扶養控除とは、養う家族がいれば税金の負担を軽くするという制度です。したがって、子供だけじゃなく自分の両親も扶養控除の対象となります。
ただし、扶養控除を利用するにはいくつか条件があります。
扶養控除は扶養親族のうち年齢が16歳以上の方がいる場合に適用されます。
扶養親族とは「扶養されている親族」のことで、以下の要件にすべて当てはまる方をいいます。
したがって、以下の要件を満たせば子供だけじゃなく自分の両親も扶養控除の対象となります。
●扶養控除が適用される扶養親族
※2020年1月から扶養親族の所得要件が38万円から48万円に引き上げられました。
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。
年収にもよりますが、扶養控除を利用するとあなたの税金の負担は約5~11万円ほど軽くなる場合が多いでしょう。
また、大事なポイントは親の年齢が70歳未満か70歳以上で控除額が変わることです。
税金が安くなる金額がどれくらい変わるかチェックしておきましょう。
※区分や控除額などくわしい扶養控除についてはこちらを参照。
扶養控除を利用するひとの年収 | 減額される税金 |
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年収250~400万円のとき | ●所得税は19,000円安くなります。 ●住民税は33,000円(固定)安くなります。 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
年収500~600万円のとき | ●所得税は38,000円安くなります。 ●住民税は33,000円(固定)安くなります。 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
年収700~900万円のとき | ●所得税は76,000円安くなります。 ●住民税は33,000円(固定)安くなります。 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
扶養控除を利用するひとの年収 | 減額される税金 |
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年収250~430万円のとき | ●所得税は29,000円安くなります。 ※親が別居している場合は24,000円。 ●住民税は45,000円(固定)安くなります。 ※親が別居している場合は38,000円。 |
年収540~640万円のとき | ●所得税は58,000円安くなります。 ※親が別居している場合は48,000円。 ●住民税は45,000円(固定)安くなります。 ※親が別居している場合は38,000円。 |
年収740~940万円のとき | ●所得税は116,000円安くなります。 ※親が別居している場合は96,000円。 ●住民税は45,000円(固定)安くなります。 ※親が別居している場合は38,000円。 |
※所得税と住民税はこちらのシミュレーションで計算
給料をもらっている人(サラリーマンなど)が扶養控除を利用したとき、税金がどれくらいになるかシミュレーションしてみましょう。
①まず扶養控除の対象になるかどうか。
たとえば、あなたの親(70歳未満)の収入が年金収入のみであり、1年間の収入が150万円のとき、年金についての所得は40万円となります。
あなたの親の収入は年金収入のみなので、合計所得金額は40万円となります。したがって、あなたの親は扶養控除の対象となります。
ここからあなたが扶養控除を適用したときの計算
②まずはあなたの給与所得の計算
たとえばあなたの収入が給与収入のみであり、年間収入が350万円のとき、給与所得は、
となります。給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。
③次に課税所得を計算する(扶養控除込み)
総所得金額は計算できたので(237万円)、次に課税所得を算出します。課税所得は、
となります。所得控除を127万円(
となります。
④所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は
となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、
となります。
もし扶養控除を利用しなければ?
扶養控除38万円を利用しない場合、そのぶん課税所得が増えるので、
となり、控除を申請したときと比べて税金の負担が重くなってしまいます。
扶養控除を適用するには年末調整で申請をしなければなりません。
以下のページで年末調整の書き方と申請方法を説明しています。扶養控除を利用する方はぜひ参考にしてみてください。
確定申告をする方で扶養控除を利用できるときは申請をしましょう。職業別に確定申告のやり方などを以下のページにまとめています。
今はネットでかんたんに確定申告書を作成することができます。作成した申告書を税務署に郵送すると申告完了となります。
確定申告をするのが不安な方は試しにテキトーに金額を入力して申告書のつくりかたを練習してみてもいいかもしれません。
税務署に郵送する申告書に正しい金額を入力すれば問題ありません。
今回のコラムはここまでです。親に扶養控除を適用させた場合についてわかっていただけましたか?