年金制度の始まりはいつから?歴史について

2022.09.28 更新
年金制度はいつから始まった?なぜできた?
20歳以上~60歳未満の国民のすべてが加入する決まりになっている国民年金。しかし、年金制度が始まったころは全員が加入する仕組みではありませんでした。なぜ現在のように国民のすべてが加入するような仕組みになったのか。そして、誰が何のために年金制度を作ったのか、なぜ年金制度が必要になったのか。国民年金や厚生年金はいつから始まったのか。この記事では年金制度の始まり(成り立ち、歴史)についてわかりやすく説明していきます。
※学生向けの教科書(年金など)については税金や保険を学ぼうを参照。
年金の始まりは1939年の船員保険から?

戦前の日本は戦争のために戦力と生産力を大きくすることが課題でした。なので、国民の健康と生活の安定に重点をおく必要がありました。

1920年~1930年代の日本は農業中心だった社会から重化学工業が発展していく社会に変化し、労働者が農村から都市に移りはじめた結果、労働者の健康と安定をもとめる運動がたくさん起こり始めた時代でした。


その問題に対処するために1922年に健康保険法、1938年に国民健康保険法が成立しました。

そして、医療保険だけでなく年金保険も導入し、社会保障をより充実させ、さらに戦力・生産力を増強させようと国は考えました。
※社会保障(社会保険)は19世紀にビスマルクが制度化。くわしくは社会保障制度の始まりはいつから?を参照。

こうして最初の年金保険としてはじまったのが1939年の船員保険法でした。最初の年金が始まった年は1939年、船員に対してだけだったのです。
※年金制度については年金制度ってなに?を参照。

では次に、その後にできる「厚生年金保険」について下記で説明していきます。数年後、船員だけでなく陸上の労働者にも年金制度をつくっていきます。


1941年に船員じゃない労働者にも年金保険が始まる

1941年には船員以外の労働者にも年金制度がつくられました。

しかし、労働者が増加して年金の適用をうけない労働者が増加したので、適用範囲を拡大するために1944年に改正し、厚生年金保険として名称を変更しました。

これでほぼすべての労働者が厚生年金保険の対象となったのですが、農民・漁師などの自営業者や無業者には加入する年金制度はまだありませんでした。

1961年に国民皆年金こくみんかいねんきん体制が始まる

厚生年金保険ができたころは自営業者や無業者が加入する年金制度はありませんでした。

また、従業員が5人未満の企業は厚生年金保険に加入しなくていいことになっていました。
※現在は法人なら従業員が5人未満でも強制加入になります。


1950年代、まだこの頃は農民や漁師などの自営業者や5人未満の零細企業で働くひとが大部分を占めていたため、どの年金保険制度にも加入していない人が多く存在し、このことが社会問題となっていました。

この問題への対応で1959年に国民全員が加入する国民年金制度ができたのです。


その後、転職して他の年金制度に移ってもそれぞれの加入期間に応じた通算年金を支給してくれる仕組みに改正し、1961年に国民皆年金体制ができたのです。
※つまり、現在の年金のシステムは1961年にできたのです。

日本が成長していく中で年金制度が必要になった

ここまで説明したように、戦前・戦後直後の日本では農民や漁師などの自営業者が多く、親とともに生活していたため自分で親の生活を支えていました。


しかし、経済が成長していく中で親と別居して都市で働く人が多くなったため、自分で親を支えることが難しくなりました。


そして、多くの年金保険未加入者や将来の人口の老齢化といった問題に対処するために国民皆年金体制が始まったのです。

ここまでのまとめ

  • 年金制度は戦前の日本の戦力と生産力を大きくするために始まった。

  • 経済成長とともに親と別居して働く人が増えたため、親の生活を支えることが難しくなった。

  • 上記の問題や人口の老齢化などに対処するため国民皆年金が始まった。

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このように、年金制度は日本の戦力と生産力を大きくするために始まり、日本が経済成長するとともに発生した問題に対処するために必要になったということなんです。

※現在では人口の老齢化、人口減少、現役世代の減少により、年金を含む社会保障の問題が注目されています。
※学生向けの教科書(保険など)については税金や保険を学ぼうを参照。
そのほかの制度(年金や保険など)の歴史についてはこちらを参照。
※参考文献:横山和彦, 田多英範, 日本社会保障の歴史, 1991年