一時所得とは?わかりやすく解説。ギャンブルで得た収入の税金を計算

2024.03.08 更新

競馬などのギャンブルで得た収入にも税金はかかります。ギャンブルの税金について知らない人はどのくらい稼ぐと税金がかかるのかチェックしておきましょう。この記事はギャンブル等で得た収入(一時所得)について説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶ギャンブル収入と給料は別のもの?
ギャンブルによる収入は一時所得になる収入。給料は給与所得になる収入(給与収入)。
※くわしくは下記で説明しています。一時所得の計算方法をザッと把握しておきましょう。


▶一時所得(競馬などの収入)はいくらまで無税?
1年間のギャンブル収入が50万以下なら一時所得が0円になるので税金がかからない。
※くわしくは下記で説明しています。


▶本人が会社員などであり、ギャンブル収入があるときの計算は?
一時所得のほかに所得がある場合には合算して税金の計算をする。
※くわしくは下記で説明しています。


▶ギャンブル収入があったら確定申告はしなきゃダメ?

会社員やアルバイトなど給料をもらっているひとは確定申告が必要ない場合がある。ただし、確定申告をしない場合は住民税の申告が必要。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次
一時所得とは?
ギャンブル収入などは一時所得

一時所得いちじしょとくとは、簡単に説明するとギャンブルや懸賞金などの臨時収入のことをいいます。
※上記のほかにも生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や損害保険の満期返戻金等などがあてはまります。
※ビットコインなどの仮想通貨は雑所得になります。

※出典:国税庁一時所得


ただし、ギャンブル等収入が50万以下なら一時所得は0円になります。くわしい計算式は下記で説明していきます。

税金がかからない金額はいくら?一時所得を計算
臨時収入(ギャンブルなど)が50万円以下なら一時所得は0円になる

一時所得(ギャンブルなどの所得)の計算方法は以下のようになっています。


見てわかるように、ギャンブル収入の全額が一時所得になるわけではありません。


具体的に金額をあてはめてシミュレーションしているので、ギャンブル収入がある方は下記をチェックしておきましょう。

一時所得の計算式は以下のとおり
※出典:国税庁一時所得

一時所得の計算式
一時所得の計算式

※一時所得の2分の1の金額を他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。

※生命保険の満期保険金等を本人が受け取り、その保険金を一時金として受け取った場合は「一時所得」になります。年金として受け取った場合は「雑所得」になります。受け取る保険金から収入を得るために支出した金額(支払った保険料または掛金の額)を引いた金額が50万円以下なら一時所得は0円になります。
※本人以外が受け取った場合は贈与税として課税されます。
※出典:国税庁生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき
ギャンブル収入が100万円のときの計算例

たとえばギャンブル等で得た収入が1年間(1月~12月まで)で100万円だったとき、一時所得は、

100万円ギャンブル等の収入0円支出50万円特別控除額 = 50万円一時所得
※わかりやすくするために、収入を得るために支出した金額は0円としています。

となります。

そして一時所得の半分(25万円)が総所得金額として合計されます。その後、合計した金額(総所得金額)から所得控除を引いた金額に所得税や住民税がかけられる仕組みになっています。

ギャンブル収入が50万円のとき
ギャンブル収入が50万円以下なら一時所得は0円なので税金もかからない

競馬などのギャンブル等で得た収入が1年間(1月~12月末まで)で50万円以下だったときは一時所得は0円となります。

50万円ギャンブル等の収入0円支出50万円特別控除額 = 0円一時所得
※わかりやすくするために、収入を得るために支出した金額は0円としています。

つまり、ギャンブル等で得た収入が50万円以下なら税金はかからないんです。競馬や競艇で少し儲かったくらいなら税金はかからないので安心してください。
※ギャンブルで税金を支払いたくない方はギャンブル収入を50万円以下にしておくことをオススメします。
※一時所得は各種の所得と合計される総合課税です。

では次に、一時所得があるときは確定申告が必要なのかについて下記で説明していきます。確定申告をすることをオススメします。

確定申告が不要な場合も?いくらから?
確定申告が必要ないときもある

会社員やアルバイトの方でもギャンブル等で臨時収入があったときには確定申告をする必要があります。

ただし、以下のような場合は確定申告をする必要はありません。

ギャンブルを日常的にする方などは確定申告をしなくていい金額をチェックしておきましょう。

確定申告が不要なとき

  • 給料をもらっていて、かつ、そのほかの各種所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が1年間(1月~12月まで)で20万円以下の場合。
    ※確定申告をする場合は、20万円以下だとしても一時所得を申告しなければいけません。
    20万円以下でも確定申告をしない場合は住民税の申告が必要になります。
    ※出典:国税庁確定申告を要しない場合の意義

    ※出典:国税庁給与所得者で確定申告が必要な人
(例)こんなときは確定申告が不要

たとえば給料をもらっていて、そのほかに得た所得が1年間(1月~12月まで)で20万円以下のときには確定申告をする必要はありません。したがって、そのほかに得た所得が一時所得のみであり、一時所得の1/2の金額が20万円以下なら確定申告は不要となります。
つまり、上記の場合、ギャンブル等で得た収入が1年間で90万円以下ならば確定申告をする必要はないということです。

※参照:国税庁一時所得 Q&A

90万円ギャンブル等で得た収入0円支出50万円特別控除額 = 40万円一時所得


40万円一時所得 ÷ 2 = 20万円(20万円以下なので確定申告は不要)
※一時所得については半分の金額が課税対象となるため、÷2をしたあとの金額が確定申告をするかしないかの判定対象になります。
※収入を得るために支出した金額は0円としています。


※収入を得るために支出した金額とは、ここでは「当たった投票券の購入費用」のこと。外れた投票券の購入費用は含まれません。
※全レース(1Rから12Rまで)に1万円ずつ賭けて、当たったのが最終レースだけだとします。このとき「収入を得るために支出した金額」は1万円となります。

確定申告の条件については上記で説明しています。

上記のように、会社員(サラリーマンなど)はギャンブルで稼いだ金額がそれほど多くなければ確定申告をしなくてもいいことを覚えておきましょう。
※ただし、ギャンブルで大当たりして、上記の条件を超えるような金額が手に入った場合には確定申告をしなければいけません。

では次に、一時所得があるときの確定申告のやりかたについて下記で説明していきます。今はネットで申告書を簡単に作れるので安心してください。

一時所得の確定申告のやりかたは?

一時所得がある方は確定申告をする必要があります。
上記で説明したような場合は確定申告をしなくていい決まりになっています。


今はネットでかんたんに申告書が作成できるので、以下の記事を参考に申告書を作成してみましょう。


作成した申告書を税務署に提出または郵送すれば確定申告をすることができます。

確定申告の手順等はこちら
確定申告をする期間は2月16日~3月15日です。たとえば2023年(1月~12月31日まで)の収入について申告する場合は、2024年2月16日以降に確定申告することになります。
※e-Tax(ネットで確定申告書の作成)をする場合は1月から申告書のデータを送信することができます。

確定申告のながれ
STEP➊給与収入があるなら源泉徴収票など必要なものを用意する
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送する(税金を納めるまたは払い戻される)
くわしい確定申告の手順は下記の記事で説明しています。
ギャンブル収入があるひとの確定申告のやり方

確定申告をするのが不安な方は試しにテキトーに金額を入力して申告書のつくりかたを練習してみてもいいかもしれません。
※税務署に郵送する申告書に正しい金額を入力すれば問題ないので、ためしに申告書を何枚も作ってみましょう。


ギャンブルで利益を得たときの所得税を計算してみよう(500万円勝ったとき)

会社員(サラリーマンなど)が競馬などのギャンブルで利益を得たときの税金がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。


この条件で所得税はいくらになる?
たとえば1年間(1月~12月まで)の給与収入が300万円、ギャンブル等で得た収入が500万円の場合は以下のとおりになります。


①まず給与所得を計算
上記の条件のとき、給与所得は、

300万円給与収入98万円給与所得控除 = 202万円給与所得
給与所得や給与所得控除については給与所得控除とは?で説明しています。

となります。

②次に一時所得を計算
次に一時所得を計算しましょう。一時所得は、

収入 – 支出 – 50万円特別控除額 = 一時所得

なので、

500万円ギャンブル等で得た収入0円支出50万円特別控除額 = 450万円一時所得
※わかりやすくするために、収入を得るために支出した金額は0円としています。

となります。

③合計して総所得金額を計算
次に給与所得と一時所得の半分を合計し、総所得金額を計算します。

450万円一時所得 ÷ 2 + 202万円給与所得 = 427万円総所得金額
÷2をしているのは一時所得の半分が総所得金額として合計されるため。
総所得金額とは:各種所得の合計(一部所得は除く)。

④総所得金額から課税所得を計算
総所得金額がわかったので、課税所得は、

427万円総所得金額所得控除しょとくこうじょ = 課税所得
課税所得については課税所得とは?を参照。
所得控除については所得控除とは?を参照。

となります。所得控除を48万円とすると、課税所得は、

427万円総所得金額48万円所得控除 = 379万円課税所得
課税所得については課税所得とは?を参照。
所得控除については所得控除とは?を参照。ここでは計算をわかりやすくするために基礎控除48万円のみとしています。

となります。

⑤最後に所得税を計算
所得税をもとめる式は、

379万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得が695万円以下のときは税率が20%(控除額427,500円)なので、所得税は以下のようになります。

379万円課税所得 × 20% – 427,500円 = 330,500円所得税
※控除額427,500円は所得税率にともなって引かれる金額です。
※所得税率についてはこちらを参照。

※ちなみに上記の条件のとき住民税約38万円かかります。

ギャンブル好きな会社員などの方は上記の計算方法を覚えておきましょう。

ギャンブルで大金を当ててそのままにしていると脱税で罰金をくらうかもしれないので気をつけましょう。
ギャンブルで儲かったときに上乗せされる税金については下記の記事で説明しているので気になる方はチェックしておきましょう。

ギャンブルで50~200万円儲かったときの税金シミュレーション