給与所得控除とは?わかりやすく解説。200万だと給与所得は?

2023.05.10 更新

会社員やアルバイトなどの税金の負担を軽くしてくれる給与所得控除ですが、「なにそれ?よくわかんない…」という方もいると思います。この記事では給与収入と給与所得控除について説明していきます。
この記事の目次

給与所得控除とは?税金を安くしてくれる?
給与所得控除が所得を減らしてくれるので税金が安くなる

給与所得控除とは給料をもらっている人の税金の負担を軽くしてくれるものです。
※読み方は給与所得控除(きゅうよしょとくこうじょ)です。
※所得控除については所得控除とは?を参照。



税金は所得が多ければ多いほど高くなり、所得が少なければ安くなります。給与所得控除は給料をもらっているひとの所得を少なくしてくれるので税金が安くなるという仕組みです。


また、1年間(1月~12月まで)の給料によって控除額が変わります。
※以下で年収200万のときの場合でシミュレーションしています。

給与所得控除はどれくらい?計算表

下記は給与所得控除額の計算表です。

給与所得控除の計算表
給与所得控除の計算表

こちらのシミュレーションで給与所得や給与所得控除額の計算ができます。

※2020年1月から給与所得控除が一律10万円引き下げられました。以降、2023年現在も上記の金額となっています。
※給与収入660万円未満の計算は少し特殊で、国税庁年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表(pdf)を用いて給与収入等の端数処理後に給与所得が算出されます。
※参照:国税庁給与所得控除

年収ごとの給与所得控除まとめ
1年間(1月~12月まで)の給与収入ごとの給与所得控除額は以下のとおりです。

給与収入が
100万のとき
給与所得控除は55万
給与収入が
103万のとき
給与所得控除は55万
給与収入が
162.5万のとき
給与所得控除は55万
給与収入が
180万のとき
給与所得控除は62万
給与収入が
200万のとき
給与所得控除は68万
給与収入が
300万のとき
給与所得控除は98万
給与収入が
400万のとき
給与所得控除は124万
給与収入が
500万のとき
給与所得控除は144万

※下記で給与所得の計算方法とシミュレーションをしています。給与所得の計算のやり方がわからない方はチェックしておきましょう。


給与所得とは?会社員やアルバイトなどが関わる所得?
給与所得とは、給与収入をもとに計算される所得のこと

会社員やアルバイトなどの方が、1年間に勤務先からもらう給料(ボーナス等含む)を給与収入といいます。


そして、この給与収入をもとに下記の計算式で給与所得を計算することになります。
所得の種類:所得は10種類に分けられています。
※源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」は給与所得のこと(ダブルワークしている場合を除く)。


給与所得はどうやって計算するの?

※出典:国税庁給与所得

給与所得の計算式
給与所得の計算式

給与収入ってなに?
給与収入とは、1年間(1月~12月まで)にもらう賃金やボーナス、手当なども含んだ総支給額のこと(ただし、一定以下の通勤手当は含まれない)。
※下記で給与所得の計算をチェックしておきましょう。

給与所得以外の所得ってなに?
給与所得に該当しない所得のことをいいます。たとえばYouTubeやウーバーイーツで稼いだお金(雑所得)やギャンブルで手に入れたお金(一時所得)などがあてはまります。くわしくは給与所得以外の所得を参照。

収入100万のときの給与所得はいくら?
たとえば1年間(1月~12月末まで)の給与収入が100万円のとき、上記の表と照らし合わせると給与所得控除額は55万円となります。したがって、給与所得は以下のようになります。

100万円給与収入55万円給与所得控除 = 45万円給与所得
※給与所得控除は給料の額によって変わります(上記表を参照)
給与収入とは1年間の給料等の金額。

※つまり、1年間の給与収入が55万以下なら給与所得は0円になります。「給与所得控除後の金額が0円になってる・・・なぜ?」と不安に感じなくてもOKです。

控除がなければ給与収入100万円がすべて給与所得になってしまいますが、給与所得控除のおかげで所得が減額されています(45万円)。所得が減ったことにより、所得にかけられる所得税も減ることになります。

収入200万のときの給与所得はいくら?
給与所得控除をわかりやすくシミュレーション

たとえば1年間(1月~12月末まで)の給与収入が200万円のとき、上記の表と照らし合わせると給与所得控除額は、

200万円給与収入 × 30% + 8万円 = 68万円給与所得控除

となります。したがって、給与所得は、

200万円給与収入68万円給与所得控除 = 132万円給与所得
こちらのシミュレーションで給与所得の計算ができます。

となります。

控除がなければ給与収入200万円がすべて給与所得になってしまいますが、給与所得控除のおかげで所得が減額されています(132万円)。所得が減ったことにより、所得にかけられる所得税も減ることになります。

こんなページもみられています
アルバイトやパートの年収103~201万円の壁とは?


給料をもらっているひとの所得税をシミュレーションしてみよう(給料が400万円だったら?)

では、会社から給料をもらっている方の税金がどのように計算されるかシミュレーションしてみましょう。条件は以下のとおりです。


この条件のとき所得税はいくらになる?
たとえば会社に勤務している方で1年間の収入が400万円で給与収入だけの場合、所得税はいくらになるか。


①まずは給与所得を計算
上記の条件のとき、給与所得は、

400万円給与収入124万円給与所得控除 = 276万円給与所得

となります。

給与所得のほかに所得がないので、276万円が総所得金額となります。

②次に所得税を計算
総所得金額がわかったので所得税を計算します。所得税は、

276万円総所得金額所得控除しょとくこうじょ )× 税率 = 所得税
総所得金額とは:各種所得の合計(一部所得は除く)。
所得控除とは:税金の負担を軽くしてくれる制度。

となります。所得控除しょとくこうじょを106万円、税率を5%とすると、所得税は、

276万円総所得金額106万円所得控除 )× 5% = 85,000円
所得税率については所得税率って?を参照。
所得控除については所得控除とは?を参照。

となります。自分の給与収入から所得税までの計算方法を把握しておきましょう。
※住民税については住民税とは?を参照。

こちらで税金や保険料がいくらになるかシミュレーションできます。

手取りと税金をパッと計算!かんたんシミュレーション

給与所得控除と所得控除の違いってなに?
所得控除とは意味が違う

給与所得控除と似たような名前の制度で「所得控除」というものがあります。

どちらも税金の負担を軽くしてくれるものなんですが、それぞれ違いがあります。

以下に計算式を示して説明していきます。
※控除の意味については控除とは?を参照。

給与所得控除とは
給与所得控除は「給与所得」を計算するときにつかうもの。

所得控除とは
所得控除は「課税所得」を計算するときにつかうもの。

所得控除については、所得控除とは?を参照。
課税所得については、課税所得とは?を参照。
総所得金額とは各種所得の合計のこと。

上記のように、給与所得控除と所得控除は名前が似ていますがそれぞれ別のものなので、ごちゃごちゃにならないように気をつけましょう。



ここまで説明したように、給与所得控除はもらった給料のすべてに税金がかからないように負担を軽減するしくみになっています。
※経費がない会社員やアルバイトなどは不利になってしまうので給与所得控除が経費のかわりになっているんです。