ダブルワークの税金や社会保険などについてわかりやすく解説

2021.09.29 更新
本業の会社とは別の勤務先でアルバイトしたり、パートやアルバイトなどをかけもちしてダブルワークをしている方は税金などの扱いが少し複雑です。知らないうちに脱税をしている場合もあるかもしれません。この記事では給料を2か所の勤務先からもらっている場合の税金などについてわかりやすく説明していきます。
この記事の目次
ダブルワークだと税金はどうなる?

サラリーマンが別の勤務先でアルバイトをしたり、パートやアルバイトを2つ以上かけもちする等、2か所以上の職場で働いている場合は税金の計算が少しだけ複雑です。


たとえば2つの職場で給料が各80万円ずつだったとき、それぞれの給料からそれぞれの税金を計算するわけではなく、2つの給料を足し合わせた金額をもとに税金の計算をすることになります。

〇正しいダブルワークの税金計算
それぞれの勤務先の給料が各80万円だとしたら、合計収入160万円として税金の計算をする。


×間違ったダブルワークの税金計算
それぞれの勤務先の給料が各80万円だとしたら、それぞれの勤務先で収入80万円として税金の計算をしてしまう。
※1年間の収入が103万円以下だと所得税がかからないので、間違った税金計算をしてしまうと脱税になる恐れがある。

では次に、2つの勤務先から給料をもらっているときに税金はどのように計算するのか下記で説明していきます。具体的に金額をあてはめてシミュレーションしているのでダブルワークをしている方はチェックしておきましょう。


2つの勤務先から給料をもらっている場合の計算例

2つの勤務先から給料をもらっている場合、上記でも説明したとおり給料を合計してから税金を計算することになります。

ダブルワークの所得税は以下のように計算していきます。

ダブルワークの所得税を計算

たとえば片方の勤務先の給料が1年間で80万円、もう片方の給料が70万円だったとします。この場合それぞれの給料を足し合わせると150万円となります。この金額をもとに税金を計算することになります。


①まず給与所得を計算する
2つの勤務先の給与収入の合計が150万円とすると、給与所得は、

150万円給与収入55万円給与所得控除 = 95万円給与所得
給与所得については給与所得とは?を参照。

となります。他に所得がないので95万円が総所得金額となります。


②次に課税所得を計算する
総所得金額がわかったので、次に課税所得を計算します。所得控除を48万円とすると課税所得は、

95万円総所得金額48万円所得控除 = 47万円課税所得
所得控除とは:税金を安くしてくれるもの。ここでは計算をわかりやすくするために基礎控除のみとしています。
課税所得とは:税金がかけられる所得のこと。

となります。

③次に所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

47万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

47万円課税所得 × 5% = 23,500円所得税
所得税率については所得税の税率を参照。
所得税については所得税とは?を参照。

となります。
※ちなみに上記の場合、住民税は約47,000円になります。

では次に、ダブルワークをしている方の社会保険について下記で説明していきます。加入条件を満たしている方はチェックしておきましょう。

社会保険は2つの勤務先で加入するの?

ダブルワークをしている方の社会保険については、加入条件を満たしている職場の社会保険に加入することになります。


つまり、どの勤務先でも加入条件を満たしていなければ社会保険に加入する必要はありません。
※社会保険(健康保険と厚生年金)に加入しない場合は国民健康保険と国民年金に加入することになります。


ただし、両方の職場で加入条件を満たした場合には届出を提出する必要があるので気をつけましょう。
※「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所へ提出する必要があります。ただし、副業が禁止されている場合、2つの勤務先で社会保険の加入条件を満たしてしまうと届出を申請する際にダブルワークをしていることがバレてしまうので気をつけましょう。また、何もわからないひとにとっては「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の手続きが難しいと思うので、2つの勤務先で社会保険の加入条件を満たすことはあまりオススメしません。

ダブルワークの社会保険料はどうなる?
片方の勤務先で社会保険の加入条件を満たしているとき
たとえば片方の勤務先の年収が150万円、もう片方の勤務先の年収が20万円としたとき、年収150万円の勤務先で社会保険に加入することになります。
ちなみに、保険料は年収150万円のほうの月収をもとに社会保険の保険料が決まります。

※2つの給料の合計額をもとに社会保険料が決まるわけではありません。
※社会保険の加入条件についてはアルバイトでも?社会保険の加入条件は?を参照。


あなたに配偶者がおり、配偶者が会社の社会保険に加入している場合

2つの職場の合計年収が130万円未満であり、あなたに配偶者がおり、配偶者が会社の社会保険(健康保険および厚生年金)に加入していれば、あなたは配偶者の社会保険の扶養に入ることができます。
配偶者の社会保険の扶養に入れば、あなた自身が支払う社会保険料は0円になります(つまり、国民年金や健康保険料が0円になります)。
ただし、あなたの1年間の収入が130万円以上になると社会保険の扶養から外れるので、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります。


あなたに配偶者がおり、配偶者が国民年金と国保に加入している場合

2つの職場で社会保険の加入条件を満たしておらず、配偶者が国民年金と国保に加入している場合、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。


あなたに配偶者がいない場合

2つの職場で社会保険の加入条件を満たしておらず、あなたに配偶者がいない場合、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。

また、あなたの親族が会社の社会保険(健康保険および厚生年金)に加入していれば、あなたは親族の社会保険の扶養に入ることができます。そうでなければあなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。

では次に、ダブルワークをしている方の雇用保険はどうなるのかについて下記で説明していきます。雇用保険にも加入条件があるのでチェックしておきましょう。


雇用保険はどの勤務先で加入する?

雇用保険は、会社などに雇用されている人(サラリーマンやアルバイトなど)が加入する保険です。

複数の勤務先で働いている場合は主に賃金をもらっている会社でのみ加入することになります。
くわしい雇用保険については雇用保険ってなに?を参照。

雇用保険の加入条件を2つの勤務先で満たしている場合は?

複数の勤務先でそれぞれ雇用保険の加入条件を満たしている場合には、主に賃金をもらっている会社でのみ加入することになります。

複数の勤務先で雇用保険に加入することは出来ないので注意しましょう。

雇用保険の加入条件を満たしていなければ加入しない?

勤務先が一つだとしても以下の2つの条件を満たしていなければ雇用保険に加入することはありません。また、勤務先が複数あっても、どの勤務先でも条件を満たさなければ加入することはありません。

雇用保険の加入条件

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがあること

▶所定労働時間:会社が就業規則などにより定めた労働時間のこと。
▶雇用保険法第6条にあてはまる方(昼間学生など)は適用除外となり、雇用保険には加入できません。

くわしい雇用保険については雇用保険ってなに?を参照。

年末調整はどっちで行う?

ダブルワークでアルバイトやパートをかけもちしている場合、年末調整主に勤めている職場でのみ行うことになります。2つの職場で行わないように気をつけましょう。

どちらの職場でも年末調整を行ってしまうと所得控除が重複して適用されてしまうため、本来の税額よりも少なくなってしまう場合があります。


ただし、年末調整を2か所の勤務先に提出してしまったとしても確定申告をすれば問題ありません。

ちなみに、ダブルワークなどでアルバイトやパートをかけもちしている場合、下記で説明しているように基本的に確定申告が必要になります。

住民税はどの勤務先で特別徴収される?

住民税は原則、主な勤務先(給与を多くもらっている職場)で特別徴収されることになっています。

ダブルワークは確定申告が必要?確定申告ってなに?

確定申告とは簡単に説明すると、1年間の稼ぎを申告して税金を納める手続きのことです。

ダブルワークなどでアルバイトやパートをかけもちしている場合、基本的には確定申告が必要になります。

片方の年末調整だけでは正確な税額が計算されないため、確定申告をして正確な税金を納めなければなりません。


ただし、下記で説明するように確定申告をしなくてもいいときがあるので覚えておきましょう。

ダブルワークをしている場合の確定申告のやりかたは以下のページで説明しています。

確定申告のやりかた
今はネットでかんたんに確定申告書を作成できます。作成した申告書を郵送して確定申告を終わらせましょう。
また、確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日までに申告をしましょう。


確定申告のながれ
STEP➊源泉徴収票など必要なものを用意する
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送し、税金を支払う


確定申告をしなくてもいいときもある

ダブルワークをしている方でも以下の条件のどれかにあてはまるときには確定申告をする必要はありません。ダブルワークをしている方はチェックしておきましょう。


  • 給料を2つの勤務先から受けており、年末調整されなかったほうの給料が1年間(1月~12月まで)で総額20万円以下のとき
  • 2つの勤務先の給料の合計が1年間(1月~12月まで)で150万円以下のとき
    ※片方の勤務先で年末調整を受けている場合。
  • 参照:国税庁の給与所得者で確定申告が必要な人ページ

では次に、ダブルワークで気をつけるポイントについて下記で説明していきます。副業などが禁止されている会社で働いている方は注意しましょう。


アルバイトのかけもち等のダブルワークはバレてしまう?

ダブルワークの注意点の1つとして「勤務先にバレてしまう」ことが挙げられます。


本業がサラリーマンでその他の勤務先でアルバイトをしているような場合、基本的には自分で確定申告をして税金を納めなければなりません。


ただし、確定申告をすると翌年度から勤務先が徴収する住民税の金額が他の社員よりも多くなるので、ダブルワークをして稼いでいることがバレてしまう可能性があります。


また、アルバイトなどのダブルワークの場合は副業のように住民税を自分で納付することが選択できないので、確定申告をしたらダブルワークをしていることが高確率でバレることになります。


したがって、ダブルワークが禁止されているような会社に勤めている場合には上記のように確定申告をしないで済むように稼ぐ金額を調整することをオススメします。

ここまでのまとめ

ここまで説明したように、サラリーマンが別の勤務先でアルバイトをしたり、パートやアルバイトなどを2つ以上の職場でかけもちしている場合、それぞれの給料を合計してから税金の計算をすることになります。

したがって、それぞれの勤務先で年末調整をしてしまうと脱税になってしまう可能性があるので注意しましょう。

また、アルバイトなどをかけもちしている場合は基本的に確定申告が必要になりますが、稼いだ金額によっては確定申告をしなくていい場合があることも覚えておきましょう。

職場をかけもちしている場合のまとめ

  • かけもちしている場合は基本的に確定申告が必要
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 稼いだ金額によっては確定申告をしなくてもいいときがある
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 2つ以上の職場で勤務している場合は給料を合算してから税金の計算をする
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 年末調整は主に勤務している職場で行う
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 社会保険は主に勤務している職場で加入する
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 確定申告をするとダブルワークをしていることがバレる可能性が高いのでダブルワークを禁止されている方は注意
    ※くわしくはこちらのページで説明しています。

ダブルワークをしている方は上記のまとめを覚えておきましょう。ダブルワークで上乗せされる税金については上記のページで説明しているので気になる方はチェックしておきましょう。