主婦で雑所得がある場合はいくらから扶養を外れる?

2024.12.04 更新
SNSやインスタなど、専業主婦さんもお金を稼ぐ手段が増えています。この記事では主婦で雑所得がある場合、いくらから配偶者の扶養を外れるのかについて説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶雑所得いくらから夫の税金が増えるの?
合計所得が95万円を超えると配偶者の税金が上がり始める。
※くわしくは下記で説明しています。


▶社会保険の扶養は雑所得いくらまでなら外れない?
配偶者の収入が130万円未満であれば社会保険の扶養でいられる。
※社会保険の扶養内でいたい方は注意。外れた場合の保険料も解説しています。くわしくは下記で説明しています。


▶雑所得がある主婦はいくらから確定申告しないとダメ?
雑所得が48万円を超えるなら確定申告が必要。ただし、給与所得者の場合は20万円以下なら申告しなくてもいい決まりになっている。
※くわしくは下記で説明しています。

※学生や無職などの場合は下記の記事で説明しています。
雑所得がある場合はいくらから扶養外れるの?学生や無職の方など


この記事の目次
動画でザッと内容を把握したいひと

主婦で雑所得があるときに気をつけるポイント

専業主婦(主夫)などのように、妻や夫に扶養されている方で「雑所得」がある場合に気になるのが社会保険の扶養配偶者控除(税金が安くなる制度)です。


雑所得がたくさんあれば、扶養されている主婦だとしても扶養から外れたり、保険料を自分で支払うことになります


妻や夫に扶養されている方は雑所得がいくらから扶養から外れるのかザッと把握しておきましょう。

扶養でいられる金額のボーダーラインが違う

「社会保険の扶養」と「税金が安くなる扶養(配偶者特別控除)」で金額のルールが違います。
それぞれ下記で説明していきます。

※ちなみに、社会保険の扶養は収入130万がボーダーライン。配偶者特別控除については合計所得95万~133万がボーダーラインです。


合計所得95万円を超えると配偶者の税金が増え始める?
雑所得が95万円を超えると配偶者の税金が増え始める

あなたが配偶者(たとえば夫)に扶養されている場合、あなたの合計所得金額1年間で95万円を超えると配偶者の税金が増え始めます。

夫の税金が増え始めるってなに?

あなたの合計所得が95万を超えると、配偶者特別控除の効果が弱くなっていくので、配偶者の税金が増えていきます。
※合計所得が133万を超えると配偶者特別控除の対象外になります。
※48万以下であれば配偶者控除が適用されます。


したがって、1年間(1月~12月まで)の所得が雑所得だけの場合、95万円以下にしておけば配偶者の税金は増えません
※合計所得95万を超えて夫の税金がいくら増えるかについては下記で解説。

※雑所得のほかにパート収入などがある場合については下記で説明しているのでチェックしておきましょう。

雑所得で合計所得金額95万円とは?

たとえばあなたが1年間(1月~12月まで)に稼いだ収入(雑所得になる収入)が95万円とすると、

95万円雑所得になる収入0円経費 = 95万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています(たとえば収入が95万円でも経費が10万円かかったなら雑所得は85万円になります)。
※給与収入や事業収入などの各種所得にあてはまらない収入は雑所得に分類されます。ただし、収入を得る活動を「事業」としている場合は事業所得となります。

となります。ほかに所得が無いとすると、あなたの合計所得金額は

95万円雑所得 = 95万円合計所得金額
※合計所得金額については合計所得金額とは?を参照。

となります。この場合、1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が95万円以下なので、あなたの配偶者の税金の負担は増えません。つまり、ほかに収入がなければ雑所得95万円までなら配偶者の税金の負担は増えないということです。
※夫に扶養されている妻の合計所得が95万円以下なら、夫の税金は増えません。

しかし、雑所得のほかにもパート収入もある場合も多いでしょう。では、給料ももらっている場合について下記で説明していきます。




雑所得のほかにパート収入がある場合は?
それぞれの所得を合計すればOK

たとえば、あなたがパートも掛け持ちしており、1年間(1月~12月まで)の給料が90万円、雑収入が65万円のとき、あなたの配偶者の税金はどうなるのか見ていきましょう。

まず、給与所得は、

90万円給与収入55万円給与所得控除 = 35万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
給与所得シミュレーションで給与所得の計算ができます。

となります。

つづいて、雑所得は、

65万円雑所得になる収入0円経費 = 65万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
※給与収入や事業収入などの各種所得にあてはまらない収入は雑所得に分類されます。

となります。

したがって、あなたの合計所得金額は、

35万円給与所得 + 65万円雑所得 = 100万円合計所得金額
※合計所得金額については合計所得金額とは?を参照。

となります。この場合、1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が95万円を超えてしまっているので、あなたの配偶者の税金の負担は少しだけ増えてしまいます。
※夫に扶養されている妻の合計所得が95万円以下なら、夫の税金は増えません。
※合計所得金額100万円だと、配偶者の税金は年間約1,000円~4,000円増えます。くわしくは次の項目で説明しています。

では次に、配偶者の税金がどれくらい増えるのかについて下記で説明していきます。
※夫の年収を250万~900万として、妻の合計所得が増えると夫の税金がどれくらい増えるかシミュレーションして一覧表にまとめています。

夫の税金への影響は?いくら増える?

1年間の合計所得が95万円を超えると、配偶者(たとえば夫)の税金の負担が徐々に増えていきます。


夫の年収にもよりますが、夫の税金の負担は年間約0.1~11万円増す場合が多いでしょう。
※夫の年収を250万円~900万円とした場合。
※ただし、夫の税金が増えるよりも妻の手取りが増えるほうが多いので損することはありません。


以下に年収別に税金額のシミュレーションをしているのでどれくらい高くなるのかチェックしてみてください。

配偶者の負担額のシミュレーション(少しずつ税金の負担が増える)

たとえば、年収250万円~900万円の40歳以下社会保険加入の夫が配偶者特別控除を利用していた場合。妻の合計所得が増えるごとに徐々に税金の負担が増えていきます。
 

妻の合計所得金額 夫の年収250~400万円のとき 夫の年収500~600万円のとき 夫の年収700~900万円のとき
95万円以下 税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
100万円以下 税金は約1,000円高くなります。
所得税1,000円
住民税0円
税金は約2,000円高くなります。
所得税2,000円
住民税0円
税金は約4,000円高くなります。
所得税4,000円
住民税0円
105万円以下 税金は約6,000円高くなります。
所得税3,500円
住民税2,000円
税金は約9,000円高くなります。
所得税7,000円
住民税2,000円
税金は約16,000円高くなります。
所得税14,000円
住民税2,000円
110万円以下 税金は約13,000円高くなります。
所得税6,000円
住民税7,000円
税金は約19,000円高くなります。
所得税12,000円
住民税7,000円
税金は約31,000円高くなります。
所得税24,000円
住民税7,000円
115万円以下 税金は約21,000円高くなります。
所得税8,500円
住民税12,000円
税金は約29,000円高くなります。
所得税17,000円
住民税12,000円
税金は約46,000円高くなります。
所得税34,000円
住民税12,000円
120万円以下 税金は約28,000円高くなります。
所得税11,000円
住民税17,000円
税金は約39,000円高くなります。
所得税22,000円
住民税17,000円
税金は約61,000円高くなります。
所得税44,000円
住民税17,000円
125万円以下 税金は約36,000円高くなります。
所得税13,500円
住民税22,000円
税金は約49,000円高くなります。
所得税27,000円
住民税22,000円
税金は約76,000円高くなります。
所得税54,000円
住民税22,000円
130万円以下 税金は約43,000円高くなります。
所得税16,000円
住民税27,000円
税金は約59,000円高くなります。
所得税32,000円
住民税27,000円
税金は約81,000円高くなります。
所得税64,000円
住民税27,000円
133万円以下 税金は約48,000円高くなります。
所得税17,500円
住民税30,000円
税金は約65,000円高くなります。
所得税35,000円
住民税30,000円
税金は約100,000円高くなります。
所得税70,000円
住民税30,000円
133万円超え 税金は約52,000円高くなります。
所得税19,000円
住民税33,000円
税金は約71,000円高くなります。
所得税38,000円
住民税33,000円
税金は約109,000円高くなります。
所得税76,000円
住民税33,000円

※上記は1年間の金額。
※合計所得の計算は上記で解説(パート収入もある場合はこちら)。

※妻の合計所得が133万円を超えると控除の対象外となります。夫の合計所得金額が1,000万円を超えていれば、配偶者特別控除を利用することができません。くわしくはこちらの記事で説明しています。

税金増えても損はしないの?

たとえばあなたが1年間に95万超え~100万以下の雑所得があるとすると、夫の税金は年間約1,000円~4,000円増えることになります。
ですが、夫の税金の増加よりも妻の手取りが増える金額のほうが上回るので損することはありません(世帯の手取りは増えます)。

※95万から数百円超えたくらいだと数百円~数千円損してしまいます。
※16歳未満の子供を扶養している場合、年収が多くなければ住民税が0円(非課税)になるので、所得が100万くらいの方は下記の記事をチェックしておきましょう。
16歳未満の子供を扶養すると住民税が0円になる?共働きの場合

※夫が会社独自の福利厚生扶養手当や家族手当)などをもらっている場合、妻の年収によっては手当が支給されなくなることがあるので確認しておきましょう。
※手当が支給される会社の場合、年間約12万円(月額1万円)くらいもらえます。妻の年収が増えると手当がもらえなくなるので、夫の手取りが減って損してしまう場合があります。

では次に、雑所得があるときに社会保険の扶養がどうなるかについて下記で説明していきます。
※1年間の収入が130万以上になるなら社会保険の扶養から外れてしまいます。くわしくは下記で説明していきます。

社会保険の扶養はいくらまで外れない?130万円?

社会保険の扶養から外れると、自分で国民健康保険および国民年金に加入して保険料を支払うことになります。
※保険料は安い金額ではないので、自分で支払うことになる場合は覚悟しましょう。


あなたが配偶者に扶養されており、あなたの収入が1年間で130万円以上になると社会保険の扶養から外れてしまいます。下記で保険料のシミュレーションをしています。

※1年間の収入の合計見込みが130万円以上(60歳以上は180万円)。
※見込みについては130万円になる見込みなら扶養から外れる?を参照。
※社会保険の扶養に入っている場合に限ります。
※加入している保険組合によっては雑所得を含まない場合があります。また、その収入が定期的・継続的なものではなく、一時的な収入(たとえば仮想通貨で一度売却して得た所得など)である場合、収入に含めない場合があります。くわしくは加入している健康保険組合を確認することをオススメします。

配偶者の社会保険の扶養から外れたとき、自分で支払う保険料はいくら?

▼雑所得が130万円のとき
たとえば雑所得が去年1年間(1月~12月まで)で130万円でそれ以外に収入がない場合、国民健康保険料は年間で約16.6万円になります。
※雑所得になる収入が130万で経費が0円なら雑所得は130万になります。
また、あなたが20歳以上なら国民年金の保険料も支払うことになります。国民年金の保険料は年間約20.4万円です(配偶者の所得が少なければ半額免除が受けられる場合があります。半額免除なら約10万円に減額されます)。
したがって、国保と国民年金を合わせると合計約37万円/年かかります。

※経費は0円としています。
※国民健康保険については国民健康保険とは?を参照。
※保険料は国民健康保険料シミュレーションで計算。
※東京都世田谷区、年齢39歳以下、加入者1人としてシミュレーションしています。

※もともと国民健康保険に加入している場合は、130万円に関係なく、稼いで所得が増えれば上記のように国民健康保険料が増額します。


▼パート先の社会保険に加入する場合
たとえば1年間(1月~12月まで)の雑所得が50万、パート収入が130万でパート先の社会保険に加入した場合、あなた自身が支払う社会保険料は約19万円になります。
※社会保険料は「健康保険と厚生年金」の合計金額です。社会保険料は勤務先の月収(標準報酬月額)によって決まるので、雑所得があっても保険料は増えません。
※保険料は税金保険料シミュレーションで計算。
※年齢40歳未満、社会保険加入としてシミュレーションしています。

※パート先の社会保険に加入する場合、夫の扶養から外れたらいくらまで稼げばいいのかについては下記の記事で説明しています。
パート主婦は年収いくらがお得なの?103~150万円の年収別まとめ

※夫が会社独自の福利厚生扶養手当や家族手当)などをもらっている場合、妻の年収によっては手当が支給されなくなることがあるので確認しておきましょう。
※手当が支給される会社の場合、年間約12万円(月額1万円)くらいもらえます。妻の年収が増えると手当がもらえなくなるので、夫の手取りが減って損してしまう場合があります。

では次に、雑所得があるときに確定申告は必要になるのかについて下記で説明していきます。雑所得がある方はチェックしておきましょう。

確定申告をする必要ある?

あなたに雑所得があるときは確定申告をして所得の申告をする必要があります。
※ただし、合計所得が48万円以下なら申告しても所得税は0円になります。


ですが、あなたがパートやアルバイトをしている場合、雑所得が1年間で20万円以下なら確定申告をしなくてもいい決まりになっています。

くわしくは下記で説明しています。

所得が雑所得だけの場合

雑所得が1年間(1月~12月まで)で48万円以下なら所得税が0円となります。
基礎控除によって所得税が0円になる。

雑所得が48万円を超えた場合には確定申告をしなくてはいけません。

※出典:国税庁確定申告が必要な方
※ただし、無職の方は所得が0円でも確定申告をすることをオススメします。本人の所得が0円であることを役所で確認できれば保険料などが減額されるので、確定申告をして自分の所得を申告しておきましょう。確定申告のやり方は下記で説明しています。
※確定申告をしない場合、48万円以下でも住民税の申告が必要になります(確定申告をする場合は住民税の申告をする必要はありません)。

雑所得が20万以下なら確定申告は不要?

あなたがパートやアルバイトなどで給料をもらっている場合、雑所得があれば税金が加算されますが、雑所得が1年間(1月~12月まで)で20万円以下ならば確定申告をしなくてもいい決まりになっています。
※給与所得と雑所得のほかに所得が無い場合。
※確定申告をする場合は、20万円以下だとしても雑所得の申告をしなければいけません。
※出典:国税庁確定申告を要しない場合の意義
※経費は0円としています。雑所得の計算式などは雑所得とは?を参照。


確定申告をしない場合住民税の申告が必要になります。確定申告をした場合は住民税の申告は必要ありません。確定申告はネットで簡単に作成できるのでオススメです。申告しなくてバレないか不安になるよりも、サッと申告を終わらせてしましょう。確定申告のやり方は下記で説明しています。
※出典:国税庁給与所得者で確定申告が必要な人

では次に、雑所得があるときの確定申告のやりかたについて下記で説明していきます。

確定申告のやり方は?

今はネットでかんたんに確定申告書が作成できます。作成した申告書を税務署に郵送することで確定申告が完了します。

確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日までに申告をしましょう。
※期限に遅れても申告できますが、税金が加算されるなどの罰則が与えられる場合があるのでなるべく期間内に申告することを心がけましょう。

雑所得がある場合の確定申告のやりかた

▶確定申告のながれ
STEP➊マイナンバーカードなど必要なものを用意する
※給与収入がある人は源泉徴収票も準備する。
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送する(税金を支払うまたは払い戻される)

くわしい手順は下記の記事で説明しています。
雑所得があるときの確定申告のやり方・手順

申告書が作成できるか不安な方は、まずはテキトーに金額を入力して確定申告書をためしに作成してみてもいいかもしれません。
※税務署に郵送する申告書に正しい金額を入力すれば問題ないので、ためしに申告書を何枚も作ってみましょう。

では次に、扶養から外れるのはいつなのかについて下記で説明していきます。2つの扶養をわけて説明しています。

配偶者の扶養から外れるのはいつ?また戻れる?

税金が安くなる扶養(配偶者特別控除)については、その年の12月31日時点での状況で判断されます。

社会保険の扶養は「条件から外れると判断されたとき」に扶養から外れます。
※それぞれ扶養から外れるタイミングが違うのでごちゃごちゃにしないようにしましょう。

配偶者特別控除について

たとえば、2023年(1月~12月まで)の雑所得が133万円を超えてしまって、2023年は配偶者特別控除の対象から外れたとします。
※所得が雑所得のみである場合。
しかし、2024年(1月~12月まで)の雑所得が少なければ、2024年は配偶者特別控除の対象になることができます。
※合計所得が48万以下であれば「配偶者控除」の対象になります。

以上のように、配偶者(特別)控除については、その年の12月31日時点での状況で判断されます。また、一度扶養から外れたとしても、翌年に条件を満たせばふたたび扶養の対象になることになります。

※配偶者特別控除の対象から外れるときは、配偶者が年末調整や確定申告をするときに申請手続きすることになります(今まで申請していた「配偶者特別控除」を適用せずに提出するだけです。申請後に税金が精算されます)。
※出典:国税庁配偶者特別控除

社会保険の扶養については?
今後1年間の収入の見込みで決まる

社会保険の扶養については「扶養に入ろうとする時点以降の年間の見込み収入額」で判定されます。
したがって、社会保険の扶養から外れても、今後1年間で年収130万円未満であると見込める場合は、ふたたび社会保険の扶養に入る条件を満たすので、扶養に戻ることができます(加入している保険組合が判定することになります)。

※条件を満たしている場合。くわしくは下記の記事を参照。
130万円になる見込みなら扶養から外れる?

ここまで説明したように、配偶者に扶養されている方に雑所得があるときは税金や扶養に注意しましょう。
雑所得10~1,000万円で税金はいくら?【収入別シミュレーション】