親を扶養に入れるといくら節税できる?扶養控除で税金が安くなる?

2022.09.22 更新
扶養控除は自分の子供以外の親族にも適用できます。自分の両親にも扶養控除を適用できることを知っておきましょう。この記事では扶養控除を親に適用させる条件や節税効果などについて説明していきます。
この記事の目次
扶養控除は自分の親にも適用できる?

扶養控除とは、養う家族がいれば税金が安くなる制度です。したがって、子供だけじゃなく自分の両親も扶養控除の対象となります。
※子供が扶養から外れた場合についてはこちらの記事で解説。

ただし、扶養控除を利用するにはいくつか条件があります。

自分の親を扶養に入れようと考えている方は、両親を扶養すると税金がいくら戻るか等をチェックしておくことをおすすめします。

この記事の要点

  • 扶養されている親族の1年間の合計所得が48万円以下でなければいけない。
    ※くわしくは下記で説明しています。

  • 年金収入のみなら158万円までは扶養控除の対象。
    ※くわしくは下記で説明しています。

  • 親の年齢によって税金が安くなる金額が変わる。
    ※くわしくは下記で説明しています。

  • 社会保険の扶養に入れる場合は条件が違う。
    ※くわしくは下記で説明しています。

では最初に、扶養控除の条件について下記で説明していきます。高齢の親族がいる方はチェックしておきましょう。


扶養控除の条件は?親を扶養する場合
親を扶養するなら、親の合計所得が48万円以下じゃないとダメ

扶養控除は、扶養親族のうち年齢が16歳以上の方がいる場合に適用されます。
扶養親族とは「扶養されている親族(配偶者を除く)」のこと。つまり、自分の両親も扶養控除の対象となります。


気をつけるポイントは1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下でなければいけないということです。

「合計所得48万円ってなに?」という方のために下記でシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。

扶養控除の条件は?

  • 16歳以上の扶養親族であること

  • 納税者(控除を受ける人)と生計を一にしていること
    ※別居している親を扶養にいれる場合、生計を一にしている(仕送り等をしている)ことを証明する書類の提出は必要ありませんが、仕送り等の事実を確認されることもあるので、預金通帳など準備しておくことをオススメします。

  • 1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下であること
    合計所得金額48万円については下記で説明。

※青色申告者の配偶者以外の親族で青色事業専従者にあてはまり、給与の支払を受ける方または白色申告者の配偶者以外の親族で事業専従者にあてはまる方は、扶養親族に該当しません。
※参照:国税庁扶養控除
※参照:国税庁扶養控除生計を一にするの意義

合計所得48万円とは?収入が年金だけの場合

例えばあなたの親が65歳以上であり、収入が年金収入のみで1年間(1月~12月まで)で158万円のとき、あなたの親の所得は48万円となります。それ以外に所得がないので合計所得金額は48万円となります。

158万円年金収入110万円公的年金控除 = 48万円雑所得(合計所得金額)
※老後の年金は雑所得になります。
※公的年金控除については公的年金控除とはを参照。

この場合、1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下なので、あなたの親は扶養控除の対象になります。
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。



合計所得48万円とは?アルバイトもしている場合

例えばあなたの親が65歳以上であり、1年間(1月~12月まで)の収入が年金収入120万円、アルバイト収入が93万円のとき。

まず、年金についての所得は、

120万円年金収入110万円公的年金控除 = 10万円雑所得(年金についての所得)
※老後の年金は雑所得になります。
※公的年金控除については公的年金控除とはを参照。

となります。次に、アルバイトについての所得(給与所得)は、

93万円もらった給料55万円給与所得控除 = 38万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。

となります。したがって、この場合の合計所得金額は、

10万円雑所得 + 38万円給与所得 = 48万円合計所得金額
合計所得金額とは各種所得の合計のこと。
厳密には、上記のように年金についての所得と給与所得が10万円を超える場合、所得金額調整控除が引かれます。上記の場合、給与所得38万円から所得金額調整控除10万円が控除され、合計所得金額は38万円になります。

となります。この場合、あなたの親の1年間(1月~12月まで)の合計所得は48万円以下なので、あなたの親は扶養控除の対象になります。

こんなページもみられています
年金をもらいながら働いて給料も貰っている人は確定申告は必要?

では次に、親を扶養に入れて扶養控除を利用するとどれくらい税金が安くなるのか下記で説明していきます。


親に扶養控除を適用すると税金はいくら安くなる?
親を扶養すると約5万円~16万円節税できる

年収にもよりますが、扶養控除を利用するとあなたの税金の負担は年間約5~16万円ほど軽くなる場合が多いでしょう。
※これから控除を受ける方は約5~16万円の税金が安くなります。
※子供が扶養から外れた場合についてはこちらの記事で解説。



また、大事なポイントは親の年齢が70歳未満か70歳以上で控除額が変わることです。


税金がいくら戻るのか、高齢の親を扶養に入れる場合はチェックしておきましょう。
※住民税は翌年の金額に反映されます(住民税は前年の所得で決定するため)。
※区分や控除額などくわしい扶養控除についてはこちらを参照。


親が70歳未満のときは?
たとえば40歳以下・社会保険加入のサラリーマンが自分の親ひとりに対して扶養控除を利用したとき。
 

扶養控除を利用するひとの年収 減額される税金
年収250~400万円のとき 所得税は19,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算
年収500~600万円のとき 所得税は38,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算
年収700~900万円のとき 所得税は76,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税はこちらで計算

※上記は1年間の金額。
※個人事業主はこちらで計算できます。

※別居している親を社会保険の扶養に入れる際は仕送りの証明が必要になります。くわしくは下記で説明しています。
親が70歳以上の場合については下記表を参照。



親が70歳以上のときは?
たとえば40歳以下・社会保険加入のサラリーマンが自分の親ひとりに対して扶養控除を利用したとき。
※70歳以上の扶養親族は老人扶養親族にあてはまります。
 

扶養控除を利用するひとの年収 減額される税金
年収250~430万円のとき 所得税は29,000円安くなります。
※親が別居している場合は24,000円。

住民税は45,000円(固定)安くなります。

※親が別居している場合は38,000円。
年収540~640万円のとき 所得税は58,000円安くなります。
※親が別居している場合は48,000円。

住民税は45,000円(固定)安くなります。

※親が別居している場合は38,000円。
年収740~940万円のとき 所得税は116,000円安くなります。
※親が別居している場合は96,000円。

住民税は45,000円(固定)安くなります。

※親が別居している場合は38,000円。

※上記は1年間の金額。
※所得税と住民税はこちらのシミュレーションで計算。
※個人事業主はこちらで計算できます。


年齢や同居しているかで金額が変わる
上記のように、親の年齢や同居しているかによって節税できる金額が変わります。上記の表をチェックして、親を扶養したときに税金がいくら戻るのかザッと把握しておきましょう。

※別居している親を社会保険の扶養に入れる際は仕送りの証明が必要になります。くわしくは下記で説明しています。

では次に、具体的に金額をあてはめて扶養控除込みの税金をシミュレーションしていきましょう。どのように計算するのか下記で説明しています。


扶養控除込みで所得税をシミュレーションしてみよう

会社員(サラリーマンなど)が扶養控除を利用したとき、税金がどれくらいになるかシミュレーションしてみましょう。


①まず扶養控除の対象になるかどうか。
たとえばあなたの親(70歳未満)の収入が年金収入のみであり、1年間の収入が150万円のとき、年金についての所得は40万円となります。

150万円年金収入110万円公的年金控除  =  40万円年金についての所得
公的年金控除や年金についての所得については、公的年金控除とは?を参照。

あなたの親の収入は年金収入のみなので、合計所得金額は40万円となります。したがって、あなたの親は扶養控除の対象となります。


ここからあなたが扶養控除を適用したときの計算
②あなたの給与所得の計算

たとえばあなたの収入が給与収入のみであり、年間収入が350万円のとき、給与所得は、

350万円給与収入113万円給与所得控除  =  237万円給与所得
給与所得については、給与所得とは?を参照。

となります。給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。

③次に課税所得を計算する(扶養控除込み)
総所得金額は計算できたので(237万円)、次に課税所得を算出します。課税所得は、

237万円総所得金額 - 所得控除 = 課税所得
課税所得については、課税所得とは?を参照。

となります。所得控除を127万円(38万円扶養控除 + 48万円基礎控除 + 41万円社会保険料控除)としたとき、課税所得は、

237万円総所得金額127万円所得控除 = 110万円課税所得
所得控除については、所得控除とは?を参照。
課税所得については、課税所得を参照。

となります。

④所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

110万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

110万円課税所得 × 5% = 55,000円所得税
所得税率については所得税率とは?を参照。
所得税の計算についてはこちらを参照。

ちなみに上記の条件のとき住民税は約11万円かかります。

となります。

もし扶養控除を利用しなければ?
扶養控除38万円を利用しない場合、そのぶん課税所得が増えるので、

(110万円 + 38万円)課税所得 × 5% = 74,000円所得税

ちなみに上記の条件のとき、住民税は約15万円かかります。

となり、控除を申請したときと比べて税金の負担が重くなってしまいます。
※税金や手取りはこちらのシミュレーションで計算できます。扶養控除なども適用できます。

扶養控除を申請できるときは申請するのを忘れないようにしましょう。では次に、扶養控除の申請方法について下記で説明していきます。


扶養控除の申請方法は?

親を扶養して扶養控除を受ければ税金が安くなるメリットを受けられます。

ただし、扶養控除を適用するには年末調整で申請をしなければなりません。
※確定申告で申請する場合は下記で説明しています。

以下のページで年末調整の書き方と申請方法を説明しています。扶養控除を利用する方はぜひ参考にしてみてください。

年末調整で扶養控除の申請をする場合

扶養控除の申請方法については、扶養控除の申請(年末調整の記入例)を参照。
年末調整の書き方については、年末調整の書き方見本・記入例を参照。
確定申告の場合は?

確定申告で申請するときは申告書作成の際に「扶養控除の項目」に記入すれば申請することができます。

今はネットでかんたんに確定申告書を作成することができます。作成した申告書を税務署に郵送すると申告完了となります。

※下記は確定申告で扶養控除を申請する場合の入力ページです。

確定申告のやりかたは以下のページで説明しています。
ネットで確定申告書を作成!確定申告のやり方

親を社会保険の扶養に入れる場合は?
親を社会保険の扶養に入れると親の保険料が0円になる

扶養といえば扶養控除のほかにも「社会保険の扶養」があります。


社会保険の扶養に入れば毎月支払う保険料が0円になる特典を受けられます。自分の両親を社会保険の扶養に入れようと考えている方は知っておきましょう。
※たとえば実家暮らしの社会人の息子が、一緒に住んでいる自分の親を扶養に入れることができれば、親の健康保険料が0円になります。


ただし、扶養に入る条件は扶養控除とは異なるので、ごちゃごちゃにならないように気をつけましょう。
※かんたんに説明すると、親の収入が180万円未満なら社会保険の扶養に入ることができます。別居している場合は仕送りしていることを証明できる書類が必要になります。
※くわしくは下記の記事で説明しているので、親を扶養に入れる方はチェックしておきましょう。

では最後に、ここまでのまとめについて下記で説明していきます。親を扶養したときのデメリットも知っておきましょう。

ここまでのまとめ(デメリットもある?)

ここまで説明したように、扶養親族は子供だけでなく親も対象になり、扶養控除を受けることで節税ができます。

ただし、扶養控除を受けるには1年間の収入などの条件があることを覚えておきましょう。

また、扶養する親が同居しているか別居しているかによって、安くなる税金額が変わることも覚えておきましょう。

まとめ

  • 扶養控除は自分の親も対象になる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 親が65歳以上で収入が年金だけなら158万円までは扶養控除の対象になる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 親に扶養控除を適用すると、あなたの税金は約5万円~16万円安くなる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 社会保険の扶養に入れる場合は条件が異なるので注意。
    ※くわしくは上記で説明しています。

また、親が介護に無縁なら問題はありませんが、介護サービスのお世話になっている場合は親を扶養すると介護サービスの利用料などが値上がりする等のデメリットがあります(くわしくは下記の記事を参照)。体調が不安な高齢の親を扶養する場合は気をつけましょう。