税法上の扶養と社会保険(健康保険)の扶養2つの違いは?

2023.09.12 更新
税法上の扶養と社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養の違いがよくわからない人は多いと思います。この記事では税法上の扶養と社会保険の扶養の違いについて説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶社会保険の扶養とは
年収が130万未満なら社会保険の扶養対象になる。あなたの年収が130万以上になると社会保険の扶養の対象から外れる。社会保険の扶養から外れたら、自分で保険料を支払うことになる。
※くわしくは下記で説明しています。


▶税法上の扶養とは(子供などの場合)
あなたの合計所得が1年間で48万以下なら扶養親族になれる。16歳以上の扶養親族を扶養するひとは税金が安くなる。
※くわしくは下記で説明しています。


▶税法上の扶養とは(妻または夫の場合)
配偶者の合計所得が133万以下(給料だけなら約201万円)なら配偶者特別控除を利用できる → 配偶者の税金が安くなる。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次
2つの扶養の違いは?

社会保険の扶養と税法上の扶養(税金を安くしてくれる扶養)の違いがよくわからず、頭がごちゃごちゃになっている人もいると思います。
※そもそも扶養の意味がわからないという方もいると思います。

子供がいる親やアルバイトをする学生などはチェックしておくことをオススメします。


まずは、社会保険の扶養について説明していきます。

社会保険の扶養とは?【年収130万円の壁】

社会保険の扶養とは、社会保険に加入している人が親族を扶養にいれると「親族の保険料が0円になる」制度です。
※本人が支払う社会保険料が安くなるわけではありません。


たとえば、勤務先の社会保険に加入しているサラリーマンが子供を扶養にいれると、子供が支払う健康保険料が0円になるメリットを受けることができます。
※扶養に入った親族は健康保険料が0円になりますが、病院代が3割負担になるなどの医療給付は同じように受けることができます。
※配偶者の場合は国民年金の支払いも0円になります。



ただし、社会保険の扶養に入るには「年収130万円未満」などの条件にあてはまらなければいけません。

社会保険の扶養に入れるか診断チャート

社会保険の扶養の判定をフローチャートにしてわかりやすく説明していきます。

社会保険の扶養加入条件フローチャート
社会保険の扶養加入条件フローチャート
社会保険の扶養に入る条件は以下のとおり

  • 社会保険に加入している人の親族であること

  • 75歳未満であること
    ※75歳以上になると自動的に後期高齢者医療制度に移行するため。

  • アルバイトなどで勤務先の社会保険に加入していないこと
    ※加入する条件については社会保険に加入する条件は?を参照。

  • 1年間の収入が130万円未満になる見込みであること(つまり、給与収入なら月収108,333円以下であること)。見込みについてくわしくは下記で説明。
    60歳以上または障害厚生年金がもらえる程度の障害をもつ場合は年間収入180万円未満
    ※収入には勤務先までの定期券代などの交通費等も含みます。
    ※1年間の収入とは見込み収入額のことをいいます(くわしくは下記で説明)。
    失業手当の受給者は日額3,611円以下(60歳以上の場合は日額4,999円以下)であること。

  • 被保険者の収入によって生活をしている(生計を維持している)こと
    ※別居の場合は定期的な送金(仕送り)により生活していること。
    ※被保険者の収入でなく、自分の収入で生計を立てている場合は扶養の対象になりません。

  • 収入が同居している扶養者(扶養している方)の収入の半分未満であること
    別居の場合は収入が扶養者からの仕送り額未満であること

※扶養に入るつもりの親族の方は下記の記事でもチェックしておきましょう。

では次に、税金を安くしてくれる扶養について下記で説明していきます。社会保険の扶養とは違います。

税金を安くしてくれる扶養とは?

税金を安くしてくれる扶養とは扶養控除という制度のことです。

扶養控除とはかんたんに説明すると「16歳以上の親族を扶養していると税金が安くなる」制度です。
※出典:国税庁扶養控除
※たとえば16歳以上の高校生の子供を扶養している親はこの制度を利用すると税金が安くなります。自分の親を扶養している場合も扶養控除の対象になります。
※参照:親を扶養に入れるといくら節税できる?



ただし、扶養控除の対象になるには条件があり、合計所得が1年間で48万円以下(給料だけなら103万円以下)である必要があります。

扶養から外れると親の税金はどれくらい高くなる?

たとえばあなたの子供の1年間(1月~12月まで)の合計所得が48万円(給料のみなら103万円)を超えると、あなたの子供は扶養から外れてしまうのであなたは扶養控除を利用できなくなります。
※1年間の収入が103万円を超えると扶養親族じゃなくなるため。

扶養控除とは「養う親族がいると税金が安くなる」という制度であり、この制度が利用できなくなれば税金の負担が年間約5~17万円増えてしまいます。
※あなたの年収が250万~850万とした場合。

したがって、アルバイトをしている子供などが家族にいる場合は「1年間の収入を調整したほうがいい」と教えてあげることをオススメします。

※親族に扶養されていない場合は関係ありません。

※くわしくは下記の記事で説明しています。
フリーターや16才以上の学生が扶養から外れるといくらかかる?


夫または妻がいる場合も税金が安くなる?

配偶者(夫または妻)がいる場合、税金が安くなる制度「配偶者(特別)控除」を利用することができます。
※配偶者には、上記で説明した扶養控除はありません。


配偶者(特別)控除は、1年間の合計所得が133万円以下(給料のみで約201万円以下)が対象となります。
※合計所得が48万円以下は配偶者控除の対象になります。
※合計所得が133万円以下は配偶者特別控除の対象になります。
※出典:国税庁配偶者特別控除


所得が95万円を超えると税金がだんだん増える?

配偶者がいれば税金が安くなるのですが、配偶者の合計所得が95万円(つまり、給料のみで年収150万円)を超えると、税金が安くなる効果が徐々に弱くなります。

たとえば妻がパートでたくさん稼いでいる場合、税金が安くなる効果が弱くなるので、夫の税金は約0.1万円~11万円増えることになります。くわしくは下記の記事で説明しています。

※夫の年収を250万円~900万円とした場合。


税金がかかる年収については?

扶養のほかにも、所得税や住民税がかかる年収についても知っておくことをオススメします。


かんたんに説明すると、所得が48万円を超えると所得税がかかります。また、所得が45万円を超えると住民税がかかります。
※アルバイトの収入だけなら103万円以下まで所得税が0円。
※アルバイトの収入だけなら100万円以下まで住民税が0円。市区町村によっては97万円や93万円の場合もあります。


つまり、お金をあまり稼いでいなければ税金はかかりません。


これからアルバイトやパートを始めるつもりの方はザッと内容を理解しておきましょう。それほど難しい内容ではないので安心してください。

くわしくは下記の記事で説明しています。
アルバイトで税金がかかるのは年収いくらから?

何が何だか分からなくて困っている方も多いですが、ごちゃごちゃにしないように覚えておきましょう。

また、扶養なんて気にしないでお金を稼ぎたい!という方もいると思います。扶養を外れてお金を稼ぎたい方は下記の記事をチェックしておきましょう。フリーターやパート主婦の年収を例にシミュレーションして説明しています。
フリーターで130万円超えると損?それともお得?年収いくらがベスト?
パート主婦は年収いくらがお得なの?103~150万円の年収別まとめ