社会保険はいつから加入する?パートやアルバイトもすぐ加入?

2024.04.05 更新

会社員として就職した方はもちろん、パートやアルバイト、派遣社員でも条件を満たせば社会保険に加入することになります。この記事では社会保険に入るのはいつからなのか、社会保険に加入するタイミングについて説明していきます。
※働き方によっては社会保険に加入できない場合もあるのでチェックしておきましょう。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶アルバイトはいつから社会保険に加入するの?
パートやアルバイトの方などは加入条件を満たしてもすぐには加入せず、3ヶ月目から加入する場合がある。
※くわしくは下記で説明しています。たまたま働く時間が多くなった方などは対象外になります。


▶社会保険の保険料はいつから引かれる?
社会保険に月の途中から加入したとしても、社会保険に加入した月に保険料がかかり、その保険料は翌月に支払う(給料から差し引かれる)。保険料は日割りではない。
※くわしくは下記で説明しています。


▶月の途中で加入したら社会保険料はいくらかかるの?
途中で加入しても、保険料は月単位で徴収される。1年間の収入が130万円のとき保険料は年間約19万円(月額約1.6万)。それなりの金額になるので覚悟しておく。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次

社会保険に加入する予定だけど、いつから加入するの?
正社員は入社日に加入、アルバイトやパートは条件を満たしたときに加入

会社員やアルバイトなどのように、会社に雇われているひとに関係してくる社会保険ですが、加入するタイミング(加入日)が多少異なります。


正社員は入社日に社会保険に加入することになります。
※社会保険料の支払いについては下記の項目で説明しています。


パートやアルバイトをしている方については、社会保険の加入条件を満たしたときから加入することになります。ただし、次の項目で説明するように3ヶ月目から加入する場合もあります。
社会保険が適用されない事業の場合を除く。

※社会保険の内容はアルバイトも会社員も違いは無いので安心してください。
※事業主は加入条件を満たしている従業員を社会保険に加入させる義務があります。加入しないと罰則が与えられます。
※保険証が届くまでに病院などに行く場合は申請すれば余計に支払った金額が返金されます。

では次に、パートやアルバイトをしていて3か月目から社会保険に加入するときについて下記で説明していきます。長時間アルバイトなどをする方はチェックしておきましょう。


3ヶ月目から社会保険に加入する?

働き始めたときの契約では加入条件を満たしていなくても、2ヶ月連続で労働時間などの条件を満たし、これからもそれが続くと見込まれる場合には3ヶ月目から社会保険に加入することになります。
※参照:日本年金機構短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大適用拡大Q&A集pdf


たとえば今月から働く時間が長くなって加入条件を満たすことになり、その状態を2ヶ月連続で継続した場合は3ヶ月目から社会保険に加入することになります。
※あとから条件を満たしても即日加入できない理由はこれです。すぐに入れなくても慌てないようにしましょう。
※社会保険の加入条件については下記で説明しています。


以上のように、働き始めた当初は社会保険に加入していなかった方も、働く時間が多くなり、その状態が続いた場合には3ヶ月目から社会保険に加入することになります。
※短期雇用の場合について下記の項目で説明しています。

たまたま社会保険の加入条件を満たした場合は?
ひと月だけなら加入することはない。

アルバイトやパート等をしている方が繁忙期などの理由で、たまたま特定の期間だけ忙しく、加入条件(所定労働時間など)を満たした場合については除外されます。
ですが、上記のようにたくさん働く期間が今後も続くようなら社会保険に加入することになります。
※2ヶ月連続で継続した場合は3ヶ月目から社会保険に加入することになります。
※所定労働時間とは、勤務先との契約上で決められた労働時間のこと。


したがって、社会保険に未加入で働いていた方が、たまたま今月だけ加入条件を満たしたからといって翌月からすぐに加入することはありません。

※今月だけバイトのシフトが増えたなどの場合なら加入しません。

※参照:日本年金機構短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大適用拡大Q&A集pdf

では次に、勤務先の社会保険に加入できない場合はどうするのかについて下記で説明していきます。保険料が0円になるわけではありません。

社会保険に加入できない間はどうするの?
社会保険に加入できない間は国民年金と国民健康保険の支払いをする

アルバイトやパートの時間を増やして、これから社会保険に加入しようと思ってもすぐに加入できません。
※3ヶ月目から社会保険に加入できます。くわしくは上記で説明しています。

そのあいだは国民年金と国民健康保険料を支払わなければいけません。下記でシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。
※20歳未満なら国民年金は対象外です。
社会保険の扶養に入っている場合を除く。


社会保険に加入してない間はいくら払うの?
保険料はそこまで高くない

アルバイトやパートで社会保険に加入できないあいだも保険料を支払わなければいけません。

ですが、おそらく社会保険に加入する前の収入はそれほど多くないことがほとんどでしょう(年収130万以下など)。

したがって、社会保険に加入できないあいだの保険料はそれほど高くならないので安心してください。

※とはいっても、ひと月あたり1万~2万くらいかかることがほとんどです。
※去年1月~12月までの収入が多い人は今年度の国民健康保険料が高くなります。


保険料はいくらになる?そんなに高くない?

たとえば去年1年(1月~12月)の収入を130万とした場合、今年度の国民健康保険料は月額約7,500円(年間約9.1万)になります。
※40歳未満、世田谷区として計算。
社会保険の扶養に入っている場合を除く。
※保険料は国民健康保険料シミュレーションで計算。


さらに、国民年金が月額約17,000円(年間約20万)になります。

※ただし、去年の所得が少なければ納付猶予の対象になるので、申請すれば年金の支払いは0円になります。
※20歳未満なら国民年金は対象外です。

※アルバイトやパートの時間を増やしてもすぐに社会保険に加入できないことがほとんどなので、上記の保険料を参考にして「大まかなお金の支払い計画」を立てておきましょう。

では次に、勤務先の社会保険料はいつから引かれるのかについて下記で説明していきます。加入してすぐに支払うわけではありません。

保険料はいつから引かれる?加入した月から引かれる?
加入した月の社会保険料は翌月に支払う

社会保険料は月末や月の途中から加入したとしても、その月の社会保険料(1ヶ月ぶん)がかかることになります。

たとえば、入社日が3月末なら翌月(4月)に3月分の社会保険料を支払うことになります。
※たとえば社会保険に加入する前(3月30日)まで国民健康保険に加入していた場合、国保から脱退することになるので3月分の国民健康保険料は請求されません。
※保険料は日割りではありません。

保険料は安い金額ではないので、社会保険に加入したときはそれなりに覚悟しておきましょう。
※保険料については下記の項目で年収ごとに計算してまとめています。

すぐにやめた場合は?

社会保険に加入したけど勤務先をやめてすぐに抜けても違反ではありません。ただし、やめる月によって社会保険料の扱いが少し異なります。
やめる月によっては社会保険料が徴収されるので気をつけましょう。

※くわしくは下記の記事で説明しています。

すぐにやめたら社会保険はどうなる?保険料がかかる?

では次に、社会保険に加入したら保険料はいくらになるのかについて下記で説明していきます。安い金額ではありません。

社会保険に加入すると保険料はどれくらい払うの?

今まで社会保険に加入していなかった方が勤務先で社会保険に加入すると保険料はどれくらいになるのでしょうか。

社会保険に加入して働く方は、1年間の保険料が15万円を超えることがほとんどでしょう。安くない金額なので、ある程度覚悟しておきましょう。

以下に保険料の例を示します。パートやアルバイトなどの方は参考にしてみてください。

社会保険に加入した場合に支払う保険料は?

1年間の収入が106万円のとき
勤務先の社会保険に加入した場合の保険料は年間で合計約15万円(月額約13,000円)になります。
※手取りは1年間で約90万円になります。
※金額は税金保険料シミュレーションで計算。



1年間の収入が115万円のとき
勤務先の社会保険に加入した場合の保険料は年間で合計約17万円(月額約14,000円)になります。
※手取りは1年間で約98万円になります。



1年間の収入が130万円のとき
勤務先の社会保険に加入した場合の保険料は年間で合計約19万円(月額約16,000円)になります。
※手取りは1年間で約109万円になります。
※金額は税金保険料シミュレーションで計算。


1年間の収入が150万円のとき
勤務先の社会保険に加入した場合の保険料は年間で合計約21万円(月額約18,000円)になります。
※手取りは1年間で約123万円になります。



1年間の収入が200万円のとき
勤務先の社会保険に加入した場合の保険料は年間で合計約29万円(月額約24,000円)になります。
※手取りは1年間で約161万円になります。

※金額は税金保険料シミュレーションで計算。
手取りや税金も知りたい場合は?

パート主婦やフリーターの方が社会保険に加入して働いたときの税金や手取りについては下記の記事で説明しています。扶養を外れて働こうと考えている方はチェックしておくといいかもしれません。
パート主婦で年収130~205万のとき手取りや税金はいくら?
パート主婦は年収いくらがお得なの?103~150万円

では次に、派遣社員のひとが社会保険に加入する場合はいつから加入するのかについて下記で説明していきます。契約期間がポイントです。

派遣社員や短期バイトはいつから加入?

派遣社員や短期アルバイトの方も条件を満たせば社会保険に加入することになります。


ただし、派遣会社やバイト先の雇用契約で「2ヶ月以内の契約」になっている場合は、加入条件を満たしていても社会保険に加入することはできません。この場合、国民健康保険に加入することになります。
※社会保険に加入するには2ヶ月を超えて雇用されなければいけないため。


たとえば雇用契約が2ヶ月以内の短期バイトの場合は社会保険に加入できません。3ヶ月以内の短期バイトは社会保険に加入することになります。

雇用契約が2ヶ月以内でも加入できる?

2022年10月の改正により、当初の雇用期間が2ヶ月以内であっても、2ヶ月を超えて雇用されると見込まれる場合は契約当初から社会保険に加入することになります。
※ほかにも季節的業務(積雪など自然現象の影響を受ける業務)や臨時的事業(普段行われない業務イベント等)の事業所に雇われて働くひとは社会保険に加入できません。
ただし、季節的業務で4ヶ月を超えて雇用される場合、臨時的事業で6ヶ月を超えて雇用される場合は、当初から社会保険に加入することになります。

※参照:日本年金機構適用事業所と被保険者


社会保険に加入する条件ってなに?
働く時間や日数が条件。勤務時間が短いひとは月収88,000円などが条件

社会保険に加入するには下記の加入条件を満たす必要があります。
※アルバイトの方でも働く時間が多かったりすると社会保険に加入することになります。

「月に何時間働いたら加入するの?」という方は自分の労働日数など計算してチェックしておきましょう。
社会保険が適用されない事業の場合を除く。

社会保険に加入する条件は?

雇用契約で次の①と②の両方にあてはまるとき、収入にかかわらず社会保険の被保険者になります。
※社会保険が適用されている職場に限ります。
※参照:日本年金機構適用事業所と被保険者

社会保険の加入条件
社会保険の加入条件
たとえばどれくらい働くと加入する?
一般社員の労働時間が週40時間で勤務日数が月22日のとき、アルバイトの方は何時間働くと加入する?

上記の場合、あなたがアルバイトで週30時間以上、月16.5日以上働く雇用契約なら、上記の社会保険の加入条件➊と➋を満たすので、社会保険に加入することになります。
上記の条件を満たさなければ社会保険に加入しないことになります。

※ただし、普段は加入しておらず、「今月だけ条件を満たしてしまった」等の理由ならすぐに加入することはありません。
※会社によっては上記よりも働く時間が短い場合でも加入することがあるので、勤務先に確認しておきましょう。

勤務時間が少ないひとも加入する?
5つの条件をクリアすれば加入する

上記の条件を満たしていない短時間勤務のパートやアルバイトでも以下の要件1~5をすべて満たすとき社会保険(健康保険・厚生年金)の被保険者となります。
パートやアルバイトをする学生以外の方は以下の条件をしっかりチェックしておきましょう。

勤務時間が短いひとの社会保険の加入要件1~5

  1. 週の所定労働時間が20時間以上であること
    ※所定労働時間とは、就業規則などによって会社が定めた労働時間のこと。
  2. 雇用期間が2ヶ月を超えることが見込まれること
    ※令和4年10月から改正されました。
  3. 月額賃金が88,000円以上であること(年収約106万円)
    ※深夜割増分や家族手当、通勤手当は含みません。
    ※最低賃金法で算入しないことを定める賃金は含みません。
    ※106万の壁を少し超えても手取りが減らない施策が始まりました。
  4. 学生でないこと
    ただし、次にあてはまる学生は除きます。
    ・卒業見込証明書を有する方で、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の方
    ・休学中の方
    ・大学の夜間学部および高等学校の夜間等の定時制の課程の方等
  5. 特定適用事業所(常時100人を超える被保険者を使用する企業)に勤めていること
    ※令和4年10月から改正されました。
  6. ただし、次の①または②にあてはまる、被保険者が常時100人以下の事業所については適用対象となります。
    ①.労使合意(働いている方々の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することについて合意すること)に基づき申出をする法人・個人の事業所
    ②.地方公共団体に属する事業所
    ※参照:日本年金機構短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
注意:上記の5にあてはまらない場合は?
上記の5にあてはまらないような中小規模な会社で働いている場合は加入条件を満たしません。

なので、このような場合は上記で説明した4分の3の加入条件が適用されます。中小規模の会社で働いている方は上記の4分の3の加入条件をチェックしておきましょう。
上記の加入条件をわかりやすく説明


週20時間などの短時間勤務のひとの社会保険の加入判定をフローチャートにしてわかりやすく説明していきます。

※くわしい内容を知りたい場合は上記の条件をチェックしましょう。

社会保険の加入条件フローチャート
社会保険の加入条件フローチャート

では次に、国民健康保険に加入してたひとが社保に加入したときの手続きについて下記で説明していきます。早めに手続きしましょう。

今まで国保に加入していた場合は脱退手続きを忘れずに(二重請求に注意)

国民健康保険から社会保険に変更したときは、お住まいの市区町村の役所で今まで加入していた国民健康保険を脱退しなければいけません。
社会保険の扶養に入っていた方は扶養から抜ける手続きをしましょう。親族が扶養から抜ける場合、加入している保険組合に異動届を提出することになります。

国民健康保険の脱退の届け出には期限があります。その期限は原則、就職などで変更があってから14日以内です。

届け出はなるべく早めに済ましておきましょう。以下のものを揃えて、お住まいの市区町村にて手続きを行いましょう。
※新しく加入した社会保険の保険証が届かないうちに病院などに行く場合は申請すれば全額負担して余計に支払った金額が返金されます。

国保の脱退手続きに必要なものは?
  • 世帯主と加入される方全員のマイナンバーが確認できるもの
    ※マイナンバーカードまたは通知カードなど
  • 手続きをする方の本人確認ができるもの
    ※マイナンバーカード、運転免許証など
  • 新しく加入した社会保険(健康保険)の保険証
    ※扶養家族のぶんも含みます。
  • 今まで加入していた国保の保険証
    ※切り替えた家族のぶんも含みます
国保の脱退手続きをしないと二重請求される?

企業に就職などをして、勤務先の社会保険に加入したときは国民健康保険を脱退することになります。

しかし、脱退手続きをせずにいると、保険料を二重に請求されてしまう可能性があります。なので、社会保険に加入した方は早めに国保の脱退の手続きをしてください。

※ただし、二重に請求されたとしても、お住まいの地域の役所で手続きをすれば保険料が返金されるので安心してください。