ダブルワークの税金や社会保険などについてわかりやすく解説

2022.09.07 更新

本業の会社とは別の勤務先でアルバイトしたり、パートを掛け持ちしてダブルワークをしている主婦などは税金などの扱いが少し複雑です。この記事では給料を2か所の勤務先からもらっている場合の税金などについてわかりやすく説明していきます。
この記事の目次
ダブルワークだと税金や社会保険料はどうなる?

サラリーマンなどの正社員が別の勤務先でアルバイトしたり、フリーターの方がパートやアルバイトなどを掛け持ちする場合、税金の扱いが少し複雑になります。

また、社会保険には両方の職場で加入する場合もあります。

アルバイトなどの掛け持ちを考えている方はダブルワークをしたときの税金や社会保険、確定申告などについて知っておくことをオススメします。

この記事の要点

  • ダブルワークをしている場合、給料を合計して税金を計算しなければいけない。

  • 稼いだ金額によっては確定申告をしなくてもいいときがある。

  • 社会保険は条件を満たしている勤務先で加入する。

  • ダブルワークが禁止されている場合は注意する。

では最初に、ダブルワークをしたときの税金の計算について下記で説明していきます。間違えて税金の計算をしてしまうと金額が不足してしまう可能性があるので注意しましょう。


それぞれの給料を合計しなきゃダメ?
ダブルワークは別々で税金を計算したらダメ

2か所以上の職場で給与をもらっている場合は税金の計算が少しだけ複雑です。


正社員が別の勤務先でアルバイトをしたり、パートやアルバイトを2つ以上掛け持ちするときは気をつけなければいけません。


たとえば2つの職場で給料が各80万円ずつだったとき、それぞれの給料からそれぞれの税金を計算するわけではなく、2つの給料を足し合わせた金額をもとに税金の計算をすることになります。

〇正しいダブルワークの税金計算
それぞれの勤務先の給料が各80万円だとしたら、合計収入160万円として税金の計算をする。


×間違ったダブルワークの税金計算
それぞれの勤務先の給料が各80万円だとしたら、それぞれの勤務先で収入80万円として税金の計算をしてしまう。
※1年間の収入が103万円以下だと所得税がかからないので、間違った税金計算をしてしまうと脱税になる恐れがある。所得税が0円になる理由はこちらの記事を参照。

では次に、2つの勤務先から給料をもらっているときに税金はどのように計算するのか下記で説明していきます。


2つの勤務先から給料をもらっている場合の計算例
2つの勤務先の給料を合計して計算しましょう

2つの勤務先から給料をもらっている場合、上記でも説明したとおり給料を合計してから税金を計算することになります。


ダブルワークの所得税は以下のように計算していきます。
※税金がいくら増えるかについては下記の記事を参照。
ダブルワークで税金はいくら増える?月収2~9万円稼いだら?


ダブルワークの所得税を計算

たとえば片方の勤務先の給料が1年間で80万円、もう片方の給料が70万円だったとします。この場合それぞれの給料を足し合わせると150万円となります。この金額をもとに税金を計算することになります。


①まず給与所得を計算する
2つの勤務先の給与収入の合計が150万円とすると、給与所得は、

150万円給与収入55万円給与所得控除 = 95万円給与所得
給与所得については給与所得とは?を参照。

となります。他に所得がないので95万円が総所得金額となります。


②次に課税所得を計算する
総所得金額がわかったので、次に課税所得を計算します。所得控除を48万円とすると課税所得は、

95万円総所得金額48万円所得控除 = 47万円課税所得
所得控除とは:税金を安くしてくれるもの。ここでは計算をわかりやすくするために基礎控除のみとしています。
課税所得とは:税金がかけられる所得のこと。

となります。

③次に所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

47万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

47万円課税所得 × 5% = 23,500円所得税
所得税率については所得税の税率を参照。
所得税については所得税とは?を参照。

となります。以上のように、2つの勤務先から給料をもらっている場合、給料を合計してから税金を計算することになります。
※ちなみに上記の場合、住民税は約47,000円になります。

では次に、ダブルワークをしている方の社会保険について下記で説明していきます。加入条件を満たしている方はチェックしておきましょう。


社会保険は2つの勤務先で加入するの?
条件を満たしていなければ加入する必要はありません。

ダブルワークをしている方の社会保険については、加入条件を満たしている職場の社会保険に加入することになります。

たとえばダブルワーク先で条件を満たしていなければ、片方だけ(本業の勤務先だけ)で社会保険に加入することになります。
※どの勤務先でも社会保険に入りたくない方は下記の記事をチェックしておきましょう。
バイト先の社会保険に入りたくない。デメリットは?



つまり、どの勤務先でも加入条件を満たしていなければ社会保険に加入する必要はありません。

※社会保険(健康保険と厚生年金)に加入しない場合は国民健康保険と国民年金に加入することになります。
※国民健康保険に加入しながら働いている方については下記の記事をチェックしておきましょう。
国保に加入しているフリーターや会社員の税金や手取りはいくら?
どの勤務先でも加入条件を満たしていない場合とは?

たとえば、両方の職場のどちらも1週間の勤務時間が20時間未満であったり、両方の職場のどちらも月収が88,000円未満である場合には、どちらの勤務先も社会保険の加入条件を満たしません
※常時500人を超える被保険者を使用する企業の場合(2022年10月から常時100人超に改正されます)。

つまり、どの勤務先でも働く時間などが少なければどちらの社会保険にも加入しないということになります。くわしい加入条件は下記の記事で説明しています。

社会保険の加入条件は?パート主婦やアルバイトも対象になる?

両方の職場で社会保険に加入する場合は?

両方の職場で加入条件を満たした場合には届出を提出する必要があるので気をつけましょう。
※「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を本人が年金事務所へ提出する必要があります。何もわからないひとにとっては「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の手続きが難しいかもしれません。自分でややこしい手続きをしたくない場合、2つの勤務先で社会保険の加入条件を満たすことはあまりオススメしません。
※参照:日本年金機構複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き

では次に、ダブルワークの社会保険料はどうなるのかについて下記で説明していきます。


ダブルワークの社会保険料はどうなる?
ダブルワークの社会保険料はどうなる?

たとえば片方の勤務先の年収が150万円、もう片方の勤務先の年収が20万円としたとき、年収150万円の勤務先で社会保険に加入することになります。
※片方の職場でのみ社会保険の加入条件を満たしている場合。


この場合、年収150万円のほうの月収をもとに社会保険料が決まります。
※厳密には標準報酬月額


片方の勤務先だけで社会保険に加入している場合は、2つの給料の合計額をもとに社会保険料が決まるわけではありません。
※2つの給料の合計で保険料が決まってしまったら、社会保険料の半分を負担することになる会社側が損してしまいます。
※もし、両方の職場で社会保険の加入条件を満たしており、2つの勤務先で社会保険に加入した場合は、それぞれの収入をもとに2つの勤務先で社会保険料を按分することになります。


あなたに配偶者がおり、配偶者が会社の社会保険に加入している場合

2つの職場の合計年収が130万円未満であり、あなたに配偶者がおり、配偶者が会社の社会保険(健康保険および厚生年金)に加入していれば、あなたは配偶者の社会保険の扶養に入ることができます。
配偶者の社会保険の扶養に入れば、あなた自身が支払う社会保険料は0円になります(つまり、国民年金や健康保険料が0円になります)。
ただし、あなたの1年間の収入が130万円以上になると社会保険の扶養から外れるので、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります。


あなたに配偶者がおり、配偶者が国民年金と国保に加入している場合

2つの職場で社会保険の加入条件を満たしておらず、配偶者が国民年金と国保に加入している場合、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。


あなたに配偶者がいない場合

2つの職場で社会保険の加入条件を満たしておらず、あなたに配偶者がいない場合、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。

また、あなたの親族が会社の社会保険(健康保険および厚生年金)に加入していれば、あなたは親族の社会保険の扶養に入ることができます。そうでなければあなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。

では次に、ダブルワークをしている方の確定申告について下記で説明していきます。確定申告をしなくてもいいときがあるのでチェックしておきましょう。


ダブルワークは確定申告が必要?確定申告ってなに?
ダブルワークは基本的に確定申告が必要

確定申告とは簡単に説明すると、1年間の稼ぎを申告して税金を納める手続きのことです。

ダブルワークなどでアルバイトやパートを掛け持ちしている場合、基本的には確定申告が必要になります。
片方の年末調整だけでは正確な税額が計算されないため、確定申告をして正確な税金を納めなければなりません。


ただし、下記で説明するように確定申告をしなくてもいいときがあります。
※確定申告をすれば税金が戻ってくる場合があるので、なるべく確定申告をすることをオススメします。


確定申告をしなくてもいいとき

ダブルワークをしている方でも以下の条件のどれかにあてはまるときには確定申告をする必要はありません。ダブルワークをしている方はチェックしておきましょう。

※確定申告をする場合は2つの勤務先の給料をすべて申告しなければいけません。
※出典:国税庁確定申告を要しない場合の意義


  • 給料を2つの勤務先から受けており、年末調整されなかったほうの給料が1年間(1月~12月まで)で総額20万円以下のとき
  • 2つの勤務先の給料の合計が1年間(1月~12月まで)で150万円以下のとき
    ※片方の勤務先で年末調整を受けている場合。
    ※収入が給料のみの場合
  • 出典:国税庁の給与所得者で確定申告が必要な人ページ


ダブルワークの確定申告のやり方

今はネットでかんたんに確定申告書を作成できます。作成した申告書を郵送して確定申告を終わらせましょう。
また、確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日までに申告をしましょう。


確定申告のながれ
STEP➊源泉徴収票など必要なものを用意する
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送し、税金を支払う(または払い戻される)

下記の記事で確定申告書をサッと作成して提出しましょう。
勤務先が2ヶ所以上ある場合の確定申告のやりかた

では次に、ダブルワークがバレてしまう問題について下記で説明していきます。副業等が禁止されている方はチェックしておきましょう。


アルバイトのかけもち等のダブルワークはバレてしまう?
ダブルワークをしていることは市区町村から伝達されます。

ダブルワークの注意点の1つとして「勤務先にバレてしまう」ことが挙げられます。


本業が会社員でその他の勤務先でアルバイトをしているような場合、基本的には自分で確定申告をして税金を納めなければなりません。


ただし、確定申告をすると翌年度から勤務先が徴収する住民税の金額が他の社員よりも多くなるので、ダブルワークをして稼いでいることがバレてしまう可能性があります。
※下記で説明するように、申告をしなくてもダブルワークしていることが勤務先に伝わる場合があります。


また、アルバイトなどのダブルワークの場合は副業のように住民税を自分で納付することが選択できないので、ダブルワークをしていることが高確率でバレることになります。
※副業とは、雑多な収入(ウーバーイーツやYouTube、ブログなど)を得ている活動をいいます。

確定申告をしなくてもダブルワークしていることは勤務先に伝わる?

複数の勤務先で給料をもらっており、主な勤務先でだけ住民税が天引きされている場合、その他の勤務先の給料についても、市区町村から主な勤務先に情報が伝達されます。
※その他の勤務先の給料の情報は給与支払報告書として市区町村に送られています。そして、市区町村はダブルワークしたぶんの住民税もまとめて徴収するためにその情報を主な勤務先に伝達します。

したがって、その他の勤務先の給料分の住民税が、翌年の住民税に反映されることになります。つまり、確定申告をしなくてもダブルワークしたぶんの住民税が主な勤務先で反映されて天引きされることになります。
※地方税法第321条の3
※ダブルワークしている方はなるべく確定申告をすることをオススメします(税金が返ってくる場合があるため)。確定申告のやり方は上記で説明しています。
※確定申告をしない場合、住民税の申告が必要になることがあります(確定申告をする場合は必要ありません)。


副業などが禁止されている会社に勤めている方でダブルワークをしようと思っている場合は注意しましょう。もしバレしまえば、会社によっては契約違反で減給や解雇されてしまう場合もあります。

では次に、ダブルワークをしている方の雇用保険はどうなるのかについて下記で説明していきます。雇用保険にも加入条件があるのでチェックしておきましょう。


雇用保険はどの勤務先で加入する?
雇用保険は2つの勤務先で加入することは出来ない

雇用保険は、会社などに雇用されている人(アルバイトなど含む)が加入する保険です。

複数の勤務先で働いている場合は主に賃金をもらっている会社でのみ加入することになります。
くわしい雇用保険については雇用保険ってなに?を参照。

下記の雇用保険の加入条件についてチェックしておきましょう。

雇用保険の加入条件を2つの勤務先で満たしている場合は?

複数の勤務先でそれぞれ雇用保険の加入条件を満たしている場合には、主に賃金をもらっている会社でのみ加入することになります。

複数の勤務先で雇用保険に加入することは出来ないので注意しましょう。

※ただし令和4年1月から、複数の勤務先で働く65歳以上の方が、そのうち2つの勤務先の合計勤務時間が20時間以上になる場合、特例で雇用保険に加入することができます。くわしくはこちらのお知らせで説明しています。

雇用保険の加入条件を満たしていなければ加入しない?

勤務先が一つだとしても以下の2つの条件を満たしていなければ雇用保険に加入することはありません。また、勤務先が複数あっても、両方の勤務先で労働時間がそれぞれ20時間未満であるなど、どの勤務先でも条件を満たさなければ加入することはありません。


雇用保険の加入条件

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
    ※所定労働時間:会社が就業規則などにより定めた労働時間のこと。

  • 31日以上の雇用見込みがあること

※昼間学生などは適用除外となり、雇用保険には加入できません。
※くわしい雇用保険については雇用保険ってなに?を参照。

住民税はどの勤務先で特別徴収される?

住民税は原則、主な勤務先(給与を多くもらっている職場)で特別徴収されることになっています。
※特別調整されない場合は、お住まいの市区町村から納付書が送られてくれるので納付書を用いて納めることになります。

年末調整はどっちで行う?
年末調整は主な勤務先で行う

アルバイトやパートを掛け持ちしている場合、年末調整主に勤めている職場で行うことになります。

どちらの職場でも年末調整を行ってしまうと所得控除が重複して適用されてしまうため、本来の税額よりも少なくなってしまう場合があります。


ただし、年末調整を2か所の勤務先に提出してしまったとしても確定申告をすれば問題ありません。
※2か所で勤務していても確定申告をしなくてもいい場合があります。くわしくは上記の項目で説明しています。

確定申告をする際は、勤務先がダブルワークを禁止していないか事前に確認しておきましょう。
※ダブルワークをしている場合、上記の項目で説明しているように基本的に確定申告が必要になります。


ここまでのまとめ(ダブルワークで税金はいくら増える?)

ここまで説明したように、ダブルワークをすると税金の計算が少しややこしくなります。

それぞれの勤務先で年末調整をしてしまうと税金額が間違ってしまう可能性があるので注意しましょう。

また、アルバイトなどを掛け持ちしている場合は基本的に確定申告が必要になることも覚えておきましょう。
※ダブルワークしている方はなるべく確定申告をすることをオススメします(税金が返ってくる場合があるため)。確定申告のやり方は上記で説明しています。

職場をかけもちしている場合のまとめ

  • 給料を合算してから税金の計算をする
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 社会保険は主に勤務している職場で加入する。条件を満たしていなければ加入するのは片方の勤務先だけ。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 稼いだ金額によっては確定申告をしなくてもいいときがある
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 確定申告をしてもしなくてもダブルワークをしていることがバレる可能性が高いのでダブルワークを禁止されている方は注意
    ※くわしくは上記で説明しています。
ダブルワークで税金はいくら増える?

ダブルワークをすれば手取りが増えることになりますが、そのぶん税金も上乗せされることを把握しておきましょう。
※たとえば本業の年収が200万円の方がダブルワーク先で月収5万円を稼いだ場合、税金は年間約65,000円上乗せされます。
下記の記事で年収ごとに金額をまとめているのでチェックしておくことをおすすめします。

ダブルワークで税金はいくら増える?月収2~9万円稼いだら?

副業が禁止されている職場で働いている方は注意してください。バレてしまうと契約違反で罰則(解雇など)を与えられる可能性があるので気をつけましょう。