仕事の事故で家族を亡くした…労災保険の遺族補償給付とは?

2021.07.14 更新
「仕事の事故で家族が亡くなってしまった…」仕事中の死亡はだれもが抱えるリスクです。一家の大黒柱が亡くなってしまうことがあるかもしれません。そんなときには遺族に向けて労災保険から年金が支給されます。この記事では労災保険の給付のひとつである遺族補償年金について説明していきます。
この記事の目次

遺族補償年金いぞくほしょうねんきんとは?

遺族補償年金とは簡単に説明すると、仕事が原因で家族が亡くなったときに遺族に支給されるものです。ただし、受けとることができる遺族は決まっています。

※労災保険はケガや病気が業務災害または通勤災害と認められなければ給付が行われないので注意してください。


この記事の要点

  • 受け取れる遺族が決まっており、配偶者が1番優先される

  • 受け取れる遺族がいないときは一時金が支給される
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誰が受けとれるの?

遺族のなかで遺族補償年金を受けとることができる方は誰なのか。

遺族補償年金を受けとることができる遺族は、亡くなった方の収入によって生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。
※受給資格者のうち最先順位者(受給権者)に対して支給されます。

受けとれる資格のある遺族

どのくらいの金額がもらえるの?

遺族補償年金の金額は以下のようになっており、遺族補償年金、遺族特別支給金、遺族特別年金が支給されます。

支給額

給付基礎日額等については給付基礎日額・算定基礎日額を参照

どれくらいの金額がもらえるの?
たとえば、亡くなった方の給料が月収30万円でボーナスを年間70万円もらっているとすると、事故が10月に発生した場合、給付基礎日額と算定基礎日額は以下のように計算されます。

30万円収入 × 3ヶ月 ÷ 92日※1 = 9,782円給付基礎日額


70万円ボーナス ÷ 365日 = 1,917円算定基礎日額
※1 七月は31日間、八月は31日間、九月は30日間、賃金締切日が月末として計算
※給付基礎日額とは直前3ヶ月間に支払われた賃金総額のこと。くわしくは給付基礎日額・算定基礎日額を参照。

給付基礎日額と算定基礎日額がわかったので、次に年金額を計算します。

遺族が2人いる場合、遺族に給付される年金額は以下のようになります。

9,782円給付基礎日額 × 201日分 = 約197万円遺族補償年金


1,917円算定基礎日額 × 201日分 = 約39万円遺族特別年金


約197万円遺族補償年金 + 約39万円遺族特別年金 = 約236万円合計の年金

以上の年金額が遺族に毎年給付されます(受給権者が複数の場合は等分されて給付)。さらに、遺族特別支給金の300万円が一時金として遺族に支給されます。
※遺族(補償)年金は、被災労働者が亡くなった日の翌日から5年を経過すると時効により請求権が消滅します。

このように、仕事が原因で家族が亡くなったときには労災保険から年金が支給されるのです。

「でも、うちには受けとることができる(受給資格を満たす)家族がいない…」という方もいると思います。

そんな方に支給されるものが遺族補償一時金です。くわしくは次で見ていきましょう。


受けとることができる遺族がいないときは?

受けとることができる遺族がいないために遺族補償年金を受けとれないという方には遺族補償一時金が支給されます。

支給される条件は以下のとおりです。

どういうときに支給される?

つぎのまたはにあてはまるときに支給されます。
被災労働者の死亡当時、遺族補償年金を受ける遺族がいないとき

遺族(補償)年金の受給権者が最後順位者まですべて失権したとき、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金の額および遺族(補償)年金前払一時金の額の合計額が、給付基礎日額の1000日分に満たない場合
遺族補償一時金はどれくらいもらえるの?

遺族補償一時金の支給金額と受けとることができる遺族は以下のようになっています。

支給される金額



どれくらいの金額がもらえるの?
たとえば、亡くなった方の給料が月収30万円でボーナスを年間70万円もらっているとすると、事故が10月に発生した場合、給付基礎日額と算定基礎日額は以下のように計算されます。

30万円収入 × 3ヶ月 ÷ 92日※1 = 9,782円給付基礎日額


70万円ボーナス ÷ 365日 = 1,917円算定基礎日額
※1 七月は31日間、八月は31日間、九月は30日間、賃金締切日が月末として計算
※給付基礎日額とは直前3ヶ月間に支払われた賃金総額のこと。くわしくは給付基礎日額・算定基礎日額を参照。

したがって、遺族に支給される一時金の合計は、

9,782円給付基礎日額 × 1000日 = 約980万円遺族補償一時金


1,917円算定基礎日額 × 1000日 = 約190万円遺族特別一時金


約980万円遺族補償一時金 + 約190万円遺族特別一時金 + 300万円遺族特別支給金 = 約1470万円一時金の合計

となります(受給権者が複数の場合は等分されて給付)。
※遺族(補償)一時金は、被災労働者が亡くなった日の翌日から5年を経過すると時効により請求権が消滅します。

受けとることができる遺族

以上のように、遺族補償年金が受け取る家族がいない場合には年金の代わりに遺族補償一時金が支給されることになっています。

5年以内に申請しないと受け取れなくなってしまうので気をつけましょう。

また、サラリーマンやアルバイトのすべての方は労災保険に加入していますが、労災保険の保険料はすべて事業主が負担することになっているので従業員が支払う必要はないので安心してください。