健康保険の任意継続とは?国保より高くなる?メリットは?

2021.09.08 更新
健康保険に加入していた方が退職等をしたときは健康保険から脱退することになりますが、一定期間のあいだは退職後も健康保険に加入することができます。この記事では健康保険の任意継続について説明していきます。
この記事の目次
健康保険の任意継続ってなに?

健康保険に加入していた方が退職等をしたときは健康保険から脱退することになります。


ですが、本人が希望すれば退職等をした後も勤務先の健康保険に一定期間加入することができます。これを健康保険の任意継続といいます。
※任意継続は保険料を期限までに納付することによって個人の希望で加入期間を継続する制度です。


たとえば勤務先の保険組合が「ほかの公的保険よりも病院代が安くなる」などの給付をしている場合、任意継続をすれば退職後も勤務先の保険組合の給付を受けることができます。
※任意継続をしなければ退職後に勤務先の保険組合を抜けなければいけないので、保険組合の給付を受けることはできません。
※加入している保険組合によっては一部受けられない給付もあります。



また、場合によっては退職後に任意継続を選択したほうが保険料が国民健康保険よりも安くなるときがあるので、これから退職する方などはチェックしておきましょう。

※退職後に任意継続をしなければ国民健康保険に加入することになります(親族の健康保険等の扶養に入る場合は除く)。

任意継続に加入するための条件は?

任意継続をするには以下の2つを満たさなければいけません。

  • 退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して2ヵ月以上あること
  • 資格喪失日(退職日の翌日等)から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出(必着)すること
    ※20日目が土日・祝日の場合は翌営業日が期限になります。
加入期間は?資格を喪失する条件は?

任意継続の加入期間は2年間(退職日の翌日に資格を取得してから2年間)です。

ちなみに、加入期間中に「国保に加入する」や「親族の扶養に入る」などの理由で任意継続をやめる(資格を喪失する)ことはできません。

ただし、以下のいずれかにあてはまる方は2年の加入期間中であっても任意継続の資格を喪失することになります。

任意継続の資格を喪失するとき

  • 保険料を納付期限までに納付しなかったとき
  • 就職して健康保険等の被保険者の資格を取得したとき
  • 後期高齢者医療制度の被保険者の資格を取得したとき
  • 亡くなったとき
親族の扶養に入るから任意継続をやめたい

任意継続の加入期間中に「親族の扶養に入る」という理由で任意継続をやめる(資格を喪失する)ことはできません。
資格喪失の条件にあてはまらないので任意継続をやめることはできません。

再就職したので任意継続をやめたい

任意継続の加入期間中に「就職して健康保険等の被保険者になった」場合は任意継続をやめる(資格を喪失する)ことができます。
資格喪失の条件にあてはまるので任意継続をやめることができます。

保険料を支払うのを忘れたら脱退?

任意継続の加入期間中に「期限までに保険料を支払わなかった」場合は任意継続の資格を喪失することになります。
※任意継続は保険料を期限までに納付することによって個人の希望で加入期間を継続する制度です。
資格喪失の条件にあてはまるので任意継続の資格を喪失することになります。

思ったより保険料が高かったのでやめたい

任意継続の加入期間中に「保険料が高いから抜けたい」という理由で任意継続をやめる(資格を喪失する)ことはできません。
資格喪失の条件にあてはまらないので任意継続をやめることはできません。

国民健康保険との違いは?

病院代が3割負担になるなどの給付については国民健康保険との違いはありません。

ただし、加入している保険組合によっては独自給付がある場合があるので、自分が加入している保険の給付内容を確認しておきましょう。

保険料については計算方法が異なるので、大きく差が出る場合もあります。また、任意継続は加入期間中の保険料は基本的に変わりませんが、国民健康保険は前年の世帯所得が少なければ減額されたりします。

また、扶養については国民健康保険には「親族を扶養に入れられるシステム」はありません。扶養に入れることができる親族がたくさんいる場合は気をつけましょう。
※くわしくは下記で比較して説明しているのでチェックしておきましょう。


保険料は前より高くなる?どっちが安くなるか比較してから加入するか考えましょう

健康保険の保険料は会社と折半しているので、会社に勤めていたときの保険料は半分の負担で済んでいます。

しかし、任意継続になると保険料は全額負担になります。なので、保険料は以前より高くなる傾向があります。
※ただし、退職前の給料が高額だったひとは任意継続にしたほうが安くなる場合もあります。くわしくは下記の項目(任意継続には上限がある?)で説明しています。

任意継続をする前に国民健康保険の保険料としっかり比べましょう。

以下は月収が30万円(年収360万円)だった場合の保険料シミュレーションです。退職予定のサラリーマンやアルバイトなどの方はチェックしておきましょう。

保険料を比較してみよう
①任意継続の保険料を計算
たとえば月収30万円(年収360万円)を稼いでいたひとの任意継続の保険料は以下のようになります。

300,000円標準報酬月額 × 9.84%保険料率  =  29,520円月額の保険料

29,520円月額の保険料 × 12ヶ月  =  354,240円1年間の保険料
※保険料率は協会けんぽの数値(40歳未満)で計算しています。
※任意継続は全額負担なので半額にはなりません。
※月収30万円の標準報酬月額は30万円になります。

②国民健康保険料を計算
次に国民健康保険の保険料を計算してみましょう。

退職前の1年間(1月~12月まで)の給料が360万円だとすると、国民健康保険料は以下のようになります。

2,010,000円 × 9.54%(所得割) + 52,000円(均等割)  =  243,754円1年間の保険料
※世田谷区、40歳未満独身として計算しています。
※保険料率等は市区町村によって異なります。
保険料は以下のページで計算できます。

パッと計算!国民健康保険料シミュレーション

上記の場合、任意継続よりも国民健康保険のほうが保険料が安くなります。

退職予定のサラリーマンやアルバイトなどの方はよく考えてから加入する保険を選択しましょう。

ほかにも注意することは?
任意継続と国民健康保険の保険料を比較しましたが、ほかにも注意することがあります。


注意点:扶養について
たとえば扶養に入れることができる親族がたくさんいる場合、任意継続を選択して親族を扶養にいれたほうが国民健康保険の保険料よりも安くなる場合があります。
上記の項目でも説明したように、国民健康保険には扶養のシステムがないので子供などがたくさんいる場合はそのぶん保険料が加算されます。
※国民健康保険は加入者ごとに保険料がかかるので、お金を稼いでいない子供でも国保に加入すれば保険料が加算されるシステムになっています。
ただし、お金を稼いでいない加入者についての保険料は均等割のみになります。均等割は市区町村によって異なりますが、1人あたり約4万円~6万円の場合が多いです。
※つまり、子供が3人いれば保険料が約12万円~18万円加算されることになります。くわしくは国民健康保険料シミュレーションで計算できます。
したがって、家族がたくさんいる場合は任意継続を選択したほうが保険料が安くなる場合があります。


注意点:国保は保険料が減額される?
国民健康保険は前年(1月~12月まで)の世帯所得が少なければ保険料が最大7割減額されます。したがって、退職後最初の1年間は任意継続のほうが安くても2年目からは国民健康保険のほうが安くなる場合があります。

任意継続の保険料には上限がある?

上記でも説明したように、任意継続になると保険料は全額負担になります。なので、保険料は以前より高くなる傾向があります。

ただし、場合によっては保険料が安くなることもあります。なぜかというと、任意継続の保険料には上限が設定されているからです。

高額な給料をもらっていたひとはそれだけ保険料も高くなりますが、退職後に任意継続にすることで保険料に上限ができ、以前より安くなる場合があるんです。

わかりやすく説明するために以下でシミュレーションしていきます。

シミュレーション:上限は保険によって違う?
たとえば月収80万円を稼いでいたひとの退職前の保険料は

退職前の保険料

790,000円標準報酬月額 × 9.84%保険料率 ÷ 2  =  38,868円月額の保険料
※保険料率は協会けんぽの数値(40歳未満)で計算しています。
※半額分は事業主が支払うので÷2をして計算しています。
※月収80万円だと標準報酬月額は79万円になります。

となります。

任意継続の保険料については、標準報酬月額に上限が設定されています。上限を30万円とすると、退職前の月収が80万円だとしても保険料は以下のようになります。

任意継続の保険料

300,000円標準報酬月額 × 9.84%保険料率  =  29,520円月額の保険料
※保険料率は協会けんぽの数値(40歳未満)で計算しています。
※任意継続は全額負担なので半額にはなりません。
※任意継続には標準報酬月額に上限(30万円)が設定されています。

以上のように、退職前に高額な給料をもらっているひとは任意継続のほうが保険料が安くなる場合があります。ただし、加入している保険組合によって標準報酬月額の上限は異なるので保険料がもっと高額になることがあります。自分の保険組合についてしっかりチェックしておきましょう。

扶養親族を追加したり、任意継続から抜けるときは届出を提出しましょう

任意継続を選択して親族を扶養に入れる場合は届出を提出して申請しなければいけません。何もしないと親族は扶養に入れることができないので注意しましょう。


また、再就職などで任意継続の資格を喪失するときには申請書を提出して保険証も返却しましょう。そのままにしていると保険料が請求されてしまうので早めに手続きをしましょう。
※申請書は加入している保険組合HPにてダウンロードしましょう。

任意継続にするメリットは?

任意継続は退職前とは違い、保険料が全額負担になるので料金が高くなる傾向があります。この場合は任意継続にあまりメリットはありません。

ただし、上記の項目でも説明したように場合によっては保険料が安くなることもあります。この場合、任意継続にしたほうがメリットがあるといえるでしょう。

また、扶養する家族がたくさんいる方は国民健康保険よりも保険料が安くなることもあります。この場合、任意継続にしたほうがメリットがあるといえるでしょう。
※上記のほかにも注意することは?で説明しています。

また保険料だけでなく、加入している保険組合によっては国民健康保険よりも「病院代の負担が少なくて済む」等の給付を受けられる場合があります。したがって、保険組合の独自給付を利用するつもりのかたはメリットがあるといえるでしょう。

任意継続をする前に加入している保険組合の給付や保険料についてしっかり調べておくことをオススメします。