傷病手当金とは?手取り金額はいくら?条件や計算方法を解説

2022.04.21 更新
「病気やケガをしたから仕事を休みたいけど、そのあいだの生活費が心配…」このような不安をやわらげてくれる制度が傷病手当金です。この記事では傷病手当金についてわかりやすく説明していきます。
※仕事が原因の病気などで会社を休む場合はこちらを参照。
この記事の目次
傷病手当金とは?お金がもらえる?

傷病手当金しょうびょうてあてきんとは簡単に説明すると、病気やケガで仕事を休んでいるあいだお金を支給してくれる制度です。

ただし、休んだら誰でもお金がもらえるわけではありません。

健康保険または共済組合に加入しているひと(被保険者)が支給の対象になります。
※国保組合の場合は加入している国保組合にてご確認ください。
国民健康保険の場合は市区町村の定めるところによります(基本的には支給されません)。



傷病手当金をもらうつもりの方は条件やお金がいくらもらえるか等をチェックしておくことをおすすめします。

この記事の要点

  • 傷病手当金は被保険者がもらえる。

  • 4日以上休んでいる必要がある。

  • 支給される期間は1年6か月まで。

  • 傷病手当金としてもらえる金額は月給の約67%

では最初に、傷病手当金が支給される条件について下記で説明していきます。条件を満たさなければ傷病手当金は支給されないのでチェックしておきましょう。


傷病手当金が支給される条件は?
傷病手当金をもらう条件

傷病手当金は健康保険などの被保険者に対して支給されます。

したがって、会社員はもちろん、社会保険に加入しているパート主婦やアルバイトの方なども対象になります。


ただし、支給されるには下記の条件をすべて満たしている必要があります。

傷病手当金をもらうつもりの方はチェックしておきましょう。

支給される条件
下記の1~4をすべて満たしている方は傷病手当金の対象者となります。

1.業務外の病気やケガで療養中であること。
傷病にはうつ病なども該当します。美容整形など保険の対象とならないものは対象外になります。
業務上のケガや病気は労災の対象となります。



2.療養のため働けない(労務不能である)こと。
労務不能であるかどうかは医師の意見および被保険者の業務内容などの諸条件を考慮して判断されます。



3.仕事を4日以上休んでいること。
連続する3日間の休みが必要。くわしくはページ下記で説明しています。



4.給与の支払いがないこと。
ただし、給与の日額が傷病手当金の日額より少ない場合、給与との差額が支給されます。
※参照:協会けんぽ病気やケガで会社を休んだとき

では次に、傷病手当金の計算方法について下記で説明していきます。もらっている給料によって金額が変わります。


傷病手当金の金額は?
傷病手当の金額

傷病手当金は会社を休んでいる間にもらうことができます。


支給される金額はどのくらいかというと、1日につきおおよそ( 月の給料 ÷ 30 ) × 3分の2となります。
※くわしい計算式は下記で説明しています。

具体的な金額は下記でシミュレーションしています。ちなみに、月収が27万円の場合は「一日あたり6,000円」が支給されます。


ただし、傷病手当金は申請してから約1か月後に支給されるので注意してください。サラリーマンやアルバイトの方はチェックしておきましょう。

傷病手当金の計算方法

※参照:協会けんぽ傷病手当金について

傷病手当金の計算式
傷病手当金の計算式

※標準報酬日額とは簡単に説明すると、おおよそ(月の給料 ÷ 30)のこと。
※標準報酬日額 = 支給開始日以前の継続した12ヶ月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30

※支給開始日の以前の期間が12ヶ月に満たない場合は、次の①②の低いほうの金額で計算します。
①支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
②30万円(標準報酬月額の平均額)
※共済組合の場合は「 ÷ 22」になります。

●国民健康保険の場合は市区町村の定めるところによります(基本的には支給されません)。
●国保組合の場合は加入している国保組合にてご確認ください。

どれくらいもらえる?【支給金額の例】

月収が約18万円の場合
支給額は1日あたり4,000円となります。

月収が約27万円の場合
支給額は1日あたり6,200円となります。

月収が約36万円の場合
支給額は1日あたり8,000円となります。

※仕事上の病気などで会社を休む場合はこちらを参照。

では次に、傷病手当金の手取りをシミュレーションしていきます。具体的に金額をあてはめて下記で計算していきます。


手取りはどれくらい?傷病手当金をシミュレーション

傷病手当金がいくらもらえるのか手取りをシミュレーションしていきます。

ここでは休業前の月収を25万円として計算していきます。
※支給開始日以前の継続した12ヶ月間の標準報酬月額の平均額
※くわしい計算式は上記で説明しています。


下記で休業前と休業後の手取りを比較していきます。

傷病手当金の手取りを計算シミュレーション

休業前(傷病手当金をもらう前)
▶月収25万円のとき

  • 所得税:ひと月約4,600円
  • 住民税:ひと月約10,000円
  • 年金保険料:ひと月約24,000円
  • 健康保険料:ひと月約13,000円
  • 雇用保険料:ひと月約900円
  • 手取り:ひと月約200,000円
    ※計算はこちらのシミュレーションで行っています。



休業中(傷病手当金を支給中)
▶傷病手当金の月額17.3万円のとき
※1か月間(30日)支給された場合の金額
※上記は傷病で休業する前の月収が25万円(標準報酬月額が26万円)だったときの傷病手当金の額。
※報酬に含まれるもの(手当など)については標準報酬月額とは?で説明しています。
※総支給額については総支給額とは?で説明しています。

  • 所得税:ひと月0円
  • 住民税:ひと月約10,000円
    ※住民税については翌年に反映されます。
  • 年金保険料:ひと月約24,000円
  • 健康保険料:ひと月約13,000円
  • 雇用保険料:ひと月0円
    ※賃金をもらっていなければ雇用保険料は0円になります。
  • 手取り:ひと月約126,000円
傷病手当金は税金がかからない(0円)?

傷病手当金は非課税所得のため、課税されることはありません。したがって、傷病手当金にかかる税金は0円になります。

ただし、社会保険料については休業中も従業員・事業主ともに支払うことになります。休業中の従業員は傷病手当金から支払うことになります。

では次に、傷病手当金が支給される期間について下記で説明していきます。ずっともらえるわけではありません。


支給される期間は?

傷病手当金は、ひとつの傷病ごとに、支給開始した日から最長1年6ヵ月間支給を受けられます。
※下記で説明するように、2022年からは通算して1年6か月になりました。

支給開始後1年6ヵ月を過ぎた場合は休業していても傷病手当金は支給されません。

共済組合では、結核性の病気については、支給期間が三年間になります。また、一定の要件を満たせば、附加金が支給されます。
支給される期間の例

※組合によって出勤した日は支給期間に含まない場合があります。
※参照:協会けんぽ病気やケガで会社を休んだとき

2022年からは通算して1年6か月になる?

2022年1月1日から、同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6か月に達する日まで対象となります。
※2021年12月31日時点で、支給開始日から起算して1年6か月を経過していない傷病手当金(2020年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金)が対象です。

支給期間中に途中で働いたりして、傷病手当金が支給されない期間がある場合、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給可能になります。

傷病手当金の支給期間
傷病手当金の支給期間

※くわしくはこちらのお知らせを参照。

連続して3日間の休みが必要?

病気やケガのために会社を休んだときにお金を支給してくれる傷病手当金ですが、以下のように3日連続の休みが必要になります。

病気やケガで4日以上休んだ場合に4日目から支給されることになります。
※傷病手当金は申請してから約1か月後に支給されるので注意しましょう。

公休日も含まれる?
※参照:協会けんぽ病気やケガで会社を休んだとき

傷病手当金は3日連続の休みが必要
傷病手当金は3日連続の休みが必要

待期期間には有給休暇や土日・祝日等の公休日も含まれます。待期期間に給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。
※就労時間中の病気やケガで仕事に就くことができない状態となった場合、その日を待期の初日として起算されます。

●業務外の病気やケガについて支給されます。業務上の病気やケガは労災保険給付となります。
任意継続被保険者および組合員の方は傷病手当金は支給されません(一定の要件を満たす場合は除く)。
●このほか詳細については加入している健康保険・共済組合にてご確認ください。

では次に、申請から支給までの流れについて下記で説明していきます。

傷病手当金の申請方法は?支給までのながれ

傷病手当金をもらうつもりの方は、まず事業主に報告することになります。

下記で傷病手当金が支給されるまでの流れについてわかりやすく説明しているので、ザッと把握しておきましょう。

また、傷病手当金が支給される日程についても説明しているので気になる方はチェックしておきましょう。

申請方法は?傷病手当金の支給までの流れ

STEP1.ケガや病気のことを事業主に伝える
ケガや病気で休む方は事業主に報告してください。

STEP2.事業主が申請書を用意する
報告を受けた事業主は「傷病手当金支給申請書」を用紙します。
申請書は加入してる保険組合からダウンロード等で入手してください。

※健康保険協会の場合は下記のページからダウンロードできます。
※参照:協会けんぽ健康保険傷病手当金支給申請書
STEP3.申請書に記入する
事業主から渡された従業員(被保険者)記入用の申請書に氏名や傷病名など記入する
※参照:協会けんぽ健康保険傷病手当金支給申請書

傷病名(うつ病、骨折など)を記入したり、休んだ日数、くわしい役職名(経理担当事務)などを記入することになります。
※休んだ日数には公休日や土日を含めた日数を記入してください。

STEP4.事業主と医師等が記入する
申請書には、事業主の証明と療養担当者(医師)の証明が必要になります。
※参照:協会けんぽ健康保険傷病手当金支給申請書

事業主は賃金の単価などを記入することになります。

STEP5.申請書を保険組合に提出する
事業主が傷病手当金の申請書を保険組合に提出してください。
必要があれば下記の書類を添付することになります。

・年金証書のコピー
・年金額改定通知書のコピー
・休業補償給付支給決定通知書のコピー
・(ケガの場合)負傷原因届
など。

※参照:協会けんぽ健康保険傷病手当金支給申請書
STEP6.傷病手当金が支給される
保険組合に提出後審査され、問題がなければ支給されます。
従業員が長期で休む場合は、従業員のためにも1ヵ月単位で事業主が申請するのがオススメです。

傷病手当金はいつからもらえる?
加入している保険組合にもよりますが、申請後2週間~1か月程度で支給されます。

傷病手当金の注意点(もらえないケースなど)
傷病手当金がもらえない場合もある

傷病手当金の支給を受ける際に注意するポイントがいくつかあります。


お金が支給されない場合もあるので気をつけましょう。


特に退職後にも傷病手当金を受ける方はチェックしておきましょう。

傷病手当金の注意点

  • 休業期間中に給与の支払いがあるときは傷病手当金が支給されません。
    ※ただし、給与の日額が傷病手当金の日額より少ない場合、給与との差額が支給されます。

  • 休業期間中に有給休暇を利用した場合は傷病手当金が支給されません。
    ※ただし、有休の日額が傷病手当金の日額より少ない場合、有休との差額が支給されます。

  • 傷病手当金はすぐにもらえるわけではない。
    ※休んだ日数がわかってから申請し、認められたら約2週間~1か月後に支給されます。

  • 退職後に受ける場合、病名が変わってしまうともらえなくなる。
    ※同一の傷病について、支給を開始した日から最長1年6ヵ月のあいだお金が支給される制度のため。

では次に、退職後も傷病手当金をもらう場合について下記で説明していきます。
※傷病による休業が長引いてしまい、退職後も傷病手当金を受け取ることになる方もいます。万が一のときのためにチェックしておきましょう。


退職後も傷病手当金をもらうには?

ケガや病気が長引き、退職後も傷病手当金の対象となる場合があります。

退職後も傷病手当金を受ける場合、下記の2点を満たす必要があります。

条件を満たせば退職後も引き続き傷病手当金を受けることができます。

退職後に手当を受ける条件

退職後も引き続き傷病手当を受けるには下記の2点を満たす必要があります。

1.退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること。
任意継続の期間を除きます。

2.健康保険等の資格を喪失時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。
※退職日に出勤したときは継続給付を受ける条件を満たさないため、退職日の翌日以降支給されません。


退職後に老齢年金が受けられるとき
退職後に傷病手当金を受けている方が老齢または退職を理由に年金受給者になったときは傷病手当金が支給されません。ただし、年金額の360分の1が傷病手当金の日額より低いときは差額が支給されます。
※くわしくは自分が加入している保険組合をご確認ください。
※参照:協会けんぽ傷病手当金について

ここまでのまとめ

ここまで説明したように、傷病手当金は病気やケガで仕事に就けなくなった方に支給されるお金です。

また、傷病手当金は誰でももらえるわけではなく、被保険者に対して支給されるものです。
※扶養に入っている親族などは対象外です。

下記はここまでのまとめです。

傷病手当金まとめ

  • 支給を受けるには4つの条件を満たす必要がある。傷病にはうつ病も含まれる。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 3日間の連続した休み(公休日も含む)が必要。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 休業中に給与を受けていると傷病手当金が支給されない。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 傷病手当金としてもらえる金額は月給の約67%。また、傷病手当金には税金が0円だが社会保険料は休んでいる間も支払うことになる。
    ※くわしくは上記で説明しています。

この制度をあらかじめ知っていれば病気やケガで長い間休むことがあっても必要以上に不安にならずに済みと思います。