障害補償給付はいくら?仕事上のケガで障害が残ってしまったとき

2024.03.19 更新
仕事中のケガや病気はだれもが抱えるリスクです。それが障害が残ってしまうくらいの症状だったときは大変です。そんなときには労災保険から年金が支給されます。この記事では労災保険の給付のひとつである障害補償給付について説明していきます。

障害補償給付しょうがいほしょうきゅうふとは?

障害補償給付とは、仕事が原因の病気・ケガが治ったとき(治ゆしたとき)に身体に障害が残っている場合にお金を支給してくれる制度です。
※治ゆとは、傷病の症状が安定し、医学上一般にみとめられた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(症状固定)をいいます。


お金は労災保険から支給されます。賃金をもらって働く従業員は労災保険に加入しており、保険料については事業主(雇用主)が全額負担することになっているので安心してください。


会社などに雇われている方(会社員やパート・アルバイトをしている方など)は万が一の時のためにチェックしておきましょう。


労災と認められたときに適用される

労災保険は、ケガや病気などが労災と認められたときにわたしたちを助けてくれます。
※下記の業務災害・複数業務要因災害・通勤災害のいずれかにあてはまる必要があります。

仕事と関係のないケガなどは労災保険の対象外になるので注意しましょう。

業務災害とは
仕事中のケガ、仕事が原因で発生した災害や病気などが業務災害となります。
※くわしくは業務災害とは?を参照。


複数業務要因災害とは
複数事業労働者の二以上の事業(ダブルワーク)の業務が原因となる傷病等のことをいいます。
※くわしくは複数業務要因災害とは?を参照。


通勤災害とは
通勤によって被った病気、ケガまたは死亡が通勤災害となります。移動の経路から逸脱し、または中断した場合は、その後の移動も含め「通勤」とはなりません。
※くわしくは通勤災害とは?を参照。
※参照:厚生労働省労災保険給付の概要
どのくらいの金額がもらえるの?

仕事で障害を負ったとき、障害補償給付として年金や一時金が支給されます。

その金額は以下のようになっており、障害の程度によって変わります。

労災で負った障害のレベル(等級)によっては一時金だけの場合があることを覚えておきましょう。

障害補償給付のもらえる金額はどのくらい?

障害等級に応じて、それぞれ以下のとおり支給されます。


▶障害等級第1級~第7級の方
障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金


▶障害等級第8級~第14級の方
障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金

※障害の具体例については障害等級表を参照
給付基礎日額等については給付基礎日額・算定基礎日額を参照
障害(補償)給付は、傷病が治った日の翌日から5年を経過すると時効により請求権が消滅します。

※参照:厚生労働省障害(補償)等給付の請求手続

具体的にもらえる金額はいくら?
たとえば、10月に被災された方の障害等級が3級であり、給料が月収30万円でボーナスを年間70万円もらっているとすると、給付基礎日額と算定基礎日額は以下のように計算されます。

30万円収入 × 3ヶ月 ÷ 92日※1 = 9,782円給付基礎日額


70万円ボーナス ÷ 365日 = 1,917円算定基礎日額
※1 七月は31日間、八月は31日間、九月は30日間、賃金締切日が月末として計算
※給付基礎日額とは直前3ヶ月間に支払われた賃金総額のこと。くわしくは給付基礎日額・算定基礎日額を参照。

給付基礎日額と算定基礎日額がわかったので、次に年金額を計算します。

被災された方に給付される年金額は以下のようになります。

9,782円給付基礎日額 × 245日分 = 約240万円障害補償年金


1,917円算定基礎日額 × 245日分 = 約50万円障害特別年金


約240万円障害補償年金 + 約50万円障害特別年金 = 約290万円合計の年金

以上の年金額が被災された方に毎年給付されます。さらに、障害特別支給金の300万円が一時金として支給されます。

※労災から給付される年金等は非課税所得なので所得税や住民税はかかりません(税金が0円)。
※また、国民健康保険料などの社会保険料が増えることもありません。
※出典:国税庁労働基準法の休業手当等の課税関係

以上のように、会社員やアルバイトの方は労災保険に加入しているので、仕事が原因のケガや病気で障害が残ったときは労災保険から年金や一時金が支給されます。

また、障害補償給付は障害等級表に記載されている状態(等級)の障害を負ったときに支給されることを覚えておきましょう。
※ちなみに、障害年金とは障害等級が異なるので一緒にしないように注意しましょう。