扶養控除とは?わかりやすく解説。養う家族がいれば税金が安くなる?申請は?

2021.09.30 更新
お金を稼げば納めなければならない税金。そんな税金の負担を軽くしてくれる扶養控除って知っていますか?この記事では扶養控除とは何かや申告方法について説明していきます。
この記事の目次
扶養控除とは?どんな制度?

扶養控除ふようこうじょとは、簡単に説明するとやしなう家族がいれば税金の負担を軽くするという制度です。


たとえば会社員の夫に子供がいれば扶養控除を利用することで税金が安くなります。
※夫婦二人ともが一人の子に対して扶養控除を申告することはできません。


ただし、扶養控除を利用するにはいくつか条件があるのでチェックしておきましょう。

この記事の要点

  • 16歳以上の扶養親族が対象。

  • 扶養親族になるには合計所得が48万円(給料のみだと103万円)以下じゃないとダメ。

  • 控除される金額は年齢によって違う。

  • 扶養控除で税金が約5万円~17万円安くなる。

  • 社会保険の扶養とは違う。

  • 扶養控除を適用するには年末調整などで申請しなければいけない。

では最初に、扶養控除を利用するための条件について下記で説明していきます。子供がいる親はチェックしておきましょう。


扶養控除の条件は?扶養親族とは?

扶養控除は扶養親族のうち年齢が16歳以上の方がいる場合に適用できます。


扶養親族とは、扶養されている親族のことです。たとえば親が子供を養っている場合、親にとっての扶養親族は「子供」になります。
※子供が親を養っている場合、扶養親族は「親」になります。


以下の要件にすべて当てはまる方を扶養親族といいます。

扶養親族って?扶養控除の条件は?

扶養親族の要件

  • 配偶者以外の親族であること
    配偶者とは:妻から見た夫、夫から見た妻のこと。
  • 納税者(控除を受ける人)と生計を一にしていること
  • 1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下であること
    合計所得金額48万円については以下で説明。


扶養控除が適用される扶養親族

  • 16歳以上であること
    ※その年12月31日の年齢で判定されます。したがって、11月末に誕生日である場合は現在15歳でも12月31日には16歳になるので扶養控除の対象になります。
    ※青色申告者の配偶者以外の親族で青色事業専従者にあてはまり、給与の支払を受ける方または白色申告者の配偶者以外の親族で事業専従者にあてはまる方は、扶養親族に該当しません。
合計所得金額48万円とは?給料が103万円を超えてしまうと?


例えば、あなたの子供(高校生)の収入がアルバイトの給与収入のみで1年間(1月~12月まで)に103万円のとき、給与所得は48万円となります。それ以外に所得がないので合計所得金額は48万円となります。この場合、あなたの子供は扶養控除の対象になります。

103万円給与収入55万円給与所得控除 = 48万円給与所得(合計所得金額)
給与所得控除については給与所得とはを参照。

したがって、アルバイトの収入が1年間(1月~12月まで)で103万円を超えてしまうと合計所得金額が48万円を超えてしまうので、扶養控除の対象から外れてしまいます。


給料のほかに収入がある場合の合計所得金額48万円とは?


例えば、あなたの子供の収入がアルバイトの給与収入と雑多な収入(ウーバーやYouTubeの広告収入など)がある場合。

①まず給与所得を計算
アルバイトの給与収入が1年間(1月~12月まで)に80万円のとき、給与所得は25万円となります。

80万円給与収入55万円給与所得控除 = 25万円給与所得(合計所得金額)
給与所得控除については給与所得とはを参照。

②つぎに雑所得を計算
雑多な収入(ウーバーやYouTubeの広告収入など)が1年間(1月~12月まで)に50万円のとき、雑所得は50万円となります。

50万円雑多な収入0円経費 = 50万円雑所得
計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
雑所得については雑所得とは?を参照。

③合計所得を計算
あなたの子供の所得(給与所得と雑所得)を合計します。

給与所得は25万円、雑所得は50万円なので合計所得金額は75万円となります。

25万円給与所得50万円雑所得 = 75万円合計所得金額
合計所得金額とは各種所得の合計のこと。

上記の場合、あなたの子供の合計所得金額が48万円を超えてしまっているので、扶養控除の対象から外れてしまいます。

以上の条件を見てわかるように、16歳以上の扶養親族がいない方は扶養控除を利用することはできません。
※現在16歳未満でも、その年12月31日時点で16歳以上なら扶養控除の対象になります。

では次に、扶養控除を利用するとどれくらい税金が安くなるのか下記で説明していきます。年収別にシミュレーションしているので気になる方はチェックしておきましょう。


扶養控除を利用するといくら安くなる?

年収にもよりますが、扶養控除を利用すると税金は約5~17万円ほど安くなる場合が多いでしょう。


扶養親族の年齢によって控除される金額が変わるので注意してください。


以下に年齢ごとにシミュレーションしているのでどれくらい安くなるのかチェックしてみてください。

16歳以上の扶養親族のときは?

たとえば40歳以下・社会保険加入・16歳以上の扶養親族1人という条件の方が扶養控除を利用したとき。
 

扶養控除を利用するひとの年収 減額される税金
年収250~400万円のとき 所得税は19,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算
年収500~600万円のとき 所得税は38,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算
年収700~900万円のとき 所得税は76,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算

※扶養控除の対象となる家族1人あたり

 

19歳以上22歳以下の扶養親族のときは?

たとえば40歳以下・社会保険加入・19歳以上22歳以下の扶養親族1人という条件の方が扶養控除を利用したとき。
 

扶養控除を利用するひとの年収 減額される税金
年収250~430万円のとき 所得税は31,500円安くなります。
住民税は45,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算
年収540~640万円のとき 所得税は63,000円安くなります。
住民税は45,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算
年収740~940万円のとき 所得税は126,000円安くなります。
住民税は45,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算

※扶養控除の対象となる家族1人あたり

こんなページもみられています

アルバイトで稼ぎ過ぎて103万を超えると親の税金が高くなる?

では次に、親を扶養に入れる場合について下記で説明していきます。扶養控除は子供以外にも適用することができます。


親を扶養に入れる場合は?

扶養控除は子供だけじゃなくて自分の親などにも適用することができます。


あなたの年収にもよりますが、自分の親に扶養控除を適用するとあなたの税金の負担は約5~16万円ほど軽くなる場合が多いでしょう。


親を扶養に入れる場合は年齢が70歳未満・70歳以上で控除される金額が変わります。くわしく知りたい方は下記のページで説明しているのでチェックしておきましょう。

扶養親族の区分と控除額

16歳以上の扶養親族は以下のように分類されています。

それぞれ控除額が異なることを知っておきましょう。

扶養親族の区分と控除額

たとえば16歳以上の扶養親族は「一般の扶養親族」になり、控除額は38万円が適用されます。控除額38万円だと税金は約5万円~17万円安くなることが多いです。
※くわしくは上記の表でまとめています。

では次に、具体的に金額をあてはめて扶養控除を利用したときの税金を計算してみましょう。下記でシミュレーションしているので計算方法をチェックしておきましょう。

扶養控除込みで所得税をシミュレーションしてみよう

給料をもらっている人(サラリーマンなど)が扶養控除を利用したとき、税金がどれくらいになるかシミュレーションしてみましょう。


①まず扶養控除の対象になるかどうか。
たとえば高校生の子供の収入が給与収入(アルバイト)のみであり、1年間の収入が100万円のとき、給与所得は45万円となります。

100万円給与収入55万円給与所得控除  =  45万円給与所得
給与所得控除についてはこちらを参照。

子供の収入は給与収入のみなので、合計所得金額は45万円となります。したがって、子供は扶養控除の対象となります。


ここから夫が扶養控除を適用したときの計算
②夫の給与所得の計算

たとえば夫の収入が給与収入のみであり、年間収入が350万円のとき、給与所得は、

350万円給与収入113万円給与所得控除  =  237万円給与所得
給与所得については給与所得とは?を参照。

となります。給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。

③次に課税所得を計算する(扶養控除込み)
総所得金額は計算できたので(237万円)、次に課税所得を算出します。課税所得は、

237万円総所得金額 - 所得控除 = 課税所得
課税所得については、課税所得とは?を参照。

となります。所得控除を127万円(38万円扶養控除 + 48万円基礎控除 + 41万円社会保険料控除)としたとき、課税所得は、

237万円総所得金額127万円所得控除 = 110万円課税所得
所得控除については所得控除とは?を参照。
課税所得については課税所得を参照。

となります。

④所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

110万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

110万円課税所得 × 5% = 55,000円所得税
所得税率については所得税率とは?を参照。
所得税の計算についてはこちらを参照。

ちなみに上記の条件のとき住民税は約11万円かかります。

となります。

もし扶養控除を利用しなければ税金はどうなる?
扶養控除38万円を利用しない場合、そのぶん課税所得が増えるので、

(110万円 + 38万円)課税所得 × 5% = 74,000円所得税

ちなみに上記の条件のとき住民税は約15万円かかります。

となり、控除を申請したときと比べて税金の負担が重くなってしまいます。なので、扶養控除が利用できるなら年末調整または確定申告で申請しましょう。
 

2人以上いればさらに税金は安くなる
扶養控除の対象となる家族が二人なら(38万円 × 2)の76万円が扶養控除額となり、さらに税金の負担は軽くなります。

では次に、扶養控除の利用するための申請方法について下記で説明していきます。申請をしないと扶養控除は利用できないのでチェックしておきましょう。


年末調整での扶養控除の申請は?

サラリーマンなどが扶養控除を適用するには年末調整で申請をしなければなりません。

年末調整の書類は10月~12月頃に勤務先から配布されるので、その書類に記入して提出しましょう。

以下のページで年末調整の書き方と申請方法を説明しています。扶養控除を利用する方はぜひ参考にしてみてください。

年末調整で扶養控除の申請をする方はこちら

扶養控除の申請方法については、扶養控除の申請(年末調整の記入例)を参照。
年末調整の書き方については、年末調整の書き方見本・記入例を参照。
確定申告の場合は?

確定申告で申請するときは申告書作成の際に「扶養控除の項目」に記入すれば申請することができます。確定申告のやりかたは以下のページで説明しています。

今はネットでかんたんに確定申告書を作成することができます。作成した申告書を税務署に郵送すると申告完了となります。

では次に、子供がアルバイトなどで稼ぎすぎてしまった場合について下記で説明していきます。アルバイトでたくさんお金を稼いでしまうと扶養控除が利用できなくなるので注意しましょう。


こどもがアルバイトで稼ぎすぎてしまうと?

子供がアルバイトをしてお金を稼いでいる場合は1年間に稼ぐ金額に注意してください。

上記でも説明したように、1年間の合計所得が48万円を超えてしまうと扶養から外れてしまいます。
※給料のみなら1年間で103万円(つまり、給与所得48万円)を超えてしまうと扶養から外れてしまいます。


こどもが扶養から外れれば親は扶養控除を利用することができなくなってしまうので、税金が安くなるメリットを受けられなくなってしまいます。

もし、家族にアルバイトをしている子供がいる場合は下記のページを参考にして「1年間に稼ぐ金額」について教えてあげてください。学校ではアルバイトの税金などについて教えてくれる機会が少ないと思うので親が教えてあげましょう。

共働きの家庭は妻と夫どっちが扶養控除を利用したほうがいい?

扶養控除は一人の親族に対して夫婦ともに適用することはできません。

したがって、夫婦のどちらか一人が扶養控除を利用することになります。共働きの家庭はどちらが扶養控除を利用すればいいのか不安になると思います。

結論からいうと、年収が多いほうが扶養控除を利用したほうがメリットが大きくなります。くわしくは以下のページで説明しているので気になる方はチェックしておきましょう。

社会保険の扶養との違いは?

扶養といえば扶養控除のほかにも「社会保険の扶養」があります。

社会保険の扶養に入れば毎月支払う保険料が0円になる特典を受けられます。

ただし、扶養に入る条件は扶養控除とは異なるので、ごちゃごちゃにならないように気をつけましょう。

くわしくは以下のページで説明しているので気になる方はチェックしておきましょう。

ここまでのまとめ

ここまで説明したように、扶養控除は16歳以上の親族を養っている場合に税金が安くなる制度です。

ただし、扶養親族が16歳未満であったり、1年間の収入が103万円を超えてしまうと扶養控除を利用できなくなってしまうので注意しましょう。

ここまでのまとめ

  • 扶養控除は利用するには16歳以上の親族でなければいけない
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 扶養親族の合計所得が1年間で48万円を超えてしまうと扶養親族から外れてしまう
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 扶養控除で約5万円~17万円税金が安くなる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 共働きの家庭はどちらか一方が扶養控除を利用することになる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 社会保険の扶養とごちゃごちゃにならないようにする
    ※くわしくは上記で説明しています。

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パート主婦は年収いくらがお得なの?103~150万円の年収別まとめ

扶養控除を利用している方または扶養親族の方は上記のまとめを覚えておきましょう。

最後に、扶養控除は夫婦二人ともが一人の子に対して控除を申告することはできないので注意してください。