仕事でケガをした…そんなときの病院代は無料!労災保険の療養補償給付とは?

2024.09.26 更新

療養補償給付りょうようほしょうきゅうふとは?病院代は無料に?

仕事中のケガは誰もが抱えるリスクです。

療養補償給付とは、従業員が仕事で病気やケガをしたときに、病院での治療や薬の処方が無料で受けられるものです。

病気やケガの治療にかかったお金は労災保険がかわりに負担してくれることになっています。
※療養補償給付は労災保険の給付のひとつです。

賃金をもらって働く従業員は労災保険に加入することになります。保険料については事業主(雇用主)が全額負担することになっているので安心してください。

療養補償給付の内容

療養(補償)給付は以下の2種類あり、どちらも給付の対象となる範囲・期間は同じで、傷病が「治ゆ」するまで行われます。


1.療養の給付
指定医療機関等にて無料で治療や薬剤の支給等を受けられます。


2.療養の費用の支給
指定医療機関等が近くにないなどの理由で指定外の医療機関で療養を受けた場合に、その療養にかかった費用が支給されます。

※参照:厚生労働省療養(補償)等給付の請求手続
※労災保険についてはこちら↓
労災保険とは?わかりやすく説明。どんな補償をしてくれる?

無料にしてくれる期間はどのくらい?

治療や薬代を無料で受けられる給付期間はどのくらいなのかというと、その症状が「ゆ」するまでです。
※治ゆとは、傷病の症状が安定し、医学上一般にみとめられた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(症状固定)をいいます。

したがって、ケガをしている途中で給付が終わったりしないので安心してください。

※労災保険はケガや病気が業務災害(および複数業務要因災害)、または通勤災害と認められなければ給付が行われないので注意してください。


労災と認められたときに適用される
労災保険は業務災害、複数業務要因災害、通勤災害じゃないと認められない

労災保険は、ケガや病気などが労災と認められたときにわたしたちを助けてくれます。

仕事と関係のないケガなどは労災保険の対象外になるので注意しましょう。

たとえばどんなときに労災になる?

業務災害とは
仕事中のケガ、仕事が原因で発生した災害や病気などが業務災害となります。
たとえば以下のようなものが該当します。

・業務中(業務中のトイレも含む)の災害
・出張での業務中の災害
・施設や設備の不備による昼休みや休憩中の災害

※何も不備がなく、昼休みや休憩中に被災した場合は対象外です。
※くわしくは業務災害とは?を参照。
複数業務要因災害とは
複数事業労働者の二以上の事業(ダブルワーク)の業務が原因となる傷病等のことをいいます。
対象となる傷病等は、脳・心臓疾患や精神障害などです。

※くわしくは複数業務要因災害とは?を参照。
通勤災害とは
通勤によって被った病気、ケガまたは死亡が通勤災害となります。移動の経路から逸脱し、または中断した場合は、その後の移動も含め「通勤」とはなりません。

・業務のための通勤は労災の対象となります。

・理由もなく遠回りしたりした場合は対象外となります。
※渋滞を避けるためにやむをえず迂回したときなどは労災の対象となります。

・通勤の途中で居酒屋に行ったり、映画館に行った場合は対象外となります。

※通勤途中でジュースを購入するなど、ささいな行為は対象外とはなりません。
※くわしくは通勤災害とは?を参照。


ケガなどをして労災を申請するときのながれ

仕事でケガや病気をしたときは労災保険が補償してくれます。

ただし、労災保険の補償を受けるためには労働基準監督署に申請する必要があります。仕事でケガなどをしたときは事業主などにすぐに報告しましょう。


申請のながれ

STEP1 ケガなどを報告
仕事でケガ等をしたら事業主に報告する。


STEP2 申請書を提出
事業主が労災の申請書などを労働基準監督署に提出する。


STEP3 調査
労働基準監督署が従業員の労災について調査する。調査後にお金などが支給される。

休んでいるときにもお金がもらえる?

長期間休まなければいけないときは生活費などが心配になります。治療代が無料になるとはいえ、仕事を休まなきゃいけなくなるので給料がもらえません。


そんなときに役に立つのが休業補償給付です。


「仕事でケガをして体調悪いけどお金が心配で会社を休めない…」という方は仕事を休んだときにどれくらいお金がもらえるのか等を下記のページでチェックしておきましょう。

かんたんに説明すると、一日あたりおおよそ日給 × 80%の金額がもらえます。
※ただし、休んでいるあいだも社会保険料はかかります。

休業で支給されるお金についてはこちら↓
休業補償給付とは?支給条件は?手取り金額はいくら?

以上のように、会社員やアルバイトの方は労災保険に加入しているので、仕事が理由の病気やケガについては治療費が無料になります。

また、労災保険の保険料はすべて事業主が負担することになっているので従業員が支払う必要がないことも覚えておきましょう。