▶どんなひとが高年齢雇用継続給付をもらえる?
60歳以上65歳未満で雇用保険に加入しているひと。加入期間が5年以上必要。
※くわしくは下記で説明しています。
▶高年齢雇用継続給付はいくらもらえる?
たとえば60歳到達時の賃金月額が40万円のひとで、1ヶ月の賃金が24万円のとき、支給額は2.4万円。
※60歳到達の日が2025年3月31日以前のひとは支給額は3.6万円。
※くわしい計算式などは下記で説明しています。
▶老後の年金が減る?
65歳になる前に老齢厚生年金をもらっている場合、年金額の一部が支給停止する。
※くわしくは下記で説明しています。
高年齢雇用継続給付とは、定年後の再雇用などで60歳以降も働くひとで賃金が低下したひとに支給されるお金です。
※高年齢雇用継続給付には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2つがあります。この記事では「基本給付金」のほうについて解説しています。
ただし、60歳以降も働くひとのすべてがもらえるわけではありません。
※支給対象月の全期間にわたって、育児休業給付または介護休業給付の支給対象となっているひとは対象外。
※参照:厚生労働省Q&A~高年齢雇用継続給付~
※参照:ハローワーク高年齢雇用継続給付について
高年齢雇用継続給付の支給額は下記の計算式で決定されます。
ちなみに、低下率が75%以上になるひとは支給されません。
支給額 = 1ヶ月※の賃金 × 15%相当額
※支給対象月のこと(支給対象月とは、その月の初日から末日まで継続して被保険者であった月)。
支給額 = 1ヶ月の賃金 × A%(賃金の低下率に応じて支給率Aが変化します)
※支給率Aは以下の早見表をチェック。
※支給率Aは15%未満になります。
支給額 = 1ヶ月※の賃金 × 10%相当額
※支給対象月のこと(支給対象月とは、その月の初日から末日まで継続して被保険者であった月)。
支給額 = 1ヶ月の賃金 × A%(賃金の低下率に応じて支給率Aが変化します)
※支給率Aは以下の早見表をチェック。
※支給率Aは10%未満になります。
▶支給率Aの早見表
賃金の低下率 | 支給率 ※受給資格発生日が2025年3月31日以前 |
賃金の低下率 | 支給率 ※受給資格発生日が2025年4月1日以降 |
---|---|---|---|
75% | 0% | 75% | 0% |
74% | 0.88% | 74% | 0.79% |
73% | 1.79% | 73% | 1.59% |
72% | 2.72% | 72% | 2.42% |
71% | 3.68% | 71% | 3.28% |
70% | 4.67% | 70% | 4.16% |
69% | 5.68% | 69% | 5.06% |
68% | 6.73% | 68% | 5.99% |
67% | 7.8% | 67% | 6.95% |
66% | 8.91% | 66% | 7.93% |
65% | 10.05% | 65% | 8.95% |
64% | 11.23% | 64%以下 | 10% |
63% | 12.45% | 〃 | 10% |
62% | 13.7% | 〃 | 10% |
61%以下 | 15% | 〃 | 10% |
※参照:厚生労働省令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します
※参照:ハローワーク高年齢雇用継続給付について
この場合、低下率が80%なので給付金は支給されません。
この場合、低下率が70%なので上記の早見表と照らし合わせると、支給率は4.16%(2025年3月31日以前は4.67%)になるので支給額は以下のようになります。
この場合、低下率が60%なので支給率は10%(上限)になります。したがって支給額は以下のようになります。
※給付金は非課税なので税金や保険料はかかりません(年収に含めません)。
「高年齢雇用継続基本給付金」の支給期間は、60歳に到達した月※から65歳に達する月までです。
※60歳時点で受給資格を満たしていない場合は、受給資格を満たした月から65歳に到達する月まで。
※60歳時点で雇用保険に加入していなかった場合は、新たに雇用保険に加入した月から65歳に到達する月まで。
※各暦月の初日から末日まで雇用保険の被保険者であることが必要です。
高年齢雇用継続給付は自動的に支給されるわけではありません。
下記の必要書類をハローワークに提出する必要があります。
※個人番号欄にマイナンバー(個人番号)を記載ください。
※参照:ハローワーク高年齢雇用継続給付について
高年齢雇用継続給付は、継続勤務や再雇用などで60歳以降も継続して勤務するひとが対象になりますが、そのほかにも下記のようなひとも支給対象です。
※60歳以降に条件を満たした場合は受給資格が発生した時点の賃金月額と比較することになります。
※60歳前に退職し、1年以内に再就職して受給資格が発生した場合は退職時点の賃金月額と比較することになります。
65歳になる前から老齢厚生年金をもらっている場合(特別支給の老齢厚生年金など)、高年齢雇用継続給付を支給されると年金が一部停止されます。
停止額は以下のように計算されます。
老齢厚生年金の停止額 = 標準報酬月額 × 6%相当額
※支給対象月のこと(支給対象月とは、その月の初日から末日まで継続して被保険者であった月)。
老齢厚生年金の停止額 = 標準報酬月額 × A%(賃金の低下率に応じて停止率Aが変化します)
※停止率Aは以下の早見表をチェック。
※停止率Aは6%未満になります。
老齢厚生年金の停止額 = 標準報酬月額 × 4%相当額
※支給対象月のこと(支給対象月とは、その月の初日から末日まで継続して被保険者であった月)。
老齢厚生年金の停止額 = 標準報酬月額 × A%(賃金の低下率に応じて停止率Aが変化します)
※停止率Aは以下の早見表をチェック。
※停止率Aは4%未満になります。
▶停止率Aの早見表
標準報酬月額/賃金月額 | 停止率 ※2025年3月31日以前 |
標準報酬月額/賃金月額 | 停止率 ※2025年4月1日以降 |
---|---|---|---|
75% | 0% | 75% | 0% |
74% | 0.35% | 74% | 0.31% |
73% | 0.72% | 73% | 0.64% |
72% | 1.09% | 72% | 0.97% |
71% | 1.47% | 71% | 1.31% |
70% | 1.87% | 70% | 1.66% |
69% | 2.27% | 69% | 2.02% |
68% | 2.69% | 68% | 2.4% |
67% | 3.12% | 67% | 2.78% |
66% | 3.56% | 66% | 3.17% |
65% | 4.02% | 65% | 3.58% |
64% | 4.49% | 64%以下 | 4% |
63% | 4.98% | 〃 | 4% |
62% | 5.48% | 〃 | 4% |
61%以下 | 6% | 〃 | 4% |
※参照:厚生労働省令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します
※参照:ハローワーク高年齢雇用継続給付について
※参照:厚生労働省令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します
※参照:ハローワーク高年齢雇用継続給付について
標準報酬月額は32万円とすると、低下率が80%なので年金は停止されません。
標準報酬月額は28万円とすると、低下率が70%なので上記の早見表と照らし合わせると、停止率は1.66%(資格発生日が2025年3月31日以前の場合は1.87%)になるので支給額は以下のようになります。
この場合、低下率が60%なので停止率は4%(上限)になります。したがって停止額は以下のようになります。
ただし、支給額のほうが多いので損することはありません。支給額については上記で説明しています。
高年齢雇用継続給付は申請しないともらえません。条件にあてはまっているひとはなるべく早めに申請することをオススメします(時効は2年)。