個人事業主の消費税とは?売上1000万円から?

2024.03.27 更新
個人事業主の場合、会社員やアルバイトなどのような雇用されている人にはかからない税金があります。この記事では個人事業主にかかる消費税について説明していきます。
この記事の目次
消費税とは?個人事業主も支払う必要がある?

消費税はモノやサービスを購入したときにかかる税金で、購入した側が支払った消費税は販売する側がまとめて国に納めることになります。

したがって、個人事業主として商品やサービスを販売する側になれば受けとった消費税を国に納めなければなりません。

ですが、受け取った消費税を納めなくてもよい場合もあります。次で見ていきましょう。

個人事業主はどんなときに消費税を支払うの?
個人事業主の消費税は、売上1,000万円超えが対象

個人事業主の消費税は、課税売上高が1,000万円を超える場合にかかることになります。
※消費税抜きの売上のこと。ただし、免税事業者(消費税を課税されていない事業者)は消費税込みの売上が課税売上高になります。


大事なポイントは1000万円を超えたその翌々年から消費税の課税事業者となることです。


たとえば2020年の1月~12月の課税売上高が1000万円を超えたときには、2022年に消費税の課税事業者となり、2022年1月~12月の売上に対しての消費税を納めることになります。
※ただし、特定期間(1月から6月末まで)における課税売上高が1,000万円を超える場合には、翌年に課税事業者になります。例えば、特定期間である2020年1月~6月末までの課税売上高が1,000万円を超えた場合は、2021年から消費税の課税事業者になります。
また、課税売上高が1000万円以内になったら課税事業者から免税事業者(消費税を課税されない事業者)に戻ることもできます。
※参照:国税庁消費税のしくみ


消費税が不課税のものもある?
すべてのものに消費税が課税されるわけではありません。なかには消費税が免除されたり、かからないものなどがあります。たとえばグーグルアドセンスやYouTubeの広告収入は不課税になります。

不課税
国外取引など

非課税
商品券など

免税
国外への輸出品など

インボイス制度の影響は?
インボイス制度によって、課税売上高が1000万円以下の個人事業主だとしても「自分で」消費税の課税事業者になる選択をした場合は消費税を支払わなければいけません。
※今まで免税事業者だったのに「課税事業者」になれば消費税を納めなければいけません。消費税の2割特例などについてはページ下記で説明しています。

では次に、消費税の計算方法について下記で説明していきます。方法は2種類あるのでどちらがいいか確認しておきましょう。


消費税の計算方法は?シミュレーション

消費税の計算方法は2つあります。一般課税と簡易課税という方法です。

以下に❶一般課税と❷簡易課税について説明していきます。

①消費税の計算例(一般課税の場合)
あなたが支払う消費税の計算式は以下のように受け取った消費税から支払った消費税を引いた金額になります。

受けとった消費税 – 支払った消費税 = あなたが支払う消費税

たとえば消費税が10%で1年間の売上が2,200万円(税込み)で、仕入れ等の金額(税込み)が220万円だった場合、あなたが支払う消費税は以下のようになります。

2,200万円1年間の売上 × 10/110 = 200万円受け取った消費税

220万円仕入れ等の金額 × 10/110 = 20万円支払った消費税

200万円受け取った消費税20万円支払った消費税 = 180万円あなたが支払う消費税

※参照:国税庁消費税のしくみ

②消費税の計算例(簡易課税の場合)
簡易課税とは、仕入れ等の金額にかかる消費税をおおざっぱに計算して、あなたが支払う消費税の計算を簡単に算出する方法です。簡易課税では仕入れ等の金額にかかる消費税額をみなし仕入率を使って以下のように計算します。

受けとった消費税 – (受けとった消費税×みなし仕入率) = あなたが支払う消費税

たとえば消費税が10%で1年間の売上が2,200万円(税込み)で、みなし仕入率が50%だった場合、あなたが支払う消費税は以下のようになります。

2,200万円1年間の売上 × 10/110 = 200万円受け取った消費税

200万円受け取った消費税 × みなし仕入率50% = 100万円支払った消費税

200万円受け取った消費税100万円支払った消費税 = 100万円あなたが支払う消費税

ちなみに、簡易課税を選択できるのは課税売上高が5,000万円以下の事業主だけです(要届出)。また、みなし仕入率は業種によって異なります。以下に例を示します。

事業区分 みなし仕入率 該当する事業
第1次産業 90% 卸売業
第2次産業 80% 小売業
第3次産業 70% 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業
第4次産業 60% 飲食店業など
第5次産業 50% 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業
第6次産業 40% 不動産業

※参照:国税庁消費税のしくみ

インボイスについて
2023年10月からインボイス制度が始まりました。インボイス制度を機に、免税事業者から「課税事業者」になった個人事業主の多くの方は、2割特例を利用することなるでしょう(事前の届出は必要ありません)。
※2割特例とは、売上税額の2割をあなたが納める消費税とするかんたんな計算方法。たとえば売り上げが300万円(消費税30万円)だとすると、あなたが納める消費税は「30万円の2割」つまり6万円になります。
※2割特例を適用する場合は、消費税の確定申告書を作成時に「2割特例を適用しますか?」の入力欄で「はい」を選択しましょう(手書きの場合は該当箇所に〇をつける)。
※ただし、売上が1,000万円以下で課税事業者になる申請をしていない方は消費税を納める必要はありません。

※参照:国税庁2割特例の概要

では次に、消費税の手続きと支払期限について下記で説明していきます。


消費税を支払うときの手続きや期限は?

個人事業主は確定申告と同じように、その年1月~12月の売上を計算・申告して消費税を納めることになります。

個人事業主は翌年の3月末日までに所轄税務署に申告・納付しなければいけません。

前年度の消費税が48万円を超えた場合は中間申告する?


前年度の消費税額(国税のみ、地方消費税は除く)が48万円を超えた個人事業主は中間申告と納付を行わなければいけません。

前年度の消費税額(国税のみ) 中間申告・納付回数
48万円以下 0回
400万円以下 年1回(前年の消費税額の2分の1)
4800万円以下 年3回(前年の消費税額の4分の1ずつ)
4800万円超 年11回(前年の消費税額の12分の1ずつ)

ここまで説明したように、個人事業主でも売上が1,000万円を超えるときには消費税を納めなくてはいけません。

売り上げがそこまで多くない方は問題ありませんが、売り上げが1,000万円を超えるようなお金を稼ぐ予定の個人事業主は消費税についてしっかり覚えておきましょう。
※2023年10月からインボイス制度が始まりました。インボイス制度を機に、免税事業者から「課税事業者」になった個人事業主の多くの方は、2割特例を利用することなるでしょう(事前の届出は必要ありません)。
※ただし、売上が1,000万円以下で課税事業者になる申請をしていない方は消費税を納める必要はありません。