社会保険料控除とは、簡単に説明すると社会保険料を支払っていれば税金の負担を軽くしてくれるという制度です。
※社会保険料控除は所得控除のうちのひとつです。
働いてお金を稼いでいる方のほとんどは関わることになるので知っておくことをオススメします。
ちなみに、ガン保険や生命保険などの民間保険は社会保険料控除の対象外なので、混同しないように勘違いしないようにしましょう。
※ガン保険や生命保険には「生命保険料控除」が適用されます。
では最初に、社会保険料とは何なのかについて下記で説明していきます。社会保険料にはどんな保険料が含まれるのかチェックしておきましょう。
社会保険料とは医療保険・年金・介護保険などの保険料のことをいいます。
※医療保険とは健康保険や共済組合や国民健康保険などをいいます。
たとえば自分が支払った保険料や子供の国民年金をかわりに支払った場合の保険料が社会保険料に該当します。
これらの保険料を支払ったぶんが社会保険料控除として適用できます。
※自分が学生のときに納付猶予などで支払っていなかった国民年金を今年度になってから支払ったときや子供の国民年金をかわりに支払ったときなども社会保険料控除の申請ができます。
ただし、民間保険については社会保険ではないので控除は適用されないので注意しましょう。
※ガン保険や生命保険は生命保険料控除が適用されます。
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では次に、社会保険料控除で税金が安くなる理由について下記で説明していきます。社会保険料を支払っている会社員やフリーターの方などは知っておきましょう。
社会保険料控除は、支払った保険料のぶんの金額を所得から差し引いてくれる所得控除です。
年収が増えればそのぶん支払う社会保険料も増えますが、そのぶん社会保険料控除で差し引かれる金額も増えるので、所得が減って税金の負担を軽くしてくれます。
※【支払った保険料のぶんの金額が所得から差し引かれる】 → 【所得が減ってくれれば所得税も安くなる】という仕組みです。
※社会保険料控除の金額のぶんだけ税金が安くなるわけではないので注意してください。
▶社会保険料を支払っていない場合
たとえば1年間(1月~12月まで)の所得が200万円であり、所得控除が100万円とすると、あなたの課税所得は100万円となります。
※課税所得とは:「総所得金額 – 所得控除」のこと。
そして、課税所得100万円に所得税率5%をかけると、1年間の所得税は5万円となります。
※課税所得195万円以下は所得税率が5%になります。
▶社会保険料を支払っている場合
たとえば1年間(1月~12月まで)の所得が200万円であり、所得控除が100万円とします。社会保険料を1年間で40万円支払ったとすると、社会保険料控除が40万円ぶん追加されて、所得控除は140万円となります。
したがって、あなたの課税所得は60万円となります。
※課税所得とは:「総所得金額 – 所得控除」のこと。
そして、課税所得60万円に所得税率5%をかけると、1年間の所得税は3万円となります。
※課税所得195万円以下は所得税率が5%になります。
以上のように、社会保険料控除のおかげで所得が減るので、税金が安くなっていることがわかります。
では次に、親族のかわりに保険料を支払った場合について下記で説明していきます。自分以外の保険料も対象です。
親族の国民年金をかわりに支払ったり、国民健康保険料を世帯主以外の方が支払ったりした場合、社会保険料控除が適用されます。
たとえば、あなたが子供の国民年金を支払った場合、支払った保険料を社会保険料控除として申告すれば控除を受けることができます。
また、国民健康保険料は世帯主に請求されることになりますが、世帯主以外の方(たとえばあなた)が保険料を支払った場合、支払った保険料を社会保険料控除として申告すれば控除を受けることができます。
親族のかわりに保険料を支払ったときはかならず控除を受けるようにしましょう。
国民健康保険について
国民健康保険については、保険料を支払った証明などを添付する必要はありません。保険料を支払った方が、支払った金額を申告することになります。
※くわしくはお住まいの市区町村HPにてご確認ください。
では次に、具体的に金額をあてはめてどのように控除が適用されるのか社会保険料控除込みで所得税をシミュレーションしていきます。
会社員の1年間の所得税がどれくらいになるかシミュレーションしてみましょう。条件は以下のとおりです。
この条件で所得税はいくらになる?
たとえば1年間の収入が給与収入のみで380万円、所得控除が103万円(
①まずは給与所得の計算
上記の条件のとき、給与所得は、
となります。給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。
②次に課税所得を計算
総所得金額は計算できたので(260万円)、次に課税所得を算出します。課税所得は、
となります。
最初に決めた条件から、所得控除は103万円(
となります。
③所得税を計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は、
となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、
となります。
もし社会保険料控除がなければ?
もし社会保険料控除(55万円)を適用しないとすると、そのぶん課税所得は以下のように増えるので、控除を申請したときと比べて税金の負担が重くなってしまいます。このように、社会保険料控除がないと税金が高くなることがわかります。
では次に、社会保険料控除の申請方法について下記で説明していきます。年末調整で申請する方はチェックしておきましょう。
社会保険料控除を適用するには年末調整で申請をしなければなりません。
※会社員やアルバイトなどのように毎月給料から差し引かれる社会保険料については自動的に控除されるので、社会保険料控除で申請する必要はありません。
たとえば、自分が学生のときに納付猶予などで支払っていなかった国民年金を今年度になってから支払ったときや子供の国民年金をかわりに支払ったときなどに年末調整で社会保険料控除の申請をしてください。
以下のページで社会保険料控除の書き方(年末調整)と申請方法を説明しています。社会保険料控除を利用する方はぜひ参考にしてみてください。
▶社会保険料控除を申請する場合は以下の青枠の中を記入してください。
※下記は「子供の国民年金を代わりに支払った場合」の記入例です。
勤務先から年末調整の用紙を渡されたら、下記のページを参考にして社会保険料控除の申請をしましょう。記入する内容は難しくないので安心してください。
社会保険料控除の申請方法については保険料控除申告書の書き方を参照。
年末調整の書き方については年末調整の書き方見本・記入例を参照。
確定申告をする方で社会保険料控除を利用できる場合は社会保険料控除の申告をしましょう。
今はネットで確定申告書を作成できます。手順にしたがって進めていけば簡単に作成できます。
作成した申告書を提出または郵送してサッと確定申告を終わらせましょう。
下記は確定申告での社会保険料控除の入力ページです。
①入力するをクリックしてください
確定申告のやりかたは?
確定申告書の作成については下記の記事でパターン別(会社員の場合など)にまとめています。
確定申告のやり方まとめ(給料や雑所得などのパターン別)
自分が学生のときに納付猶予などで支払っていなかった国民年金を今年度になってから支払ったときや、子供の国民年金をかわりに支払ったときなどに社会保険料控除の申請をしましょう。