親を扶養に入れるとデメリットがある?介護費用が?税金は安くなるけど…

2022.08.27 更新

別居または別世帯にしている親に扶養控除を適用すれば税金が安くなりますが、扶養に入れてしまうと逆に損してしまう場合があるんです。この記事では世帯が別の親を扶養に入れるメリットとデメリットについて説明していきます。老後の親を扶養に入れたほうがいいのか悩んでいる方はチェックしておきましょう。
この記事の目次
親を扶養に入れるメリットとデメリットは?

親を扶養に入れると税金が安くなる等のメリットがありますが、親が高齢の場合は介護関連の費用が上がってしまう等のデメリットもあります。

親がまだ若ければ特に問題は無いのですが、介護サービスにお世話になっている方などは気をつけたほうがいいかもしれません。

特に別居または別世帯にしている親を扶養に入れようとしている方はメリットとデメリットがあることをしっかり知っておきましょう。

この記事の要点

  • 扶養に入れると税金が安くなったり、保険料が0円になる。

  • 親が65歳以上なら介護保険料が上がる場合がある。

  • 親が介護サービスを受けている場合はその費用が上がる場合がある。

  • 親が元気なら扶養に入れるメリットがある。

では最初に、親を扶養に入れたときの税金のメリットについて下記で説明していきます。子供の扶養に入ろうと考えている方は税金がどれくらい安くなるか等チェックしておきましょう。


メリット①親を扶養に入れると税金が安くなる
高齢の親を扶養すると約5万円~16万円税金が安くなる場合がある

親と生計を一にして親を扶養し、扶養控除を適用すれば税金が安くなります。


安くなる金額はあなたの年収や親の年齢にもよりますが、約5万円~16万円安くなる場合が多いです。
※両親が75歳以上だとしても扶養親族なら税金が安くなります。
※同居老親(同居している70歳以上の親族)だと安くなる金額は多くなります。



親が扶養親族の対象になるには、親の1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下である必要があります。
※合計所得48万円とは、年金収入のみなら約158万円以下(65歳以上の場合)。


70歳~80歳を超える高齢の父親や母親を扶養しようと考えている方は、親が扶養親族になる条件を満たしているか確認しておきましょう。
※くわしくは下記の記事で説明しています。

ちなみに、親の年齢が70歳未満または70歳以上で税金が安くなる金額が変わります。
くわしい内容は上記の記事で解説しているので、高齢の家族を扶養するつもりの方はチェックしておきましょう。

※扶養するには申請が必要です。年末調整や確定申告で申請するのを忘れないようにしましょう。

メリット②75歳未満なら社会保険の扶養になれて健康保険料が0円になる

あなたの親が75歳未満なら社会保険の扶養に入れることができます。


扶養に入れば親が支払う健康保険料は0円になります。ただし、75歳以上になると社会保険の扶養には入れなくなります
※75歳から後期高齢者医療制度に移行するため。
※くわしくは親を社会保険の扶養に入れられる?何歳まで?で解説しています。



ちなみに、親が扶養に入らないで親自身で国民健康保険に加入した場合、親にかかる保険料は以下のようになります。
国民健康保険には親族を扶養にいれるシステムはありません(加入している保険が保険組合などの場合は除く)。

扶養に入らないで親自身で国民健康保険料を支払ったとき



あなたの親が65歳以上75歳未満の場合
たとえばあなたの親が65歳以上75歳未満で年金収入が110万円未満とすると、あなたの親にかかる国民健康保険料は一人あたり年間約5万円(世帯収入が少なくて保険料が減額された場合は約1.6万円)になります。
※世田谷区の場合で試算しています。国民健康保険料は住んでいる市区町村によって異なります。保険料は国民健康保険料シミュレーションページで計算できます。



あなたの親が65歳未満の場合
たとえばあなたの親が65歳未満で年金収入が60万円未満とすると、あなたの親にかかる国民健康保険料は一人あたり年間約7万円(世帯収入が少なくて保険料が減額された場合は約2万円)になります。
※65歳未満のほうが高い理由は65歳になるまでは国保の保険料に介護保険料も含まれているため。
※世田谷区の場合で試算しています。国民健康保険料は住んでいる市区町村によって異なります。保険料は国民健康保険料シミュレーションページで計算できます。

親を社会保険の扶養に入れるつもりの方は下記の記事をチェック。

親を社会保険の扶養に入れられる?何歳まで大丈夫?年金収入いくらまで?

上記のように、社会保険の扶養に入らなければ国民健康保険料を支払うことになります。

親の収入が少なければ保険料はそれほど高い金額にはなりませんが、数万円の保険料を支払うことになることを覚えておきましょう。


メリットまとめ

親と生計を一にして扶養に入れることによるメリットを以下に示します。

子供(息子や娘)の扶養に入ろうと考えている方や両親を扶養に入れようとしている方は下記のメリットをチェックしておきましょう。
※祖父母を扶養に入れる場合も同様です。老後の親などを扶養にいれるとどうなるのか把握しておきましょう。

メリット①
親に扶養控除を適用すれば税金が約5~16万円安くなる。
※くわしくは上記で説明しています。

メリット②
親が75歳未満であり、社会保険の扶養に入れたとすると、あなたの親にかかる国民健康保険料一人あたり年間約5万円(世帯収入が少なくて保険料が減額された場合は約1.6万円)が0円になる。
※くわしくは上記で説明しています。

ではここからは、親を扶養したときのデメリットについて説明していきます。介護保険料や介護費用が高くなる場合があります。



デメリット①65歳以上の場合は介護保険料が上がる?
65歳以上の介護保険料が高くなる場合がある

別居または別世帯の親と生計を一にして扶養に入れ、親と同世帯で暮らす際のデメリットは親が支払う介護保険料が上がってしまうことです。


親が65歳以上の場合、親が支払う介護保険料は世帯収入によって増減します。


たとえば親と別居または別世帯にしており、親の年金収入が120万円以下だとすると、介護保険料は月額約3,000円(年間約36,000円)になります。
※介護保険料は住んでいる市区町村によって異なります。

ですが、親を扶養して、さらに同世帯になった場合には親の介護保険料は月額約6,000円(年間約72,000円)になります。
※ただし、別居または世帯分離をしている親と生計を一にして扶養したとしても、同世帯でなければ介護保険料は安いままになります。

親が支払う介護保険料のシミュレーション

あなたの親の年金収入が80万円以下の場合
あなたの親が支払う介護保険料は月額約1,800円(年間約22,000円)になります。
あなたの親の年金収入が80万円超120万円以下の場合
あなたの親が支払う介護保険料は月額約3,000円(年間約36,000円)になります。
親と同世帯であり、あなたの親の年金収入が80万円超えの場合
あなたの親が支払う介護保険料は月額約6,000円(年間約72,000円)になります。

※介護保険料は市区町村によって異なります。保険料の計算方法については65歳以上の介護保険料はどれくらい?世帯の収入によって変わる?で説明しています。

では次に、介護サービスの利用料が上がってしまうデメリットについて下記で説明していきます。介護サービスをよく利用する場合はチェックしておきましょう。


デメリット②介護サービスの利用料が上がる?
親を扶養すると介護サービスの負担上限が上がる場合がある

別居または別世帯の親と生計を一にして扶養に入れ、親と同世帯で暮らす際のデメリットは介護サービスの利用料が上がってしまうことです。
※介護サービスを利用しない人は関係ありませんが、介護サービスをよく利用する人は注意しましょう。


たとえば親と別居または別世帯にしており、親の年金収入が80万超の場合には介護サービスの負担額の上限は24,600円に決まっています。

ですが、親を扶養して、さらに同世帯になった場合には負担額の上限は44,400円に上がってしまいます(月額約2万円の負担増)。
※あなたの年収が370万円~770万円だった場合。
※ただし、別居または世帯分離をしている親と生計を一にして扶養したとしても、同世帯でなければ負担額の上限は安いままになります。


負担額に影響が出る?
※参照:厚生労働省サービスにかかる利用料

※くわしくは高額介護サービスとはを参照。

では次に、老人ホーム等での食費や居住費が上がってしまうデメリットについて下記で説明していきます。親が介護を必要とするくらいに健康状態に問題がある場合はチェックしておきましょう。


デメリット③老人ホーム等での費用に影響が出る?
親を扶養すると介護施設の食費などが上がる場合がある

養護老人ホームなどの福祉施設に入居したときには以下の表のように食費や居住費にも影響が出てきます。


たとえば負担限度額が第2段階にあてはまる親がユニット型準個室に入居した場合には食費が1.2万円、居住費が1.5万円で済みます(下記の表に金額をまとめています)。


ですが、親を扶養して、さらに同世帯になった場合には基準費用額(食費が4.4万円、居住費が5.1万円)を負担することになるので負担額が上がってしまいます(月額合計6.8万円の負担増)。
※ただし、別居または世帯分離をしている親と生計を一にして扶養したとしても、同世帯でなければ負担額は安いままになります。

食費や居住費に影響が出る?
※参照:厚生労働省サービスにかかる利用料

第1段階は生活保護を受けている人など。
第2段階は世帯全員が住民税がかかっておらず、年金収入が80万円以下の人。
第3段階①は世帯全員が住民税がかかっておらず、年金収入が120万円以下の人。
第3段階②は世帯全員が住民税がかかっておらず、年金収入が120万円超えの人。

※くわしくは特定入所者介護サービス費ページで説明しています。

お金持ちは対象外?

上記の第1~3段階にあてはまるひとでも、預貯金等がたくさんあるひとは食費や居住費が安くなりません(基準費用になります)。つまり、お金持ちの方は通常通りの金額がかかることを覚えておきましょう。くわしくは下記の記事で説明しています。
※くわしくは特定入所者介護サービス費ページで説明しています。

デメリットまとめ

親と生計を一にして扶養に入れ、親と同世帯となった際のデメリットを以下に示します。
※ただし、別居または世帯分離をしている親と生計を一にして扶養したとしても、同世帯でなければ保険料や負担額等は安いままになります。

子供(息子や娘)の扶養に入ろうと考えている方や、介護をするために両親を扶養に入れようとしている方は下記のデメリットをチェックしておきましょう。
※祖父母を扶養に入れる場合も同様です。

デメリット①
親と生計を一にすると親が支払う介護保険料が高くなる。
※別居または世帯分離をしている親と同世帯になった場合
※くわしくは上記で説明しています。

デメリット②
親と生計を一にすると介護サービスの負担額の上限が上がる
※別居または世帯分離をしている親と同世帯になった場合
※くわしくは上記で説明しています。

デメリット③
親と生計を一にすると介護施設に入居したときの食費や居住費が上がる
※別居または世帯分離をしている親と同世帯になった場合
※くわしくは上記で説明しています。

では最後に、ここまでのまとめについて下記で説明していきます。親を扶養するつもりの方はザッと把握しておきましょう。


ここまでのまとめ(介護サービスを利用する場合は注意)
親が健康で元気なら扶養するとお得になる

ここまで親を扶養した場合のメリットとデメリットを説明してきました。

簡単にまとめると、親が介護とは無縁なくらい元気なら扶養したときに税金が安くなるのでメリットがあるといえるでしょう。

さらに、扶養する親が75歳未満なら社会保険の扶養に入れられるので、親の保険料負担が減るメリットが受けられます。
※親と同世帯になると親の介護保険料が高くなる場合がありますが(65歳以上の場合)、メリットがそれを上回ります。


ですが、親が介護を必要とするくらいに健康状態に問題がある場合は、別居している親を扶養し、親と同世帯にしたときのデメリットが上回るので、あえて同世帯にしない選択をしたほうがいいと言えます。
※別居または世帯分離をしている親と生計を一にして扶養したとしても、同世帯でなければ保険料や負担額等は安いままになります。

親を扶養に入れるか悩んでいる場合、介護が必要無いくらい親が元気なら扶養に入れたほうがメリットがあるかもしれません。

ただし、両親と仲がものすごく悪いなどの場合、無理に扶養にいれる必要はありません。自分のライフスタイルと照らし合わせて検討してみましょう。