消費税はモノやサービスを購入したときにかかる税金で、購入した側が支払った消費税は販売する側がまとめて国に納めることになります。
したがって、個人事業主として商品やサービスを販売する側になれば受けとった消費税を国に納めなければなりません。
ですが、受け取った消費税を納めなくてもよい場合もあります。次で見ていきましょう。
個人事業主の消費税は、課税売上高※が1,000万円を超える場合にかかることになります。
※消費税抜きの売上のこと。ただし、免税事業者(消費税を課税されていない事業者)は消費税込みの売上が課税売上高になります。
大事なポイントは1000万円を超えたその翌々年から消費税の課税事業者となることです。
たとえば2020年の1月~12月の課税売上高が1000万円を超えたときには、2022年に消費税の課税事業者となり、2022年1月~12月の売上に対しての消費税を納めることになります。
※ただし、特定期間(1月から6月末まで)における課税売上高が1,000万円を超える場合には、翌年に課税事業者になります。例えば、特定期間である2020年1月~6月末までの課税売上高が1,000万円を超えた場合は、2021年から消費税の課税事業者になります。
また、課税売上高が1000万円以内になったら課税事業者から免税事業者(消費税を課税されない事業者)に戻ることもできます。
※参照:国税庁消費税のしくみ
不課税
国外取引など
非課税
商品券など
免税
国外への輸出品など
では次に、消費税の計算方法について下記で説明していきます。方法は2種類あるのでどちらがいいか確認しておきましょう。
消費税の計算方法は2つあります。一般課税と簡易課税という方法です。
以下に❶一般課税と❷簡易課税について説明していきます。
たとえば消費税が10%で1年間の売上が2,200万円(税込み)で、仕入れ等の金額(税込み)が220万円だった場合、あなたが支払う消費税は以下のようになります。
※参照:国税庁消費税のしくみ
たとえば消費税が10%で1年間の売上が2,200万円(税込み)で、みなし仕入率が50%だった場合、あなたが支払う消費税は以下のようになります。
ちなみに、簡易課税を選択できるのは課税売上高が5,000万円以下の事業主だけです(要届出)。また、みなし仕入率は業種によって異なります。以下に例を示します。
事業区分 | みなし仕入率 | 該当する事業 |
---|---|---|
第1次産業 | 90% | 卸売業 |
第2次産業 | 80% | 小売業 |
第3次産業 | 70% | 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業 |
第4次産業 | 60% | 飲食店業など |
第5次産業 | 50% | 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業 |
第6次産業 | 40% | 不動産業 |
※参照:国税庁消費税のしくみ
では次に、消費税の手続きと支払期限について下記で説明していきます。
個人事業主は確定申告と同じように、その年1月~12月の売上を計算・申告して消費税を納めることになります。
個人事業主は翌年の3月末日までに所轄税務署に申告・納付しなければいけません。
前年度の消費税額(国税のみ、地方消費税は除く)が48万円を超えた個人事業主は中間申告と納付を行わなければいけません。
前年度の消費税額(国税のみ) | 中間申告・納付回数 |
---|---|
48万円以下 | 0回 |
400万円以下 | 年1回(前年の消費税額の2分の1) |
4800万円以下 | 年3回(前年の消費税額の4分の1ずつ) |
4800万円超 | 年11回(前年の消費税額の12分の1ずつ) |
ここまで説明したように、個人事業主でも売上が1,000万円を超えるときには消費税を納めなくてはいけません。
売り上げがそこまで多くない場合やインボイスが関係ない方は問題ありませんが、売り上げが1,000万円を超えるようなお金を稼ぐ予定の個人事業主は消費税についてしっかり覚えておきましょう。
※2023年10月からインボイス制度が始まりました。インボイス制度を機に、免税事業者から「課税事業者」になった個人事業主の多くの方は、2割特例を利用することなるでしょう(事前の届出は必要ありません)。
※ただし、インボイス制度後でも売上が1,000万円以下で課税事業者になる申請をしていない方は消費税を納める必要はありません。