勤務先から給料をもらっていても社会保険に加入できない場合があります。
※5人未満の個人経営の飲食店など。
このような場合、国民健康保険に加入して給料を受け取ることになります。
※社会保険の扶養に入っている場合は除きます。
社会保険に加入しない場合、保険料などがどれくらいになるか不安に感じる方もいると思います。
国保に加入しつつ給料をもらっている方は、税金や手取りがいくらになるか等についてチェックしておきましょう。
では最初に、国保に加入しながら給料をもらう場合とはどんなときかについて下記で説明していきます。勤務先によっては社会保険に加入できません。
多くの職場では、働く時間や日数などの加入条件を満たしていれば社会保険に加入することなります。
ですが、社会保険に加入せずに働くような場合もあります。
それは「加入条件を満たしていない」もしくは「強制適用されない職場」である場合です。
上記のような場合、社会保険にしていなくても罰則が与えられることはないので安心してください。フリーターやパート主婦の方などはチェックしておきましょう。
▶加入条件を満たしていない場合
パートやアルバイトとして働く時間や日数が少なく、加入条件を満たしていなければ社会保険には加入できません。
※社会保険の扶養に入っている場合は除きます。
▶強制適用されない職場の場合
個人経営の飲食店や農林水産業などのような「非適用業種」や従業員が5人未満の個人事業主が経営する事業所の場合、働く時間や日数にかかわらず社会保険に加入することは出来ません。
※ただし、事業所で働く半数以上の人が同意し、事業主が申請すれば、従業員全員が社会保険に加入することになります(適用事業所になる)。
※非適用業種とは、飲食店や農業、林業、漁業、旅館、理美容店などがあてはまります。
※参照:全国健康保険協会適用事業所とは?
※参照:日本年金機構適用事業所と被保険者
国民健康保険に加入している場合の税金や手取りなどについて年収別にシミュレーションしました。
40歳未満、独身、扶養親族なし、として計算しています。
社会保険の扶養を抜けたフリーターや18歳未満の学生アルバイト、パート主婦などはザッと把握しておきましょう。
また、社会保険が適用されない職場で年収400万円を超える方などはチェックしておきましょう。
※40歳未満、独身、世田谷区、扶養親族なし、としてシミュレーションしています。
年収 | 税金 | 保険料 | 手取り |
---|---|---|---|
100万円 | 0円 所得税0円 住民税0円 |
約25万円 国民年金約20万 国保約5.4万 |
約74万円 |
110万円 | 5,000円 所得税0円 住民税5,000円 |
約26万円 国民年金約20万 国保約6.3万 |
約83万円 |
120万円 | 5,000円 所得税0円 住民税5,000円 |
約27万円 国民年金約20万 国保約7.3万 |
約92万円 |
130万円 | 約9,000円 所得税0円 住民税約9,000円 |
約25万円 国民年金約20万 国保約8.2万 ※所得が少なければ国民年金が免除できる場合があります。 |
約101万円 |
140万円 | 約2.2万円 所得税約4,000円 住民税約1.8万 |
約25万円 国民年金約20万 国保約9.2万 |
約108万円 |
150万円 | 約3.5万円 所得税約8,000円 住民税約2.7万 |
約25万円 国民年金約20万 国保約10万 |
約116万円 |
200万円 | 約8.5万円 所得税約25,000円 住民税約6万 |
約33.5万円 国民年金約20万 国保約13.6万 |
約158万円 |
250万円 | 約13.3万円 所得税約41,000円 住民税約9.2万 |
約37.2万円 国民年金約20万 国保約17.2万 |
約200万円 |
300万円 | 約18.0万円 所得税約5.7万 住民税約12.3万 |
約40.3万円 国民年金約20万 国保約20.3万 |
約242万円 |
400万円 | 約28.1万円 所得税約9.0万 住民税約19.1万 |
約47.4万円 国民年金約20万 国保約27.4万 |
約325万円 |
500万円 | 約41.8万円 所得税約15.5万 住民税約26.3万 |
約55.0万円 国民年金約20万 国保約35.0万 |
約403万円 |
1,000万円 | 約156.2万円 所得税約89.2万 住民税約67.0万 |
約97.2万円 国民年金約20万 国保約77.2万 |
約747万円 |
※所得が少なければ国民年金が免除できる場合があります。
※所得が少なければ国民健康保険料が減額される場合があります。ただし、実家に住んでおり、世帯主がお金をたくさん稼いでいる場合は減額されません。
社会保険が適用されていないからといって、手取りが極端に変わることはありません。ただし、厚生年金に加入できないので、老後の年金は少なくなります。年金を増やしたければiDeCoなどを利用しましょう。
また、年収300万円以上になると、社会保険に加入していないほうが手取りが上回ることが多くなります。
※世帯で国民健康保険の加入者が1人の場合。
※社会保険が適用された場合の手取りはあなたの手取り・税金・社会保険料はいくら?を参照。
国民健康保険に加入しながら、勤務先から給料をもらっている場合、いくらまで稼いでいいのか不安になる方もいると思います。
それぞれお得な年収を下記にまとめました。
※社会保険の扶養に入っていない場合として説明しています。
とくに扶養されている方(学生など)はチェックしておきましょう。
▶誰にも扶養されていない場合
誰にも扶養されていなければ、1年間に稼ぐ金額を気にする必要はありません。たくさん稼げばそれだけ手取りが増えるので、ガンガン働いて稼いでください。
▶親族(親など)に扶養されている場合
親族(親など)に扶養されている場合、1年間(1月~12月まで)に稼ぐ金額は103万円以下にするのがオススメです。103万円を超えると扶養親族の対象から外れてしまいます。そうなれば、親族の税金は約5万円~17万円増えてしまいます。
※親が扶養控除を使えなくなるため。くわしくはこちらの記事を参照。
したがって、国保に加入しながら103万円を超えるなら120万円以上稼がないと手取りが少なくなってしまう場合があります。
※122万円を超えると国民年金の納付猶予を利用できなくなるので、国民年金保険料が加算されることになります。
※学生の場合は年収194万円まで学生納付特例を利用できるので、保険料の支払いを先送りできます。
※勤務先の社会保険に加入する場合は、年収140万円~150万円以上稼がないと手取りが減る場合があります。くわしくはこちらの記事で説明しています。学生の場合はこちらの記事で説明しています。
▶配偶者(妻または夫)に扶養されている場合
妻または夫に扶養されている場合、年収150万円を超えると配偶者の税金が徐々に上がり始めます。
※年収201万円を超えると税金が約11万円上がることになります。
ですが、配偶者の税金が増えるよりも、自分の手取りが増えるほうが上回ります。1年間のパート収入が多くなれば控除は利用できなくなりますが、損するわけではないので安心してください。
※くわしくはこちらの記事で説明しています。
したがって、いくらまで稼いでいいか不安になる必要はありません。たくさん稼げばそれだけ手取りが増えることになります。
※勤務先の社会保険に加入する場合は、年収140万円以上稼がないと手取りが減る場合があります。くわしくはこちらの記事で説明しています。
勤務先の社会保険に入るには働く時間などの条件をクリアしなければいけません。
かんたんに説明すると、労働時間等を正社員の3/4以上にする、または月収88,000円以上などの条件を満たせば社会保険に加入することできます。
※くわしい社会保険の加入条件については社会保険の加入条件は?で説明しています。
ただし、社会保険が適用されている職場に限ります。飲食店や農林水産業などの場合については下記の社会保険に加入できない場合もある?で説明しています。
何らかの理由で勤務先の社会保険に加入したくないという方もいると思います。
そのような場合、加入条件を満たさないように働く時間などを調節しましょう。くわしくはこちらの記事で説明しています。
では次に、社会保険に加入できない場合について下記で説明していきます。社会保険が適用されない勤務先もあります。
勤務先によっては「社会保険が適用されない」場合があります。
それは、個人で営んでいる5人未満の事業所、または「非適用業種」の事業を営んでいる事業所です。
非適用業種には、農業、林業、漁業、飲食店や理容店などのサービス業、神社などがあてはまります。
勤務先が上記の非適用業種であり、個人で営んでいる場合は社会保険が適用されません。
※勤務先が個人ではなく法人として営んでいる場合は社会保険が適用されます。
※従業員の半数以上が社会保険の適用に同意し、事業主が申請をすれば、非適用業種でも社会保険の適用が認められます。
・個人で営んでいる5人未満の事業所
・個人で営んでいる非適用業種の事業所
※勤務先が個人ではなく法人として営んでいる場合は社会保険が適用されます。
※従業員の半数以上が社会保険の適用に同意し、事業主が申請をすれば、非適用業種でも社会保険の適用が認められます。
※参照:全国健康保険協会適用事業所とは?
※参照:日本年金機構適用事業所と被保険者
国民健康保険も社会保険も給付の内容はほとんど違いはありません。
※たとえば医療費の窓口負担が3割になるなどの給付は一緒です。
ただし、保険料は大きく差が出る場合があります。
※国民健康保険の保険料率が市区町村によって異なるため。
たとえば東京都の場合、年収300万円以上になると社会保険のほうが保険料が高くなる傾向があります。
※「国民健康保険料が高いなぁ」と感じているひとり暮らし年収300万円未満のフリーターの方は、社会保険が適用される勤務先に転職してもいいかもしれません。
ただし、はたらく時間などの条件を満たせば強制的に社会保険に加入することになるので、国民健康保険または社会保険に加入するかを選択することはできません。
※社会保険が適用されない勤務先の場合を除く。
したがって、社会保険が適用されている職場で働いており、たくさんお金を稼ぎたい方は社会保険に加入してガンガン働くことをオススメします。
通常、会社員やアルバイトの方は年末調整によって税金額の調整をすることになります。
10月~12月頃に勤務先から年末調整の書類等を配布されるので、記入して提出するようにしましょう。
もし、年末調整をするのを忘れた場合でも確定申告をすれば税金を精算することができるので安心してください。
ここまで説明したように、勤務先の業種などによって社会保険に加入できない場合があります。
ですが、社会保険に加入できないからといって、手取りが極端に少なくなったり損するわけではありません。
ただし、厚生年金に加入できないことで老後の年金は少なくなる傾向があることは覚えておきましょう。