労災保険とは?わかりやすく説明。どんな補償をしてくれる?

2022.09.02 更新
仕事が原因でケガや病気をしてしまい、休まなければならない状況になったときにわたしたちの味方になってくれるのが「労災保険」です。この記事では労災保険について簡単に説明していきます。
この記事の目次
労災保険とは?(この記事の要点)

労災保険とは、労働者が仕事でケガや病気をしたり、死亡したときに保険給付ほけんきゅうふを行う制度です。
※労災保険は仕事が原因によって病気・ケガなどをしたときに補償してくれる制度です。原因が認められなければ給付は行われません。

パートやアルバイトだとしても対象になります。また、労災保険の保険料については事業主が全額負担することになっています。

このように労災保険は賃金をもらって働くかたを守ってくれます。労災保険についてザッと把握しておくことをオススメします。

この記事の要点

  • 労災保険は賃金をもらって働く労働者が対象。

  • 保険料は事業主が全額負担する。

  • 事業主や役員は対象外だが、特別加入できる場合もある。

  • 業務災害または通勤災害でなければ労災は認められない。

では最初に、労災保険の対象となる労働者について下記で説明していきます。パートやアルバイトなどの従業員は対象になります。

労災保険は正社員だけじゃない?

「労働者」とは正社員のほかにもパート・アルバイトなど賃金を支給される方すべてをいいます。

つまり、お給料をもらって働いている方は労災保険で守られているということになります。
※公務員については労災保険の対象外となるため、同じような制度(国家公務員災害補償制度、地方公務員災害補償制度)で守られています。

労災保険への加入は義務?
わざと労災保険に加入しないと罰金が与えられる

労災保険は法律で定められた制度です。一人でも従業員などを雇用している事業主(会社など)は労働保険に加入するように義務付けられています。
加入していない場合は労働基準監督署から罰金などのペナルティを与えられます。

※労働保険は労災保険と雇用保険の総称。
※5人未満の個人経営の農林水産業は任意加入。

したがって、アルバイトなどを雇っているのに「うちは労災保険に加入してないから労災は適用されない」なんてことはありません。

※参照:厚生労働省労災保険とは

では次に、労災保険の保険料について下記で説明していきます。雇われて働いている方は知っておきましょう。


労災保険の保険料は?
労災保険の保険料は全額事業主が負担する

労災保険の保険料は全額事業主が負担することになっています。


したがって、労働者が保険料を払う必要はありません。


労働者が支払う労災保険の保険料は0円ということになります。

※「労働者」とは正社員のほかにもパート・アルバイトなど賃金を支給されるすべての方をいいます。
労働者を一人でも雇用していれば、労働保険(労災保険と雇用保険を合わせた総称)の適用事業となり、会社などの事業主は保険料を納付しなければなりません(農林水産の一部の事業は除く)。


では次に、業務災害と通勤災害について下記で説明していきます。仕事が原因じゃなければ労災保険は対象外になることを知っておきましょう。


たとえばどんなときに労災になる?
労災保険は業務災害か通勤災害じゃないと認められない

労災保険は、ケガや病気などが業務災害または通勤災害と認められたときにわたしたちを助けてくれます。


仕事と関係のないケガなどは労災保険の対象外になるので注意しましょう。


以下に業務災害または通勤災害になるような状況を示します。

業務災害とは
仕事中のケガ、仕事が原因で発生した災害や病気などが業務災害となります。
たとえば以下のようなものが該当します。

・業務中(業務中のトイレも含む)の災害
・出張での業務中の災害
・施設や設備の不備による昼休みや休憩中の災害

※何も不備がなく、昼休みや休憩中に被災した場合は対象外です。
※くわしくは業務災害とは?を参照。
通勤災害とは
通勤によって被った病気、ケガまたは死亡が通勤災害となります。移動の経路から逸脱し、または中断した場合は、その後の移動も含め「通勤」とはなりません。

・業務のための通勤は労災の対象となります。

・理由もなく遠回りしたりした場合は対象外となります。
※渋滞を避けるためにやむをえず迂回したときなどは労災の対象となります。

・通勤の途中で居酒屋に行ったり、映画館に行った場合は対象外となります。

※通勤途中でジュースを購入するなど、ささいな行為は対象外とはなりません。
※くわしくは通勤災害とは?を参照。

では次に、労災保険がわたしたちにどんなことをしてくれるのかについて下記で説明していきます。給料をもらって働いている方はチェックしておくことをオススメします。

労災保険はどんなことをしてくれるの?
労災保険の給付はいろいろ

労働者を守ってくれる労災保険がどんなことをしてくれるのかというと、たとえば仕事が原因でケガや病気をしたときには通院代が支給されたり、休んでいる間にお金を支給してくれたりします。


もしもあなたに妻や子供がいる場合、あなたが亡くなったときに残された家族にお金が支給されたりします。
労災保険の給付等一覧

では次に、それぞれの給付について下記で説明していきます。会社員やアルバイトの方は労災保険がどんなことをしてくれるのか知っておくことをおすすめします。


病院代を無料にしてくれる

労災保険の給付のひとつである「療養補償給付」とは、仕事で病気やケガをしたときに病院での治療や薬の処方が無料で受けられるものです。


病気やケガの治療にかかったお金は労災保険がかわりに負担してくれることになっています。


ちなみに、ケガや病気の症状が治ゆするまで給付は続きます。
※治ゆとは、傷病の症状が安定し、医学上一般にみとめられた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(症状固定)をいいます。
労災保険の療養補償給付とは?

休んでいる間にお金を支給してくれる
4日目以降の休みから休業補償給付の対象

労災保険の給付のひとつである休業補償給付とは、仕事が原因の病気・ケガを治すために会社を休んでおり、賃金を受けていないときに労災保険からお金がもらえる制度です。


一日当たりの支給額はおおよそ「日給 × 80%」です。


ケガや病気の症状が治ゆするまでお金が支給されます。くわしい条件などについては下記のページをチェックしておきましょう。
※治ゆとは、傷病の症状が安定し、医学上一般にみとめられた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(症状固定)をいいます。

ケガが治らない場合は年金がもらえる

傷病補償年金とは仕事が原因の病気・ケガの治療後1年6ヶ月を経っても治らないときに支給されるものです。

傷病補償年金の金額は、ケガや病気の程度によって変わります。くわしい条件などについては下記のページをチェックしておきましょう。

障害が残った場合は年金がもらえる

労災保険の給付のひとつである障害補償給付とは、仕事が原因の病気・ケガが治ったとき(治ゆしたとき)に身体に障害が残っている場合に支給されるものです。


障害補償給付として年金や一時金が支給されます。支給される金額は給料や障害の程度によって変わります。
※治ゆとは、傷病の症状が安定し、医学上一般にみとめられた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(症状固定)をいいます。


下記の記事で障害給付としてもらえる金額をザッと計算しているので、気になる方はチェックしておきましょう。

亡くなった場合は遺族に年金が支給される

労災保険の給付のひとつである遺族補償給付とは、仕事が原因で家族が亡くなったときに労災保険から遺族に支給されるものです。

遺族補償給付として年金や一時金が遺族に支給されます。

受け取ることができる遺族は決められているので、気になる方は下記のページをチェックしておきましょう。

では次に、労災保険の申請方法について下記で説明していきます。何もしなければ労災保険の給付を受けることは出来ません。

ケガなどをして労災を申請するときのながれ

仕事でケガや病気をしたときは労災保険が補償してくれます。

ただし、労災保険の補償を受けるためには労働基準監督署に申請する必要があります。仕事でケガなどをしたときは事業主などにすぐに報告しましょう。


申請のながれ

STEP1 ケガなどを報告
仕事でケガ等をしたら事業主に報告する。


STEP2 申請書を提出
事業主が労災の申請書などを労働基準監督署に提出する。


STEP3 調査
労働基準監督署が従業員の労災について調査する。調査後にお金などが支給される。
※労災と認定されればお金などが支給される。

では次に、事業主向けの労災保険について下記で説明していきます。事業主は基本的には労災保険の対象外です。


事業主や役員は対象外?
事業主や役員は労災保険の対象外

労災保険は賃金をもらっている労働者が対象であり、事業主や代表権・業務執行権をもつ役員は対象外となります。

ただし、役員でも賃金をもらって従業員と同じように働いている場合は「労働者」として扱われるので、労災保険の対象となります。

事業主でも特別加入できる?
労災保険は労働者以外の方は対象外ですが、中小企業の事業主やその役員、一人親方などは労災保険に特別に加入することが認められています。保険料率は仕事の種類によって0.3%~約5%となります。
※自転車を使用して行う貨物運送業も特別加入の対象です。

ちなみに、労災保険に特別加入した事業主が、労働者と同様の業務をしている場合は保険給付を受けられますが、事業主が経営者として行う業務によって被災した場合は労災として認められません。

※参照:厚生労働省特別加入制度とは何ですか。
※参照:厚生労働省労災保険への特別加入
中小企業と認められる規模
中小企業と認められる規模は以下のとおりです。
・金融業:50人以下
・保険業:50人以下
・不動産業:50人以下
・小売業:50人以下
・サービス業:100人以下
・卸売業:100人以下
・上記以外の業種:300人以下

※工場や支店などがいくつかある場合はそれぞれの労働者数の合計。
※参照:厚生労働省労災保険への特別加入

では最後に、生命保険などに加入する必要について下記で説明していきます。無理して加入する必要はありません。


生命保険やガン保険などに加入する必要は?

保険には上記で説明したような「国が提供する保険(労災保険など)」のほかにも、民間企業が販売している生命保険やガン保険などの「民間保険」というものがあります。

民間保険は社会保険のように必ず加入しなくてもいい保険ですが、多くの人が関わることになります。

民間保険に加入するときは、自分のライフスタイルと照らし合わせて「本当に必要かどうか」しっかり検討しましょう。

必要もないのに民間保険に加入して保険料を支払うことにならないように気をつけましょう。

保険について何も知らない人は社会保険と民間保険の違いについて知っておくことをオススメします。

ここまで説明したように、労災保険は雇われている労働者がケガや病気になったときに補償をしてくれます。

万が一の時のために、サラリーマンなどの方は労災保険がどんな補償をしてくれるのかザッと覚えておきましょう。また、業務災害または通勤災害と認められなければ、労災の対象外になることを覚えておきましょう。