退職所得についてわかりやすく説明。退職金にも税金がかかる?

2021.07.16 更新
会社をやめたときに受け取った退職金(退職所得)にも税金がかかる場合とかからない場合があるのを知っていますか?この記事では退職所得がどんな所得なのかについてわかりやすく説明していきます。
この記事の目次
退職所得とは?退職金との違いは?税金はかかる?

退職したときにもらう退職金から控除などを差し引いたあとに残った金額(税金がかけられる部分)が退職所得となります。

退職所得にかかる税金については、退職者に支払われる際に源泉徴収されるようになっています。
※退職金についても源泉徴収票が交付されるようになっています。

ただし、退職金に対して税金の割合があまり多くならないような仕組みになっているので安心してください。

この記事の要点

  • 退職金から退職所得控除を引いて半分にした金額が退職所得になる

  • 退職金にたいして税金はそれほど多くならないようになっている

  • 退職金の多さによっては税金が0円になるときもある

  • 年金でもらうときは注意
退職所得の税金はどれくらい?シミュレーション

退職所得の計算式は以下のようになっています。退職所得控除を差し引いた金額の半分が退職所得になります。

退職所得控除は勤続年数によって税金の負担を軽くしてくれるものです。

そして、退職所得に税率をかけることで所得税や住民税が計算されます。それでは退職所得を以下でシミュレーションしてみましょう。

退職所得とは

退職所得控除について
●勤続年数20年以下
退職所得控除 = 40万円 × 勤続年数

●勤続年数20年超え
退職所得控除 = 70万円 × 勤続年数 - 600万円
※1年未満の端数は1年に切り上げ。80万円未満の場合は控除額は80万円になります。
※障害者となったことが原因で退職した場合、退職所得控除額が100万円加算されます。

退職金2,000万円の税金はどれくらい?シミュレーション

たとえば、勤続年数30年のサラリーマンが退職金2,000万円をもらったとき。

まず退職所得を計算
まず、退職所得を以下のように計算します。

2000万円退職金 – 退職所得控除 = 退職所得

勤続年数が30年なので、退職所得控除は1,500万円になります。したがって退職所得は、

2,000万円退職金1,500万円退職所得控除)× 1/2 = 250万円退職所得
退職所得控除については上記の計算方法を参照。

となります。ここに税率をかけて所得税と住民税を計算します。

所得税を計算
退職所得(課税退職所得)が250万円なので、以下の表から所得税率は10%(控除額97,500円)となるので、所得税は以下のようになります。

250万円退職所得 × 10%税率 – 97,500円 = 152,500円所得税

住民税を計算
住民税については税率が10%固定なので、退職所得が250万円だと住民税は以下のようになります。

250万円退職所得 × 10%税率 = 250,000円住民税

したがって、勤続年数30年のサラリーマンが退職金2,000万円をもらったときの所得税と住民税の合計は402,500円となります。

※役員としての勤務年数が5年以下の場合は?
役員としての勤務が5年以下(特定役員)の場合、退職所得の計算が少し異なります。くわしくは特定役員等とは?でシミュレーションをしながら説明しています。
※死亡したときの退職金について
死亡後3年以内に退職金が相続人などに支払われた場合、その退職金は相続税の課税対象となります(所得税等の課税対象にはなりません)。
相続人が取得した退職金のうち相続税の課税対象となる金額は「500万円 × 法定相続人の数」を超えた部分です。
退職金に税金がかからない場合もある?

上記の計算式を見てわかるように、退職金に税金がかからない場合もあります。

それは、もらった退職金より退職所得控除額が多いときです。退職金よりも控除が上回れば税金は0円になります。

たとえば勤続年数20年のサラリーマンが退職金をもらったときの税金は以下のようになります。

退職金の税金が0円になるとき?

たとえば、勤続年数20年のサラリーマンが退職金700万円をもらったとき。

まず退職所得を計算
まず、退職所得を以下のように計算します。

700万円退職金 – 退職所得控除 = 退職所得

勤続年数が20年なので、退職所得控除は800万円になります。したがって退職所得は、

700万円退職金800万円退職所得控除)× 1/2 = 0円退職所得
退職所得控除については上記の計算方法を参照。

以上のように、退職金よりも控除の金額が上回れば退職所得が0円になるので税金がかかりません。税金が引かれないので退職金はすべてあなたのものになります。

確定申告をする必要は?

退職者に退職金が支払われるときに税金が源泉徴収されるので、基本的に確定申告をする必要はありません。


ただし、退職金を受け取るまでに退職所得の受給に関する申告書を提出していないと、退職金の収入金額から一律20.42%の所得税が差し引かれてしまうので、確定申告をして精算する必要があります。
※退職所得の受給に関する申告書については国税庁HPのこちらを参照。


確定申告をするときに源泉徴収票が必要になるので、退職金を受け取ったときにもらう源泉徴収票は無くさないようにしましょう。
※無くした場合は再請求の手続きをしなければいけません。

退職金を年金でもらう場合は?

企業によっては退職金を一括で受け取る以外にも年金で分割して受け取ることができる場合もあります。


上記で説明したように、退職金を一括でもらう場合は退職所得控除などで税金を安くしてくれるような優遇がありますが、退職金を年金で分割して受け取る場合にはそのような優遇はありません。


年金として分割で受け取る際は、「年金(老後の年金も受け取っている場合は合算して)から公的年金控除を差し引いた金額(雑所得)」として課税されるので、ほかの所得と合算して税金を計算することになります。


また、退職金を一括で受け取った場合は、その金額は国民健康保険料の算定に含まれません(退職金を年金で受け取る際は保険料の算定に含まれてしまう)。


したがって、退職後に国保に加入する方は退職金を一時金で受け取ったほうが保険料が安くなります。


ただし、退職金を年金で受け取る場合は一括でもらった場合と比べて金額が多くなる場合があるので、退職後に支払うことになる税金や保険料と照らし合わせてどちらにメリットがあるか検討しましょう。
自分のライフスタイルと照らし合わせて、一括で受け取ったほうがメリットがあるなら一括で退職金を受け取る選択をしましょう。


まとめ

ここまで説明したように、退職者に支払われる退職金にも税金がかかります。

ただし、退職金の金額や勤続年数によっては税金が0円になる場合もあります。

以下は退職金についてのまとめです。

退職金まとめ

  • 退職金から控除などを差し引いた金額(退職所得)に税金がかけられる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 勤続年数によって退職所得にかけられる税金が安くなる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 退職金に税金が0円になる場合もある
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 基本的に確定申告をする必要はないが、申告書を提出していないひとはしたほうがいい
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 退職金を年金でもらうこともできる場合があるが、どっちがメリットがあるか注意
    ※くわしくは上記で説明しています。

退職金をもらう予定の方は「税金がかかるなんて知らなかった、、、」とならないように上記のことをしっかり覚えておきましょう。

また、確定申告をするのが面倒な方は退職金を受け取る前に申告書を提出することも忘れないようにしましょう。