所得48万円を超えると扶養してくれている親族の税金が上がる?

2024.12.06 更新
親などに扶養されており、アルバイトまたはウーバーやYouTubeなどでお金を稼いでいる人は注意しなければいけないことがあります。この記事では所得が48万円を超えると親族の税金が上がるのはなぜか説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶所得48万を超えたら何が悪いの?
1年間の合計所得金額が48万円を超えてしまうと扶養親族の対象から外れてしまう。
※くわしくは下記で説明しています。


▶給料だけのひとは?
収入が給料だけなら103万円以下なら扶養でいられる。
※つまり、合計所得48万以下。くわしくは下記で説明しています。


▶雑所得だけの人は?
雑所得だけなら48万円以下なら扶養でいられる。
※くわしくは下記で説明しています。


▶48万円を超えると税金が増える?

合計所得が48万を超えて扶養から外れると親族の税金は約5~17万円上がる。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次

では最初に、所得48万円の壁について下記で説明していきます。
※親などに扶養されている方は 扶養になるための条件について下記で説明しているのでチェックしておくことをオススメします。

所得48万円を超えると親族の税金が上がる?なぜ?

あなたが親族に扶養されている場合、あなたの1年間の合計所得が48万円(つまり、給料のみなら年収103万)を超えてしまうと、あなたを扶養している親族の税金が増えてしまいます。
※たとえば親に扶養されているなら親の税金が増え、息子に扶養されているなら息子の税金が増えます。
合計所得金額とは:各種所得の合計のこと。



なぜかというと、合計所得48万円を超えると扶養親族の対象から外れてしまい、扶養控除が利用できなくなるからです。
扶養控除とは「養う家族がいれば税金の負担を軽くする」制度です。


「合計所得ってなに?」という方は下記の説明をチェックしておきましょう。

配偶者の場合は違う?

あなたが配偶者(妻または夫)に扶養されている場合は少し異なります。合計所得48万を超えても配偶者特別控除が利用できます。
配偶者控除は合計所得48万以下が対象。
配偶者特別控除は合計所得48万超~133万以下が対象。

ただし、合計所得133万を超えると控除の対象から外れることになります。くわしくは下記の記事で説明していきます。
妻が扶養から外れるといくらかかる?夫の税金はいくら増える?

では次に、合計所得48万円と扶養の条件について下記で説明していきます。親族に扶養されている方は1年間の収入や扶養の範囲などチェックしておきましょう。


合計所得金額48万円とは?いくらまでならセーフなの?

合計所得金額とは、所得の合計額のことです。この金額が少なければあなたは扶養控除の対象になります。


扶養控除を利用するための条件は以下のとおりです。
扶養控除とは「養う家族がいれば税金の負担を軽くする」制度です。


大事なポイントは1年間の合計所得が48万円以下(つまり、給料なら年収103万円以下)であることです。
※1年間の合計所得が48万円以下なら扶養控除の対象になります。
※48万円を超えてしまうと対象外になります。
※くわしくは下記で計算シミュレーションして説明しています。


扶養控除の条件は?合計所得48万円?
  • 扶養親族(扶養されるひと)が16歳以上であること
    ※その年12月31日の年齢で判定されます。したがって、11月末に誕生日である場合は現在15歳でも12月31日には16歳になるので扶養控除の対象になります。
  • 配偶者以外の親族であること
    ※配偶者とは:妻から見た夫、夫から見た妻のこと。
  • 納税者(控除を受ける人)と生計を一にしていること
  • 1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下であること
    合計所得金額とは各種所得の合計のこと。
青色事業専従者にあてはまり、給与の支払を受ける方または白色申告者の配偶者以外の親族で事業専従者にあてはまる方は、扶養親族に該当しません。
※参照:国税庁扶養控除

では「自分の合計所得が48万以下なのかわからない…」という方のために、パターン別(給料や雑所得がある方など)でシミュレーションして説明していきます。


収入が給料だけなら103万円まで?

収入が給料だけなら1年間(1月~12月まで)の収入103万円以下なら、合計所得が48万円以下になります。


計算方法がよくわからない方のために、下記でわかりやすくシミュレーションして説明していきます。

収入が給料だけなら103万円まで?

例えばあなたの1年間(1月~12月まで)の収入がアルバイトの給与収入のみで103万円のとき、給与所得は48万円となります。それ以外に所得がないので合計所得金額は48万円となります。

103万円給与収入55万円給与所得控除 = 48万円給与所得(合計所得金額)
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※給与所得は給与所得シミュレーションで計算できます。
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。

上記の場合、合計所得が48万円以下なので、あなたは扶養親族の対象となります。したがって、扶養控除の対象になります。

※扶養から外れた場合に増える税金については下記で説明しています。


雑所得がある場合は?

ウーバーイーツやYouTube、ビットコインやアフィリエイトなどの利益(雑所得)がある場合、合計所得が48万円以下なら扶養親族の対象でいられます。


計算方法がよくわからない方のために、下記でわかりやすくシミュレーションして説明していきます。


雑所得があった場合、扶養から外れるか不安な方はチェックしておきましょう。

収入が雑所得だけなら48万円まで?

例えばあなたの収入が雑所得になるもの(ウーバーイーツやYouTubeなどで得た収入)のみであり、1年間(1月~12月まで)の収入が48万円のとき、雑所得は48万円となります。それ以外に所得がないので合計所得金額は48万円となります。

48万円雑所得になる収入0円経費 = 48万円雑所得(合計所得金額)
計算をわかりやすくするために経費は0円としています。雑所得については雑所得とは?を参照。

上記の場合、1年間の合計所得が48万円以下なので、あなたは扶養控除の対象になります。

※扶養から外れた場合に増える税金については下記で説明しています。



給料と雑所得の2つの収入がある場合は?
それぞれの所得を合計して計算

例えばあなたのアルバイト収入が1年間(1月~12月まで)で80万円、雑所得になる収入(ブログやYouTubeなどで得た収入)が1年間で15万円のとき。


▶まず給与所得の計算
あなたの給与所得は25万円となります。

80万円給与収入55万円給与所得控除 = 25万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。

▶次に雑所得の計算
つづいて、あなたの雑所得は15万円となります。

15万円雑所得になる収入0円経費 = 15万円雑所得
計算をわかりやすくするために経費は0円としています。雑所得については雑所得とは?を参照。

それぞれの所得を合計すると、あなたの合計所得金額は40万円となります。

25万円給与所得 + 15万円雑所得 = 40万円合計所得金額
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。

この場合、合計所得が48万円以下なので、あなたは扶養親族の対象となります。したがって、扶養控除の対象になります。

もし扶養されている方に雑所得があったとき、合計所得金額が48万円を超えてしまうと扶養から外れるので注意しましょう。

※扶養から外れた場合に増える税金については下記で説明しています。


一時所得がある場合は?

一時所得(ギャンブル収入など)がある場合、合計所得が48万円以下なら扶養親族の対象でいられます。


計算方法がよくわからない方のために、下記でわかりやすくシミュレーションして説明していきます。


一時所得があった場合、扶養から外れるか不安な方はチェックしておきましょう。

一時所得のみである場合は?

例えばあなたのギャンブル収入のみであり、その金額が1年間(1月~12月まで)で100万円のとき。

あなたの一時所得は50万円となります。

100万円ギャンブル等の収入0円支出50万円特別控除額 = 50万円一時所得
※わかりやすくするために、収入を得るために支出した金額は0円としています。
※一時所得については一時所得とは?を参照。

そして一時所得の半分(25万円)が所得として合計されます。

つまり、あなたの合計所得金額は25万円となります。この場合、合計所得が48万円以下なので、あなたは扶養親族の対象となります。したがって、扶養控除の対象になります。

※扶養から外れた場合に増える税金については下記で説明しています。

社会保険の扶養とは違う?
社会保険の扶養については、加入してる保険組合によっては一時所得も収入に含まれる場合があります。1年間の収入見込みが130万以上(60歳以上は180万以上)になれば社会保険の扶養から外れる必要があります。
※くわしくは自分が加入している保険組合HPで確認しましょう。
※社会保険の扶養の判定に含まれる収入についてはアルバイト収入のほかにも含まれる?を参照。




給料と一時所得の2つの収入がある場合は?
それぞれの所得を合計して計算

例えばあなたのアルバイト収入が1年間(1月~12月まで)で80万円、ギャンブル収入が1年間で70万円のとき。

まず、あなたの給与所得は25万円となります。

80万円給与収入55万円給与所得控除 = 25万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※給与所得については給与所得シミュレーションで計算できます。

つづいて、あなたの一時所得は20万円となります。

70万円ギャンブル等の収入0円支出50万円特別控除額 = 20万円一時所得
※わかりやすくするために、収入を得るために支出した金額は0円としています。
※一時所得については一時所得とは?を参照。

そして一時所得の半分(10万円)が合計されます。

それぞれの所得を合計すると、あなたの合計所得金額は35万円となります。

25万円給与所得 + 10万円一時所得 = 35万円合計所得金額
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。

この場合、合計所得が48万円以下なので、あなたは扶養親族の対象となります。したがって、扶養控除の対象になります。

もし扶養されている方に一時所得があったとき、合計所得金額が48万円を超えてしまうと扶養から外れるので注意しましょう。

※扶養から外れた場合に増える税金については下記で説明しています。

社会保険の扶養とは違う?

社会保険の扶養については、加入してる保険組合によっては一時所得も収入に含まれる場合があります。1年間の収入見込みが130万以上(60歳以上は180万以上)になれば社会保険の扶養から外れる必要があります。
※くわしくは自分が加入している保険組合HPで確認しましょう。
※社会保険の扶養の判定に含まれる収入についてはアルバイト収入のほかにも含まれる?を参照。


年金収入がある場合は?

年金収入がある場合、合計所得が48万円以下なら扶養親族の対象でいられます。


計算方法がよくわからない方のために、下記でわかりやすくシミュレーションして説明していきます。

年金収入だけなら158万円まで?

例えば65歳以上であなたの収入が年金収入のみであり、1年間(1月~12月まで)の収入が158万円のとき、年金についての所得は48万円となります。それ以外に所得がないので合計所得金額は48万円となります。この場合、あなたは扶養控除の対象になります。

158万円年金収入110万円公的年金控除 = 48万円雑所得(合計所得金額)
※65歳未満の場合は年金収入108万だと合計所得48万になります。
※年金についての所得は雑所得となります。
※公的年金控除については公的年金控除とは?を参照。
※年金についての所得はこちらのシミュレーションで計算できます。
※同一生計配偶者は同一生計配偶者とは?を参照。

※親を扶養に入れる場合についてはこちらの記事で説明しています。

では次に、年金と給料の2つの収入がある場合について下記で説明していきます。




年金と給料の2つの収入がある場合は?
それぞれの所得を合計して計算

例えば65歳以上であなたのアルバイト収入が1年間(1月~12月まで)で80万円、年金収入が1年間で110万円のとき。

まず、あなたの給与所得は25万円となります。

80万円給与収入55万円給与所得控除 = 25万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※給与所得については給与所得シミュレーションで計算できます。

つづいて、あなたの年金についての所得は0円となります。

110万円年金収入110万円公的年金控除 = 0円年金の所得(雑所得)
※公的年金控除については公的年金控除とは?を参照。
65歳未満の場合は公的年金控除の金額が変わります。
※年金についての所得はこちらのシミュレーションで計算できます。

それぞれの所得を合計すると、あなたの合計所得金額は25万円となります。

25万円給与所得 + 0円年金の所得 = 25万円合計所得金額
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。

この場合、合計所得が48万円以下なので、あなたは扶養親族の対象となります。したがって、扶養控除の対象になります。

※親を扶養に入れる場合についてはこちらの記事で説明しています。

年金と雑所得の2つの収入がある場合は?
それぞれの所得を合計して計算

例えば65歳以上で、雑所得になる収入が1年間(1月~12月まで)に80万円(経費65万円)、年金収入が1年間に110万円のとき。

まず、あなたの雑所得は15万円となります。

80万円雑所得になる収入65万円経費 = 15万円雑所得
※雑所得の経費は65万円円としています。雑所得については雑所得とは?を参照。

つづいて、あなたの年金についての所得は0円となります。

110万円年金収入110万円公的年金控除 = 0円年金の所得(雑所得)
※公的年金控除については公的年金控除とは?を参照。
65歳未満の場合は公的年金控除の金額が変わります。
※年金についての所得はこちらのシミュレーションで計算できます。

それぞれの所得を合計すると、あなたの合計所得金額は15万円となります。

15万円雑所得 + 0円年金の所得 = 15万円合計所得金額
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。

この場合、合計所得が48万円以下なので、あなたは扶養親族の対象となります。したがって、扶養控除の対象になります。

※親を扶養に入れる場合についてはこちらの記事で説明しています。

もし扶養控除の対象から外れたら税金はいくら増える?

あなたの所得が48万を超えてしまい、扶養控除の対象外になると、あなたを扶養している親族の税金は年間約5~17万円増す場合が多いでしょう。
※親族(親など)の年収が250万~850万の場合。
※妻または夫に扶養されている場合は配偶者控除です。扶養控除は関係ありません。



下記の表で年収別に税金額のシミュレーションをしているので、どれくらい高くなるのかチェックしてみてください。

税金はいくら増える?

今まで扶養控除を利用していた40歳以下・社会保険加入のサラリーマンが扶養控除を利用できなくなった場合のシミュレーション。


19歳以上22歳以下の親族(子供など)が扶養から外れた場合
 

親族の年収 親族が支払う税金
年収250~430万円のとき 親族が支払う税金は約77,000円高くなります。
※所得税は31,500円、住民税は45,000円

※所得税と住民税はこちらで計算
年収540~640万円のとき 親族が支払う税金は約110,000円高くなります。
※所得税は63,000円、住民税は45,000円

※所得税と住民税はこちらで計算
年収740~850万円のとき 親族が支払う税金は約170,000円高くなります。
※所得税は126,000円、住民税は45,000円

※所得税と住民税はこちらで計算

※家族1人が扶養控除の対象外になった場合の1年間の金額。
※上記の表は親族(40歳以下・社会保険加入のサラリーマン)が扶養控除を利用できなくなった場合のシミュレーション。



16歳以上の親族(子供など)が扶養から外れた場合

親族の年収 親族が支払う税金
年収250~400万円のとき 親族が支払う税金は約52,000円高くなります。
※所得税は19,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税はこちらで計算
年収500~600万円のとき 親族が支払う税金は約71,000円高くなります。
※所得税は38,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税はこちらで計算
年収700~850万円のとき 親族が支払う税金は約110,000円高くなります。
※所得税は76,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税はこちらで計算

※家族1人が扶養控除の対象外になった場合の1年間の金額。
※上記の表は親族(40歳以下・社会保険加入のサラリーマン)が扶養控除を利用できなくなった場合のシミュレーション。
※親を扶養に入れる場合についてはこちらの記事で説明しています。
※妻または夫に扶養されている場合は配偶者控除です。扶養控除は関係ありません。

会社独自の福利厚生扶養手当や家族手当)などをもらっている場合、扶養親族じゃなくなると手当が支給されなくなることがあるので確認しておきましょう。
※会社によっては、子供などがいると年間6万円くらい手当がもらえます。

以上のように、扶養から外れると親族の税金が増えてしまいます。親族の扶養から外れたくない場合は1年間の収入に気をつけなければいけません。
※もし扶養から外れるときは、あらかじめ親族に伝えておきましょう。

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