配偶者特別控除とは?150万まで変わらない?計算例など説明

2023.02.01 更新
103万円を超えてしまって配偶者控除を利用できない…という方のためにある「配偶者特別控除」。配偶者控除との違いなどチェックしておきましょう。この記事では配偶者特別控除についてわかりやすく説明していきます。
この記事の目次
この記事の要点(ポイント)


配偶者特別控除は年収いくらまで?
配偶者の年収が103万円を超えても年収150万円までは控除額はMAX。それ以降は少しずつ税金が安くなる効果が弱くなり、年収約201万で控除対象外になる。
※くわしくは下記で説明しています。


配偶者特別控除でいくら税金が安くなる?
夫の税金は約5万~11万安くなる。ただし、本人の年収や配偶者の年収によって安くなる金額が変わる。たとえば妻のパート年収が200万なら夫の税金は年間約0.5万~0.9万しか安くならない。
※年収ごとに安くなる金額をシミュレーション。くわしくは下記で説明しています。


どうすれば控除を利用できるの?
配偶者特別控除を利用するには年末調整または確定申告で申請しなければいけない。
※くわしくは下記で説明しています。


配偶者特別控除とは?ルールが少し違う?
配偶者特別控除の条件

配偶者特別控除とはかんたんに説明すると、妻または夫がいる方の税金の負担を軽くしてくれる制度です。
※配偶者とは夫から見た妻、妻から見た夫のことをいいます。


どちらか一方の配偶者が利用することができます。夫婦がお互いに受けられるわけではありません。
※妻の方が収入が多ければ、妻が控除を利用することになります。

配偶者控除と変わらないように見えますが、以下のようにルールが少し違います。

配偶者控除の条件は?

  • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
  • 納税者(控除を受ける人)と生計を一にしていること
  • 配偶者の1年間(1月~12月まで)の合計所得48万円以下(つまり、給料なら年収103万円以下)であること

※配偶者控除については配偶者控除とは?を参照。

配偶者特別控除の条件は?

  • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
  • 納税者(控除を受ける人)と生計を一にしていること
  • 配偶者の1年間(1月~12月まで)の合計所得133万円以下(つまり、給料なら年収約201万円以下)であること
※青色申告者の配偶者で青色事業専従者にあてはまり、給与の支払を受ける方または白色申告者の配偶者で事業専従者にあてはまる方は、配偶者特別控除の対象にはなりません。
※参照:国税庁配偶者特別控除



上記のルールを見てわかるように、それぞれ合計所得の範囲が違います。
合計所得金額とは:給与所得や事業所得など各種所得の合計金額のこと。

つまり、配偶者の合計所得が48万円を超えても133万円以下なら配偶者特別控除が利用できるということです。

「合計所得ってなに?よくわからない…」という方のために年収105万円のパート主婦を例にして下記でわかりやすく説明していきます。


合計所得の計算例(48万円超えても大丈夫?)
たとえば妻の収入が給与収入のみであり、1年間(1月~12月まで)の収入が105万円の場合、

105万円給与収入55万円給与所得控除 = 50万円給与所得(合計所得金額)
給与所得控除については、給与所得控除とは?を参照。

となります。この場合、所得は「給与所得のみ」なので合計所得は50万円となります。合計所得が48万円を超えているので、配偶者控除ではなく配偶者特別控除の対象となります。

では次に、配偶者特別控除の控除額についてくわしく見ていきましょう。
※配偶者の収入によって控除額が減っていきます。くわしくは下記で説明していきます。

給与収入150万円までは控除額MAX。年収約201万円で控除額0円?
年収150万円(合計所得95万円)以下がいちばん配偶者特別控除の効果が高い

下記の表のとおり、1年間(1月~12月まで)の合計所得95万円(給料なら年収150万)までは控除額は38万円となります。


つまり、合計所得が95万円(給料なら年収150万)までは控除額が配偶者控除と同じであり、税金の安くなる効果がMAX(控除額38万円)ということです。控除額は以下の表のとおりです。
※控除で税金が38万円安くなるわけではありません。くわしくは下記で説明しています。

配偶者特別控除の控除額の表

※参照:国税庁配偶者特別控除

※年収によって税金がどれくらい安くなるかは下記の項目で説明しています。

▶年収150万までは控除額MAX。年収約201万円を超えると控除の対象外

上記の表を見てわかるように、配偶者(たとえば妻)の合計所得が95万円(給料のみで年収150万)を超えると控除額が減り、税金が安くなる効果が少しずつ減っていきます。
そして、妻の合計所得が133万円(給料のみで年収約201万)を超えると配偶者特別控除の対象外になることを覚えておきましょう。



150万円給与収入55万円給与所得控除 = 95万円給与所得(合計所得金額)
給与所得控除については、給与所得控除とは?を参照。

給与収入150万だと合計所得95万なので、上記表と照らしあわせると控除額は38万になります。

※控除で税金が38万円安くなるわけではありません。「配偶者特別控除で所得が38万円減る→所得が減るので、そのぶん税金が安くなる」という仕組みです。たとえば課税所得が100万円で税率5%だと所得税は5万円かかります。配偶者特別控除38万円によって課税所得100万が「100万 – 38万 = 課税所得62万円」になれば、税率5%だとすると、62万 × 5%で所得税は3.1万円になります。くわしい計算過程は下記で説明しています。

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では次に、配偶者特別控除を適用するとどれくらい税金が安くなるか見ていきましょう。
※夫の税金がどれくらい安くなるか年収ごとにシミュレーションしています。くわしくは下記で説明していきます。

夫または妻の税金はいくら安くなる?
合計所得95万円を超えると配偶者特別控除の効果が少しずつ弱くなる

年収にもよりますが、配偶者特別控除を利用すると税金の負担は年間約5~11万円ほど軽くなる場合が多いでしょう。
※これから初めて控除を受ける会社員などは約5~11万円の税金が安くなります。
※妻の方が収入が多ければ、妻が控除を利用することになります。


ただし、配偶者の1年間(1月~12月まで)の合計所得が95万円(給料なら年収150万円)を超えると、税金が安くなる効果が少しずつ無くなっていきます


税金がいくら戻るのか気になる方は下記のシミュレーションをチェックしておきましょう。
※住民税は翌年の金額に反映されます(住民税は前年の所得で決定するため)。

配偶者特別控除でいくら安くなる?

※下記表を見てわかるように、妻の合計所得によって夫の税金額が変わってきます。
 

妻の合計所得 夫の年収250~400万円のとき 夫の年収500~600万円のとき 夫の年収700~900万円のとき
95万円以下
※給料なら年収150万円以下
税金は約52,000円安くなります。
所得税19,000円
住民税33,000円
税金は約71,000円安くなります。
所得税38,000円
住民税33,000円
税金は約109,000円安くなります。
所得税76,000円
住民税33,000円
100万円以下
※給料なら年収155万円以下
税金は約51,000円安くなります。
所得税18,000円
住民税33,000円
税金は約69,000円安くなります。
所得税36,000円
住民税33,000円
税金は約105,000円安くなります。
所得税72,000円
住民税33,000円
105万円以下
※給料なら年収160万円以下
税金は約47,000円安くなります。
所得税15,500円
住民税31,000円
税金は約62,000円安くなります。
所得税31,000円
住民税31,000円
税金は約93,000円安くなります。
所得税62,000円
住民税31,000円
110万円以下
※給料なら年収約167万円以下
税金は約39,000円安くなります。
所得税13,000円
住民税26,000円
税金は約52,000円安くなります。
所得税26,000円
住民税26,000円
税金は約78,000円安くなります。
所得税52,000円
住民税26,000円
115万円以下
※給料なら年収約175万円以下
税金は約32,000円安くなります。
所得税10,500円
住民税21,000円
税金は約42,000円安くなります。
所得税21,000円
住民税21,000円
税金は約63,000円安くなります。
所得税42,000円
住民税21,000円
120万円以下
※給料なら年収約183万円以下
税金は約24,000円安くなります。
所得税8,000円
住民税16,000円
税金は約32,000円安くなります。
所得税16,000円
住民税16,000円
税金は約48,000円安くなります。
所得税32,000円
住民税16,000円
125万円以下
※給料なら年収190万円以下
税金は約17,000円安くなります。
所得税5,500円
住民税11,000円
税金は約22,000円安くなります。
所得税11,000円
住民税11,000円
税金は約33,000円安くなります。
所得税22,000円
住民税11,000円
130万円以下
※給料なら年収約197万円以下
税金は約9,000円安くなります。
所得税3,000円
住民税6,000円
税金は約12,000円安くなります。
所得税6,000円
住民税6,000円
税金は約18,000円安くなります。
所得税12,000円
住民税6,000円
133万円以下
※給料なら年収約201万円以下
税金は約5,000円安くなります。
所得税1,500円
住民税3,000円
税金は約6,000円安くなります。
所得税3,000円
住民税3,000円
税金は約9,000円安くなります。
所得税6,000円
住民税3,000円
133万円超え
※給料なら年収約201万円超え
税金は0円安くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円安くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円安くなります。
所得税0円
住民税0円

上記は1年間の金額です。
※税金はこちらのシミュレーションで計算しています。
※40歳未満子供0人社会保険加入の夫でシミュレーション。
※夫が高所得者だと、配偶者特別控除が使えなくなってしまいます。くわしくは下記の項目で説明しています。

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配偶者特別控除を込みで所得税を計算シミュレーション

給料をもらっている方が配偶者特別控除を利用したとき、税金がどれくらいになるかシミュレーションしてみましょう。
※年収によって税金がどれくらい安くなるかは上記で説明しています。


①まず配偶者特別控除の対象になるかどうか

まず自分の配偶者が控除の対象になるか確認します。たとえば妻の収入が給与収入のみであり、年間収入が160万円の場合、給与所得は105万円となります。

160万円給与収入  ―  55万円給与所得控除  =  105万円給与所得
給与所得控除については、こちらを参照。

妻の収入は給与収入のみなので、合計所得金額は105万円となります。


1年間の合計所得金額が133万円以下なのでは配偶者特別控除の対象となります。


また、妻の合計所得金額が105万円なので上記の表と照らし合わすと控除額は31万円となります。この控除額31万円を夫の所得控除に加えてみましょう。



ここから夫が配偶者特別控除を適用したときの所得税計算
②夫の給与所得の計算
夫の給与収入が420万円のとき、給与所得は、

420万円給与収入128万円給与所得控除  =  292万円給与所得
給与所得については、給与所得とは?を参照。

となります。給与所得以外に所得がないので292万円が総所得金額となります。

③次に課税所得を計算する(配偶者特別控除込み)
総所得金額は計算できたので(292万円)、次に課税所得を算出します。課税所得は、

292万円総所得金額 - 所得控除 = 課税所得
課税所得については、課税所得とは?を参照。

となります。所得控除を142万円(48万円基礎控除 + 63万円社会保険料控除 + 31万円配偶者特別控除)としたとき、課税所得は、

292万円給与所得142万円所得控除 = 150万円課税所得
課税所得については、課税所得とは?を参照。

となります。

④次に所得税を計算
課税所得がわかったので、次に所得税を計算します。所得税は

150万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得が195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

150万円課税所得 × 5% = 75,000円所得税
所得税の計算については、こちらを参照。

となります。

配偶者特別控除を適用しないと?
配偶者特別控除を申請しなければ、そのぶん課税所得が31万円増えるので、

(150万円 + 31万円)課税所得 × 5% = 90,500円所得税
※ちなみに上記の条件の場合、住民税は31,000円増えることになります。

となり、控除を申請したときと比べて税金の負担が重くなってしまいます。

以上のように、配偶者特別控除は夫婦にとってお得な制度なので、控除を受けるための申請を必ず忘れないようにしましょう。
※税金の計算は税金・社会保険料シミュレーションで計算できます。


年収1,195万円を超えると配偶者特別控除が使えない?
高収入のひとは配偶者特別控除が使えない

下記の表をみてわかるように、配偶者特別控除を利用する方の合計所得金額が900万円(給与収入のみで1,095万円)を超えると控除額が減少します。

そして、合計所得金額が1,000万円(給与収入のみで1,195万円)を超えると配偶者特別控除を利用することができなくなります。


つまり、たくさんお金を稼いでいる人は配偶者特別控除を利用することができません。


合計所得金額が1,000万円を超えるひとはあまりいないと思いますが、高収入の方は覚えておきましょう。

合計所得金額900万~1,000万円のときの控除額

合計所得金額が900万円を超えると下記のように控除額が減少します。さらに、合計所得金額が1,000万円を超えると配偶者特別控除を利用することができなくなります。
※参照:国税庁配偶者特別控除

たとえば妻が専業主婦だとしても、夫の合計所得金額が1,000万円を超えていれば、配偶者特別控除を利用することができません。

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配偶者の年収103万~201万の壁

配偶者の1年間の収入によって税金が安くなる効果が変わってきます。

以下の表に「配偶者の年収の壁(ボーダーライン)」をまとめたのでチェックしておきましょう。

配偶者の年収の壁まとめ

※上記は収入が給与収入だけの場合です。
上記の表の解説
たとえばパートをしている主婦が1年間に稼いだ金額が103万円を超えても、150万円以下なら夫の税金は通常どおり安くなります。しかし、それを超えて稼いでしまうと夫の税金が安くなる効果が徐々に無くなっていきます。
そして、給与収入のみで年収が約201万円を超えると控除の対象外となります。

※ただし、パート収入が150万を超えてもをするわけではありません。くわしくは下記の記事で説明しています。

妻が扶養から外れるといくらかかる?夫の税金はいくら増える?


配偶者特別控除の申請のやり方は?
配偶者特別控除を利用するには申請が必要

配偶者特別控除を受けると、税金が安くなるメリットを受けられます。夫婦にとって得する制度なので必ず受けましょう。
※どれくらい安くなるかは上記で説明しています。

ただし、配偶者特別控除を利用するためには年末調整にて控除の申請をしなければなりません(年末調整を行う方に限ります)。
※確定申告で申請する場合については下記で説明しています。

以下のページで年末調整の書き方と配偶者控除等の申請方法を説明しています。利用する方はぜひ参考にしてみてください。

年末調整で配偶者特別控除の申請をする場合
配偶者特別控除の申請については、配偶者控除等の申請(年末調整の記入例)を参照。
※今年に産休育休をとっている場合はこちらを参照。会社員の共働きでも配偶者控除が受けられる場合があります。

年末調整の書き方については年末調整の書き方見本・記入例を参照。

源泉控除対象配偶者については源泉控除対象配偶者とはを参照。

では次に、確定申告で申請する場合について下記で説明していきます。




確定申告で配偶者特別控除を申請する場合は?

確定申告で申請するときは申告書作成の際に「配偶者特別控除の項目」に記入すれば申請することができます。確定申告のやりかたは以下のページで説明しています。

今はネットでかんたんに確定申告書を作成することができます。作成した申告書を税務署に郵送すると申告完了となります。

※下記は確定申告で申請する場合の入力ページです。

下記の記事で会社員やアルバイトなどのパターン別に確定申告のやり方を載せています。


育休を取ったとき配偶者控除の対象になる?

夫婦共働きであり、2人とも勤務先の社会保険に加入して働いている会社員などの場合、配偶者(特別)控除を利用できない場合がほとんどです。
※配偶者の合計所得が133万円を超えると控除の対象外になるため。

しかし、配偶者(たとえば妻)が産休・育休で賃金をしばらくもらっていない場合、配偶者控除の対象になることがあります。

賃金をいくらまで受けていると控除の対象から外れてしまうのか等について下記の記事で説明しています。
※産休や育休を取ったときの年末調整の書き方も説明しています。


まとめ(パート主婦の手取りはいくらがいい?)

ここまで説明したように、配偶者特別控除は1年間の所得が133万円以下(給料だけなら年収約201万円)の配偶者がいる場合に税金を安くしてくれる制度です。


妻または夫がいれば無条件で税金が安くなるわけではないことを覚えておきましょう。
※配偶者特別控除はどちらか一方の配偶者が利用することができる制度であり、夫婦両方がお互いに利用することはできないことも覚えておきましょう。


また、配偶者のパート収入が150万円を超えると、税金が安くなる効果が弱くなっていくのがポイントです。
※くわしくは上記で説明しています。

パート主婦の手取りは?

扶養から外れてパートなどで稼ぐつもりの主婦の方は、1年間(1月~12月まで)に稼ぐ金額に注意しましょう。
130万円を少しだけ超えるような中途半端な年収だと手取りが減ってしまう場合があります。
※ちなみに、たくさん稼ぎたい方は150万円以上稼ぐことをおすすめします。

下記の記事で年収ごとの手取りがどれくらいになるかまとめているので、103万円や130万円を超えて稼ぐつもりの方はチェックしておきましょう。
扶養から外れる場合、いくら以上稼げばいいか等のポイントを説明しています。
パート主婦は年収いくらがお得なの?103~150万円の年収別まとめ