労災保険ってなに?

学生を対象にした労災保険について学ぶための教材(子供向け・何も知らない大人向け)。授業等でご活用ください。

ここでは国が提供している労災保険について
説明しています。
目次

労災保険ってなに?

労災保険は働くひとを守ってくれる

労災保険とは、はたらくひとを守ってくれる保険です。
仕事でケガや病気をして働けなくなったとき、お金がもらえなくなってしまいます。
もしそうなってしまえば、日々の生活はとても大変になってしまいます。

労災保険がお金を支給してくれる

労災保険は、仕事が原因のケガや病気で働けなくなってしまった方にお金などを支給してくれます。
自分も仕事でケガや病気になってしまうかもしれません。万が一のときのために労災保険について知っておきましょう。

労災保険はお金がかかる?

従業員が支払う保険料は0円

給料をもらって働いている方(従業員)は労災保険に加入することになります。
ですが、従業員には保険料がかからないので、支払う保険料は0円です。

はたらく人をやとっている社長などが支払う

労災保険の保険料は、従業員をやとっているひと(事業主)がすべて負担することになっています。

労災はやとっている人の責任

まだ、労災保険がなかったころは「労災は働いているひとの不注意」でした。
しかし、経済が発展した現在は「労災は雇っているひとの責任」となりました。したがって保険料は雇っているひとがすべて支払うことになっているんです。

労災保険はどんなことをしてくれる?

病院代が無料になったり、お金をくれたりする

労災保険は、仕事でケガや病気をしたときには通院代がもらえたり、休んでいる間にお金をくれたりします。

もしも、亡くなったときには残された家族にお金が支給されたりします。

では、下記で労災保険がしてくれることについてもう少しくわしく説明していきます。

病院代を無料にしてくれる?

病院代は労災保険がはらってくれる

病気やケガの治療にかかったお金は労災保険がかわりに支払ってくれます。
※これを労災保険の療養補償給付といいます。

ちなみに、ケガや病気が治癒(ちゆ)するまでです。
※治ゆとは、傷病の症状が安定し、医学上一般にみとめられた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(症状固定)をいいます。

休んでいる間にお金を支給してくれる?

仕事を休んでも労災保険がお金をくれる

労災による病気やケガを治すために会社を休んでお金がもらえないときに労災保険からお金がもらえます。

一日当たりの金額はおおよそ「日給 × 80%」です。
※くわしい金額などは休業補償給付とは?で説明しています。
※ケガや病気の症状が治癒(ちゆ)するまでお金が支給されます。

ケガが治らない場合は年金がもらえる?

ずっと治らないときは年金がもらえる

病気やケガの治療をしてから1年6ヶ月を経っても治らないときには、労災保険から年金がもらえます。

たとえば傷病等級が3級であり、給料が月収30万円でボーナスを年間70万円もらっているとすると、被災された方に給付される年金額は約290万円となります。
※ケガや病気の程度によって変わります。
※くわしい金額などは傷病補償年金とは?で説明しています。

障害が残った場合は年金がもらえる?

障害が残ったら年金がもらえる

労災による病気やケガで身体に障害が残ってしまったときは、労災保険から年金がもらえます。

たとえば障害等級が3級であり、給料が月収30万円でボーナスを年間70万円もらっているとすると、被災された方に給付される年金額は約290万円となります。さらに、一時金が300万円支給されます。
※障害の程度によって金額が変わります。
※くわしい金額などは障害補償給付とは?で説明しています。

亡くなったときは遺族に年金が支給される?

遺族に年金が支給される

労災で家族が亡くなったときには、労災保険から遺族に年金が支給されます。

たとえば亡くなった方の給料が月収30万円でボーナスを年間70万円もらっているとすると、遺族が2人いる場合、遺族に給付される年金額は約236万円となります。さらに、一時金が300万円支給されます。
※受け取れる遺族は決まっています。
※くわしい金額などは遺族補償給付とは?で説明しています。

どんなときに労災になる?

仕事が原因と認められたとき

労災保険はケガなどをしたら無条件にお金をくれるわけではありません。
ケガや病気が仕事が原因と認められたときだけです。仕事と関係ないケガなどではダメです。
業務災害または通勤災害にあてはまったときに労災保険からお金が支給されます。
※業務災害(および複数業務要因災害)と通勤災害はこちらで説明しています。

労災保険は誰が対象?

正社員だけじゃない

労災保険は正社員やアルバイトなどに関係なく、給料をもらって働いている方すべてが対象です。

労災保険への加入は義務

もし一人でも従業員を雇っているのなら、会社は労災保険に加入しなければいけません。

したがって、「うちは労災保険ないからケガしても知らないよ」なんてことは法律違反になります。

なので、雇われて働く人たちは安心してください。

※事業主(会社など)が労災保険に加入していない場合、罰金などのペナルティがあたえられます。

申請が必要?

申請書を提出する

労災が発生したら、まずは事業主に報告しましょう
従業員に労災があったときは、事業主が申請書を提出します。
※労働基準監督署に提出することになります。

申請を受けた人たちが労災の調査をし、労災であることが認められたらお金などが支給されます。
以上、労災保険は働くひとたちの味方になってくれる保険です。どんな保険なのかザッと把握しておきましょう。
まとめ
昔は労災保険という制度は無く、そのころは「労災は働いているひとの不注意」でした。

しかし、経済発展によって労働に機械が導入されたことや長時間労働による疲労で労災が多発しました。

すると「労災は労働者の不注意」という思想から「労災の責任は使用者にある」という思想に変化していき、「他人を雇用して職業を営む人は、雇用された人が被害にあったときに補償すべき」という思想の制度(労災保険制度)が1947年に誕生しました。

現在は労災保険が当たり前の存在になっているので、今のうちに労災保険が何をしてくれるのか知っておきましょう。
※内容に関するご意見・ご感想についてはお問い合わせにて受け付けています。
※年金や税金などについては下記のページで説明しています。

■保険や年金などのテキスト一覧■