年金は老後などの生活上のリスクに対応して私たちの生活を支えてくれていますが、その仕組みがどうなっているのかわからないという方は多くいます。この記事では年金がどんな仕組みになっているのかを簡単に説明していきます。
※学生向けの税金・保険等の教科書についてはこちらを参照

この記事の目次
年金は若者が高齢者を支える仕組み?
年金は若い世代(現役世代)が支払う保険料などを財源として高齢者世代に年金を給付する「世代間での支えあい」の仕組みになっています。
自分が若い時は高齢者世代を支え、自分が歳をとったときには若い世代に支えられるという「世代が変わるとともに支え・支えられる」という仕組みです。
この世代間で支え合う仕組みを賦課方式といいます。
賦課方式は高齢者世代の生活の不安を取り除く役割を果たしています。また、自分自身の老後の不安や年老いた親への仕送りなどといった若い世代が抱える不安を取りのぞく役割も果たしています。
年金制度の財政方式は2つ?どんな違いがある?
年金制度の財政方式には賦課方式と積立方式の2つの方式があります。
日本など主要各国の年金制度は賦課方式を基本とした財政方式を採用して運営されています。
賦課方式と積立方式の2つの方式
●賦課方式
世代間で支え合う方式
●積立方式
将来、自分が受けとる年金を自分が現役時代の間に積み立てていく方式
賦課方式を採用している理由は?メリットとデメリットは?
賦課方式と積立方式の2つのうちなぜ積立方式を採用しなかったのでしょうか。
以下にそれぞれのメリットとデメリットを示します。
賦課方式
メリット:物価の変化があってもそれに応じて年金額を改定することにより、生涯にわたって価値を維持した年金を給付できる。
デメリット:保険料が現役世代と高齢者世代の比率で決まるため、人口構成の影響を受けやすい。
積立方式
メリット:年金を自分で積み立てる仕組みであり、人口構成の影響を受けにくい。
デメリット:その時々の経済状況に対応しにくい(過度なインフレがあった場合に積み立てていた年金の価値が激減してしまうことや生涯にわたって年金を給付できないおそれがある)。また、保険料が積立金の運用益によって決まるため、経済の悪化によって保険料が上がるなど市場の影響を受けやすい※。
※積立方式の場合でも、納められた保険料をそのまま積み立てておくことはありません。老後を支え、より十分な給付をするために、保険料を運用し、その利益も給付に充てていくことになります。でなければ、保険料負担が重くなってしまうのです。
年金は私たち国民が安心して暮らしていくための保険であり、歳をとって働くことが難しくなったときなどの生活を支える役割を担っています。
そのため、年金としての価値が下がる可能性がある積立方式では生活を支える役割を果たせなくなってしまいます。
一方、賦課方式の場合、納める保険料がそのときの物価や賃金に対応したものとなるため、年金給付に関してもその時々の経済状況に対応することができます。
したがって、公的年金制度では価値を維持した年金が保障される賦課方式を採用しています※。
学生向けの教科書(税金や保険等)についてはこちらを参照
※公的年金制度では年金積立金を保有しており、少子高齢化が進行しても安定して年金を給付するため、年金積立金を活用しています(積立金の運用収入などを年金給付に充てている)。
年金積立金とは保険料として徴収された財源のうち年金給付に充てられなかったものです。
今回のコラムはここまでです。年金の仕組みについてわかっていただけましたか?