奨学金は収入に入る?入らない?親の扶養から外れるときについて

2022.04.27 更新

大学生の子供を親が扶養する際、奨学金をもらっていると扶養から外れたり、少しややこしい場合があります。この記事では奨学金をもらっている子供がいる場合、親の扶養がどうなるのかについて説明していきます。
この記事の目次
奨学金を受け取っている子供を扶養するポイント

16歳以上の子供を扶養すれば税金が安くなったり、子供が支払う保険料が0円になったりメリットがあります。

ただし、奨学金をもらっている場合、少しややこしくなり、子供の収入によっては親の扶養から外れることもあります。

ポイントは奨学金が収入に含まれるのか・含まないのかです。

ほかにも、加入している保険組合によっては仕送り金額のルールがあったりするので、1人暮らしの大学生の子供などを扶養するつもりの方はチェックしておきましょう。

この記事の要点

  • 税法上の扶養に入れる場合、奨学金は収入に含まない

  • 社会保険の扶養に入れる場合、奨学金が収入に含まれる場合がある。

  • 社会保険の扶養に入れる場合、同居か別居かで条件が変わる。

  • 社会保険の扶養から外れたときは、子供自身で保険料を支払うことになる。

では最初に、税法上の扶養について下記で見ていきましょう。扶養されるひとの所得が多いと扶養の対象から外れます。


税法上の扶養(扶養親族)に入れる場合は?
奨学金は収入に含める?もらうと扶養親族から外れる?

子供を扶養に入れるには、子供の収入があまり多くないことが条件です。

子供の収入が少なければ扶養親族の対象になります。
※くわしい収入の条件については下記で説明しています。

子供が16歳以上の扶養親族であれば、税金が安くなる制度(扶養控除)が利用できます。
扶養控除とは:16歳以上の扶養親族がいると税金が安くなる制度。控除を利用すれば約5万円~十数万円税金が安くなります。

奨学金は収入に入る?もらうと扶養親族から外れる?

奨学金には貸与型・給付型がありますが、どちらも非課税所得となります。
※奨学金は非課税と規定されています(給与その他対価の性質を有する一定のものを除く)。
※出典:国税庁奨学金の返済に充てるための給付は「学資に充てるため給付される金品」に該当するか


したがって、子供が奨学金をもらっていても、その金額は収入に含まれません。つまり、奨学金をもらっていても扶養親族の対象から外れることはありません。

※ただし、アルバイト収入などで1年間の合計所得が48万円を超えた場合は扶養から外れます。くわしくは下記の項目で説明していきます。

では次に、収入がたくさんあって扶養親族の対象から外れる場合について下記で説明していきます。子供がアルバイトなどをしている場合は気をつけましょう。


収入がたくさんあると扶養親族の対象から外れる?

上記でも説明したように、子供がアルバイトなどをして収入がたくさんある場合、扶養親族の対象から外れてしまいます。


くわしく説明すると、1年間の合計所得が48万円以下でなければ扶養親族の対象から外れてしまいます。
合計所得48万円以下とは、給与収入のみで103万円以下のこと。したがって、収入が多すぎると扶養親族の対象から外れてしまいます。


たとえば、子供がアルバイトをしており、1年間(1月~12月まで)の収入が103万円(つまり、合計所得金額が48万円)を超えてしまうと扶養親族の対象から外れてしまいます。


そうなれば扶養控除(親の税金が安くなる制度)が利用できなくなるので注意しましょう。
※こんなページもみられています
子供が103万超えたら親はいくら払う?学生バイトは年収いくらがおすすめ?


別居している場合は仕送りが必要?

子供が大学に通うために別居(一人暮らし)をしている場合でも扶養親族の対象になります。

ただし、別居している場合生計を一にすること(仕送り等)が必要になります。

たとえば1人暮らしをしている子供に生活費などを送金しているなら、生計を一にしていると認められ、扶養親族の対象になります。

※生活費や教育費としての仕送り金額は合計所得金額に含めません。
※出典:国税庁扶養控除生計を一にするの意義
※出典:国税庁贈与税がかからない場合
※別居している場合、生計を一にしている(仕送り等をしている)ことを証明する書類の提出は必要ありませんが、仕送り等の事実を確認されることもあるので、預金通帳など準備しておくことをオススメします。
※出典:国税庁扶養控除生計を一にするの意義

では次に、子供を社会保険の扶養にいれる場合について下記で説明していきます。

社会保険(健康保険など)の扶養に入れる場合は?
奨学金を収入に含める場合がある

子供を社会保険(健康保険など)の扶養に入れるには、子供の収入があまり多くないことが条件です。

簡単に説明すると、1年間の収入が130万円未満になる見込みでなければいけません。
※くわしい条件については下記で説明しています。

したがって、アルバイト等で収入がたくさんあるひとは社会保険の扶養に入れないので、扶養に入ろうと考えている方は注意しましょう。

奨学金をもらうと社会保険の扶養から外れる?

社会保険の扶養では、奨学金の扱いが加入している保険組合によって異なります。

たとえば、貸与型の奨学金(将来返す必要がある奨学金)は収入に含まれないことが多いですが、給付型の奨学金(将来返す必要がない奨学金)については収入に含まれる場合があります。
※ほかにもどちらの奨学金も収入に含めない場合や、どちらの奨学金も収入に含める場合があります。

奨学金が収入に含まれる場合、奨学金を含めて「1年間の収入が130万円以上」になるようなら、社会保険の扶養の対象から外れることになります。

※加入している保険組合によって扱いが異なるので、しっかり確認することをオススメします。

では次に、社会保険の扶養の収入の条件について下記で説明していきます。収入の範囲にはルールがあります。

収入の条件がある?同居の場合と別居の場合

社会保険の扶養には収入の条件があります。

1年間の収入見込みが130万円未満であるほかに、下記のような条件があります。

❶同居している場合、❷別居している場合でそれぞれ説明していきます。

同居している場合の収入条件

社会保険の扶養では、同居している被保険者(扶養するひと)の収入の半分未満であることが条件となります。

たとえば、親の収入が1年間で250万円の場合、被扶養者(扶養されるひと)の収入は125万円未満でなければ扶養の対象から外れてしまいます。

※親の収入が300万円なら、半分未満は150万円未満となりますが、130万円以上になると社会保険の扶養の対象から外れてしまいます。
※参照:協会けんぽ被扶養者とは?
※参照:日本年金機構従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き

別居している場合の収入条件

社会保険の扶養では、被扶養者(扶養されるひと)の収入が被保険者(扶養するひと)からの仕送り額未満であることが条件となります。

たとえば、別居している子供のアルバイト収入が1年間で72万円(月収6万円)の場合、仕送り額は年間72万円(ひと月当たり6万円)を超える金額でなければいけません。

そして、1年間の収入見込みが130万円未満でなければいけません。
上記のように、奨学金をもらっている場合は収入に含める場合もあります。
※また、加入している保険組合によっては学費(授業料・奨学金等)は仕送りに含まない場合があります。くわしくは加入している保険組合で確認しましょう。
※参照:協会けんぽ被扶養者とは?
※参照:日本年金機構従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き

条件を満たしていてもダメなときがある?

仕送り金額等の条件を満たしていても、様々な状況を審査した結果、社会保険の扶養に入れない場合もあります。
たとえば被扶養者(扶養されるひと)の貯蓄や資産、直近数年間の収入などの家庭状況を含めて考え、経済的に自立していると判断される場合には扶養に入れない場合があります。

※原則、被保険者に生計を維持されていなければ扶養の対象にはなりません。

アルバイトなどの収入があってもいい?
アルバイトなどの収入があってもいい?

アルバイトなどの収入があっても、社会保険の扶養に入ることは出来ます。

ただし、上記で説明したように、収入の条件を満たさなければ社会保険の扶養から外れてしまいます。

したがって、アルバイト等で収入がたくさんあるひとは社会保険の扶養に入れないので、扶養に入ろうと考えている方は注意しましょう。
※くわしい条件については下記で説明しています。

アルバイトのほかにも収入に含まれる?

社会保険の被扶養者(扶養されるひと)の収入には以下のようなものが含まれます。

など。
※加入している保険組合によって異なります。奨学金も収入に入る場合があるので、しっかり確認しておきましょう。

別居している子供を社会保険の扶養に入れる場合は仕送りが必要?

1人暮らしをしている子供を社会保険(健康保険など)の扶養に入れることは可能です。


ただし、別居している子供(大学生など)を扶養にいれる場合は仕送り等が必要になります。
社会保険の扶養の条件に「仕送りが必要」とされているため。


扶養の申請の際に、仕送り金額等を記入して届出を提出することになるので、別居している子供を扶養するつもりの方は仕送りを忘れないようにしましょう。

仕送りしていない、または手渡しの場合は?

仕送りしていない場合
別居している子供を扶養に入れる際には、仕送りの事実や証明が必要になります。
※加入している保険組合によっては、扶養対象が学生なら省略できる場合もあります。

したがって、仕送りしていない場合は社会保険の扶養の条件を満たさないため、扶養の対象になりません。

※扶養するための届出や現状の再確認のための調査書を提出する際に金額を記入したり、仕送り額が確認できる書類を添付が必要になります。
※現況の再確認の際、協会けんぽの場合は「被扶養者現況申立書」を添付して提出することになります。
※参照:全国健康保険協会被扶養者資格の再確認について



仕送りが手渡しの場合
別居している子供を扶養に入れる際には、仕送りの事実や証明が必要になります。したがって、多くの保険組合では「手渡し」だと、社会保険の扶養に入れない場合があります。
※仕送りをしている証明ができないため、基本的には仕送りは「送金」でなければいけません。

ただし、保険組合によっては手渡しだとしても預金通帳等と照らし合わせて、仕送りの事実を証明できれば(手渡しの仕送りで生計を維持していることが合理的に認められる場合は)社会保険の扶養として認められる場合があります。

では次に、仕送り金額がいくら以上必要なのか、定期的じゃないとダメなのかについて下記で説明していきます。仕送り金額にはルールがあります。


仕送り金額や回数にルールはある?

上記で説明したように、1人暮らしなどで別居している子供を社会保険の扶養にいれる条件は「仕送りが必要」ということです。


仕送りのルールは「被扶養者(扶養されるひと)の収入が被保険者(扶養するひと)からの仕送り額未満であること」です。


さらに、加入している保険組合によっては下記のように仕送り金額や回数に決まりがあるので、しっかり確認しておきましょう。

仕送りに金額指定がある場合もある?

加入している保険組合によっては、仕送り金額に指定がある場合があります。たとえば、「ひと月当たり最低5万円以上の仕送りが必要」などの条件がある場合があります。
※加入している保険組合によっては学費(授業料・奨学金等)は仕送りに含まない等の場合があります。くわしくは加入している保険組合で確認しましょう。

仕送りは毎月じゃないとダメ?

仕送りは半年にまとめて渡したり、年数回に分けたり、家庭によって方法が異なると思います。

しかし、加入している保険組合によっては定期的(ひと月ごと)に仕送りをしないといけない場合があります。毎月の仕送りを忘れてしまうと、扶養の対象から外されてしまう場合があるので注意しましょう。

※加入している保険組合を確認しましょう。

では次に、扶養を外される場合について下記で説明していきます。社会保険の扶養が外れてしまうケースを把握しておきましょう。


社会保険の扶養を外される場合とは?

社会保険の扶養を外されるときは以下のようなときです。
※条件を満たしていないことが判明したタイミングなどで扶養から外れることのお知らせが届きます。


扶養から外れるときは加入している保険組合の「届出」を提出して、扶養から外す手続きをしなければいけません。
※届出書は加入している保険組合に請求またはダウンロードして手に入れることが出来ます。


扶養の条件を満たしていないのに、届出を提出せずそのままにしている場合、下記で説明するようにその期間の医療費などを返還しなければいけなくなります。

いつから扶養を外れる?

以下のどれかにあてはまるひとは、社会保険の扶養の条件を満たしていないので扶養から外れることになります。

こんなときは扶養から外れます

  • 勤務先の社会保険に加入したとき
  • 75歳になって後期高齢者医療制度に加入したとき
  • 年間収入が130万円以上になる見込みがあるとき
    ※給与収入なら月収108,333円を超えるとき。
    ※60歳以上の場合は年間180万円以上になる見込みがあるとき
  • 収入が同居している被保険者(扶養するひと)の収入の半分以上になるとき
  • (別居している場合)仕送りしていないとき
    ※保険組合によっては毎月仕送りをしていないことが判明したときに扶養から外れる場合があります。
  • (別居している場合)被扶養者(扶養されるひと)の収入が仕送り額を超えたとき

など。
※加入している保険組合によっては他にも条件がある場合があります。

※社会保険の扶養の条件については社会保険の扶養とは?を参照。

扶養の条件から外れているのに手続きをしていなかった場合は?

社会保険の扶養を外れていることがわかったときは、扶養を外れる届出を提出しなければいけません。
※届出書は保険組合に請求するまたはダウンロードして手に入れることが出来ます。

しかし、扶養から外れることに気づかなくてそのままにしている方も多くいると思います。社会保険の扶養から外れていることがあとになって発覚した場合、その事実が発生した日までさかのぼって、その期間の医療費(保険を使って診療したときのお金など)を返還することになります。

では次に、扶養から外れたときの保険料について下記で説明していきます。社会保険の扶養から外れたときは、子供自身で保険料を支払うことになります。


社会保険の扶養から外れたら保険料はいくら支払う?

社会保険の扶養から外れれば、子供自身で保険料を支払う必要があります。


下記で❶勤務先の社会保険に加入した場合と❷国民健康保険に加入した場合で大まかにシミュレーションしています。


保険料がどれくらいになるか目安を知りたい方はチェックしておきましょう。

社会保険の扶養から外れた場合に支払う保険料は?

勤務先の社会保険に加入する場合
アルバイト先の社会保険に加入し、1年間の給与収入が130万円の場合、1年間の社会保険料は約18.5万円(約15,000円/月)になります。
※健康保険料が約65,000円、厚生年金保険料が約120,000円。
※保険料はこちらのシミュレーションで計算しています。




国民健康保険と国民年金に加入する場合
去年1年間(1月~12月まで)の給与収入が98万円以下の場合、1年間の国民健康保険料は約5.5万円(約4,600円/ひと月ぶん)になります。

去年1年間(1月~12月まで)の給与収入が130万円の場合、1年間の国民健康保険料は約8.5万円(約7,100円/ひと月ぶん)になります。

減額される場合約7.4万円

さらに、国民年金の保険料が約200,000円/年間(約16,600円/ひと月ぶん)かかります。
※国民年金の保険料は学生納付特例を申請すれば先送りすることができます(申請期間の支払いが0円になります)。

※東京都世田谷区に在住で加入者1人の場合。国民健康保険料は住んでいる地域で料金が変わります。くわしくは市区町村HPでご確認ください。
※国民健康保険料はこちらのシミュレーションで計算しています。

ここまでのまとめ

ここまで説明したように、奨学金をもらっている子供を扶養に入れることは可能です。

気をつけるポイントは「社会保険の扶養における奨学金の扱い」です。

保険組合によって奨学金の扱いが異なるので、加入している保険組合のルールをかならず確認しておきましょう。

ここまでのまとめ

  • 税法上の扶養に入れる場合、奨学金は収入に含まないので、奨学金をもらっていても扶養親族の対象から外れることはない。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 社会保険の扶養に入れる場合、奨学金が収入に含まれる場合がある。収入が130万円以上になれば扶養から外れるので注意。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 社会保険の扶養に入れる場合、同居か別居かで条件が変わる。
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 社会保険の扶養を外される場合、届出の提出が必要になるので忘れないようにする。
    ※くわしくは上記で説明しています。

社会保険の扶養では、加入している保険組合によって奨学金の扱いが異なっているため、わかりづらくてとても迷惑ですが、しっかり確認しておかないと知らないうちに扶養の対象から外れてしまう場合があるので気をつけましょう。