年金を早く・遅くもらうのはお得?メリットとデメリットは?

2022.09.25 更新

老後の年金がもらえる年齢を早めたり遅くしたりすることができますが、その際にメリット・デメリットもあることを知っておきましょう。この記事では年金の受給年齢の繰り上げ繰り下げについて説明していきます。
この記事の目次
年金をもらう年齢を変えられる?繰上げ繰下げ受給とは

老後の年金がもらえる年齢は65歳からですが、もらえる年齢を早めたいまたは遅くしたい場合には年金の繰り上げ受給・繰り下げ受給をすることができます。

年金を早くもらいたい方は手続きをすれば65歳になる前から年金の支給を受けることができます。

ただし、それぞれメリットとデメリットがあるので注意しましょう。

この記事の要点

  • 年金を受けとる年齢を60歳にすると、76歳を超えたところで年金の受給額が通常よりも下回る。

  • 年金を受けとる年齢を70歳にすると、81歳を超えたことろで年金の受給額が通常よりも上回る。

  • 繰上げ・繰下げには気をつけるポイントがあるので注意する。

  • 繰下げしても加給年金は増額されない。

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では最初に、年金を早くもらう(繰上げ)場合について下記で説明していきます。早くもらえるぶんデメリットもあるのでチェックしておきましょう。


年金を早く貰うと何歳から損?

65歳から支給が始まる年金ですが、早く年金を受け取りたい人は申請すれば繰り上げして早めにもらうことができます。
※昭和41年4月1日以前生まれの女性については65歳より前に特別支給の老齢厚生年金が給付されます。


ただし、大きなデメリットもあります。年金を65歳より早くもらう場合、もらう年金額が減額されることになります。


もらう年齢を早める場合には「年金を早くもらえるメリット」と「減額されるデメリット」をよく考えて申請しましょう。

どれくらい減額される?
減額される年金額は1ヶ月につき0.5%です。つまり、年金をもらう年齢を60歳0ヶ月まで早めた場合には30%減額されることになります。
※最大60歳まで繰り上げることができます。
※2022年度から減額率が0.4%になります(昭和37年4月1日以前生まれの方の減額率は0.5%)。くわしくはこちらのお知らせを参照。


たとえば年金額が100万円だとしたら?
たとえば、65歳からもらえる年金額が年間100万円だとした場合、年金をもらう年齢を60歳に繰り上げると年間70万円になってしまいます。そして、今後もずっとこの減額が適用されることになります。
76歳から損になる?分岐点は?

※年金を60歳から受け取った場合と65歳から受け取った場合で比較。

損になる年齢の分岐点は何歳から?
たとえば年金を受けとる年齢を60歳0ヶ月に早めた場合、おおよそ76歳8か月を超えたところで本来65歳から年金を受け取ったときと比べて年金の総受給額が下回ることになります。
したがって、76歳を超えて生活するつもりなら年金の繰り上げをすると損になってしまうことになります

※総受給額だけで考えた場合。

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では次に、もらえる年齢を65歳よりも繰下げした場合について下記で説明していきます。もらえる年齢が遅くなるぶんメリットもあるのでチェックしておきましょう。


もらえる年齢を65歳より後に繰下げすると?

65歳から支給が始まる年金ですが、年金を遅らせて受け取りたい人は申請すれば年金の受け取りを繰り下げすることができます。
※2022年4月から最大75歳まで繰下げが可能となります。くわしくはこちらのお知らせを参照。


繰り下げには大きなメリットがあります。年金を65歳より遅めにもらう場合、もらう年金額が増額されることになります。


もらう年齢を遅くする場合には「年金がもらえる年齢が遅くなるデメリット」と「増額されるメリット」をよく考えて申請しましょう。

どれくらい増額される?
減額される年金額は1ヶ月につき0.7%です。つまり、年金をもらう年齢を70歳0ヶ月まで遅くした場合には42%増額されることになります。

たとえば年金額が100万円だとしたら?
たとえば65歳からもらえる年金額が年間100万円だとした場合、年金をもらう年齢を70歳に繰り下げると年間142万円になります。
81歳から得する?分岐点は?

※年金を65歳から受け取った場合と70歳から受け取った場合で比較。

得になる年齢の分岐点は何歳から?
たとえば年金を受けとる年齢を遅らせて70歳0ヶ月から受けとる申請をした場合、おおよそ81歳4か月を超えたところで本来65歳から年金を受け取ったときと比べて年金の総受給額が上回ることになります。
したがって、81歳を超えて生活するつもりなら年金の繰り下げをすると得になることになります

※総受給額だけで考えた場合。

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では次に、もらえる年齢を70歳よりも繰下げした場合について下記で説明していきます。

もらえる年齢を70歳より後に繰下げすると?

65歳から支給が始まる年金ですが、年金を遅らせて受け取りたい人は申請すれば年金の受け取りを繰り下げすることができます。最大75歳まで繰り下げることができます。
※2022年4月から最大75歳まで繰下げが可能となります。くわしくはこちらのお知らせを参照。


繰り下げには大きなメリットがあります。年金を65歳より遅めにもらう場合、もらう年金額が増額されることになります。


もらう年齢を遅くする場合には「年金がもらえる年齢が遅くなるデメリット」と「増額されるメリット」をよく考えて申請しましょう。

どれくらい増額される?
減額される年金額は1ヶ月につき0.7%です。つまり、年金をもらう年齢を75歳0ヶ月まで遅くした場合には84%増額されることになります。

たとえば年金額が100万円だとしたら?
たとえば65歳からもらえる年金額が年間100万円だとした場合、年金をもらう年齢を75歳に繰り下げると年間184万円になります。
87歳から得する?分岐点は?

※年金を65歳から受け取った場合と75歳から受け取った場合で比較。

得になる年齢の分岐点は何歳から?
たとえば年金を受けとる年齢を遅らせて75歳0ヶ月から受けとる申請をした場合、おおよそ87歳0か月を超えたところで本来65歳から年金を受け取ったときと比べて年金の総受給額が上回ることになります。
したがって、87歳を超えて生活するつもりなら年金の繰り下げをすると得になることになります

※総受給額だけで考えた場合。
※2022年4月から最大75歳まで繰下げが可能となります。くわしくはこちらのお知らせを参照。

こんなページもみられています
何歳まで年金をもらえば元が取れる?月収によって変わる?

では次に、繰上げ・繰下げをするときの手続きについて下記で説明していきます。年金事務所などで請求の手続きをしなければいけません。


年金を早くまたは遅くもらうときの手続きは?

年金をもらう年齢を繰上げする、または繰下げする場合は請求書を提出する必要があります。

お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに請求書を提出することになります。

請求書は日本年金機構からダウンロードすることができます。

年金をもらう年齢を早めるのに必要な書類

▶老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書
繰上げ請求書の各項目に記入したあと、年金事務所または街角の年金相談センターに提出しましょう。請求書は日本年金機構のこちらのページからダウンロードすることができます。
※繰上げの請求をすると年金が減額され、その減額率は一生変わりません。提出する前に年金事務所などで相談することをおすすめします。
※参照:日本年金機構HP65歳前に老齢年金の受給を繰上げたいとき




年金をもらう年齢を遅くするのに必要な書類

▶老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰下げ請求書
繰下げ請求書の各項目に記入したあと、年金事務所または街角の年金相談センターに提出しましょう。請求書は日本年金機構のこちらのページからダウンロードすることができます。
※参照:日本年金機構HP66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき

では次に、繰上げ・繰下げをするときの注意点について下記で説明していきます。気をつけなければいけないポイントがあるのでチェックしておきましょう。

注意点(とくに加給年金をもらう方)

年金の受給を繰上げまたは繰下げする場合、年金の金額が増減すること以外にも注意しなければいけないポイントがあります。

注意ポイントは以下のとおりです。

加給年金をもらえる方は特に注意しましょう。加給年金の支給が停止される場合があります。

繰上げ・繰下げ受給の注意点

  • 繰下げ受給するとそのあいだ加給年金(配偶者加給年金、子の加給年金)は支給されない。

  • 加給年金(配偶者加給年金、子の加給年金)は、繰下げしても増額されない

  • 繰上げ請求すると、厚生年金基金から支給される年金も減額される場合があります。

  • 65歳になるまでの間、雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合は、老齢厚生年金の一部または全部の年金額が支給停止となります。(老齢基礎年金は支給停止されません。

  • 老齢基礎年金を繰上げて請求した後は、寡婦年金は支給されない。また、既に寡婦年金を受給されている方については、寡婦年金の権利がなくなる。

  • 老齢基礎年金を繰上げて請求した後は、障害者の特例措置及び長期加入者の特例措置を受けることができなくなる。

  • 老齢基礎年金を繰上げて請求した後は、事後重症などによる障害基礎年金を請求することができなくなる。

  • 老齢基礎年金を繰上げて請求した場合、65歳になるまで遺族厚生年金・遺族共済年金を併給できない。

  • 老齢厚生年金や退職共済年金を受給中の方が繰上げ請求すると、これらの年金に定額部分の支給がある場合、定額部分は支給停止されます。

※参照:日本年金機構HP年金の繰上げ・繰下げ受給

特に寡婦年金を受給されている方は繰上げ受給をすると支給停止されるので気をつけましょう。


ここまでのまとめ(どっちが損かお得か)

年金を受けとる年齢を早くしたり遅くしたりする場合には、それぞれメリットとデメリットがあります。

遅くしたほうが多くの金額がもらえることになるので、お得になるようにも感じます。

ですが、もらえる金額だけでなく、日々の暮らしの中で使うお金など自分のライフスタイルと照らし合わせて考えたときに「どちらが自分の生活にあっているか」を考えなければなりません。


もらえる年金が多くなるからといって繰り下げ受給をしても、年金がもらえない期間の生活が苦しくなるのなら得策ではありません。
※逆に、早くもらったほうがお得だと思って、受給年齢を繰上げしても、もらえる年金額が少なくなってしまい、老後のライフプランが崩れてしまうなら得策ではありません。

したがって、年金の繰り上げ繰り下げ受給の申請をする場合には「今後の生活スタイル」と「受けとる年金額」をしっかりと考えましょう。