フリーターや会社員で国民健康保険のとき税金や手取りはいくら?

2024.04.03 更新

社会保険に入らないでパートやアルバイトをしたり、飲食店や農林水産業などのような社会保険が適用されていない勤務先で働いている方も多いと思います。この記事では国保で働くフリーターや会社員の、税金や国民健康保険料がいくらになるか等について説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶国保加入者の税金や手取りはいくら?
年収120万なら国民健康保険料は約8.1万、手取りは約91万。
年収130万なら国民健康保険料は約9.1万、手取りは約100万。
年収150万なら国民健康保険料は約11万、手取りは約115万
年収200万なら国民健康保険料は約14.5万、手取りは約156万
年収300万なら国民健康保険料は約21.3万、手取りは約240万になる。
※国民年金20万を支払っている場合。
※税金などくわしくは下記でシミュレーションしています。


▶親に扶養されている場合はいくらまで稼げる?
親に扶養されているなら103万に気をつける。103万を超えれば親の税金が上がってしまうので、世帯の手取りが減ってしまう。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次
国民健康保険に加入しながら働くとき

勤務先から給料をもらっていても社会保険に加入できない場合があります。
※5人未満の個人経営の飲食店など。

このような場合、国民健康保険に加入しながら働いて稼ぐことになります。
社会保険の扶養に入っている場合は除きます。

国保に加入しつつ給料をもらっている方は、税金や保険料、手取りがいくらになるか等についてザッと把握しておきましょう。

チェックポイント

▶国保加入者の税金や手取り
社会保険に加入している場合と比べて、金額が多少異なるので注意。
※くわしくは下記で説明しています。


▶扶養されている場合
親族に扶養されているなら103万に気をつける。


▶国保と社会保険どっちが得?
年金の支払いも込みで考えると、年収300万以上で社会保険のほうが高くなる傾向。
※くわしくは下記で説明しています。


国保に加入しながら給料をもらう場合とはどんなとき?
社会保険がない勤務先で働いている場合など。

「加入条件を満たしていない」もしくは「強制適用されない職場」である場合、社会保険に加入せずに働くことになります。


下記のような場合、社会保険に加入していなくても罰則が与えられることはないので安心してください。
※フリーターやパート主婦の方などはチェックしておきましょう。

こんなときは社会保険に加入できないので国民健康保険に加入する

▶加入条件を満たしていない場合
パートやアルバイトとして働く時間や日数が少なく、加入条件を満たしていなければ社会保険には加入できません。
社会保険の扶養に入っている場合は除きます。



▶強制適用されない職場の場合
個人経営の飲食店や農林水産業などのような「非適用業種」や従業員が5人未満の個人事業主が経営する事業所の場合、働く時間や日数にかかわらず社会保険に加入することは出来ません。
※ただし、事業所で働く半数以上の人が同意し、事業主が申請すれば、従業員全員が社会保険に加入することになります(適用事業所になる)。
※非適用業種とは、飲食店や農業、林業、漁業、旅館、理美容店などがあてはまります。
※参照:全国健康保険協会適用事業所とは?
※参照:日本年金機構適用事業所と被保険者

社保と国保の違いについてはこちら↓
社会保険と国民健康保険どっちが安い?年収別に比較

では次に、国民健康保険に加入して働いたとき税金や手取りなどはいくらになるかについて下記で説明していきます。社会保険の場合と異なります。

税金や保険料はいくらになる?シミュレーション

国民健康保険に加入している場合の税金や手取りなどについて年収別にシミュレーションしました。

社会保険の扶養を抜けたフリーターや18歳未満の学生アルバイト、パート主婦の方などはザッと把握しておきましょう。

また、社会保険が適用されない職場で年収400万円を超える方などはチェックしておきましょう。

国保に加入している場合の税金や手取りシミュレーション

※40歳未満、独身、世田谷区、扶養親族なし、としてシミュレーションしています。
※税金等はこちらのシミュレーションで計算しています。

年収 税金 保険料 手取り
100万円 0円
所得税0円
住民税0円
約26万円
国民年金約20万
国保約6.2万
約73万円
110万円 5,000円
所得税0円
住民税5,000円
約27万円
国民年金約20万
国保約7.2万
約82万円
120万円 5,000円
所得税0円
住民税5,000円
約28万円
国民年金約20万
国保約8.1万
約91万円
130万円 約6,000円
所得税0円
住民税約6,000円
約29万円
国民年金約20万
国保約9.1万

※所得が少なければ国民年金が免除できる場合があります。
約100万円
140万円 約1.7万円
所得税約3,000円
住民税約1.4万
約30万円
国民年金約20万
国保約10万
約108万円
150万円 約3.1万円
所得税約8,000円
住民税約2.3万
約31万円
国民年金約20万
国保約11万
約115万円
200万円 約8.1万円
所得税約25,000円
住民税約5.6万
約34.5万円
国民年金約20万
国保約14.5万
約156万円
250万円 約12.8万円
所得税約41,000円
住民税約8.7万
約37.9万円
国民年金約20万
国保約17.9万
約198万円
300万円 約17.7万円
所得税約5.7万
住民税約11.9万
約41.3万円
国民年金約20万
国保約21.3万
約239万円

※金額は国保と給与シミュレーションで計算。

※40歳未満、独身、世田谷区、扶養親族無しとして計算。
※所得が少なければ国民年金が免除できる場合があります。
※世帯の所得が少なければ国民健康保険料が減額される場合があります。
社会保険に加入して働く場合はフリーターで130万円超えると損?年収いくらがベスト?を参照。
※「国民健康保険組合」の場合は、保険組合のルールによって保険料が変わります(定額の場合もあれば、所得が増えれば保険料も増額する場合もあります)。
社会保険の場合と金額が違う?

社会保険に加入している場合と比べると税金額が少し異なります。これは、社会保険料控除の金額が違うためです。国保と国民年金の金額が社会保険料(厚生年金と健康保険料)と違うので、同じ年収でも税金額がすこし違うんです。
※社会保険に加入した場合の金額はこちら→年収103万・130万・150万・170万のとき税金と保険料はいくら?

※収入が400万~1,000万円の場合の税金や手取りについては下記で説明しています。




400万~1,000万円の税金や手取りシミュレーション

※40歳未満、独身、世田谷区、扶養親族なし、としてシミュレーションしています。

年収 税金 保険料 手取り
400万円 約27.6万円
所得税約9.1万
住民税約18.5万
約48.3万円
国民年金約20万
国保約28.3万
約322万円
500万円 約41.2万円
所得税約15.5万
住民税約25.7万
約56.0万円
国民年金約20万
国保約36.0万
約400万円
1,000万円 約155.5万円
所得税約89.5万
住民税約66.0万
約99万円
国民年金約20万
国保約79.0万
約740万円

※税金等はこちらのシミュレーションで計算しています。
※「国民健康保険組合」の場合は、保険組合のルールによって保険料が変わります(定額の場合もあれば、所得が増えれば保険料も増額する場合もあります)。

社会保険に加入した場合、手取りは変わる?

社会保険が適用されていないからといって、手取りが極端に変わることはありません。
※扶養親族がいない場合。
ただし、厚生年金に加入できないので、老後の年金は少なくなります。年金を増やしたければiDeCoなどを利用しましょう。
また、年収300万円以上になると、社会保険に加入していないほうが手取りが上回ることが多くなります。

※収入が給与のみ、世帯で国民健康保険の加入者が1人の場合。

社会保険のメリットとデメリットはこちら↓
社会保険に加入したときのメリットとデメリットは?

では次に、国民健康保険に加入して働く人で扶養されている場合について下記で説明していきます。年収をいくらにしたらいいのか不安なひとはチェックしておきましょう。

扶養されている場合はいくらまで稼いでいい?

国民健康保険に加入しながら、勤務先から給料をもらっている場合、いくらまで働いていいのか不安になる方もいると思います。

扶養の有無でお得な年収を下記にまとめました。
社会保険の扶養に入っていない場合として説明しています。

扶養されている方(学生など)はいくらまで働いて稼いでいいのかチェックしておきましょう。

夫または妻に扶養されている場合は?

妻または夫に扶養されている場合、年収150万円を超えると配偶者の税金が徐々に上がり始めます。
※ただし、損するわけではありません。くわしくは国保の妻はパートでいくらまで働いてもいい?で解説しています。

親に扶養されている場合は?


▶誰にも扶養されていない場合

誰にも扶養されていなければ、1年間に稼ぐ金額を気にする必要はありません。たくさん稼げばそれだけ手取りが増えるので、ガンガン働いて稼いでください。



▶親族(親など)に扶養されている場合

親などに扶養されている場合、1年間(1月~12月まで)の収入は103万円以下にするのがオススメです。103万円を超えると扶養親族の対象から外れてしまいます。そうなれば、親族の税金は約5万円~17万円増えてしまいます。
※親が扶養控除を使えなくなるため。くわしくはこちらの記事を参照。
※今年1月~12月の給与が対象です。たとえばその月の勤務分の給与が翌月に支給されるなら、前年12月~今年11月に勤務したぶんの給与が1年間の給与収入となります。

したがって、国保に加入しながら103万円を超えるなら120万円以上稼がないと手取りが少なくなってしまう場合があります。

※親が国民健康保険の場合、130万の壁は無いので気にする必要はありません。収入が増えれば国民健康保険料も増えます(金額は上記表を参考にしてみてください)。

※122万円を超えると国民年金の納付猶予を利用できなくなるので、国民年金保険料が加算されることになります。
※学生の場合は年収194万円まで学生納付特例を利用できるので、保険料の支払いを先送りできます。
※勤務先の社会保険に加入する場合は、年収140万円~150万円以上稼がないと手取りが減る場合があります。くわしくはこちらの記事で説明しています。学生の場合はこちらの記事で説明しています。
※さらに親の勤務先によっては、扶養を外れると会社独自の福利厚生扶養手当や家族手当)がもらえなくなる場合があります。

※おすすめ記事:年収100万~600万の国民健康保険料はいくら?家族1人~5人だと?

では次に、社会保険の加入条件について下記で説明していきます。条件を満たせば社会保険に加入できます。

社会保険は条件を満たせば加入できる?

勤務先の社会保険に入るには働く時間などの条件をクリアしなければいけません。
下記のように社会保険に加入できない場合もあります。


かんたんに説明すると、「働く時間と日数を正社員の3/4以上にする」または「月収88,000円以上にする」などの条件を満たせば社会保険に加入することできます。
※くわしい社会保険の加入条件については社会保険の加入条件は?で説明しています。

社会保険に加入したくないときは?

何らかの理由で勤務先の社会保険に加入したくないという方もいると思います。

そのような場合、加入条件を満たさないように働く時間などを調節しましょう。
たとえば働く時間を週20時間未満にしたり、月収8.8万円未満にすれば社会保険に加入せずに働くことができます。くわしくは下記の記事で説明しています。

バイト先の社会保険に入りたくない。デメリットは?

社会保険に加入できない場合も?
▼次のような勤務先は社会保険が適用されません。

・個人で営んでいる5人未満の事業所

・個人で営んでいる非適用業種の事業所

※勤務先が個人ではなく法人として営んでいる場合は社会保険が適用されます。
※従業員の半数以上が社会保険の適用に同意し、事業主が申請をすれば、非適用業種でも社会保険の適用が認められます。
※参照:全国健康保険協会適用事業所とは?
※参照:日本年金機構適用事業所と被保険者

では次に、国民健康保険と社会保険でどちらが得なのかについて下記で説明していきます。加入する保険を自由に選択できるわけではありません。

国保と社会保険どっちが得?

国民健康保険も社会保険も給付の内容はほとんど違いはありません。
※たとえば医療費の窓口負担が3割になるなどの給付は一緒です。


また、はたらく時間などの条件を満たせば強制的に社会保険に加入することになるので、国民健康保険または社会保険に加入するかを選択することはできません。
※社会保険が適用されない勤務先の場合は国民健康保険しか加入できません。

したがって、たくさん給料を稼ぎたい方は社会保険などのことは気にせずにガンガン働くことをオススメします。

保険料は国保と社保どっちが高くなる?

保険料は大きく差が出る場合があります。
※国民健康保険の保険料率が市区町村によって大きく異なるため。
※年収200万だと社会保険料は約10万、国保は約14万になります。
※独身・サラリーマン・40歳未満・世田谷区でシミュレーション。



たとえば東京都の場合、年収300万円以上になると社会保険のほうが保険料が高くなる傾向があります。くわしくは下記の記事で説明しています。
※「国民健康保険料が高いなぁ」と感じているひとり暮らし年収300万円未満のフリーターの方は、社会保険が適用される勤務先に転職してもいいかもしれません。

社会保険と国民健康保険どっちが安い?年収別に比較

国保に加入して働く場合まとめ


▶社会保険に加入できない職場もあるの?
勤務先が個人経営の飲食店などのような非適用業種の場合は社会保険に加入できない。
※くわしくは上記で説明しています。


▶社会保険とくらべて何か変わることはある?
社会保険が適用されていないからといって、手取りが極端に変わることはない。ただし、社会保険に加入している場合と比べて老後の年金は少なくなる。
※くわしくは上記で説明しています。


▶国保と社保で保険料はどっちが高いの?
国保と社保どちらも給付はそれほど変わらない。年収300万円以上から社会保険料のほうが高くなる傾向がある。
※くわしくは上記で説明しています。

ここまで説明したように、勤務先の業種などによって社会保険に加入できない場合があります。
ですが、社会保険に加入できないからといって、手取りが極端に少なくなったり損するわけではありません。

※ただし、厚生年金に加入できないことで老後の年金は少なくなる傾向があることは覚えておきましょう。