扶養控除とは?わかりやすく解説。養う家族がいれば税金が安くなる?申請は?

2022.11.10 更新

高校生や大学生の子供がいる家庭にとっては大事な扶養控除。どのくらい税金がお得になるか等についてザッと把握しておきましょう。この記事では「扶養控除」を利用するとどうなるのか等について説明していきます。
この記事の目次
扶養控除とは?どんな制度?

扶養控除ふようこうじょとは、簡単に説明するとやしなう家族がいれば税金の負担を軽くするという制度です。


たとえば会社員の夫に高校生の子供がいれば扶養控除を利用することで税金が安くなります。
※子供が16歳以上であること。
※夫婦二人ともが一人の子に対して扶養控除を申告することはできません。



ただし、扶養控除を利用するにはいくつか条件があるのでチェックしておきましょう。税金がどれくらい安くなるか等についてもシミュレーションしています。

この記事の要点

  • 16歳以上の扶養親族が対象。

  • 扶養親族になるには合計所得が48万円(給料のみだと103万円)以下じゃないとダメ。

  • 扶養控除で税金が約5万円~17万円安くなる。

  • 扶養控除を適用するには年末調整などで申請しなければいけない。

こんなページもみられています
妻が扶養から外れるといくらかかる?夫の税金はいくら増える?

では最初に、扶養控除を利用するための条件について下記で説明していきます。子供がいる親は「扶養親族とは何か」についてもチェックしておきましょう。
※子供の収入がいくらまで扶養親族でいられるか具体的に計算シミュレーションして説明しています。

扶養控除の条件は?扶養親族とは?
扶養控除は16歳以上の親族が対象

親族ならだれでも扶養控除を利用できるわけではありません。

扶養控除は扶養親族のうち年齢が16歳以上の方がいる場合に適用できます。
※扶養親族になる条件は下記のとおりです。


扶養親族とは、扶養されている親族のことです。たとえば親が子供を養っている場合、親にとっての扶養親族は「子供」になります。
※子供が親を養っている場合、子供にとっての扶養親族は「親」になります。
※夫婦二人ともが一人の子に対して扶養控除を申告することはできません。

扶養親族って?扶養控除の条件は?

扶養親族になる条件は?
下記にすべてあてはまる方を扶養親族といいます。

  • 配偶者以外の親族であること
    配偶者とは:妻から見た夫、夫から見た妻のこと。
  • 納税者(控除を受ける人)と生計を一にしていること
    ※別居している場合、仕送り等をしている証明を確認されることもあります。
  • 1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下であること
    合計所得金額48万円については以下で説明。


扶養控除が適用される条件

  • 16歳以上の扶養親族であること
    ※その年12月31日の年齢で判定されます。したがって、11月末に誕生日である場合は現在15歳でも12月31日には16歳になるので扶養控除の対象になります。
※青色申告者の配偶者以外の親族で青色事業専従者にあてはまり、給与の支払を受ける方または白色申告者の配偶者以外の親族で事業専従者にあてはまる方は、扶養親族に該当しません。
※出典:国税庁扶養控除
※出典:国税庁扶養控除生計を一にするの意義
合計所得48万円とは?給料103万を超えるとダメ?


例えば、あなたの子供(高校生)の収入がアルバイトの給与収入のみであり、1年間(1月~12月末まで)の収入が103万円のとき、給与所得は48万円となります。それ以外に所得がないので合計所得金額は48万円となります。この場合、あなたの子供は扶養控除の対象になります。

103万円給与収入55万円給与所得控除 = 48万円給与所得(合計所得金額)
給与所得控除については給与所得とはを参照。

※給料のほかに所得がある場合は下記の記事を参照。
所得48万円を超えると扶養してくれている親族の税金が上がる?

したがって、アルバイトの収入が1年間(1月~12月まで)で103万円を超えてしまうと合計所得金額が48万円を超えてしまうので、扶養控除の対象から外れてしまいます。

では次に、扶養控除で税金がいくら安くなるのか下記で説明していきます。どれくらいの金額が節税できるか把握しておきましょう。
※16歳以上の親族を扶養していると税金がどれくらい安くなるか年収ごとに表でまとめています。気になる方は下記表をチェックしておきましょう。

扶養控除を利用するといくら安くなる?
扶養控除で税金が約5万円~17万円安くなる

年収にもよりますが、扶養控除を利用すると税金は年間約5万円~17万円ほど安くなる場合が多いでしょう。
※所得税と住民税が安くなります。
※これから初めて控除を受ける会社員などは約5~17万円の税金が安くなることになります。



扶養親族の年齢によって安くなる金額が変わるのが特徴です。特に19歳~22歳の親族(大学生の子供など)がいる家庭は、扶養控除で安くなる金額が増えるので通常よりお得です。
※扶養親族の年齢によって控除額が変わるため。
※19歳~22歳の扶養親族は特定扶養親族といいます。



税金がいくら戻るのか気になる方は下記のシミュレーションをチェックしておきましょう。
※住民税は翌年の金額に反映されます(住民税は前年の所得で決定するため)。

16歳以上の扶養親族のときは?

たとえば40歳以下・社会保険加入・16歳以上の扶養親族1人という条件の方が扶養控除を利用したとき。
※70歳以上の親を扶養する場合については下記を参照。
 

扶養控除を利用するひとの年収 減額される税金
年収250~400万円のとき 所得税は19,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算
年収500~600万円のとき 所得税は38,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算
年収700~850万円のとき 所得税は76,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算

※個人事業主はこちらのシミュレーションで計算できます。上記の年収と結果が変わるので気をつけましょう。
※上記は扶養親族1人を扶養したときの年間額。
※人数が増えればさらに税金が安くなるメリットを受けられます。

19歳~22歳の扶養親族については下記の表で計算しています。金額が上記と変わるのがポイントです。
※子供の年齢が19歳以上23歳未満のときは上記よりも金額が増えるので下記表をチェックしておきましょう。





19歳以上22歳以下の扶養親族のときは?

たとえば40歳以下・社会保険加入・19歳以上22歳以下の扶養親族1人という条件の方が扶養控除を利用したとき。
 

扶養控除を利用するひとの年収 減額される税金
年収250~430万円のとき 所得税は31,500円安くなります。
住民税は45,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算
年収540~640万円のとき 所得税は63,000円安くなります。
住民税は45,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算
年収740~850万円のとき 所得税は126,000円安くなります。
住民税は45,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算

※個人事業主はこちらのシミュレーションで計算できます。上記の年収と結果が変わるので気をつけましょう。
※上記は特定扶養親族1人を扶養したときの年間額。
※人数が増えればさらに税金が安くなります。

では次に、扶養控除を適用したときの税金の計算過程を下記で説明していきます。年収350万円の会社員としてシミュレーションしています。
※年収から所得税をわかりやすく計算していきます。扶養控除を利用していない場合についても説明しています。


扶養控除込みで所得税をシミュレーションしてみよう

給料をもらっている人(会社員など)が扶養控除を利用したとき、税金がどれくらいになるかシミュレーションしてみましょう。

ここでは会社員の夫が高校生の子供を扶養している場合として計算していきます。


①まず扶養控除の対象になるかどうか。
たとえば高校生の子供の収入が給与収入(アルバイト)のみであり、1年間の収入が100万円のとき、給与所得は45万円となります。

100万円給与収入55万円給与所得控除  =  45万円給与所得
給与所得控除についてはこちらを参照。

子供の収入は給与収入のみなので、合計所得金額は45万円となります。したがって、子供は扶養控除の対象となります。



②夫の給与所得の計算
ここから夫が扶養控除を適用したときの計算

たとえば夫の収入が給与収入のみであり、年間収入が350万円のとき、給与所得は、

350万円給与収入113万円給与所得控除  =  237万円給与所得
給与所得については給与所得とは?を参照。

となります。給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。

③次に課税所得を計算する(扶養控除込み)
総所得金額は計算できたので(237万円)、次に課税所得を算出します。課税所得は、

237万円総所得金額 - 所得控除 = 課税所得
課税所得については、課税所得とは?を参照。

となります。所得控除を127万円(38万円扶養控除 + 48万円基礎控除 + 41万円社会保険料控除)としたとき、課税所得は、

237万円総所得金額127万円所得控除 = 110万円課税所得
所得控除については所得控除とは?を参照。
課税所得については課税所得を参照。

となります。

④所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

110万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

110万円課税所得 × 5% = 55,000円所得税
所得税率については所得税率とは?を参照。
所得税の計算についてはこちらを参照。

ちなみに上記の条件のとき住民税は約11万円かかります。

となります。

もし扶養控除を利用しなければ税金はどうなる?
扶養控除38万円を利用しない場合、そのぶん課税所得が増えるので、

(110万円 + 38万円)課税所得 × 5% = 74,000円所得税

ちなみに上記の条件のとき住民税は約15万円かかります。

となり、控除を申請したときと比べて税金の負担が重くなってしまいます。なので、扶養控除が利用できるなら年末調整または確定申告で申請しましょう。
※こんなページもみられています
手取りと税金をパッと計算!シミュレーション



親を扶養に入れる場合は?
自分の両親も扶養控除の対象になる

扶養控除は「自分の両親」にも適用することができます。


あなたの年収にもよりますが、自分の親に扶養控除を適用するとあなたの税金の負担は約5~16万円ほど軽くなる場合が多いでしょう。
※親を扶養すれば約5~16万円節税をすることができます。


親を扶養に入れる場合は年齢が70歳未満・70歳以上で控除される金額が変わります。

親を扶養に入れるといくら節税できる?扶養控除で税金が安くなる?


※年金受給者の親族などを扶養するつもりの方は上記の記事をチェックしておきましょう。
※両親などを扶養に入れる場合、同居しているかどうかによっても控除される金額が変わります。

では次に、扶養控除の控除額について下記で説明していきます。扶養親族の分類によって控除額が異なります。
※年齢ごとに控除される金額を表にまとめているので、扶養控除を利用するかたは下記をチェックしておきましょう。

扶養親族の年齢によって控除額が違う?
扶養親族の年齢によって区分が変わる

16歳以上の扶養親族は以下のように分類されています。

扶養親族の区分によって、扶養控除を利用したときの控除額が異なることを知っておきましょう。

扶養親族の区分と控除額
たとえば、あなたが特定扶養親族を1人扶養している場合、扶養控除の控除額は63万円になります(住民税においては控除額45万円)。

特定扶養親族1人と一般の扶養親族1人を扶養している場合、扶養控除の控除額は合計101万円になります。

扶養控除の区分
扶養控除の区分

たとえば16歳以上の扶養親族は一般の扶養親族になり、控除額は38万円が適用されます。控除額38万円だと税金は約5万円~11万円安くなることが多いです。
※控除額38万円で税金が38万円安くなるわけではありません。所得から38万円が控除されて所得金額が38万円減るので、所得が減ったぶん税金が安くなるというしくみです。
※くわしくは上記の表で安くなる税金額をまとめています。


では次に、扶養控除の利用するための申請方法について下記で説明していきます。申請をしないと扶養控除は利用できないのでチェックしておきましょう。



年末調整での扶養控除の申請は?
扶養控除を利用するには申請が必要

会社員などが扶養控除を適用するには年末調整で申請をしなければなりません。

扶養控除は16歳以上の親族がいる家庭にとってお得な制度なので、忘れないように申請しましょう。
※税金がいくらお得になるかは上記で説明しています。

年末調整の書類は10月~12月頃に勤務先から配布されるので、その書類に記入して提出しましょう。

以下のページで年末調整の書き方と申請方法を説明しています。扶養控除を利用する方はぜひ参考にしてみてください。
※子供のアルバイト収入の書き方なども説明しています。

年末調整で扶養控除の申請をする方はこちら

扶養控除の申請方法については、扶養控除の申請(年末調整の記入例)を参照。
年末調整の書き方については、年末調整の書き方見本・記入例を参照。

では次に、確定申告で申請する場合について下記で説明していきます。






確定申告の場合は?

確定申告で申請するときは申告書作成の際に「扶養控除の項目」に記入すれば申請することができます。

今はネットでかんたんに確定申告書を作成することができます。作成した申告書を税務署に郵送すると申告完了となります。

※下記は扶養控除の申請ページです。

会社員やアルバイトの場合など、パターン別に確定申告のやり方を上記の記事でまとめています。手順を確認しながら申告書を作成してみましょう。

こどもがアルバイトで稼ぎすぎて扶養から外れると?

子供がアルバイトをしてお金を稼いでいる場合は1年間に稼ぐ金額に注意してください。

上記の項目でも説明したように、1年間の合計所得が48万円を超えてしまうと扶養から外れてしまいます。
※給料のみなら1年間で103万円(つまり、給与所得48万円)を超えてしまうと扶養から外れてしまいます。


こどもが扶養から外れれば親は扶養控除を利用することができなくなってしまうので、税金が安くなるメリットを受けられなくなってしまいます。

19歳~22歳の子供は注意?

19歳~22歳の子供を扶養している場合、扶養から外れてしまうと通常より税金の負担の影響が大きくなるので注意しましょう。
※19歳~22歳は特定扶養親族のため。
※くわしくは下記の記事で説明しています。ちなみに、扶養から外れても今後ずっと扶養親族になれないわけではありません。扶養から外すとどうなるか気になる方はチェックしておきましょう。

フリーターや16歳以上の学生が扶養から外れるといくらかかる?

では次に、共働きの家庭はどっちが扶養したほうが良いのかについて下記で説明していきます。基本的には年収が多いほうが扶養したほうがメリットがあります。


共働きの家庭は妻と夫どっちが扶養控除を利用したほうがいい?

扶養控除は一人の親族に対して「二人以上」が適用することはできません。

したがって、夫婦に子供1人がいる場合、妻または夫のどちらか一人が扶養控除を利用することになります。

共働きの家庭はどちらが扶養控除を利用すればいいのか不安になると思います。


結論からいうと、年収が多い側が扶養控除を利用したほうがメリットが大きくなります。
※ただし、16歳未満の子供を扶養する場合、年収が少ない側が扶養したほうが住民税が安くなるメリットを受けられることもあります(住民税が0円になります)。
くわしくは下記の記事で説明しているので気になる方はチェックしておきましょう。

では次に、社会保険の扶養との違いについて下記で説明していきます。扶養控除とごちゃごちゃにしないように把握しておきましょう。


社会保険の扶養との違いは?

扶養といえば扶養控除のほかにも「社会保険の扶養」があります。

たとえば親が会社員の場合、子供を社会保険の扶養に入れることができます。

社会保険の扶養に入れば毎月支払う保険料が0円になる特典を受けられます。


ただし、扶養に入る条件は扶養控除とは異なるので、ごちゃごちゃにならないように気をつけましょう。

くわしくは以下の記事で説明しているので気になる方はチェックしておきましょう。

では最後に、ここまでのまとめについて下記で説明していきます。


ここまでのまとめ

ここまで説明したように、扶養控除は16歳以上の親族を養っている場合に税金が安くなる制度です。

ただし、扶養親族が16歳未満であったり、1年間の収入が103万円を超えてしまうと扶養控除を利用できなくなってしまうので注意しましょう。
※その年12月31日時点で16歳なら扶養控除の対象になります。

また、扶養控除を適用する際は申請を忘れないようにしましょう。

ここまでのまとめ

どうなると扶養控除が使えるの?
16歳以上の扶養親族がいれば、扶養控除が使えるので税金が安くなる。
※くわしくは上記で説明しています。


いくら稼ぐと扶養親族の対象から外れてしまうの?
扶養親族の合計所得が1年間で48万円を超えてしまうと扶養親族から外れてしまう。
※くわしくは上記で説明しています。


扶養控除でどれくらい税金が安くなるの?
扶養控除で約5万円~17万円税金が安くなる。
※くわしくは上記で説明しています。


扶養している親族の年齢で何か変わるの?
扶養親族の年齢によって安くなる金額が変わる。
※くわしくは上記で説明しています。

扶養控除を利用する方は上記のまとめをザッと把握しておきましょう。妻または夫がパートをしている方は下記の記事でおすすめの年収について説明しているのでチェックしておきましょう。