課税所得とは税金を計算するときに関わってくるもので、この金額をもとに毎年の所得税などが計算されるのですが、「なにそれ?よくわかんない…」という方もいると思います。この記事では課税所得の計算の仕方について所得税の計算をしながらわかりやすく説明していきます。

この記事の目次
課税所得ってなに?
課税所得とは簡単に説明すると税金がかけられる所得のことです。
※課税とは「税金がかけられる」という意味。
※所得については所得とは?を参照。
もう少しくわしく説明するために所得税の計算式を以下に示します。
課税所得とは?
所得とは:収入から経費を引いたもの。
総所得金額とは:各所得の合計(一部所得は除く)。
所得控除とは?:税の負担を軽くするもの。
上記を見てわかるように【総所得金額-所得控除】を課税所得といいます。
税金は所得全部にかけられるのではなく、「所得から所得控除を差し引いた金額」にかけられる仕組みになっています。この「所得から所得控除を差し引いた金額」を課税所得といいます。
【例】課税所得の計算はどうやる?
たとえば、勤務先の給料(給与収入)が1年間で200万円でそれ以外に収入がない場合。
①まず給与所得を計算
上記の条件のとき、給与所得は、
200万円 –
68万円 =
132万円
給与所得や給与所得控除については給与所得控除とはを参照。
となります。
給与所得のほかに所得がないので、132万円が総所得金額となります。
②次に課税所得を計算
所得控除が77万円とすると、課税所得は
132万円 -
77万円 =
55万円
総所得金額とは:各所得の合計(一部所得は除く)。
所得控除とは?:税の負担を軽くするもの。
となります。そして、課税所得に税率をかけることで所得税が計算されます。
給料をもらっている人の課税所得を計算して所得税をシミュレーションしてみよう
会社から給料をもらっている方(サラリーマンなど)の税金がどのように計算されるかシミュレーションしてみましょう。条件は以下のとおりです。
この条件で所得税はいくらになる?
たとえば、給与収入が300万円でそれ以外に収入がない場合、所得税はいくらになるでしょうか。
①まず給与所得を計算
上記の条件のとき、給与所得は、
300万円 –
98万円 =
202万円
給与所得や給与所得控除については給与所得控除とはを参照。
となります。
給与所得のほかに所得がないので、202万円が総所得金額となります。
②次に課税所得を計算
総所得金額がわかったので、次に課税所得を算出します。課税所得は、
202万円 -
所得控除 =
課税所得
総所得金額とは:各所得の合計(一部所得は除く)。
となります。所得控除を93万円とすると、課税所得は、
202万円 -
93万円 =
109万円
所得控除とは?:税の負担を軽くするもの。
となります。
③次に所得税を計算
所得税をもとめる式は、
109万円 × 税率 =
所得税
所得税については所得税とは?を参照。
となります。課税所得が195万円以下のときは税率が5%なので、所得税は、
109万円 × 5% =
54,500円
所得税率については所得税率とは?を参照。
※ちなみに上記の条件のとき住民税は約12万円かかります。
となります。
所得税以外も気になる方は以下のページで計算してみましょう。
所得と課税所得の違いは?何が違うの?
所得と課税所得の違いがよくわからないという方もいると思います。
簡単に説明すると、所得は収入から経費をひいた金額のことをいいます。課税所得は所得から所得控除をひいた金額のことをいいます。
➊収入から「所得」を計算 → ➋所得から「課税所得」を計算 という順序になります。
所得と課税所得のちがい
●所得とは収入から経費をひいた金額
300万円 –
90万円 =
210万円
所得については、所得ってなに?を参照。
●課税所得とは所得から所得控除をひいた金額
210万円 –
110万円 =
100万円
総所得金額とは:各所得の合計(一部所得は除く)。
所得控除については、所得控除とは?を参照。
非課税所得とは?
非課税所得とは税金がかけられない所得のことをいいます。最初に説明したとおり、課税所得は税金がかけられる所得なのでその逆ということになります。
たとえば、年金や児童手当、労災などによってもらえるお金は非課税所得なので所得として合計されません。以下に示すお金は税金がかけられません。
税金がかけられない所得の例
年金など
遺族年金:
一家の主が亡くなったときに支給される年金
障害年金:
障害を負ったときに支給される年金
※老後にもらう年金には税金がかけられます。
など。
医療保険や手当など
出産手当金:
出産のために会社を休んだ時にもらえるお金
出産育児一時金:
子供が生まれた時にもらえるお金
傷病手当金:
会社を休んだ時にもらえるお金
児童手当:
子どもがいる家庭に支給されるお金
児童扶養手当:
ひとり親の家庭に支給されるお金
など。
労災や雇用保険など
労災保険の給付(
休業補償給付など):
仕事が原因でケガをしたときにもらえるお金
失業手当(
基本手当):
失業して再就職するまでもらえるお金
育児休業給付金:
育休中にもらえるお金
など。
今回のコラムはここまでです。所得と課税所得の違いについて覚えておきましょう。