年金と給与収入があるひとで住民税が非課税になるとき

2025.05.01 更新
年金をもらいながら働いているひとでも住民税が0円になる場合があります。この記事では年金と給与をもらっているひとで住民税が非課税になる収入について説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶年金と給与があっても住民税は非課税になる?
年金についての所得(雑所得)と給与所得の合計が45万以下なら住民税はかからない。
※くわしくは下記で説明しています。


▶住民税が非課税になる条件は町によって違う?
市区町村によっては合計所得が42万以下や38万以下じゃないと住民税が非課税にならない。


▶なにか条件が変わったの?
2025年の税制改正によって給与所得控除が変わったので、給与収入があるひとは非課税になる収入のボーダーラインが変わった。


▶年金と給与があったら確定申告するの?
給与所得があまり多くなければ確定申告をする必要はない。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次
年金と給与があるひとで住民税が0円になるには?
年金と給料どちらの金額もそれほど多くなければ税金は0円

老齢年金のほかにアルバイトやパートなどで給料をもらっているひとで住民税が0円(非課税)になる条件は、本人の前年(1月~12月まで)の合計所得金額が45万円以下であることです。
※この金額を超えると住民税がかかり始めます。
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。



つまり、去年の合計所得(年金の所得と給与所得の合計)が45万以下なら今年度の住民税は0円になります。
※市区町村によっては42万円や38万円を超えると住民税が課税されます。くわしくは下記のシミュレーションで計算しながら説明しています。


「合計所得45万円ってどういう意味?」という方のために以下でわかりやすく説明していきます。

合計所得45万で住民税が0円?
▶2025年度の住民税について

例えば65歳以上で年金収入が2024年(1月~12月まで)で110万円、アルバイト収入が1年間で80万円のとき。
※ここで説明する「年金」とは公的年金等のこと。
※参照:国税庁公的年金等の課税関係


まず給与所得を計算
アルバイト収入が2024年1年間で80万円なので、あなたの給与所得は25万円となります。

80万円給与収入55万円給与所得控除 = 25万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※今年1月~12月の給与が対象です。たとえばその月の勤務分の給与が翌月10日に支給されるなら、前年12月~今年11月に勤務したぶんの給与が1年間の給与収入となります。
※給与所得については給与所得シミュレーションで計算できます。

次に年金についての所得(雑所得)を計算
つづいて、年金収入が1年間で110万円なので、年金についての所得は0円となります。

110万円年金収入110万円公的年金等控除 = 0円年金の所得
公的年金等控除については公的年金等控除とは?を参照。
※年金の所得は厳密には雑所得になります。
※あなたが65歳未満の場合、公的年金控除は60万円になるので注意。
※年金についての所得は年金所得シミュレーションで計算できます。

次にあなたの所得を合計
それぞれの所得を合計すると、あなたの合計所得金額は25万円となります。

25万円給与所得 + 0円年金の所得 = 25万円合計所得金額
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。
※年金の所得は厳密には雑所得になります。

合計所得が45万円以下なので2025年度は住民税が課税されません。
※扶養親族なしの場合。
※参照:東京都主税局個人住民税

2026年度の住民税について


例えば65歳以上で年金収入が2025年(1月~12月まで)で110万円、アルバイト収入が1年間で80万円のとき。
※ここで説明する「年金」とは公的年金等のこと。
※参照:国税庁公的年金等の課税関係


まず給与所得を計算
アルバイト収入が2025年1年間で80万円なので、あなたの給与所得は15万円となります。

80万円給与収入65万円給与所得控除 = 15万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※今年1月~12月の給与が対象です。たとえばその月の勤務分の給与が翌月10日に支給されるなら、前年12月~今年11月に勤務したぶんの給与が1年間の給与収入となります。
※給与所得については給与所得シミュレーションで計算できます。

次に年金についての所得(雑所得)を計算
つづいて、年金収入が1年間で110万円なので、年金についての所得は0円となります。

110万円年金収入110万円公的年金等控除 = 0円年金の所得
公的年金等控除については公的年金等控除とは?を参照。
※年金の所得は厳密には雑所得になります。
※あなたが65歳未満の場合、公的年金控除は60万円になるので注意。
※年金についての所得は年金所得シミュレーションで計算できます。

次にあなたの所得を合計
それぞれの所得を合計すると、あなたの合計所得金額は15万円となります。

15万円給与所得 + 0円年金の所得 = 15万円合計所得金額
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。
※年金の所得は厳密には雑所得になります。

合計所得が45万円以下なので2026年度は住民税が課税されません。

何が変わった?変更ポイント
※2025年の税制改正で給与所得控除の最低額が10万円増えたので、給与所得の金額が変わりました。

※金額は年金の税金計算シミュレーションで計算。
※おすすめ記事:年金受給者で妻がパートをするなら収入いくらがいい?
とてもややこしいのですが、市区町村によっては住民税が0円になる条件の金額が上記よりも少ない場合があります。市区町村によってどれくらい金額が変わるのか下記の項目でシミュレーションしています。


市区町村によって0円になる条件が違う?


ややこしいのですが、住民税が0円(非課税)になる条件は市区町村によって変わります。


では、それぞれの市区町村で住民税が0円になるパターンを下記で計算シミュレーションしていきます。

群馬県館林市の場合(住民税が0円になる条件)
住民税が0円になる条件

住民税が0円になるには、前年1月~12月までの合計所得金額が38万円以下であること。
※東京都23区などの場合は45万円以下
※配偶者や扶養親族がいない場合。
※参照:館林市HP個人住民税(市・県民税)


▶2025年度は?
たとえば2024年(1月~12月末まで)の給与収入が93万円のとき、給与所得は38万円になります。年金収入が60万円のとき、年金の所得(雑所得)は0円になります。したがって、あなたの合計所得は38万円になります。
※給与所得は給与所得シミュレーションで計算できます。
※年金についての所得は年金所得シミュレーションで計算できます。


▶2026年度は?
たとえば2025年(1月~12月末まで)の給与収入が103万円のとき、給与所得は38万円になります。年金収入が60万円のとき、年金の所得(雑所得)は0円になります。したがって、あなたの合計所得は38万円になります。
※2025年の税制改正で給与所得控除の最低額が10万円増えたので、給与所得者は25年度と26年度で少し違いがあります。

北海道旭川市の場合(住民税が0円になる条件)
住民税が0円になる条件

住民税が0円になるには、前年1月~12月までの合計所得金額が42万円以下であること。
※東京都23区などの場合は45万円以下
※配偶者や扶養親族がいない場合。
※参照:旭川市HP個人住民税


▶2025年度は?
たとえば2024年(1月~12月末まで)の給与収入が97万円のとき、給与所得は42万円になります。年金収入が60万円のとき、年金の所得(雑所得)は0円になります。したがって、あなたの合計所得は42万円になります。
※給与所得は給与所得シミュレーションで計算できます。
※年金についての所得は年金所得シミュレーションで計算できます。


▶2026年度は?
たとえば2025年(1月~12月末まで)の給与収入が107万円のとき、給与所得は42万円になります。年金収入が60万円のとき、年金の所得(雑所得)は0円になります。したがって、あなたの合計所得は42万円になります。
※2025年の税制改正で給与所得控除の最低額が10万円増えたので、給与所得者は25年度と26年度で少し違いがあります。


配偶者や扶養親族がいるときは?

所得の少ない配偶者(妻または夫)がいる場合、住民税は0円になる条件は下記のとおりです。


たとえば配偶者を1人扶養している人は合計所得金額が101万円以下なら住民税は0円になります。
では、具体的に金額をあてはめて下記でシミュレーションしていきます。

家族を扶養している場合はどうすれば0円になる?
住民税が0円になる条件↓

前年1月~12月までの合計所得金額が(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)× 35万円 + 31万円以下の方は今年度の住民税が0円になります。
※参照:東京都主税局個人住民税
※市区町村によっては金額が大きく異なる場合があります(たとえば上記の場合だと、合計所得が約110万円以下でなければいけないなど)。くわしくは下記で説明しています。


ここからシミュレーション
たとえば同一生計配偶者が1人いる場合、あなたの住民税が0円になる条件は↓のようになります。

(本人1+同一生計配偶者1+扶養親族数0)× 35万円 + 31万円 = 101万円(合計所得金額)

上記の条件のとき、あなたの合計所得が101万円以下ならあなたの住民税が非課税となります。
では、具体的に金額をあてはめて下記でシミュレーションしていきます。


合計所得101万で住民税が0円?
▶2025年度の住民税について

例えば65歳以上で年金収入が2024年(1月~12月まで)で110万円、アルバイト収入が1年間で156万円のとき。
※ここで説明する「年金」とは公的年金等のこと。
※参照:国税庁公的年金等の課税関係


まず給与所得を計算
アルバイト収入が2024年1年間で156万円なので、あなたの給与所得は101万円となります。

156万円給与収入55万円給与所得控除 = 101万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※今年1月~12月の給与が対象です。たとえばその月の勤務分の給与が翌月10日に支給されるなら、前年12月~今年11月に勤務したぶんの給与が1年間の給与収入となります。
※給与所得については給与所得シミュレーションで計算できます。

次に年金についての所得(雑所得)を計算
つづいて、年金収入が1年間で110万円なので、年金についての所得は0円となります。

110万円年金収入110万円公的年金等控除 = 0円年金の所得
公的年金等控除については公的年金等控除とは?を参照。
※年金の所得は厳密には雑所得になります。
※あなたが65歳未満の場合、公的年金控除は60万円になるので注意。
※年金についての所得は年金所得シミュレーションで計算できます。

次にあなたの所得を合計
それぞれの所得を合計すると、あなたの合計所得金額は101万円となります。

156万円給与所得 + 0円年金の所得 = 156万円合計所得金額
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。
※年金の所得は厳密には雑所得になります。

合計所得が156万円以下なので2025年度は住民税が課税されません。

2026年度の住民税について

例えば65歳以上で年金収入が2025年(1月~12月まで)で110万円、アルバイト収入が1年間で166万円のとき。

まず給与所得を計算
アルバイト収入が2025年1年間で166万円なので、あなたの給与所得は101万円となります。

166万円給与収入65万円給与所得控除 = 101万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
※今年1月~12月の給与が対象です。たとえばその月の勤務分の給与が翌月10日に支給されるなら、前年12月~今年11月に勤務したぶんの給与が1年間の給与収入となります。
※給与所得については給与所得シミュレーションで計算できます。

次に年金についての所得(雑所得)を計算
つづいて、年金収入が1年間で110万円なので、年金についての所得は0円となります。

110万円年金収入110万円公的年金等控除 = 0円年金の所得
公的年金等控除については公的年金等控除とは?を参照。
※年金の所得は厳密には雑所得になります。
※あなたが65歳未満の場合、公的年金控除は60万円になるので注意。
※年金についての所得は年金所得シミュレーションで計算できます。

次にあなたの所得を合計
それぞれの所得を合計すると、あなたの合計所得金額は101万円となります。

156万円給与所得 + 0円年金の所得 = 156万円合計所得金額
合計所得金額とは:各種所得の合計金額のこと。
※年金の所得は厳密には雑所得になります。

合計所得が156万円以下なので2026年度は住民税が課税されません。

何が変わった?変更ポイント
※2025年の税制改正で給与所得控除の最低額が10万円増えたので、給与収入が166万円なら合計所得が101万円になります(2024年は給与収入156万じゃないと合計所得が101万円にならない)。

※おすすめ記事:年金受給者で妻がパートをするなら収入いくらがいい?

とてもややこしいのですが、市区町村によっては住民税が0円になる条件の金額が上記よりも少ない場合があります。

▶たとえば館林市の場合
配偶者を扶養しているなら(本人1 + 同一生計配偶者1人 + 扶養親族数0)× 28万円 + 26.8万円 = 82.8万円なので、合計所得82.8万円以下だと住民税が0円になります。
※参照:館林市HP個人住民税(市・県民税)


▶たとえば旭川市の場合
配偶者を扶養しているなら(本人1 + 同一生計配偶者1人 + 扶養親族数0)× 32万円 + 29万円 = 93万円なので、合計所得93万円以下だと住民税が0円になります。

※参照:旭川市HP個人住民税

以上のように、住んでいる地域によって住民税が0円になる条件が違うことを覚えておきましょう。お住まいの市区町村ホームページでしっかり確認しておきましょう。
※所得が少し多くて住民税が非課税にならないときは、所得割が0円になって均等割の5,000円だけ課税される場合もあります。
※参考記事:住民税の所得割が0円になる場合

年金と給与があるひとは確定申告が必要になる?

年金と給与収入があるひとで下記のいずれかにあてはまる方確定申告をする必要があります。
※収入が年金のみである方は源泉徴収されてから受けとるので、基本的に確定申告をする必要はありません。


したがって、年金をもらいながら働いて給料をもらっているひとは自分が確定申告が必要かどうかしっかりチェックしておきましょう。

確定申告が必要なひと

  • 公的年金等の収入が400万円を超える場合
  • 公的年金等以外の所得(給与所得、年金以外の雑所得など)の合計が1年間(1月~12月まで)で20万円を超える場合

※参照:国税庁公的年金等の課税関係
※上記にあてはまらなくても、源泉徴収によって税金を納めすぎているときや医療費控除を利用したときには確定申告を行うと税金が戻ってくる場合があります。

たとえば、あなたの公的年金等(国民年金や厚生年金など)の収入が180万、パートやアルバイトの給与収入が90万(給与所得25万)とすると、公的年金等以外の所得が「給与所得25万」なので20万を超えてしまいます。したがって、上記の場合は確定申告が必要になります。
くわしくは下記の記事で説明しています。確定申告のやり方なども説明しています。
年金をもらいながら働いて給料も貰っている人は確定申告は必要?