所得税とは?わかりやすく解説。いくらから引かれる?

2023.05.24 更新

所得税の計算方法など意味がわからないという方はここで学んでおきましょう。この記事では所得税についてわかりやすく説明していきます。
この記事の目次

所得税ってなに?
所得にかかる税金

かんたんに説明すると、所得税とは1年間(1月~12月)の所得にかけられる税金です。したがって、所得がなければ所得税は0円になります。


収入すべてが課税されるわけではなく、「所得」にたいして課税されるのがポイントです。
※課税とは「税金がかけられる」という意味。

ちなみに、大人でも子供でもお金をたくさん稼いでいれば所得税はかかります。大人になってから所得税を支払うわけではありません。
※子供向けに説明した内容は所得税ってなに?みんなの教科書を参照。
※学生だとしてもお金をたくさん稼いでいればかかる税金なので、年収いくらから所得税がかかるのか、計算方法などについて知っておきましょう。くわしくは次の項目で説明していきます。



所得税はどうやって計算する?
所得税の計算手順

所得税は、稼いだお金すべてにかけられるわけではありません。


以下の計算式をみてわかるように、収入から所得を計算し、所得の合計から所得控除を引き、税率をかけると所得税が計算できます。


どのように所得税を計算するのか下記でわかりやすくシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。

所得税の計算方法は以下のとおり

STEP1.まず1年間にかせいだ収入から所得をもとめる
※たとえば給与所得や事業所得など。

STEP2.すべての所得を合計して「総所得金額」をもとめる
所得が1種類しか無ければその金額が総所得金額になる。

STEP3.以下の計算式によって所得税をもとめる

所得税の計算式
所得税の計算式
※必要経費等控除後、損益通算繰越控除などがあれば行う。
※一部の所得は他の所得と合計せずに分離課税となります。
※税率適用後、算出された金額から配当控除等の税額控除を行った金額が基準所得税額になります。
※復興特別所得税として基準所得税額×2.1%の金額が加算されます(令和19年まで)。
※手順についてはこちらを参照。
出典:国税庁所得税のしくみ
給与収入155万のとき所得税はいくら?
自分の収入がわかっていれば簡単に計算できる

たとえば1年間(1月~12月末まで)の収入が給料のみで155万円のとき、給与所得は100万円になります。

155万円給与収入55万円給与所得控除 = 100万円給与所得
※給与所得については給与所得とは?を参照。

ほかに所得がないとすると、あなたの総所得金額は100万円になります。

所得控除を50万円、税率を5%とすると、あなたにかかる所得税は以下のようになります。



100万円総所得金額50万円所得控除 )× 5%税率 = 25,000円所得税
総所得金額とは:各種所得の合計(一部所得は除く)。
所得控除とは:税の負担を軽くするもの。
※税率については所得税率とはを参照。

※個人事業主の所得税は下記で計算しています。

上記の例では所得税が25,000円かかっていますが、あなたの収入が多くなければ所得税は0円になります。くわしくは下記で説明していきます。


収入が少ないと所得税は0円に?年収いくらから引かれる?
103万円までは所得税が0円になる

収入が少なければ所得税は0円になります。

たとえばアルバイトやパートをしている方で、1年間の収入が103万円以下なら所得税はかかりません(所得税が0円)。
※収入が給料(給与収入)のほかに無い場合。
※所得税がかかるのは給与収入103万を超えてからです。
※所得控除が基礎控除だけの場合。くわしくは下記の計算式で説明していきます。



「なんで103万円だと所得税が0円になるの?」というひとのために、年収103万円のときの税金計算をしていきます。

いくらまで所得税が0円?

たとえば1年間(1月~12月末まで)の給与収入が103万円の場合、給与所得は、

103万円給与収入55万円給与所得控除 = 48万円給与所得
給与所得や給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。

となります。給与所得以外に所得がないので、48万円が総所得金額となります。

したがって、所得税は、

 
48万円総所得金額48万円所得控除)× 所得税率 = 0円所得税
※所得税の計算式は上記を参照。
所得控除48万円は一律に差し引かれる基礎控除です。

となります。以上のように基礎控除48万円があるので、アルバイト収入103万以下なら所得税が0円になります。以上が所得税が0円となる理由です。
所得控除額がもっと多ければ収入が103万円以上でも所得税はかかりません。ただし、住民税については一定以上の所得から課税されます。くわしくは住民税がかからない?0円になるときを参照。


年収(給料)ごとの所得税シミュレーション

会社員やアルバイトのように勤務先から給料をもらっているひとの所得税は以下のようになります。

稼ぎによって所得税率が増えていくため、年収が増えるごとに所得税の割合も増えていきます。
※所得税率については所得税率って?を参照。

気になる方はチェックしておきましょう。

年収別の所得税は?
独身・40歳未満・社会保険の加入者として算出。
※所得税はこちらのシミュレーションで計算しました。

年収 所得税
100万円 0円
103万円 0円
150万円 約1.3万円
200万円 約2.7万円
300万円 約5.5万円
400万円 約8.5万円
500万円 約14万円
600万円 約20.4万円
700万円 約31.3万円
1,000万円 約83.9万円
1,500万円 約211万円
※所得税はこちらのシミュレーションで計算しました。
※個人事業主については個人事業主の税金と手取りは?を参照。

所得税の税率は5%~45%に決められており、稼いだお金が多いほど高くなっていきます。
※くわしくは所得税率とは?を参照。

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所得税を計算してみよう(給料が300万円だったら?)

では、会社から給料をもらっている方の税金がどのように計算されるかシミュレーションしてみましょう。条件は以下のとおりです。


この条件のとき所得税はいくらになる?
たとえば1年間(1月~12月末まで)の収入が300万円で給与収入だけの場合、所得税はいくらになるか。


①まずは給与所得を計算
上記の条件のとき、給与所得は、

300万円給与収入98万円給与所得控除 = 202万円給与所得
給与所得や給与所得控除については、給与所得控除とは?を参照。

となります。

給与所得のほかに所得がないので、202万円が総所得金額となります。

②次に所得税を計算
総所得金額がわかったので所得税を計算します。所得税は、

202万円総所得金額所得控除しょとくこうじょ )× 税率 = 所得税
総所得金額とは:各種所得の合計(一部所得は除く)。
所得控除とは:税金の負担を軽くしてくれる制度。

となります。所得控除しょとくこうじょを93万円、税率を5%とすると、所得税は以下のようになります。

202万円総所得金額93万円所得控除 )× 5% = 54,500円所得税
所得税率については、所得税率って?を参照。
所得控除については、所得控除とは?を参照。

※住民税については、住民税とは?を参照。

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給料のほかに副業収入がある場合のシミュレーション

会社員やアルバイトをしている方が副業をして稼いだときの所得税をシミュレーションしてみましょう。


副業をしている方は計算のやりかたを知っておくことをオススメします。


また、下記で説明しているように確定申告が必要になる場合があるので注意しましょう。

副業しているときのシミュレーション
たとえば1年間(1月~12月末まで)の給料が300万円で、副業収入が68万円のとき。


①まず給与所得を計算
給料が300万円のとき給与所得は202万円となります。

300万円給与収入98万円給与所得控除 = 202万円給与所得
※給与所得や給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※今年1月~12月の給与が対象です。たとえばその月の勤務分の給与が翌月10日に支給されるなら、前年12月~今年11月に勤務したぶんの給与が1年間の給与収入となります。

②次に副業の所得を計算
1年間(1月~12月まで)の副業収入が68万円のとき雑所得は68万円となります。

68万円副業収入0円経費 = 68万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
※雑所得については雑所得とは?を参照。

③2つの所得を合計する
2つの所得を合計します。合計すると総所得金額は270万円となります。

202万円給与所得 + 68万円雑所得 = 270万円総所得金額
総所得金額とは各種所得の合計のこと。

④課税所得を計算
総所得金額がわかったので課税所得を計算します。所得控除を90万円とすると、課税所得は180万円となります。

270万円総所得金額90万円所得控除 = 180万円課税所得
※所得控除については所得控除とは?で説明しています。
課税所得とは税金がかけられる所得のこと。

⑤さいごに所得税を計算
そして最後に所得税率をかけて所得税を計算することになります。

課税所得が195万円以下なので税率は5%になります。したがって、所得税は9万円となります。

180万円課税所得 × 5%所得税率 = 90,000円所得税
※所得税率については所得税率とは?を参照。

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個人事業主の所得税はいくらからかかる?

フリーランスなどの個人事業主の方は所得が48万円以下なら所得税はかかりません。
※くわしく説明すると、所得から所得控除を引いた金額が0円なら所得税はかからないということ。


個人事業主の税金がなぜ0円になるかについては以下の計算例で説明しています。個人事業主の方はチェックしておきましょう。

住民税は所得45万円を超えるとかかります(市区町村によっては所得42万円以下などの場合があります)。
※くわしくは住民税が0円になる場合を参照。
所得税がかからない場合の計算例

たとえば1年間(1月~12月末まで)の事業収入が300万円(経費252万円)のとき、事業所得は、

300万円事業による収入252万円経費 = 48万円事業所得
事業所得については、事業所得とは?を参照。

となります。事業所得以外に所得がないので、48万円が総所得金額となります。

したがって、所得税は以下のようになります。

 
48万円総所得金額48万円所得控除)× 所得税率 = 0円所得税
※所得税の計算式は上記を参照。
所得控除48万円は一律に差し引かれる基礎控除です。

所得控除額がもっと多ければ所得が48万円以上でも所得税はかかりません(言い換えると、所得から所得控除を引いた金額が0円なら所得税はかからないということ)。ただし、住民税については一定以上の所得で課税されます。 


ここまでのまとめ(所得税はどうやって支払うの?)

会社員やパート・アルバイトなどの方は毎月の給料から所得税が勝手に引かれることなります。
※これを源泉徴収といいます。くわしくは以下で説明。


したがって、雇われているひとは自分で確定申告をする必要がないので安心してください。
※サラリーマンなどでも副業をしていたり、給料が2,000万円を超えているひとなどは確定申告が必要になります。


自営業や個人事業主などの方は1年間の収入を申告(確定申告)して所得税を納めることになります。

所得税の3つの支払い方法

源泉徴収とは
会社などが給料等を支払うときに税金をあらかじめ差し引き、その差し引いた税金を支払者(会社など)が本人のかわりに国に納付する制度。
源泉徴収については源泉徴収とは?を参照。

年末調整とは
税金を払い過ぎたり少なかったりしたときに過不足を調整してくれるもの。たとえば、源泉徴収された所得税が少なかったときは足りない分が徴収されます。
源泉徴収された所得税が必要以上に多かったときには払い過ぎた分がキャッシュバックされるようになっています。

年末調整については年末調整とは?を参照。

確定申告とは
1年間(1月~12月末まで)の所得を申告して、自分にかかる所得税を納める手続き。自営業のひとが主に関係しますが、サラリーマンやアルバイトの方も確定申告が必要になることがあります。
確定申告については確定申告とは?を参照。

ここまで説明したように、所得税は1年間の所得にかけられる税金です。したがって、お金を稼いで収入を得ても所得が0円なら所得税はかかりません。

所得税の計算方法を覚えてしまえば、悩まずに計算できるようになるので覚えておきましょう。