老後の年金から引かれるものってなに?

2024.04.05 更新
60歳や65歳になってからもらえる老後の年金にも税金はかかります。また、保険料などの支払いも待っています。年金だからといって税金や保険料が0円になるわけではありません。必要なお金を大まかに把握しておきましょう。この記事では年金から引かれる税金や保険料について説明していきます。

この記事のまとめ(ポイント)


▶年金から引かれるものはなに?
年金から引かれるものは所得税、住民税、介護保険料、国民健康保険料です(75歳以上は後期高齢者医療制度の保険料)。ただし、収入金額や世帯の構成によっては引かれないときもある。
※くわしくは下記で説明しています。


▶年金から税金が引かれないんだけど?
収入が少なければ税金は0円。たとえば65歳以上で年金収入が158万円以下のとき、所得税は0円になる。
※くわしくは下記で説明しています。


▶介護保険料が引かれないんだけど?
介護保険料が年金から天引きされるのは65歳以上のひと。65歳未満で年金をもらっていても年金から天引きされることはない。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次

では、老後の年金からどんなお金が引かれるのかについて下記で説明していきます。年金から引かれないときもあります。

老後の年金から引かれるお金は?

60歳や65歳になってからもらえる老後の年金からは税金や保険料が引かれます。

ただし、収入金額や世帯の構成によっては年金から自動的に引かれないこともあります。
※年金から天引きされない人も多くいます。

自分はどんな税金などを支払うことになるのか把握しておきましょう。

老後の年金から引かれるお金はなに?


▶所得税
1年間(1月~12月末まで)の公的年金等の収入が65歳未満で108万、65歳以上で158万以上ある場合は年金から所得税が引かれます(源泉徴収されます)。
つまり、もらえる年金があまり多くない方は源泉徴収されません。

※厳密には所得税と復興特別所得税。
※一部のひと(65歳以上で受け取る退職共済年金などについて)は80万以上で源泉徴収されます。
※参照:国税庁令和6年版 源泉徴収のあらまし


▶住民税
65歳以上の方で住民税がかかるひとは年金から住民税が引かれます(特別徴収)。
※特別徴収されるのは公的年金等についての住民税です。ほかに所得がある場合(給与所得など)、それらの所得についての住民税は別で徴収されることになります。
※住民税は毎年6月に決定します。4月・6月・8月に徴収される住民税は、前年度の年税額の半分を3回に分けて年金から引き落とされます(仮徴収)。10月・12月・翌年2月に徴収される住民税は、6月に決定した一年間の税額から仮徴収税額を差し引いた金額を、3回に分けて年金から引き落とされます(本徴収)。したがって、徴収される金額にバラつきがある場合があります(ほかにも、アルバイト等で働き始めて、年金以外に給与所得からも天引きされるようになったひとなどは、年金から徴収される金額が変わる場合がありますが、計算の順序で徴収金額が変わるだけで、1年間の税額は変わらないので安心してください)。


▶介護保険料

あなたが65歳以上なら介護保険料が年金から引かれます(特別徴収)。
※住民税と同じように仮徴収と本徴収があります。
※年度途中で65歳になったときは、一時的に納付書で支払うことになります(普通徴収)。
※たとえば世帯に住民税を課税されている人がおり、本人の公的年金等収入が80万円超えだとすると、介護保険料は月額約6,000円(年間約72,000円)になります。

※230万未満だと約87,000円になります。保険料は市区町村によって多少異なります。くわしくは65歳以上の介護保険料はいくら?を参照。


▶国民健康保険料

あなたが65歳以上世帯主なら国民健康保険料が年金から引かれます(特別徴収)。ただし、65歳未満の加入者がいるとき等は納付書で保険料を支払うことになります(普通徴収)。
※本人以外に世帯内に国保の加入者がいれば、世帯主がまとめて保険料を支払うことになります。
※口座振替をしている場合は口座から引き落とされます。
※介護保険料と国民健康保険料の合計が、年金額の2分1を超えるときは年金から引かれません。
※たとえば65歳以上で年金収入200万の場合、国民健康保険料は年間約10.5万になります。
※世田谷区,収入は年金のみ,加入者1人として計算。

※くわしくは60歳~65歳以上の年金受給者の国民健康保険料はいくら?を参照。
75歳以上は国民健康保険ではなく、後期高齢者医療制度の保険料。

では次に、老後の年金はいくらから税金が発生するのかについて下記で説明していきます。年金額が少なければ税金は0円になります。

税金はいくらかかるの?

老後の年金にも税金はかかります。

ですが、年金をひとりで何百万円も受け取ることは少ないので、税金はそれほど高くならないことがほとんどだと思います。収入が年金だけなら、税金額は多くても年間20万くらいでしょう。
※「ひとりで300万円もらっている」などの方は税金が20万以上かかります。
※年金にかかる税金は年金税金シミュレーションで大まかに計算できます。


年金収入が少なければ税金が0円になるときもあります。

少なければ所得税も住民税も0円になる?

年金収入がそれほど多くなければ税金は0円になります。たとえば1年間(1月~12月末まで)の公的年金等の収入が155万以下(65歳未満なら105万以下)なら税金は0円になります。
※収入が年金収入だけの場合。
※市区町村によっては155万未満(65歳未満なら105万)でも住民税が課税される場合があります。

おすすめ記事:年金はいくらから税金がかかる?年金150・200・250万円など年収別まとめ

夫婦なら211万まで住民税0円?

退職後もあなたが配偶者を扶養している場合、公的年金等の収入が211万以下(65歳未満なら171.3万)なら住民税が0円になります。
※収入が年金収入だけの場合。

ただし、配偶者の所得が少ないことが条件です。たとえば夫婦だとしても、2人とも収入がたくさんある場合は対象外です。

おすすめ記事:夫婦だと年金211万まで住民税が0円になる?

▶個人年金は?
※個人年金は「国民年金や厚生年金」とは違い、税金の計算方法がすこし異なります。
※個人年金とは、保険会社と契約して保険料を支払い、支払った保険料に応じた金額を年金として受け取ることができる金融商品です(終身年金や確定年金など)。
個人年金をもらってるときの税金と保険料はいくら?

では次に、65歳以上の介護保険料は収入によって変わるのかについて下記で説明していきます。介護保険料は避けられないので覚えておきましょう。

介護保険料は世帯収入で変わる?
65歳以上の介護保険料が高くなる場合がある

65歳以上の介護保険料は収入によって変わります。収入がたくさんあれば介護保険料は高くなります。

したがって、収入が少なければ介護保険料はそれほど高くなりません。

ただし、「たくさん稼いでいる親族」と一緒に暮らしていれば介護保険料は高くなることがあります。

介護保険料が上がるってどういうこと?

▶収入が少ない世帯の場合↓
たとえば65歳以上の両親2人暮らしで、2人とも住民税が非課税なら介護保険料はそこまで高くありません。
※住民税非課税世帯に該当。
※年間約22,000円~約50,000円
※介護保険料は住んでいる市区町村によって異なります。


▶収入が多い世帯の場合↓
しかし、65歳以上の両親2人と会社員の息子の3人暮らしの場合、介護保険料は上記よりも上がります。
※両親2人の収入が少なくても、会社員の息子は収入が多く住民税が課税されるため。
※年間約87,000円~約94,000円
※介護保険料は住んでいる市区町村によって異なります。
※世帯分離をしている場合は高くならない場合があります。


国民健康保険は全部まとめて引かれる?

国民健康保険料は世帯単位で計算されるため、支払いを家族それぞれに分けて納付書をもらうことはできません。 別々の口座から引き落とすこともできません。

したがって、夫婦2人暮らしの場合、国民健康保険料は夫婦二人の合計額が世帯主に請求されます。

※1年間の国民健康保険料は数回~10回に分けて納付することになります。したがって、ひと月当たりの金額(月額)が毎回徴収されるわけではありません。
保険料はいくらかかる?
※収入は公的年金等のみとしています。

年金収入80万円のとき 国民健康保険料は
1年間で約60,000円です。
※減額された場合、年間約18,000円
65才未満は約72,000円(減額された場合、年間約21,000円)
年金収入150万円のとき 国民健康保険料は
1年間で約60,000円です。
※減額された場合、年間約18,000円
65才未満は約12.6万円(減額された場合、年間約11万円)

市区町村によって保険料は異なります。
世田谷区、加入者1人で計算。
※1年間の収入が0円だとしても国民健康保険料が0円になることはありません(減額はされます)。

年金収入80万~300万までの保険料をシミュレーションしたり、計算方法なども下記の記事で説明しています。
60歳~65歳以上の年金受給者の国民健康保険料はいくら?

ここまで説明したように、老後にもらえる年金からは税金や保険料が勝手に引かれます。徴収される金額を大まかに把握しておけば、勝手にお金が引かれていても慌てないと思うので、ここでザッと知っておきましょう。

年金から引かれるもの(まとめ)
▶所得税:収入が多ければ引かれる。
▶住民税:収入が多ければ引かれる。
▶介護保険料:65歳以上なら引かれる。
▶国民健康保険料:65歳以上でも引かれないときがある。

※くわしくは上記で説明しています。