夫婦だと年金211万まで住民税が非課税になる?共働きだと?

2024.03.25 更新
妻または夫を扶養していると住民税が0円になる範囲が広がります。住民税非課税世帯など気にしている家庭はチェックしておきましょう。この記事では、年金受給者が妻または夫を扶養している場合の住民税(年金211万円の壁)について説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶住民税の211万円の壁とは?
公的年金等の収入が211万以下なら住民税が0円になること。ただし、配偶者の所得が少ないなどの条件がある。


▶夫婦で年金211万円以下なら住民税が0円になるの?
配偶者がおり、公的年金等の収入が211万以下であれば住民税0円になる。ただし、配偶者の合計所得が48万以下でなければいけない。
※いわゆる年金211万円の壁といわれるものです。くわしくは下記で説明しています。


▶65歳未満の場合も211万で住民税0円になる?
65歳未満の場合は211万でも住民税が0円にならない。年収171.3万以下じゃないと住民税が0円にならない。
※くわしくは下記で説明しています。


▶年金収入のほかに給与収入もある場合は?

年金のほかに給料ももらっている場合、211万円ではなく、合計所得101万円以下なら住民税が0円になる。
※市区町村によっては条件が異なります。くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次
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年金収入があるときの住民税非課税ポイント
年金収入が200万を超えても夫婦なら住民税が0円になるときがある

年金を受給しているひとは、去年(1月~12月末まで)の年金収入が155万を超えてしまうと住民税が課税されてしまいます。
※市区町村によっては152万などの場合もあります。

ですが、収入が公的年金だけの夫婦の場合、条件を満たせば年金収入211万まで住民税が非課税(0円)になります。
※夫婦の年金収入を合算して211万ではありません。

年金夫婦の住民税について下記で説明していくので、住民税非課税世帯など気にしている方はチェックしておきましょう。

チェックポイント

▶年金収入211万と住民税
配偶者がいる場合、年金収入211万まで住民税が0円になることがある。
※65歳未満の場合は171.3万以下。くわしくは下記で説明しています。


▶市区町村によっては211万じゃダメ?
市区町村によっては住民税が0円になる条件が少し異なるので注意。
※くわしくは下記で説明しています。


▶給料ももらっている場合
年金のほかに給料もある場合は、計算がすこしややこしくなる(難しくはない)。
※くわしくは下記で説明しています。


夫婦なら年金収入211万まで住民税が0円になるの?
年金収入211万で住民税が0円になるには配偶者の所得が少なくないとダメ

本人のみの場合、年金収入が155万以下(市区町村によっては148万以下など)で住民税が0円になりますが、妻を扶養している方は住民税が0円になるボーダーラインが広がります。


わかりやすく説明すると、あなたが65歳以上で配偶者がおり、あなたの去年1年間(1月~12月まで)の年金収入が211万以下なら、今年度の住民税が非課税(0円)になります。
※夫を扶養している場合も同様です。
※いわゆる年金211万の壁といわれるものです。


ただし、妻の収入が少なければいけないという条件があります。

妻の収入が少ないのが条件?

夫の年金収入211万以下で住民税を0円にしたければ、妻の収入に気をつけなければいけません。
※夫婦で共働きしている場合は気をつけましょう。

具体的には、去年1年間の妻の合計所得が48万以下であることが条件です。
※つまり、妻が同一生計配偶者でなければいけません。
※住民税が0円になる条件に同一生計配偶者が含まれるため。くわしくは次の項目のシミュレーションで計算して説明していきます。

妻の合計所得が48万以下とは?同一生計配偶者って?

たとえば65歳以上の妻の収入が年金収入のみであり、1年間(1月~12月まで)の年金収入が158万円のとき、年金についての所得(雑所得)は以下のように48万円になります。

158万円年金収入110万円公的年金等控除 = 48万円雑所得
※妻が65歳未満の場合は年金収入108万円で雑所得が48万円になります(公的年金等控除の金額が65歳以上より低いため)。
※ここで説明する「年金」とは公的年金等のこと。
公的年金等とは国民年金や厚生年金などのこと。
※年金の所得は年金所得シミュレーションで計算できます。
※参照:国税庁公的年金等の課税関係

雑所得のほかに収入がないとすると、合計所得金額は48万円となります。したがって、この場合の妻は同一生計配偶者となります。
※妻が65歳未満の場合は年金収入108万円で合計所得が48万円になります(公的年金等控除の金額が65歳以上より低いため)。
同一生計配偶者とは:簡単に説明すると、合計所得48万以下の配偶者のこと。

では次に、住民税が0円になる場合をシミュレーションして下記で説明していきます。65歳以上の夫婦として計算していきます。


211万で住民税が0円になる場合をシミュレーション

では、妻を扶養している年金受給者で住民税をシミュレーションしていきましょう。

年金収入211万円で住民税が非課税になる場合 として計算していきます。

住民税が非課税(0円)になるシミュレーション
▶住民税が0円になる条件は↓のとおり

住民税が0円になるには、前年1月~12月までの合計所得金額が(本人+同一生計配偶者扶養親族数)× 35万円 + 31万円以下であること。
※参照:東京都主税局個人住民税

夫婦の収入と年齢は↓とします。
・夫の年金収入211万
・妻の年金収入120万→同一生計配偶者に該当
・夫婦ともに年齢65歳以上

では下記↓でシミュレーションしていきます。

年金211万で住民税0円になる?


あなたが配偶者を扶養している場合、上記の条件と照らし合わせると(本人1人 + 同一生計配偶者1人 + 扶養親族数0)× 35万円 + 31万円 = 101万円となるので、あなたの合計所得が101万円以下だと住民税が0円になります。

たとえばあなたが65歳以上で去年1年間(1月~12月末まで)の年金収入が211万円のとき、あなたの雑所得は101万円になります。
こちらのシミュレーションで年金の所得計算ができます。

雑所得101万以外に所得が無ければ、あなたの合計所得は101万円になるので、今年度の住民税が0円になります。
同一生計配偶者とは、合計所得48万円以下の配偶者。上記の場合、妻の年金収入は120万なので、妻の合計所得は10万円になります。したがって、同一生計配偶者にあてはまります。
扶養親族とは、合計所得48万円以下の親族。
注意点:市区町村によっては211万以下でも住民税が0円にならないことがあります(下記で解説)。

では次に、あなたが65歳未満のときについて下記で説明していきます。

65歳未満の場合は171.3万以下?
65才未満だと
公的年金等控除が低いため。

年金収入211万なら住民税が0円になると説明しましたが、65歳未満は金額が下がります。

具体的には年収171.3万以下じゃないと住民税が0円になりません。

なぜかというと、公的年金等控除の金額が65歳以上のときよりも低く設定されているからです。
※金額のシミュレーションは下記のとおりです。

住民税が非課税(0円)になるシミュレーション
住民税が0円になる条件は↓のとおり

住民税が0円になるには、前年1月~12月までの合計所得金額が(本人+同一生計配偶者扶養親族数)× 35万円 + 31万円以下であること。
※参照:東京都主税局個人住民税

夫婦の収入と年齢は↓とします。
・夫の年金収入171.3万
・妻の年金収入100万→同一生計配偶者に該当
・夫婦ともに年齢65歳未満

では下記↓でシミュレーションしていきます。

65歳未満だと年金いくらまで住民税0円?


あなたが配偶者を扶養している場合、上記の条件と照らし合わせると(本人1人 + 同一生計配偶者1人 + 扶養親族数0)× 35万円 + 31万円 = 101万円となるので、あなたの合計所得が101万円以下だと住民税が0円になります。

たとえばあなたが65歳未満で去年1年間(1月~12月末まで)の年金収入が171.3万円のとき、あなたの雑所得は101万円になります。
こちらのシミュレーションで年金の所得計算ができます。

雑所得101万以外に所得が無ければ、あなたの合計所得は101万円になるので、今年度の住民税が0円になります。
同一生計配偶者とは、合計所得48万円以下の配偶者。上記の場合、妻の年金収入は100万なので、妻の合計所得は40万円になります。したがって、同一生計配偶者にあてはまります。

では最後に、最大の注意ポイント市区町村によってルールが違うことを下記で説明していきます。金額の条件が異なります。


市区町村によって非課税になる条件が違う?


ここまで65歳以上で年金収入が211万以下なら住民税が0円になると説明してきました。

しかし、ややこしいことに住民税が0円(非課税)になる条件は市区町村によって変わります。
※この記事では下記の市区町村の場合で計算しています。
・群馬県館林市
・静岡県静岡市


下記で金額をシミュレーションしていきます。それぞれの町でどれくらい条件が変わるのかチェックしておきましょう。
※そして、住民税が非課税になる金額をお住まいの地域HPでしっかり確認しておきましょう。

群馬県館林市の場合(住民税が0円になる条件)
▶条件

住民税が0円になるには、前年1月~12月までの合計所得金額が(本人+同一生計配偶者扶養親族数)× 28万円 + 26.8万円以下であること。
※参照:館林市HP個人住民税(市・県民税)


▶配偶者を扶養してるといくらまで住民税0円?
配偶者を扶養しているなら(本人1 + 同一生計配偶者1人 + 扶養親族数0)× 28万円 + 26.8万円 = 82.8万円なので、合計所得82.8万円以下だと住民税が0円になります。
たとえばあなたが65歳以上で去年1年間(1月~12月末まで)の年金収入が192.8万円のとき、雑所得は82.8万円になります。それ以外に所得が無ければ、あなたの合計所得は82.8万円になるので、今年度の住民税が0円になります。
※65歳未満の場合は147万円以下なら住民税が0円になります。
こちらのシミュレーションで年金の所得計算ができます。
同一生計配偶者とは、合計所得48万円以下の配偶者。

北海道旭川市の場合(住民税が0円になる条件)
▶条件

住民税が0円になるには、前年1月~12月までの合計所得金額が(本人+同一生計配偶者扶養親族数)× 32万円 + 29万円以下であること。
※参照:旭川市HP個人住民税


▶配偶者を扶養してるといくらまで住民税0円?
配偶者を扶養しているなら(本人1 + 同一生計配偶者1人 + 扶養親族数0)× 32万円 + 29万円 = 93万円なので、合計所得93万円以下だと住民税が0円になります。
たとえばあなたが65歳以上で去年1年間(1月~12月末まで)の年金収入が203万円のとき、雑所得は93万円になります。それ以外に所得が無ければ、あなたの合計所得は93万円になるので、今年度の住民税が0円になります。
※65歳未満の場合は160.6万円以下なら住民税が0円になります。
こちらのシミュレーションで年金の所得計算ができます。
同一生計配偶者とは、合計所得48万円以下の配偶者。

以上のように、住んでいる地域によって住民税が0円になる条件が違うことを覚えておきましょう。年金収入があって配偶者がいる方は、年金収入211万までなら必ず住民税が0円になるわけではないので注意しましょう。


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非課税世帯になるとどんなメリットがある?
共働きで給与収入もあるときは211万円じゃない?



年金をもらっていながら、共働きをしており、公的年金のほかにも給与収入がある場合、所得の計算が少しややこしくなります。


給与所得もある場合は、収入211万円の壁じゃなくなるので注意しましょう。わかりやすくシミュレーションしていきます。


給料をもらっている場合
▶シミュレーションの条件

・夫婦ともに65歳以上の場合
・夫の去年の収入:年金120万、給与146万円
・妻の去年の収入:年金100万、給与100万円

まずは妻が同一生計配偶者になるか確認
妻のパート収入(給与収入)が去年1年間(1月~12月まで)で100万円なので、妻の去年の給与所得は45万円となります。

100万円給与収入55万円給与所得控除 = 45万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※給与収入については総支給額を参照。
※給与所得はこちらのシミュレーションで計算できます。

つづいて、妻の年金収入が去年1年間で100万円なので、去年の雑所得は0円となります。

100万円年金収入110万円公的年金等控除 = 0円年金の所得(雑所得)
公的年金等控除については公的年金等控除とは?を参照。
※あなたが65歳未満の場合、公的年金控除は60万円になるので注意。
※年金についての所得はこちらのシミュレーションで計算できます。

それぞれの所得を合計すると、去年の妻の合計所得は45万円となります。

45万円給与所得 + 0円雑所得 = 45万円合計所得
合計所得金額とは:各種所得の合計のこと。

妻の合計所得が48万以下なので、妻は同一生計配偶者に該当します。
※住民税非課税世帯になるには妻も住民税が0円でなければいけません。住民税が0円になる条件はこちらの記事を参照。

▶ここから夫の所得を計算

まずは夫の給与所得を計算
夫の給与収入が去年1年間(1月~12月まで)で146万円なので、夫の給与所得は91万円となります。

146万円給与収入55万円給与所得控除 = 91万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※給与収入については総支給額を参照。
※給与所得はこちらのシミュレーションで計算できます。

次に夫の雑所得を計算
つづいて、夫の年金収入が去年1年間で120万円なので、去年の雑所得は10万円となります。

120万円年金収入110万円公的年金等控除 = 10万円年金の所得(雑所得)
公的年金等控除については公的年金等控除とは?を参照。
※あなたが65歳未満の場合、公的年金控除は60万円になるので注意。
※年金についての所得はこちらのシミュレーションで計算できます。

夫の合計所得を計算
夫のそれぞれの所得を合計すると、去年の合計所得は101万円となります。

91万円給与所得 + 10万円雑所得 = 101万円合計所得
合計所得金額とは:各種所得の合計のこと。

ここから住民税が0円になるか計算
妻は同一生計配偶者、夫の合計所得は101万なので、つづいて住民税が0円になるか確認していきます。

住民税が0円になる条件は↓のとおり

住民税が0円になるには、前年1月~12月までの合計所得金額が(本人+同一生計配偶者扶養親族数)× 35万円 + 31万円以下であること。
※参照:東京都主税局個人住民税


妻が同一生計配偶者である場合、上記の条件と照らし合わせると(本人1人 + 同一生計配偶者1人 + 扶養親族数0)× 35万円 + 31万円 = 101万円となるので、あなたの合計所得が101万円以下だと住民税が0円になります。

夫の去年の合計所得は101万円(給与所得91万、雑所得10万)なので、今年度の住民税が0円になります。
注意点:市区町村によっては合計所得101万以下でも住民税が0円にならないことがあります(上記で解説)。

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以上のように、年金のほかに給与収入もある場合は、211万円の壁じゃなくなることを覚えておきましょう。
※住民税非課税世帯になるには妻も住民税が0円でなければいけません。住民税が0円になる条件はこちらの記事を参照。

同一生計配偶者の申請をするには?

配偶者を「同一生計配偶者」とするには、扶養親族等申告書または確定申告で申請する必要があります。
※扶養親族等申告書とは、9月~11月頃に日本年金機構から送られてくる申告書のこと。

扶養親族申告書で申請する場合は?

あなたが65歳以上で年金を158万円以上(65歳未満の方は108万円以上)受け取っている場合、日本年金機構から「扶養親族等申告書」が送られてきます。

送られてくる「扶養親族等申告書」に配偶者の氏名等を記入して、提出しましょう。申告書の記入例については下記のページで説明しています。

公的年金等の扶養親族等申告書の書き方見本

※配偶者の合計所得が48万円を超えている場合は同一生計配偶者に該当しません。
※青色申告者の配偶者で青色事業専従者にあてはまり、給与の支払を受ける方または白色申告者の配偶者で事業専従者にあてはまる方は、同一生計配偶者に該当しません。
※参照:国税庁同一生計配偶者
確定申告で申請する場合は?
確定申告で申請することもできます。
※あなたが個人年金や年金以外の所得(給与所得など)をもらっている場合は確定申告で申請しましょう。

確定申告で申請する場合は、申告書の作成時に「配偶者控除・配偶者特別控除」の項目を選択して入力すればOKです。
確定申告書の手順や記入例については下記のページで説明しています。

収入が年金だけの方の確定申告

年金と給料を両方もらっている方の確定申告

配偶者控除の入力ページ例

年金収入が211万もあるのに住民税が非課税になるのはズルい気もしますが、現状の制度では0円になるので、該当する方は利用することをオススメします。
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