今後100年にわたって年金制度は破綻しない?財政検証とは?

2024.03.27 更新
年金制度が今後も続いていくのか不安になる方は多くいます。この記事では年金制度を続けるための「財政検証」について簡単に説明していきます。
この記事の目次
年金って続いていくの?大丈夫なの?

年金は「歳をとったとき、障害を負ったとき、遺族になったとき」の3つのリスクに対応して私たちの生活を支えてくれています。

さらに年金は終身にわたって給付され、年金の額は物価に合わせて変化させてくれます
※物価が上がっても貰える年金の額が変わらないままだと、年金の価値が下がってしまいます。


ですが、このような制度は本当に今後も続いていくのでしょうか。

終身で年金がもらえて、物価にも対応してくれて、さらに老後だけじゃなく障害・死亡にも対応してくれるので「本当にこのまま続けられるの?」と思うのもおかしくはありません。

では、国は年金制度を続けていくためにいったいどんなことをしているのでしょうか。くわしく見ていきましょう。

5年おきに年金の財政検証をおこなっている

経済は何が起きるか予想できません。たとえば2007~8年に起きた世界金融危機のように、とつぜん世界経済をゆるがす深刻な問題が起こったりします。

国を維持していくためには何が起こるかわからない問題に対応していかなければなりません。問題が起きているにもかかわらず何も対応しなければ国は崩壊してしまうでしょう。


もちろん年金制度も同じです。深刻な問題に何も対応しなければ崩壊してしまうでしょう。

そのため国は、年金制度を今後も続けていくために年金の財政状況の見直しを少なくとも5年ごとに行うことになっています。この年金財政の見直しを財政検証といいます。

では、その財政検証でいったいどんな検証を行っているのでしょうか。


将来の人口や経済を考え、今後100年間続くように

財政検証とは、おおむね100年間にわたる保険料の収入や年金の給付費といった「年金の財政状況を見通すもの」です。

「財政検証をして年金制度が100年続いていけるようにシミュレーションをする」これを少なくとも5年ごとに行う決まりになっているのです。

どんなことを考えてシミュレーションしているのか例を以下に示します。

シミュレーション内容の例

  • 今後の人口。少子高齢化はどの程度すすむのか。
  • 労働力人口は増えるのか。減るのか。
  • 物価や賃金の上昇率
    など。現在の公的年金制度には少子高齢化の進行(余命の伸び率など)を見据えた年金財政の仕組みを導入しています(マクロ経済スライド)。

将来の人口や経済状況について複数のパターンを用意し、それぞれのパターンで年金制度が100年つづいていくようにシミュレーションを行います。

この見通しを少なくとも5年おきにやっています。

安心できる年金制度を運営していくために時代に合わせて様々なパターンを考え、その見通しに沿って運営していくのです。
時代に合わせて年金制度を運営していくので、もしかしたら現在の年金の仕組みが今後変わったりするかもしれません。

学生向けの教科書(税金や保険等)についてはこちらを参照