親を扶養に入れるといくら節税できる?扶養控除で5万安くなる?

2023.11.16 更新

自分の両親にも扶養控除を適用できます。親を扶養すると税金がいくら安くなるかザッと把握しておきましょう。退職後に子供の扶養に入るつもりの方などは条件をチェックしておきましょう。この記事では扶養控除を親に適用させる条件や節税効果についてシミュレーションして説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶親が子供の扶養に入るには年収いくらまで?
親の1年間の合計所得が48万円以下でなければいけない。年金収入のみなら親の年収158万円までは扶養控除の対象。
※くわしくは下記で説明しています。
※親がアルバイトなどもしている場合は下記を参照。


▶親を扶養に入れると税金はいくら減税される?
親を扶養すると、扶養控除によって税金が約5万~16万安くなるのでお得(※年収250万~940万の場合)。親の年齢が70歳未満か70歳以上かによって税金が安くなる金額が変わる(老人扶養親族)。また、親と同居または別居によっても変わる。
※くわしくは下記で説明しています。


▶親を社会保険の扶養に入れるには?
社会保険の扶養に入れる場合は親の収入が180万未満でなければいけない。税金が安くなる扶養とは違うので注意。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次
自分の親も扶養できるの?税金が5万以上安くなる?
親の収入が少なければ扶養の対象になる

自分の親を扶養すればあなたの税金は約5万~16万円安くなります。
※くわしい金額は下記で説明していきます。

ただし、親の所得が多ければ扶養控除が利用できないので税金が安くなりません。

親を扶養するつもりの方は条件をしっかりチェックしておきましょう。


ではまず、親を扶養する3つの条件について下記で説明していきます。自分の親の年収がいくらまでなら扶養に入れられるのか、両親を扶養すると税金がいくら戻るか等をチェックしておくことをおすすめします。

親を扶養する場合の3つの条件は?
親を扶養するなら、親の合計所得が48万円以下じゃないとダメ

扶養控除は、扶養親族のうち年齢が16歳以上の方がいる場合に適用されます。
扶養親族とは「扶養されている親族(配偶者を除く)」のこと。つまり、自分の両親も扶養控除の対象となります。


気をつけるポイントは親の1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下でなければいけないということです。

「親の合計所得が48万以下ってなに?」という方のために下記でシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。

親が扶養控除の対象になる3つの条件は?

あなたの親が下記の3つの条件をすべて満たしていれば、あなたは扶養控除を利用することができます。
扶養控除とは、親族を扶養していると税金が安くなる制度。
  1. 16歳以上の扶養親族であること

  2. 納税者(控除を受ける人)と生計を一にしていること
    ※別居している親を扶養にいれる場合、生計を一にしている(仕送り等をしている)ことを証明する書類の提出は必要ありませんが、仕送り等の事実を確認されることもあるので、預金通帳など準備しておくことをオススメします。

  3. 1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下であること
    合計所得金額48万円については下記で説明。

※青色申告者の配偶者以外の親族で青色事業専従者にあてはまり、給与の支払を受ける方または白色申告者の配偶者以外の親族で事業専従者にあてはまる方は、扶養親族に該当しません。
※参照:国税庁扶養控除
※参照:国税庁扶養控除生計を一にするの意義

合計所得48万とは?年金だけの場合

例えばあなたの親が65歳以上であり、親の収入が年金収入のみで1年間(1月~12月まで)で158万円のとき、あなたの親の所得は48万円となります。それ以外に所得がないので合計所得金額は48万円となります。

158万円年金収入110万円公的年金控除 = 48万円雑所得(合計所得金額)
※65歳未満の場合は108万 – 60万 = 48万円(雑所得)
※老後の年金は雑所得になります。
※公的年金控除については公的年金控除とはを参照。

※公的年金等控除はこちらのシミュレーションで計算できます。

この場合、1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下なので、あなたの親は扶養控除の対象になります。
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。

しかし、年金のほかにもパートやアルバイト収入もある場合も多いでしょう。では、あなたの親が給料も受け取っている場合について下記で説明していきます。

年金と給料がある場合

例えばあなたの親が65歳以上であり、親の1年間(1月~12月まで)の収入が年金収入120万円、アルバイト収入が93万円のとき。

まず、年金についての所得は、

120万円年金収入110万円公的年金控除 = 10万円雑所得(年金についての所得)
※65歳未満の場合は70万 – 60万 = 10万円(雑所得)
※老後の年金は雑所得になります。
※公的年金控除については公的年金控除とはを参照。

※公的年金等控除はこちらのシミュレーションで計算できます。

となります。次に、アルバイトについての所得(給与所得)は、

93万円アルバイト収入55万円給与所得控除 = 38万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※アルバイト収入は今年1月~12月の給与収入が対象。

となります。したがって、この場合の合計所得金額は、

10万円雑所得 + 38万円給与所得 = 48万円合計所得金額
合計所得金額とは各種所得の合計のこと。
厳密には、上記のように年金についての所得と給与所得が10万円を超える場合、所得金額調整控除が引かれます。上記の場合、給与所得38万円から所得金額調整控除10万円が控除され、合計所得金額は38万円になります。

となります。この場合、あなたの親の1年間(1月~12月まで)の合計所得は48万円以下なので、あなたの親は扶養控除の対象になります。


親に扶養控除を適用すると税金はいくら安くなる?
親を扶養すると約5万円~16万円節税できる

年収にもよりますが、扶養控除を利用するとあなたの税金は年間約5~16万円安くなる場合が多いでしょう。
※これから控除を受ける方は約5~16万円の税金が安くなります。


また、大事なポイントは親の年齢が70歳未満か70歳以上で控除額が変わることです。
※老人扶養親族のほうが控除額が多くなります。


税金がいくら戻るのか、高齢の親を扶養に入れる場合はチェックしておきましょう。
※住民税は翌年の金額に反映されます(住民税は前年の所得で決定するため)。
※区分や控除額などくわしい扶養控除についてはこちらを参照。


親が70歳未満のときは?
たとえば40歳以下・社会保険加入のサラリーマンが自分の親ひとりに対して扶養控除を利用したとき。
 

扶養控除を利用するひとの年収 減額される税金
年収250~400万円のとき 所得税は19,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税は税金保険料シミュレーションで計算
年収500~600万円のとき 所得税は38,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税は税金保険料シミュレーションで計算
年収700~900万円のとき 所得税は76,000円安くなります。
住民税は33,000円(固定)安くなります。

※所得税と住民税は税金保険料シミュレーションで計算

※上記は1年間の金額。
※個人事業主は個人事業主シミュレーションで計算できます(上記は給与所得者の場合です)

※別居している親を社会保険の扶養に入れる際は仕送りの証明が必要になります。くわしくは下記で説明しています。

親が70歳以上のときは?

たとえば40歳以下・社会保険加入のサラリーマンが自分の親ひとりに対して扶養控除を利用したとき。
※70歳以上の扶養親族は老人扶養親族にあてはまります。
 

扶養控除を利用するひとの年収 減額される税金
年収250~430万円のとき 所得税は29,000円安くなります。
※親が別居している場合は24,000円。

住民税は45,000円(固定)安くなります。

※親が別居している場合は38,000円。
年収540~640万円のとき 所得税は58,000円安くなります。
※親が別居している場合は48,000円。

住民税は45,000円(固定)安くなります。

※親が別居している場合は38,000円。
年収740~940万円のとき 所得税は116,000円安くなります。
※親が別居している場合は96,000円。

住民税は45,000円(固定)安くなります。

※親が別居している場合は38,000円。

※上記は1年間の金額。
※所得税と住民税はこちらのシミュレーションで計算。
※個人事業主はこちらで計算できます(上記は給与所得者の場合です)


年齢や同居しているかで金額が変わる
上記のように、親の年齢や同居しているかによって節税できる金額が変わります。上記の表をチェックして、親を扶養したときに税金がいくら戻るのかザッと把握しておきましょう。

※親が70歳以上で老人扶養親族のとき、通常38万円の控除額が48万になるため(親と同居なら58万)。くわしくは扶養親族の年齢によって控除額が違う?を参照。
※別居している親を社会保険の扶養に入れる際は仕送りの証明が必要になります。くわしくは下記で説明しています。


扶養控除込みで所得税をシミュレーション(親を扶養したとき)

親を扶養している会社員(サラリーマンなど)が扶養控除を利用したとき、税金がどれくらいになるかシミュレーションしてみましょう。


①まず扶養控除の対象になるかどうか。
たとえばあなたの親(70歳未満)の収入が年金収入のみであり、1年間の収入が150万円のとき、年金についての所得は40万円となります。

150万円年金収入110万円公的年金控除  =  40万円年金についての所得
公的年金控除や年金についての所得については、公的年金控除とは?を参照。

あなたの親の収入は年金収入のみなので、合計所得金額は40万円となります。したがって、あなたの親は扶養控除の対象となります。


ここからあなたが扶養控除を適用したときの計算
②あなたの給与所得の計算

たとえばあなたの収入が給与収入のみであり、年間収入が350万円のとき、給与所得は、

350万円給与収入113万円給与所得控除  =  237万円給与所得
給与所得については、給与所得とは?を参照。

となります。給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。

③次に課税所得を計算する(扶養控除込み)
総所得金額は計算できたので(237万円)、次に課税所得を算出します。課税所得は、

237万円総所得金額 - 所得控除 = 課税所得
課税所得については、課税所得とは?を参照。

となります。所得控除を127万円(38万円扶養控除 + 48万円基礎控除 + 41万円社会保険料控除)としたとき、課税所得は、
※親が70歳以上で老人扶養親族のとき、控除額は48万になります(親と同居なら58万)。くわしくは扶養親族の年齢によって控除額が違う?を参照。

237万円総所得金額127万円所得控除 = 110万円課税所得
所得控除については、所得控除とは?を参照。
課税所得については、課税所得を参照。

となります。

④所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

110万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

110万円課税所得 × 5% = 55,000円所得税
所得税率については所得税率とは?を参照。
所得税の計算についてはこちらを参照。

ちなみに上記の条件のとき住民税は約11万円かかります。

となります。

もし扶養控除を利用しなければ?
扶養控除38万円を利用しない場合、そのぶん課税所得が増えるので、

(110万円 + 38万円)課税所得 × 5% = 74,000円所得税

ちなみに上記の条件のとき、住民税は約15万円かかります。

となり、控除を申請したときと比べて税金の負担が重くなってしまいます。
※税金や手取りは税金保険料シミュレーションで計算できます。扶養控除なども適用できます。

扶養控除を申請できるときは申請するのを忘れないようにしましょう。では次に、扶養控除の申請方法について下記で説明していきます。


扶養控除の申請方法は?

親を扶養して扶養控除を受ければ税金が安くなるメリットを受けられます。

ただし、扶養控除を適用するには年末調整で申請をしなければなりません。
※確定申告で申請する場合は下記で説明しています。

以下のページで年末調整の書き方と申請方法を説明しています。扶養控除を利用する方はぜひ参考にしてみてください。

年末調整で扶養控除の申請をする場合

扶養控除の申請方法については、扶養控除の申請(年末調整の記入例)を参照。
年末調整の書き方については、年末調整の書き方見本・記入例を参照。
確定申告の場合は?


確定申告で申請するときは申告書作成の際に「扶養控除の項目」に記入すれば申請することができます。

今はネットでかんたんに確定申告書を作成することができます。作成した申告書を税務署に郵送すると申告完了となります。

※下記は確定申告で扶養控除を申請する場合の入力ページです。

確定申告のやりかたは以下のページで説明しています。
ネットで確定申告書を作成!確定申告のやり方

親を社会保険の扶養に入れる場合は?
親を社会保険の扶養に入れると親の保険料が0円になる

扶養といえば扶養控除のほかにも「社会保険の扶養」があります。


社会保険の扶養に入れば毎月支払う保険料が0円になる特典を受けられます。自分の両親を社会保険の扶養に入れようと考えている方は知っておきましょう。
※たとえば実家暮らしの社会人の息子が、一緒に住んでいる自分の親を扶養に入れることができれば、親の健康保険料が0円になります。


ただし、扶養に入る条件は扶養控除とは異なるので、ごちゃごちゃにならないように気をつけましょう。
※かんたんに説明すると、親の収入が180万円未満なら社会保険の扶養に入ることができます。別居している場合は仕送りしていることを証明できる書類が必要になります。
※くわしくは下記の記事で説明しているので、親を扶養に入れる方はチェックしておきましょう。

まとめ(デメリットもある?)


親が介護に無縁なら問題はありませんが、介護サービスのお世話になっている場合は親を扶養すると介護サービスの利用料などが値上がりする等のデメリットがあります(くわしくは下記の記事を参照)。
体調が不安な高齢の親を扶養する場合は気をつけましょう。