社会保険の扶養と税金を安くしてくれる扶養は別の意味?

2021.12.05 更新
税法上の扶養と社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養の違いがよくわからない人は多いと思います。この記事では税金に関しての扶養と社会保険の扶養の違いについて説明していきます。
この記事の目次
社会保険の扶養と税法上の扶養の違いは?

社会保険の扶養と税法上の扶養(税金を安くしてくれる扶養)の違いがよくわからず、頭がごちゃごちゃになっている人もいると思います。
※そもそも扶養の意味がわからないという方もいると思います。


結論からいうと、これらの扶養はそれぞれ意味が異なります。以下にそれぞれの扶養についての意味を説明していきます。


子供がいる親やアルバイトをする学生などはチェックしておくことをオススメします。

この記事の要点

  • 税金を安くしてくれる扶養は「合計所得48万円(給料だけなら103万円)」がキーワード。
  • あなたの合計所得が1年間で48万円を超えると扶養親族の対象から外れる。
  • あなたが扶養親族の対象から外れると、あなたを扶養していた親族などは扶養控除を利用できなくなり、税金の負担が増える。


  • 社会保険の扶養は「年収130万円」がキーワード。
  • 年収130万円以上になると社会保険の扶養の対象から外れる。
  • 社会保険の扶養から外れたら、自分で保険料を支払うことになる。

では最初に、税金を安くしてくれる扶養について下記で説明していきます。親などに扶養されている方はしっかりチェックしておきましょう。



税金を安くしてくれる扶養とは?

税金を安くしてくれる扶養とは扶養控除という制度のことです。

扶養控除とはかんたんに説明すると「16歳以上の親族を扶養していると税金が安くなる」制度です。

たとえば高校生の子供を扶養している親はこの制度を利用すると税金が安くなります。


ただし、扶養控除の対象になるには条件があり、合計所得が1年間で48万円以下(給料だけなら103万円以下)である必要があります。
※くわしい条件については扶養控除とは?を参照。

合計所得48万円がどういう意味なのかわからない方のために以下で説明していきます。

合計所得48万円とは?
たとえばあなたの子供が1年間(1月~12月まで)にビットコインなどの仮想通貨で稼いだ金額が48万円とすると、

48万円仮想通貨の収入0円経費 = 48万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
※仮想通貨の利益は雑所得になります。

となります。仮想通貨のほかに収入が無いとすると、あなたの子供の合計所得金額は

48万円雑所得 = 48万円合計所得金額
※合計所得金額については合計所得金額とは?を参照。

となります。この場合、1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下なのであなたの子供は扶養控除の対象になります。

収入がアルバイトだけなら103万円までが扶養になれる?

たとえばあなたの子供の収入がアルバイトの給与収入のみであり、1年間(1月~12月まで)の収入が103万円のとき、給与所得は48万円となります。

それ以外に所得がないとすると、合計所得金額は48万円となります。

103万円給与収入55万円給与所得控除 = 48万円給与所得(合計所得金額)
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。

この場合、1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下なのであなたの子供は扶養の対象になります。

つまり、収入がアルバイトの給料のみなら103万円まで扶養の対象になれるということです。

扶養から外れると親の税金はどれくらい高くなる?

たとえばあなたの子供の1年間(1月~12月まで)の合計所得が48万円(給料のみなら103万円)を超えると、あなたの子供は扶養から外れてしまうのであなたは扶養控除を利用できなくなります。
※1年間の収入が103万円を超えると扶養親族じゃなくなるため。

扶養控除とは「養う親族がいると税金が安くなる」という制度であり、今までこの制度を利用していたひとが利用できなくなることによって税金の負担が約5~17万円増えてしまいます。

したがって、アルバイトをしている子供などが家族にいる場合は「1年間の収入を調整したほうがいい」ということを教えてあげることをオススメします。

※あなたの年収が250万円~900万円とした場合。
※親族に扶養されていない場合は関係ありません。

では次に、社会保険の扶養について下記で説明していきます。年収130万円がキーワードになります。税金を安くしてくれる扶養との違いについてしっかりチェックしておきましょう。


社会保険の扶養とは?【年収130万円の壁】

社会保険の扶養とは、社会保険に加入している人が親族を扶養にいれると「親族の保険料が0円になる」制度です。


たとえば、勤務先の社会保険に加入しているサラリーマンが親族(妻や子供など)を扶養にいれると、親族が支払う保険料は0円になるメリットを受けることができます。
※扶養に入った親族は保険料が0円になりますが、病院代が3割負担になるなどの医療給付は同じように受けることができます。

社会保険の扶養に入ったときのメリット


親族が扶養に入ったとき
扶養に入った親族が支払う健康保険料は0円になります。ただし、扶養を外れれば自分で保険料を支払うことになります。
※20歳以上なら国民年金の保険料は支払う必要があります。
※健康保険については健康保険とは?を参照。



配偶者(妻または夫)が扶養に入ったとき
扶養に入った配偶者が支払う健康保険料および国民年金保険料は0円になります。ただし、扶養を外れれば自分で保険料を支払うことになります。

※健康保険については健康保険とは?を参照。
※国民年金については国民年金とは?を参照。



社会保険の扶養に入る条件は?
社会保険の扶養に入って保険料が0円になるメリットを受けるには下記の条件を満たす必要があります。

条件を見てわかるように「年収130万円」がボーダーラインになります。


社会保険の扶養に入る条件
  • 社会保険に加入している人の親族であること
    ※子供や配偶者などは扶養の対象になります。くわしくは社会保険の扶養を参照。

  • アルバイトなどで勤務先の社会保険に加入していないこと
    ※加入する条件については社会保険に加入する条件は?を参照。

  • 1年間の収入が130万円未満であること(つまり、給与収入なら月収108,333円以下であること)。
    60歳以上または障害厚生年金がもらえる程度の障害をもつ場合は年間収入180万円未満
    ※給与収入には交通費等を含みます。
    ※1年間の収入とは、過去における収入のことではなく、扶養に入ろうとする時点以降の年間の見込み収入額のことをいいます。
    失業手当の受給者は日額3,611円以下(60歳以上の場合は日額4,999円以下)であること。

  • 被保険者の収入によって生活をしている(生計を維持している)こと
    ※別居の場合は定期的な送金により生活していること。
    ※被保険者の収入でなく、自分の収入で生計を立てている場合は扶養の対象になりません。

  • 収入が同居している扶養者(扶養している方)の収入の半分未満であること
    別居の場合は収入が扶養者からの仕送り額未満であること

※被扶養者(扶養されている方)の収入には「雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金」も含まれます。
※くわしくは加入している健康保険・共済組合にてご確認ください。


年収130万円の壁とは?社会保険の扶養のボーダーライン?

年収130万円の壁とは社会保険の扶養から外れるボーダーラインのことです。

たとえば1年間の稼ぎが130万円以上になると社会保険の扶養から外れてしまうので、自分で社会保険に加入して保険料を支払うことになります。
※あなたが社会保険の扶養に入っていた場合に限ります。

社会保険の扶養に入っているときは健康保険料は0円となりますが、年収130万円以上になると社会保険の扶養から外れるので自分で保険料を支払わなければなりません。

もし勤務先の社会保険に加入すれば支払う保険料は以下のようになります。

※加入条件を満たせば収入が130万円未満でも勤務先の社会保険に加入することになります。簡単に説明すると、正社員の3/4以上の労働時間・日数になると加入することになります。くわしくはアルバイトでも加入する?社会保険に加入する条件は?を参照。


社会保険に加入した場合に支払う保険料は?

1年間の収入が106万円のとき
勤務先の社会保険に加入した場合の保険料は合計約15万円になります。
※保険料は1年間の金額です。
※保険料の計算はこちらのシミュレーションで行いました。



1年間の収入が115万円のとき
勤務先の社会保険に加入した場合の保険料は合計約17万円になります。
※保険料の計算はこちらのシミュレーションで行いました。



1年間の収入が130万円のとき
勤務先の社会保険に加入した場合の保険料は合計約19万円になります。
※保険料の計算はこちらのシミュレーションで行いました。

税金がかかる年収については?

扶養のほかにも所得税や住民税がかかる年収についても知っておくことをオススメします。


かんたんに説明すると、所得が48万円を超えると所得税がかかります。また、所得が45万円を超えると住民税がかかります。


これからアルバイトやパートを始めるかたは税金についてもザッと理解しておきましょう。下記のページで解説しています。

ここまでのまとめ

ここまで説明したように「税金を安くしてくれる扶養」と「社会保険の扶養」には違いがあります。

まとめると「税金を安くしてくれる扶養」については、あなたが扶養から外れるとあなたを扶養している親族の税金に影響があります。

そして「社会保険の扶養」については、あなたが扶養から外れると自分で社会保険料を支払うことになるのであなた自身に影響があります。

アルバイトをしている未成年や学生の方はとくに関係してくるので覚えておくと役に立つと思います。

ここまでのまとめ

  • 合計所得48万円(給料のみなら103万円)を超えて扶養控除の対象から外れてしまうと、あなたを扶養している親族(たとえば親など)の税金が上がってしまう
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • あなたの年収が130万円以上になると社会保険の扶養から外れてしまうので、あなた自身で保険に加入して保険料を支払うことになる
    ※くわしくは上記で説明しています。

以上のように、社会保険の扶養と税法上の扶養(税金を安くしてくれる扶養)はそれぞれ意味が異なります。

大人でも何が何だか分からなくて困っている方も多いですが、ごちゃごちゃにしないように覚えておきましょう。

また、扶養なんて気にしないでお金を稼ぎたい!という方もいると思います。扶養を外れてお金を稼ぎたい方は以下のリンク先の記事をチェックしておきましょう。フリーターの年収を例にシミュレーションして説明しています。