▶社会保険の扶養に入ると安くなるの?扶養がいると安い?
社会保険の扶養に入ると家族が支払う保険料は安くなる(0円になる)。配偶者の場合は年金保険料も0円になる。家族を扶養しても本人の社会保険料は安くならない。
※くわしくは下記で説明しています。
▶社会保険の扶養を外れてもまた戻れる?
収入が多くなり、社会保険の扶養を外れたとしても、今後ふたたび扶養に入れる条件を満たせば扶養に戻れる。
※くわしくは下記で説明しています。
▶社会保険の扶養になるには条件がある?
扶養に入るには収入130万円未満などの条件がある。また、130万以上になる見込みがあれば扶養から外れる(3ヶ月連続で108,333円を超えた場合など)。
※条件についてくわしくは下記で説明しています。
※130万の見込みについては下記で説明しています。バイトで108,333円超えたらどうなるか等を説明しています。
社会保険の扶養とは、勤務先の社会保険に加入しているひとが「自分の親族」を扶養にいれると「親族の保険料が0円になる」制度です。
※社会保険に加入している人の社会保険料が安くなるわけではありません。
社会保険とは、会社などに雇われている方が加入する健康保険と厚生年金保険のことをいいます。
正社員でなくても、長時間働くアルバイトやパートの方も社会保険に加入することになります。
そして、社会保険の扶養に入った家族は保険料が0円になるメリットを受けられるのが特徴です。
※ここで説明する社会保険は広い意味での社会保険とは異なります。
社会保険に加入している人(被保険者)が親族におり、その親族の社会保険の扶養に入ると親族の保険料が安くなります。
具体的には「扶養に入ったひと」が支払う保険料は0円になります。
※社会保険に加入しているひと(被保険者)の保険料は安くなりません。扶養がいると安くなるわけではありません。
たとえば親が加入している社会保険に扶養として息子が入ると、息子が支払う保険料は0円になるということです。
※保険料が0円になっても保険証等が配布されるので安心してください(病院代が3割負担になる等の給付を受けることができます)。
扶養に入った配偶者が支払う健康保険料および国民年金保険料は0円になります。ただし、扶養を外れれば自分で保険料を支払うことになります。
※健康保険については健康保険とは?を参照。
※国民年金については国民年金とは?を参照。
扶養に入った親族が支払う健康保険料は0円になります。ただし、扶養を外れれば自分で保険料を支払うことになります。
※20歳~59歳なら国民年金の保険料を支払う必要があります。
※健康保険については健康保険とは?を参照。
※親を扶養する場合は親を社会保険の扶養に入れられる?を参照。
社会保険の扶養に入るための条件は以下のとおりです。
一番のポイントは、1年間の収入が130万円未満でなければいけないことです。
※年間収入が130万円以上になる見込みがあれば扶養の対象から外れます。くわしくは下記で説明しています。
扶養に入ろうとしている人または扶養から外れるか不安な人はチェックしておきましょう。
社会保険の扶養の判定をフローチャートにしてわかりやすく説明していきます。
※くわしい内容を知りたい場合は上記の条件をチェックしましょう。
社会保険の扶養の条件は「1年間の収入が130万未満」となっていますが、130万以上になると予想されるときには、その時点で扶養から外れます。
※判定は加入している保険組合が行うことになります。
※ほかにも、自分が勤務先の社会保険に加入した場合は扶養から外れます。くわしくは上記の条件を参照。
たとえばアルバイトなどをしており、直近3ヶ月の平均月収が108,333円を超えるなら、年間収入が130万円以上になる見込みがあると判断され、社会保険の扶養から外れることになります。
※参照:日本年金機構短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大適用拡大Q&A集pdf
ただし、保険組合によっては直近3ヶ月の平均月収が108,333円を超えても社会保険の扶養から外れない場合もあります。くわしくは加入している保険組合にてご確認ください。
※たとえば「時期的に収入が多かっただけ」等の様々な事情を考慮して、年間収入130万円未満になると判断されれば、社会保険の扶養から外れないこともあります。
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バイト先の社会保険に入りたくない。デメリットは?
社会保険の扶養に入る条件のひとつに「1年間の見込み収入が130万円未満」とあります。
※60歳以上の場合は180万円未満
この収入には、アルバイトなどの給与収入以外にも下記のような収入が含まれます。
注意しなければいけないのは、障害年金などの「非課税所得」も含まれることです。扶養に入る親族の収入をしっかり把握しておきましょう。
社会保険の被扶養者(扶養されるひと)の収入には以下のようなものが含まれます。
など。
※加入している保険組合によって異なる場合があります(労災保険も含まれるなど)。くわしくは加入している保険組合で確認しておきましょう。
では次に、社会保険の扶養から外れるときについて下記で説明していきます。
社会保険の扶養を外されるときは以下のようなときです。
※扶養から外れることがわかったときは加入している保険組合に届出を提出しなければいけません。
※条件を満たしていないことが判明したタイミングなどで扶養から外れることのお知らせが届く場合があります。
以下のどれかにあてはまるひとは、社会保険の扶養の条件を満たしていないので扶養から外れることになります。
など。
※加入している保険組合によっては他にも条件がある場合があります。
収入が増え、扶養から外れたとしても「扶養でいられる条件」を満たせば、また扶養に戻ることはできます。
社会保険の扶養については「扶養に入ろうとする時点以降の年間の見込み収入額」で判定されます。したがって、今後1年間で年収130万円未満であると見込める場合は条件を満たすことになります。
※上記の条件を満たしていれば社会保険の扶養の対象となります。
※扶養の判定は加入している保険組合が行うことになります。
では次に、社会保険の扶養から外れるのに手続きをしていない場合について下記で説明していきます。
社会保険の扶養を外れていることがわかったときは、扶養を外れる届出を提出しなければいけません。
※届出書は保険組合に請求するまたはダウンロードして手に入れることも出来ます。
しかし、扶養から外れることに気づかなくてそのままにしている方も多くいると思います。
※発覚したときまたはお知らせが保険組合から送られてきたら届出を提出しましょう。
社会保険の扶養から外れていることがあとになって発覚した場合、その事実が発生した日までさかのぼって、その期間の医療費(保険を使って診療したときのお金など)を返還することになります。
配偶者(夫または妻)の場合、社会保険の扶養から外れている期間の国民年金の保険料が未納になってしまいます(後日、国民年金の保険料を納付しましょう)。
ただし、2年以上未納のままにしておくと、あとから保険料を納めることが出来なくなってしまうので注意しましょう。
※年金を未納にしておくとデメリットがあります。
※参照:日本年金機構第3号被保険者(専業主婦・主夫)からの手続きが遅れた方へ
では次に、社会保険の扶養の有り無しで金額をシミュレーションしていきます。下記で金額をあてはめて計算しています。
社会保険の扶養になった場合と扶養に入らなかった場合で保険料がどれくらいになるかシミュレーションしてみましょう。
パート主婦の場合で1年間の保険料を比較してみました。
社会保険の扶養に入ろうとしている方はチェックしておきましょう。
パート主婦の収入が1年間で129万円の場合、1年間の税金、保険料、手取りは以下のようになります。扶養に入っているので健康保険料と国民年金保険料が0円になります。
※130万円未満でも条件を満たせば勤務先の社会保険に加入することになります。条件については社会保険に加入する条件は?を参照。
シミュレーション結果
社会保険の扶養に入っていないパート主婦の収入が1年間で129万円の場合、1年間の税金、保険料、手取りは以下のようになります。扶養に入っていないので国民健康保険料と国民年金を支払うことになります。
※勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります。
シミュレーション結果
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パート主婦は年収いくらがお得なの?103~150万円
共働きで、夫婦ともに勤務先の社会保険に加入している場合、原則年収の多い側※が扶養することになります。
※今後1年間の収入を見込んだ額。
※年収の多い側が主な生計維持者として判定されるため。
ただし、夫婦それぞれの年収の差が1割以内の場合、どちらが扶養するか選択することが出来ます(要届出)。
※参照:厚生労働省夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定についてpdf
夫婦のどちらかが国民健康保険に加入している場合、年収の多い側※が主な生計維持者として判定されます。
※国民健康保険に加入している方の年収は、直近の年間所得で見込んだ額となります。
したがって、国民健康保険に加入している側の年収が多い場合、子供を社会保険の扶養に入れることはできません。
※参照:日本年金機構従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
夫婦ともに勤務先の社会保険に加入している場合、どちらが扶養したとしても被扶養者(扶養されるひと)の保険料が0円になるので、「どっちが扶養したほうがお得になる」等のことはないので安心してください。
社会保険の扶養になれる親族は決まっています。
社会保険の扶養の対象になる親族は以下のとおりです。
3親等までの親族は扶養の対象になりますが、同一世帯にいることが条件の親族もいることを覚えておきましょう。
上記の親族以外にも、3親等までの親族は扶養の対象になります。しかし、上記以外の親族を扶養する場合は同一世帯にいなければいけないので注意しましょう。たとえば、配偶者の父母兄弟姉妹、被保険者(本人)の子供の配偶者なども扶養にいれることができますが、同一世帯にいる必要があります。
※参照:協会けんぽ被扶養者とは?
※参照:日本年金機構従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
社会保険の扶養に入る場合は被保険者(社会保険に加入している方)が勤務先に届け出る必要があります。
勤務先に伝えれば事業主が「被扶養者(異動)届」を提出することになっています。
その際に収入を確認するための書類等を添付する必要があるので、勤務先から指定された必要な書類を準備しておきましょう。
下記は添付書類の一例です。
※くわしくは加入している健康保険・共済組合にてご確認ください。
※参照:全国健康保険協会申請に必要なもの
※参照:日本年金機構従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
では次に、税金の扶養との違いについて下記で説明していきます。一緒くたにしないように気をつけましょう。
社会保険の扶養のほかにも税金を安くしてくれる扶養があります。それは「扶養控除」という制度です。
かんたんに説明すると、16歳以上の親族を扶養している方は税金が約5万~17万安くなります。
※あなたの年収を250万~850万円とした場合。
ただし、扶養親族の対象になるには親族の1年間の合計所得金額が48万円以下(つまり、給与収入なら103万円)である必要があります。
以上のように扶養にも違いがあるので、それぞれの違いを把握しておくことをオススメします。
とくに、パートをしている方やアルバイトをしている学生などは上記の記事で「社会保険の扶養」と「税金を安くしてくれる扶養」について知っておきましょう。