休業補償給付とは?支給条件は?手取り金額はいくら?

2022.09.19 更新
仕事中のケガや病気で会社を休まなければいけないとき、労災保険からお金が支給されます。この記事では労災保険の給付のひとつである休業補償給付について簡単に説明していきます。
この記事の目次
休業補償給付とは?お金がもらえる?

休業補償給付とは、かんたんに説明すると、仕事が原因の病気・ケガを治すために会社を休んでおり、賃金を受けていないときに労災保険からお金がもらえる制度です。
※会社を4日以上休むと支給を受けることができます。
※休業補償給付とは労災保険の給付のひとつです。



会社員やアルバイト、パートの方などは万が一のときのためにチェックしておきましょう。


賃金をもらって働く従業員は労災保険に加入することになります。保険料については事業主(雇用主)が全額負担することになっているので安心してください。

この記事の要点

  • 仕事上のケガや病気が対象になる。

  • 条件を満たさなければ支給されない。

  • ケガ等が治癒するまで支給が続く。

  • 税金はかからないが、休んでいる間も社会保険料はかかる。

では最初に、休業補償の給付の内容について下記で説明していきます。どれくらいの金額が支給されるのかチェックしておきましょう。


給付の内容は?4日以上の休みが必要?
4日目以降の休みから休業補償給付の対象

業務上のケガや病気をして仕事を休んだとき、休業(補償)給付と休業特別支給金が支給されます。


つまり、被災した従業員に給付基礎日額の80%に相当する金額が労災保険から支給されます。


また、4日目以上の休みが必要になることも覚えておきましょう。

休業(補償)給付
休業(補償)給付の額は、1日につき給付基礎日額の60%に相当する額です。



休業特別支給金
休業特別支給金の額は、1日につき給付基礎日額の20%に相当する額です。

※給付基礎日額、算定基礎日額については給付基礎日額ページ参照。

4日以上の休みが必要?

休業補償が給付されるには4日以上の休みが必要になります。

休業の初日から3日間は待機期間といい、業務災害による休業の場合、この間は事業主が平均賃金の60%の休業補償を行うことになります。ですが、通勤災害による休業の場合は事業主の補償義務はありません。

休業補償給付の待期期間
休業補償給付の待期期間

※賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年を経過すると時効により請求権が消滅します。なので、休業補償給付を請求する場合はお早めに。
※参照:厚生労働省休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続

では次に、業務災害と通勤災害について下記で説明していきます。仕事に関係ないケガなどは対象外なので気をつけましょう。


業務災害または通勤災害と認められたときに適用される?
仕事以外のケガや病気は対象外

労災保険は、ケガや病気などが業務災害または通勤災害と認められたときにわたしたちを助けてくれます。


仕事と関係のないケガなどは労災保険の対象外になるので注意しましょう。


会社員やパート・アルバイトの方はチェックしておきましょう。

たとえばどんなときに労災になる?(業務災害と通勤災害)

※参照:厚生労働省労災保険給付の概要

業務災害とは
仕事中のケガ、仕事が原因で発生した災害や病気などが業務災害となります。
たとえば以下のようなものが該当します。

・業務中(業務中のトイレも含む)の災害
・出張での業務中の災害
・施設や設備の不備による昼休みや休憩中の災害

※何も不備がなく、昼休みや休憩中に被災した場合は対象外です。
※くわしくは業務災害とは?を参照。
通勤災害とは
通勤によって被った病気、ケガまたは死亡が通勤災害となります。移動の経路から逸脱し、または中断した場合は、その後の移動も含め「通勤」とはなりません。

・業務のための通勤は労災の対象となります。

・理由もなく遠回りしたりした場合は対象外となります。
※渋滞を避けるためにやむをえず迂回したときなどは労災の対象となります。

・通勤の途中で居酒屋に行ったり、映画館に行った場合は対象外となります。

※通勤途中でジュースを購入するなど、ささいな行為は対象外とはなりません。
※くわしくは通勤災害とは?を参照。

では次に、支給条件について下記で説明していきます。業務災害・通勤災害にあてはまる以外にも条件があります。


支給条件は?
休業補償給付の条件は労働できない等

休業補償給付でお金が支給されるための条件は以下のとおりです。


次の1~3の条件をすべて満たしているときにお金が支給されます。

休業補償給付の支給条件
1 業務上または通勤による負傷や疾病による療養であること
ケガや病気などが業務災害または通勤災害と認められなければいけません。



2 労働することができないこと
通院のために一部の時間だけ労働できないようなときもあてはまります。



3 賃金をうけていないこと
賃金を受けていても、平均賃金の60%以下の金額なら支給の対象になります。ただし、支給額は「平均賃金」から「実際に労働した際に支払われる賃金」の差額の60%にあたる額になります。

※参照:厚生労働省労災保険に関するQ&A
※参照:厚生労働省休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続

では次に、休業補償給付はどのくらいの金額がもらえるのか下記で説明していきます。具体的に金額をあてはめてシミュレーションしているので気になる方はチェックしておきましょう。


休業補償給付はいくらもらえるの?支給額の計算方法

休業補償給付として貰える金額は一日あたりおおよそ日給 × 80%が労災保険から支給されます。
※くわしい給付の内容は上記で説明しています。

会社員やパート・アルバイトの方はもらえる金額の目安をチェックしておきましょう。

下記で休業前後でどれくらい手取りが変わるかシミュレーションしています。

どれくらいもらえる?支給額の例
たとえば給料が月収20万円で事故が発生して仕事を休む場合、一日あたりの支給額は、

6,522円給付基礎日額 × 80% = 5,217円1日あたりの給付額

給付基礎日額とは:平均賃金相当の金額。以下で説明しています。

給付基礎日額について

たとえば給料が月収20万円で事故が10月に発生した場合、給付基礎日額は以下のように計算されます。

20万円収入 × 3ヶ月 ÷ 92日※1 = 6,522円給付基礎日額

となります。

※給付基礎日額とは、平均賃金相当の金額。
※平均賃金とは、事故が発生した日(賃金締切日が定められているときは、その直前の賃金締切日)の直前3ヶ月に支払われた金額の総額を3ヶ月間の日数で割った一日当たりの賃金額のことです。
※1 七月は31日間、八月は31日間、九月は30日間、賃金締切日が月末として計算
※参照:厚生労働省休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続

では次に、休業補償給付が手取りがいくらになるかについて下記で説明していきます。


手取りはいくら?休業補償給付をシミュレーション

休業補償給付を受け取ったときの手取りがどれくらいになるかシミュレーションしました。


被災前の月収を25万円として計算しています。


手取りがいくらになるかザッと把握しておきましょう。

休業前(休業補償給付をもらう前)
▶月収25万円のとき

  • 所得税:ひと月約4,600円
  • 住民税:ひと月約10,000円
  • 年金保険料:ひと月約24,000円
  • 健康保険料:ひと月約13,000円
  • 雇用保険料:ひと月約900円
  • 手取り:ひと月約200,000円
    ※計算はこちらのシミュレーションで行っています。



休業中(休業補償給付を支給中)
▶月収約20万円のとき
※上記の約20万円は、休業する前の月収が25万円だったときの休業補償給付の額
※計算式は上記で説明しています。

  • 所得税:ひと月0円
  • 住民税:ひと月約10,000円
    ※住民税については翌年に反映されます。
  • 年金保険料:ひと月約24,000円
  • 健康保険料:ひと月約13,000円
  • 雇用保険料:ひと月0円
    ※賃金をもらっていなければ雇用保険料は0円になります。
  • 手取り:ひと月約153,000円

では次に、休業補償給付の税金が0円になることについて下記で説明していきます。


休業補償給付は税金がかからない(0円)?

休業補償給付は非課税所得のため、課税されることはありません。したがって、休業補償給付として支給されるお金にかかる税金は0円になります。
※出典:国税庁労働基準法の休業手当等の課税関係

また、非課税所得のため、年末調整や確定申告のときに、休業補償給付を収入に含めないように気をつけましょう。
※休業補償給付を年収に含めないように注意しましょう。
※ただし、健康保険の扶養については、休業補償給付の金額も年収に含める場合があります(保険組合によって異なります)。健康保険の扶養に入るつもりの方は自分が加入している保険組合をしっかり確認しましょう。

社会保険料はかかる?

社会保険料については休業中も従業員・事業主ともに支払うことになります。休業中の従業員は休業補償給付として支給されるお金から支払うことになります。したがって、休業中もそれなりの出費があることを覚悟しておきましょう。
※ただし、休業期間が長期で、医師によっても復職の目処が経たない場合には、会社の社会保険に今後も加入するか抜けるかの相談をする必要があります。

では次に、休業補償給付が支給される期間について下記で説明していきます。ずっともらえるわけではありません。


いつまでお金がもらえるの?
休業補償給付は治癒するまで支給される

休業補償給付は無制限に支給されるわけではありません。期間が定められています。

休業補償給付の支給は、ケガや病気の症状が治ゆするまで継続します。
※治ゆとは、傷病の症状が安定し、医学上一般にみとめられた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(症状固定)をいいます。


ただし、そのケガや病気が障害として残ったときには障害補償給付に切り替わります。

また、1年6ヶ月後にそのケガや病気が治ゆしていない場合には傷病補償給付に切り替わります。

では次に、労災を申請するときのながれについて下記で説明していきます。労災が発生したら事業主に報告しましょう。


労災を申請するときのながれ

仕事でケガや病気をしたときは労災保険が補償してくれます。

ただし、労災保険の補償を受けるためには労働基準監督署に申請する必要があります。仕事でケガなどをしたときは事業主などにすぐに報告しましょう。


申請のながれ

STEP1 ケガなどを報告
仕事でケガ等をしたら事業主に報告する。


STEP2 申請書を提出
事業主が労災の申請書などを労働基準監督署に提出する。


STEP3 調査
労働基準監督署が従業員の労災について調査する。調査後にお金などが支給される。

ここまで説明したように、会社員やアルバイトの方が仕事上のケガや病気をした場合、労災保険からお金が支給されます。

また、労災保険の保険料はすべて事業主が負担することになっているので、従業員が保険料を支払う必要はないので安心してください