、悩まずに計算できるようになるので覚えておきましょう。