退職所得についてわかりやすく説明。退職金にも税金がかかる?

2022.05.13 更新
会社をやめたときに受け取った退職金(退職所得)にも税金がかかる場合とかからない場合があります。この記事では退職所得がどんな所得なのかについてわかりやすく説明していきます。
この記事の目次
退職所得とは?退職金との違いは?税金はかかる?

退職したときにもらう退職金から控除などを差し引いたあとに残った金額(税金がかけられる部分)が退職所得となります。
※くわしい計算式は下記で説明していきます。

退職所得にかかる税金については、退職者に支払われる際に源泉徴収されるようになっています。
※退職金についても源泉徴収票が交付されるようになっています。

退職所得に税金はかかりますが、税金の割合があまり多くならないような仕組みになっているので安心してください。

この記事の要点

  • 退職金から退職所得控除を引いて半分にした金額が退職所得になる。

  • 退職金にかかる税金はそれほど多くならないようになっている。

  • 退職金の多さによっては税金が0円になるときもある。

  • 年金でもらうときは注意。

では最初に、退職所得の税金がいくらになるか下記で説明していきます。具体的に金額をあてはめてシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。


退職所得の税金はどれくらい?計算シミュレーション
退職金にかかる税金は勤続年数によって変わる

退職所得の計算式は以下のようになっています。退職所得控除を差し引いた金額の半分が退職所得になります。


退職所得控除は勤続年数によって税金の負担を軽くしてくれるものです。


そして、退職所得に税率をかけることで所得税や住民税が計算されます。それでは退職所得を以下でシミュレーションしてみましょう。

退職所得とは

※勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職金について、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分について2分の1にする措置が適用されません(2022年以降適用)。

退職所得控除について
●勤続年数20年以下
退職所得控除 = 40万円 × 勤続年数

●勤続年数20年超え
退職所得控除 = 800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)
※1年未満の端数は1年に切り上げ。80万円未満の場合は控除額は80万円になります。
※障害者となったことが原因で退職した場合、退職所得控除額が100万円加算されます。
※参照:国税庁退職金を受け取ったとき


退職金2,000万円の税金はどれくらい?シミュレーション

たとえば勤続年数30年のサラリーマンが退職金2,000万円をもらったとき。


まず退職所得を計算
まず、退職所得を以下のように計算します。

2000万円退職金 – 退職所得控除 = 退職所得

勤続年数が30年なので、退職所得控除は1,500万円になります。したがって退職所得は、

2,000万円退職金1,500万円退職所得控除)× 1/2 = 250万円退職所得
退職所得控除については上記の計算方法を参照。

となります。ここに税率をかけて所得税と住民税を計算します。

所得税を計算
退職所得(課税退職所得)が250万円なので、以下の表から所得税率は10%(控除額97,500円)となるので、所得税は以下のようになります。

250万円退職所得 × 10%税率 – 97,500円 = 152,500円所得税

住民税を計算
住民税については税率が10%固定なので、退職所得が250万円だと住民税は以下のようになります。

250万円退職所得 × 10%税率 = 250,000円住民税

したがって、勤続年数30年のサラリーマンが退職金2,000万円をもらったときの所得税と住民税の合計は402,500円となります。
※役員としての勤務年数が5年以下の場合は?
役員としての勤務が5年以下(特定役員)の場合、退職所得の計算が少し異なります。くわしくは特定役員等とは?でシミュレーションをしながら説明しています。

※死亡したときの退職金について
死亡後3年以内に退職金が相続人などに支払われた場合、その退職金は相続税の課税対象となります(所得税等の課税対象にはなりません)。
相続人が取得した退職金のうち相続税の課税対象となる金額は「500万円 × 法定相続人の数」を超えた部分です。

では次に、退職金に税金がかからない場合について見ていきましょう。退職金がそれほど多くなければ税金がかかりません。


退職金に税金がかからない(0円になる)場合もある?
退職金が少なければ税金はかからない

退職金に税金がかからない場合もあります。

それは、もらった退職金より退職所得控除額が多いときです。退職金よりも控除が上回れば税金は0円になります。


たとえば勤続年数20年の会社員(サラリーマンなど)が退職金をもらったときの税金は以下のようになります。

具体的に金額をあてはめてシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。

退職金の税金が0円になるとき?

たとえば勤続年数20年のサラリーマンが退職金700万円をもらったとき。


まず退職所得を計算
まず、退職所得を以下のように計算します。

700万円退職金 – 退職所得控除 = 退職所得

勤続年数が20年なので、退職所得控除は800万円になります。したがって退職所得は、

700万円退職金800万円退職所得控除)× 1/2 = 0円退職所得
退職所得控除については上記の計算方法を参照。

以上のように、退職金よりも控除の金額が上回れば退職所得が0円になるので税金がかかりません。税金が引かれないので退職金はすべてあなたのものになります。


勤続年数ごとにシミュレーション
勤続年数ごとに税金が0円になる金額をシミュレーションしてまとめました。気になる方はチェックしておきましょう。
※計算式は上記で説明しています。

勤続年数10年のとき 退職金が400万円以下なら税金が0円になります。
勤続年数15年のとき 退職金が600万円以下なら税金が0円になります。
勤続年数20年のとき 退職金が800万円以下なら税金が0円になります。
勤続年数25年のとき 退職金が1,150万円以下なら税金が0円になります。
勤続年数30年のとき 退職金が1,500万円以下なら税金が0円になります。
※計算式は上記で説明しています。

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退職後の国民健康保険料はいくら?退職して1年目は高い?

では次に、確定申告が必要になるのかについて下記で説明していきます。退職金をもらう方も確定申告をする場合があるので気になる方はチェックしておきましょう。


確定申告をする必要は?
退職金をもらったとき、確定申告が必要になる場合もある

退職者に退職金が支払われるときに税金が源泉徴収されるので、基本的に確定申告をする必要はありません。


ただし、退職金を受け取るまでに「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないと、退職金の収入金額から一律20.42%の所得税が差し引かれてしまうので、確定申告をして精算する必要があります。
※必要以上に税金が引かれている場合は確定申告をすれば納めすぎたぶんはキャッシュバックされます。
※退職所得の受給に関する申告書については国税庁HPのこちらを参照。



「退職所得の受給に関する申告書」の提出を忘れたり、知らなかったりした場合でも、確定申告すれば納め過ぎた税金が戻ってくるので安心してください。


確定申告をするときに源泉徴収票が必要になるので、退職金を受け取ったときにもらう源泉徴収票は無くさないようにしましょう。
※無くした場合は再請求の手続きをしなければいけません。

会社員の確定申告のやりかた
今はネットでかんたんに確定申告書が作成できます。確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日までに申告をしましょう。
※税金を返してもらう場合の確定申告については翌年1月から申告することができます(期限は5年以内)。

確定申告のながれ
STEP➊源泉徴収票など必要なものを用意する
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送する

では次に、退職金を年金でもらう場合について下記で説明していきます。会社によっては年金で受け取ることもできます。

退職金を年金でもらう場合は?
退職金は年金で受け取れる場合がある

企業によっては退職金を一括で受け取る以外にも年金で分割して受け取ることができる場合もあります。
※たとえばiDeCoなどの私的年金も退職時に一括で受け取るか年金として複数回に分けて受け取るか選択できます。


上記で説明したように、退職金を一括でもらう場合は退職所得控除などで税金を安くしてくれるような優遇がありますが、退職金を年金で分割して受け取る場合にはそのような優遇はありません。


年金として分割で受け取る際は、「年金(老後の年金も受け取っている場合は合算して)から公的年金控除を差し引いた金額(雑所得)」として課税されるので、ほかの所得と合算して税金を計算することになります。


また、退職金を一括で受け取った場合は、その金額は国民健康保険料の算定に含まれません(退職金を年金で受け取る際は保険料の算定に含まれてしまう)。


したがって、退職後に国保に加入する方は退職金を一括で受け取ったほうが保険料が安くなります。


ただし、退職金を年金で受け取る場合、一括でもらった場合と比べて金額が多くなる場合があるので、退職後に支払うことになる税金や保険料と照らし合わせてどちらにメリットがあるか検討しましょう。
自分のライフスタイルと照らし合わせて、年金で受け取ったほうがメリットがあるなら年金で退職金を受け取る選択をしましょう。

では次に、退職金は所得に入るのか下記で説明していきます。給料等とは分離されることを知っておきましょう。


退職金は所得に入る?
退職金はほかの所得と分離して計算しないとダメ

退職金は収入や所得になるので、税金もかかります。
※下記で説明するように「分離」して計算しないといけません。


ただし、上記で説明したように退職金がそれほど多くなければ税金は0円になります。


また、退職金(退職所得)は給料等とは分離して課税されるので、給与所得などとごちゃごちゃにしないように気をつけましょう。
※給与収入などの年収に入れて税金を計算しないように気をつけましょう。
※たとえば1年間の給与収入が400万円であり、退職金が600万円の場合、年収1,000万円として税金の計算をするわけではありません。退職金は分離して、上記の計算式で税金の計算をすることになります。


総所得金額等や合計所得金額には入る
退職所得は総所得金額には入りませんが、総所得金額等合計所得金額には入ります。

たとえば、何かの控除を受ける際に「合計所得金額が○○万円以下」といった条件があるときは、退職所得も含めた金額になることを覚えておきましょう。

ここまでのまとめ

ここまで説明したように、退職者に支払われる退職金にも税金がかかります。

ただし、退職金の金額や勤続年数によっては税金が0円になる場合もあります。

退職金をもらう予定の方は「税金がかかるなんて知らなかった、、、」とならないように上記のことをしっかり覚えておきましょう。

退職金まとめ

  • 退職金から控除などを差し引いた金額(退職所得)に税金がかけられる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 勤続年数によって退職所得にかけられる税金が安くなる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 基本的に確定申告をする必要はないが、申告書を提出していないひとはしたほうがいい
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 退職金を年金でもらうこともできる場合があるが、どっちのほうが自分にメリットがあるか考えなければいけない
    ※くわしくは上記で説明しています。

確定申告をするのが面倒な方は退職金を受け取る前に申告書を提出することも忘れないようにしましょう。