雑所得とは?計算方法などわかりやすく解説。年金や広告収入も?

2023.05.09 更新

仮想通貨や老後の年金などの収入は雑所得に分類され、一定以上稼げば税金がかかります。この記事では雑所得やその計算方法について簡単に説明していきます。
この記事の目次
この記事のポイント(要点まとめ)


雑所得にはどんな収入があてはまるの?
雑所得には老後の年金や副業収入などがあてはまる。
※くわしくは下記で説明しています。


雑所得があっても税金がかからないときは?
雑所得があっても合計所得が45万以下なら税金は0円になる(市区町村によっては42万などの場合があります)。
※くわしくは下記で説明しています。


給与所得のほかに副業で雑所得があると税金は増える?
会社員やアルバイトをしている方で給与のほかに雑所得がある場合、それぞれの所得を合算して計算するので、税金が上乗せされる。
※くわしい計算方法は下記で説明しています。
※上乗せされる税金については下記で説明しています。


雑所得ってなに?給料と違う?
雑所得と給与所得の違い

雑所得とは、ほかの9種類の所得(給与所得や事業所得など)にあてはまらない所得のことをいいます。
※参照:国税庁雑所得


たとえば主婦やサラリーマンなどが副業をして稼いだ収入は雑所得に含まれます。
※副業収入から必要経費を引いた金額が雑所得になります。

給与所得と雑所得を一緒にしないように

雑所得に給料などの賃金は含まれません。雑所得と給与所得をごちゃごちゃにしないように気をつけましょう。給与所得とは、会社員やアルバイトなどが勤務先から支給される「給料やボーナスなど」についての所得のことをいいます。
※給料(給与収入)から給与所得控除を差し引いた金額が給与所得になります。

10種類の所得(雑所得はどれ?)
10種類の中のひとつが雑所得

所得は以下のように10種類に分けられています。雑所得は9種類の所得のどれにもあてはまらない所得です。雑所得がほかの所得とどう違うか知りたい方はチェックしておきましょう。

所得の種類 内容
利子所得 国債、預貯金などの利子所得
配当所得 株式、出資の配当などの所得
不動産所得 土地、建物などの不動産を貸している場合の所得
事業所得 商工業、農業など事業をしている場合の所得
給与所得 給料、賃金、賞与などの所得
退職所得 退職手当、一時恩給などの所得
山林所得 山林の立木などを売った場合の所得
譲渡所得 土地、建物、絵画、ゴルフ会員権などを売った場合の所得
一時所得 クイズの賞金、競馬の払戻金、生命保険契約の一時金などの一時的な所得
雑所得 上記9つの所得に当てはまらない所得
※老後の年金や仮想通貨、副業などの収入は雑所得になります。くわしくは下記を参照。
※ただし、その収入が事業による収入なら事業所得として申告することが出来ます。


どんな内容の収入が雑所得にあてはまる?

ほかの9種類の所得に分類されない収入から経費等を引いた金額が雑所得にあてはまります。
※ほかの9種類の所得については上記を参照。

雑所得に分類される収入の一例は下記のとおりです。

雑所得には以下のような収入があてはまります。
※くわしい計算式は下記で説明しています。

公的年金等の収入 老後にもらう年金
(公的年金等)

※公的年金控除が適用されない個人年金などは除く。
副業収入
※業務に係る雑所得
UberEats(ウーバーイーツ)
YouTubeの広告収入
アフィリエイト収入
ブログの広告収入(アドセンス等)
イラスト収入
ハンドメイド収入
DIY作品の販売収入
シルバー人材センターの配分金
など

※参照:国税庁確定申告の手引き
上記以外の収入 私的年金
※公的年金控除が適用されない個人年金など。
仮想通貨の利益
※事業である場合を除く。
など

※ただし、上記が事業として認められる場合は事業所得になります。
※雑所得の計算方法は下記で説明していきます。


雑所得の計算はどうやる?

ほかの9種類の所得に分類されない収入から経費を引いた金額が雑所得になります。
※ほかの9種類の所得については所得の種類を参照。

たとえば、あなたに副業収入がある場合、その収入から経費を引いた金額が雑所得になります。
年金収入がある場合は、年金収入から公的年金等控除を差し引いた金額が雑所得に加わります。

雑所得の計算式は以下のとおり

雑所得の計算式
雑所得の計算式

※雑所得になる収入については上記で説明しています。
公的年金等控除とは年金所得者のための控除。
公的年金等とは国民年金や厚生年金などのことをいいます(iDeCo等も含みます)。
※厳密には下記の(1)~(3)の合計額が雑所得になります。
(1)公的年金等-公的年金等控除、(2)業務に係るもの-必要経費、(3)1,2以外の金額-必要経費
※業務に係るものとは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの。

※参照:国税庁雑所得

必要経費とは?
必要経費とは、収入を得るために必要な費用のこと。つまり、雑所得を稼ぐために使ったお金のことです。たとえば、ウーバーイーツで稼ぐために配達用のバッグを購入したとき、バッグの費用は経費になります。
※雑所得で生じた損失は他の所得の金額と損益通算はできません。

(例)雑所得の計算はどうやる?

たとえば仮想通貨による利益が200万円であり、雑所得についての収入(雑収入)がそれ以外に無い場合。

上記の条件のとき、雑所得は

200万円年金以外の収入0円必要経費 = 200万円雑所得
※計算をわかりやすくするため必要経費は0円とします。

となります。
※税金の計算方法は下記で説明しています。

年金収入がある場合は、年金収入から公的年金等控除を差し引いた金額が雑所得に加わります。年金についての雑所得の計算は公的年金等控除とは?で説明しています。


雑所得があっても少なければ税金が0円?
合計所得が45万円以下なら所得税も住民税も0円

雑多な収入(雑所得)があれば税金がかかります。雑所得だからといって税金がかからないわけではありません。

ただし、下記のように所得が少なければ税金は0円になります。

所得が少なければ税金は0円?

▶所得税の場合
雑所得を含む合計所得が1年間で48万円以下なら所得税は0円になります。
※基礎控除で課税所得が0円になるため。くわしくは下記の記事を参照。
なぜ所得が48万円以下だと所得税は0円になる?



▶住民税の場合
雑所得を含む合計所得が1年間で45万円以下なら住民税は0円になります。
※住んでいる地域によっては住民税が42万円または38万円以下でもかかる場合があります。くわしくは下記の記事を参照。
住民税がかからない?住民税が0円になるとき

雑所得にかかる税金や手取りはどれくらい?

1年間の雑所得がたくさんある場合、年収ごとに税額や手取りがどれくらいになるかザッと把握しておくことをおすすめします。たくさん稼いだときに、まとまったお金を準備しておかないと税金や保険料が支払えなくなるので注意しましょう。
※雑所得の税率については雑所得の税率を参照

ちなみに、雑所得が100万円のときの手取りは約65万円です。

※雑所得200万のとき税金が約17.6万、手取り約142万。
※雑所得300万のとき税金が約31.6万、手取り約220万。
※雑所得400万のとき税金が約50万、手取り約291万。

くわしくは下記の記事を参照。
雑所得10~1,000万円で税金はいくら?【収入別シミュレーション】


雑所得でも扶養から外れることはある?

親や配偶者などに扶養されている場合、雑所得がたくさんあれば扶養の対象から外れてしまいます。

たとえば親に扶養されている方は、雑所得が48万円を超えると扶養親族の対象から外れます。そうなれば親の税金が約5万円~17万円上がってしまいます。

また、さらに収入が130万円以上になれば社会保険の扶養からも外れる場合があります。


くわしくは下記の記事で説明しているので、専業主婦の方や親に扶養されている方はチェックしておきましょう。


副業している場合の雑所得と所得税をシミュレーション

会社員(サラリーマンなど)が副業で利益があったとき、税金がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。条件は以下のとおりです。


この条件で所得税はいくらになる?
たとえば給与収入が400万円、副業で得た利益(仮想通貨)が500万円のとき。
※雑所得を含めた税金シミュレーションはこちらの記事で行えます。


①まず給与所得の計算
まず、給与所得を算出します。

もらった給料給与収入 – 給与所得控除 = 給与所得

なので、給与所得は、

400万円給与収入124万円給与所得控除 = 276万円給与所得
給与所得控除については、こちらを参照。

となります。

②雑所得の計算
次に、雑所得を算出します。ここでは年金収入は無しとしているので、

年金以外の収入 – 必要経費 = 雑所得
※年金収入がある方は年金収入も雑所得となります。

となります。したがって、雑所得は、

500万円仮想通貨で得た利益0円必要経費 = 500万円雑所得
計算をわかりやすくするため必要経費は0円とします。

となります。

③2つの所得を合計
次にここまでの所得を合計します。総所得金額は、

276万円給与所得 + 500万円雑所得 = 776万円総所得金額

雑所得は総合課税のため、他の所得と合算されて総所得金額となります。
総所得金額とは:各所得の合計(一部所得は除く)。

となります。

④課税所得を算出
総所得金額がわかったので(776万円)、次に課税所得を算出します。

総所得金額 – 所得控除 = 課税所得
所得控除については、所得控除とは?を参照。

なので、所得控除を106万円とすると、

776万円総所得金額106万円所得控除 = 670万円課税所得
※上記は大まかな金額です。
※所得控除については所得控除とは?を参照。

となります。

⑤所得税を算出
課税所得がわかったので、次に所得税を計算します。所得税は

670万円課税所得 × 税率 = 所得税
所得税については、所得税とは?を参照。

となります。課税所得695万円以下は税率が20%(控除額427,500円)なので、所得税は、

670万円 × 20% – 427,500円 = 912,500円所得税
※控除額427,500円は所得税率にともなって引かれる金額です。
※所得税率については所得税の税率を参照。

となります。

⑥住民税を算出
さらに、ここに住民税が加算されます。住民税は、

課税所得 × 10%住民税率 + 均等割 = 約67万円住民税
住民税については、住民税とは?を参照。

となります。
※厳密には住民税は前年の所得について計算されるので、その年に得た所得については翌年の住民税に反映されます。
※また、住民税では所得控除額が少なくなるため課税所得金額が若干変わります。


⑦最後に税金を合計
所得税と住民税がわかったので、税金を合計すると以下のようになります。

912,500円所得税 + 約67万円住民税 = 約158万円税金
※上記は大まかな金額です。
※雑所得を含めた税金シミュレーションはこちらの記事で行えます。

したがって、1年間の給料が400万円のサラリーマンが副業で500万円稼いだときにかかる税金は約158万円となります。

副業したらどれくらい税金が増えるの?

副業で雑所得があれば「給与所得と合算」して計算するので、税金が上乗せされます。YouTubeやウーバーイーツなどで50万円や100万円を稼いでいる場合でも税金が上乗せされます。
※ちなみに、副業で雑所得が20万以上あるときは税金が約3万~6万円くらい上乗せされることが多いです。


税金がいくら上乗せされるのかくわしくは下記の記事で説明しているので、気になる方はチェックしておきましょう。
※勤務先の社会保険料については給料の多さで決定するため、保険料が増額することはないので安心してください。

副業すると税金はいくら増える?年収別シミュレーション

以上、会社員やアルバイトなどの方で副業をしている方は雑所得の計算方法を把握しておきましょう。副業で稼いだウーバーイーツや仮想通貨などの収入は雑所得になるので他の所得と一緒くたにしないように気をつけましょう。