所得は収入の内容(ギャンブルや給料など)によって10種類に分けられており、ほかの9種にあてはまらないものを雑所得といいます。
たとえば主婦やサラリーマンなどが副業をして稼いだ「雑多な収入(雑収入)」は雑所得に含まれます。
※雑収入から必要経費を引いた金額が雑所得になります。
※雑多な収入(雑収入)とは、ブログの広告収入(アドセンスなど)やUberEats、YouTubeやアフィリエイト、仮想通貨などの収入のことをいいます。
雑所得に給料などの賃金は含まれません。雑所得と給与所得をごちゃごちゃにしないように気をつけましょう。給与所得※とは、会社員やアルバイトなどが勤務先から支給される「給料やボーナスなど」についての所得のことをいいます。
※給料(給与収入)から給与所得控除を差し引いた金額が給与所得になります。
では次に、雑所得(ブログ収入やウーバーの収入など)はどうやって計算するのかについて下記で説明していくのでチェックしておきましょう。
雑所得は以下のように計算されます。
下記の計算式の「年金以外の収入」には、UberEatsやアフィリエイト、広告収入や仮想通貨などの雑多な収入(雑収入)があてはまります。
※「雑収入ってなに?」という方は、雑所得と雑収入の違いを把握しておきましょう。
簡単に説明すると、雑収入から経費を引いた金額が雑所得になります。
※年金収入がある場合は、年金収入から公的年金控除を差し引いた金額が雑所得に加わります。
公的年金控除についてはこちらを参照。
※年金収入とは公的年金による収入(国民年金や厚生年金など)のことをいいます。私的年金は含まれません(国民年金基金などは除く)。
※参照:国税庁雑所得
となります。
年金収入がある場合は、年金収入から公的年金控除を差し引いた金額が雑所得に加わります。年金についての雑所得の計算は公的年金控除?で説明しています。
では次に、雑所得を得ている場合の税金をシミュレーションしてみましょう。下記で具体的に金額をあてはめてシミュレーションしていきます。
会社員(サラリーマンなど)が副業で利益があったとき、税金がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。条件は以下のとおりです。
この条件で所得税はいくらになる?
たとえば給与収入が400万円、副業で得た利益(仮想通貨)が500万円のとき。
※雑所得を含めた税金シミュレーションはこちらの記事で行えます。
①まず給与所得の計算
まず、給与所得を算出します。
なので、給与所得は、
となります。
②雑所得の計算
次に、雑所得を算出します。ここでは年金収入は無しとしているので、
となります。したがって、雑所得は、
となります。
③2つの所得を合計
次にここまでの所得を合計します。総所得金額は、
となります。
④課税所得を算出
総所得金額がわかったので(776万円)、次に課税所得を算出します。
なので、所得控除を106万円とすると、
となります。
⑤所得税を算出
課税所得がわかったので、次に所得税を計算します。所得税は
となります。課税所得695万円以下は税率が20%(控除額427,500円)なので、所得税は、
となります。
⑥住民税を算出
さらに、ここに住民税が加算されます。住民税は、
となります。
※厳密には住民税は前年の所得について計算されるので、その年に得た所得については翌年の住民税に反映されます。
※また、住民税では所得控除額が少なくなるため課税所得金額が若干変わります。
⑦最後に税金を合計
所得税と住民税がわかったので、税金を合計すると以下のようになります。
したがって、1年間の給料が400万円のサラリーマンが副業で500万円稼いだときにかかる税金は約158万円となります。
ただし、1年間(1月~12月まで)の雑所得が20万円以下なら確定申告をしなくてもいい決まりになっています。くわしくは上記の記事をチェックしておきましょう。
では次に、雑所得があるとき確定申告が必要になるのかについて下記で説明していきます。ウーバーイーツやYouTubeなどで稼いでいる方はチェックしておきましょう。
雑所得がある方は基本的に確定申告をして所得の申告をすることになります。
また、会社員やアルバイトのように給料をもらっているひとの場合、雑所得が1年間(1月~12月まで)で20万円を超えるひと※は確定申告を行う必要があります。
※給料以外に副業などで雑所得が1年間で20万円を超える方(雑所得以外の所得が無い場合)。1年間で合計20万円以下ならば確定申告を行う必要はありません。
※参照:国税庁確定申告が必要な方
つまり、副業による利益が1年間(1月~12月まで)で20万円を超えたら確定申告が必要になります。
※20万円以下でも住民税の申告が必要になる場合があります。
ほかにも以下のような場合にあてはまる人は確定申告が必要になります。
個人事業主 | ●個人事業主の方は基本的に確定申告が必要になります。 個人事業主は青色申告または白色申告をすることになります。 |
---|---|
サラリーマンやアルバイト | ●給料のほかに副業などで雑所得を得ており、雑所得が1年間で20万円を超える方 確定申告については確定申告とは?を参照。 副業の税金ついては副業はいくらから税金がかかる?いくらまで0円?を参照。 |
収入が雑所得だけの方 | ●1年間の収入が48万円を超えたとき確定申告が必要になります。 以下のページもみられています YouTubeの収益はいくらから税金かかる? ビットコインなどの税金はいくらからかかる? |
年金をもらっている方 | ●年金以外の所得金額(給与所得、年金以外の雑所得など)の合計が1年間(1月~12月まで)で20万円を超える場合 ※くわしくは公的年金控除とは?年金にも税金がかかる?を参照。 |
では次に、雑所得があるときの確定申告のやり方について下記で説明していきます。ネットで簡単に作成することができます。
今はネットでかんたんに確定申告書が作成できます。
確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日までに申告をしましょう。
※遅れても申告はできますが延滞金が発生する場合があります。
申告書を提出して、指定された金額を納税すれば確定申告は完了です。
確定申告のながれ
STEP➊身分証明書など必要なものを用意する
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送する(税金を支払う)
では次に、雑所得の税率について下記で説明していきます。「雑所得だから税率が50%かかる」と勘違いしている人はチェックしておきましょう。
「雑所得だから税率が50%」になるわけではありません。
ビットコインなどの仮想通貨などで稼いだ金額(雑所得)が少なければ税率は5%になるし、5,000万円のような大金を稼げば最高税率45%になります。
※雑所得のほかに所得がなければ「雑所得 – 所得控除」に税率をかけることで所得税が計算されます。そして「雑所得 – 所得控除」の多さによって税率が5%~45%になります。
下記の表に雑所得ごとの税率をまとめました。見てわかるように、数百万円くらいなら税率はそれほど高くありません。
収入がUberEatsや広告収入・ビットコインなどの仮想通貨などの雑収入だけの場合、雑所得ごとの所得税の税率(5%~45%)をシミュレーションしました。
※わかりやすいように、経費は0円としています。
※雑収入 – 経費 = 雑所得。
雑所得がたくさんある人は以下の税率表をチェックしておきましょう。
雑所得 | 所得税の税率 | あなたにかかる所得税 |
---|---|---|
200万円 | 5% | 5.6万円 |
300万円 | 10% | 10.4万円 |
500万円 | 20% | 34万円 |
900万円 | 23% | 109万円 |
1,100万円 | 33% | 160万円 |
2,000万円 | 40% | 460万円 |
4,200万円 | 45% | 1,360万円 |
※所得が雑所得だけの場合。
※税率のシミュレーションはこちらのページで行いました。
注意ポイント
所得税の税率は「所得から所得控除を引いた金額」にかけられます。
※雑所得のほかに所得がなければ「雑所得 – 所得控除」に税率をかけることで所得税が計算されます。そして「雑所得 – 所得控除」の多さによって税率が5%~45%になります。
また、所得税率ごとに設定されている金額が差し引かれます。したがって、利益のすべてに税率がかけられるわけではないので所得税は上記表のような金額になります。
※くわしくは所得税率とは?を参照。
所得は以下のように10種類に分けられています。雑所得は9種類の所得のどれにもあてはまらない所得です。
雑所得がほかの所得とどう違うか知りたい方はチェックしておきましょう。
たとえば会社員やパート主婦の方などが副業をして稼いだ「雑多な収入」が雑所得に含まれます。
※雑多な収入とは、ブログの広告収入(アドセンスなど)やUberEats、YouTubeやアフィリエイト、仮想通貨など。
所得の種類 | 内容 |
---|---|
利子所得 | 国債、預貯金などの利子所得 |
配当所得 | 株式、出資の配当などの所得 |
不動産所得 | 土地、建物などの不動産を貸している場合の所得 |
事業所得 | 商工業、農業など事業をしている場合の所得 |
給与所得 | 給料、賃金、賞与などの所得 |
退職所得 | 退職手当、一時恩給などの所得 |
山林所得 | 山林の立木などを売った場合の所得 |
譲渡所得 | 土地、建物、絵画、ゴルフ会員権などを売った場合の所得 |
一時所得 | クイズの賞金、競馬の払戻金、生命保険契約の一時金などの一時的な所得 |
雑所得 | 上記9つの所得に当てはまらない所得 ※ブログの広告収入(アドセンスなど)やUberEats、YouTubeやアフィリエイト、仮想通貨などの収入は雑所得に分類されます。 ※雑収入から必要経費を引いた金額が雑所得になります。くわしくは上記の計算式を参照。 |
アフィリエイトやYouTubeなどの広告収入は雑所得に分類されますが、その収入が副業ではなく事業による収入ならばアフィリエイトなどの収入でも事業所得として申告することが出来ます。
事業所得なら青色申告控除が利用できるので、雑所得と比べて税金の負担を軽くすることが出来ます。
くわしくは下記の記事で説明しています。
YouTube等の広告収入による税金はいくら?雑所得と事業所得の比較
ここまで説明したように、雑多な収入が雑所得に含まれます。他の所得と一緒くたにしないように気をつけましょう。
※雑多な収入とは、ブログやYouTubeの広告収入・ウーバーイーツや仮想通貨などの収入。
雑所得があれば基本的に確定申告が必要になります。
※ただし、会社員やアルバイトなどは雑所得が20万円以下なら確定申告をしなくてもいい決まりになっています。
以下はここまでのまとめです。
会社員やアルバイトなどの方で副業をしている方は、雑収入と雑所得の違いを把握しておきましょう。また、副業で利益があれば税金が上乗せされることも覚えておきましょう。