子どもがYouTubeでお金を稼いでいる…扶養控除はどうなる?

2024.04.13 更新

高校生や大学生など、学生のうちからユーチューバーとして動画配信やSNSなどで収入を得る人が増えています。この記事では子供がYouTubeで稼ぐ場合の扶養控除について説明していきます。

この記事のまとめ(ポイント)


▶YouTubeの収入がいくらで扶養を外れる?
子供の収入がYouTubeだけの場合、利益が48万円を超えると扶養から外れる(103万の壁ではないので注意)。子供が扶養から外れると親の税金は約5万円~17万円税金が増える。
※くわしくは下記で説明しています。
※子供がアルバイトもしている場合は下記で説明しています。子供がYouTuberを頑張ろうとしている方はチェックしておきましょう。


▶社会保険の扶養はどうなるの?
子供の収入が130万円以上になると社会保険の扶養からも外れる。
※くわしくは下記で説明しています。


▶確定申告はしないとダメなの?
YouTubeで利益が48万を超えれば基本的に確定申告が必要。しかし、アルバイトなどをしている場合は確定申告をしなくていいときもある。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次
子供がYouTubeで稼いでいる…扶養控除はどうなる?

子供がYouTubeでお金を稼いでいる場合に気になるのが扶養についてです。


子供だとしても、YouTubeからの利益がたくさんあれば扶養控除の対象から外れることになります。さらに収入が多くなれば社会保険の扶養からも外れる場合があります。
※子供が扶養親族じゃなくなり、扶養控除の対象から外れると親の税金が上がってしまいます。
※子供が稼いだお金は子供自身の収入になります。親の収入には含まれません。



どれくらいお金を稼いでいると扶養控除が利用できなくなるのか、また、確定申告の必要についてなどチェックしておくことをオススメします。

チェックポイント

▶YouTubeと確定申告
YouTubeの利益(雑所得)があれば基本的には確定申告が必要になる。
※くわしくは下記で説明しています。


▶扶養控除(親の扶養)について
合計所得が多ければ扶養親族の対象外になってしまい、親は扶養控除を利用できなくなる。合計所得48万がボーダーライン。
※くわしくは下記で説明しています。


▶親の税金について
子供の年齢によって、親の税金が増える金額が変わる。
※くわしくは下記で説明しています。

では次に、YouTubeの確定申告について下記で説明していきます。確定申告をしなくてもいいときがあるのでチェックしておきましょう。
※基本的には確定申告が必要になります。ただし、確定申告書はネットでかんたんに作成できるので安心してください。

YouTubeで稼いでいる場合は確定申告が必要?

YouTubeでお金を稼いでいるときは基本的に確定申告をして所得の申告をすることになります。
※ただし、合計所得が48万円以下なら申告しても所得税は0円になります。


ですが、アルバイトなどで給料をもらいながらYouTubeで稼いでいる場合、YouTubeの収益が1年間(1月~12月まで)で20万円以下なら確定申告をしなくてもいい決まりになっています。
※収入が給料とYouTubeだけの場合。くわしくは下記で説明しています。

収入がYouTubeだけの場合
収入がYouTubeだけの方は雑所得(YouTubeからの収益)が1年間(1月~12月まで)で48万円以下なら所得税が0円となります。48万円を超えた場合には確定申告をしなくてはいけません。
※ただし、所得が0円でも確定申告をすることをオススメします。本人の所得が0円であることを役所で確認できれば保険料などが減額されるので、確定申告をして自分の所得を申告しておきましょう。
※48万円以下でも確定申告をしない場合は住民税の申告が必要になります(確定申告をする場合は住民税の申告は必要ありません)。

※出典:国税庁確定申告が必要な方
20万円以下なら確定申告は不要?住民税の申告が必要?
確定申告しないなら住民税の申告が必要になっちゃう

アルバイトや会社員などの勤務先から給料をもらっている方の場合、雑所得(YouTubeからの収益)が1年間(1月~12月まで)で20万円以下ならば確定申告をしなくてもいい決まりになっています。
※給与所得と雑所得のほかに所得が無い場合。
※経費は0円としています。雑所得については雑所得とは?を参照。


確定申告をしない場合、雑所得が20万円以下でも住民税の申告が必要になります(確定申告をした場合、住民税の申告は必要ありません)。確定申告はネットで簡単に作成できるので、確定申告をすることをオススメします。
※確定申告をする場合は、20万円以下だとしても雑所得の申告をしなければいけません。
※出典:国税庁確定申告を要しない場合の意義
※参照:国税庁給与所得者で確定申告が必要な人

では次に、確定申告のやりかたについて下記で説明していきます。申告書はネットで簡単に作成できます。

YouTubeで稼いだときの確定申告のやりかたは?

YouTubeの収入が多くあり、確定申告が必要なときは下記を参考に確定申告書をつくってみましょう。


今はネットでかんたんに確定申告書が作成できます。作成した申告書を税務署に郵送すると申告完了となります。

YouTubeで稼いだときの確定申告のやりかた

YouTubeからの収益(雑所得)があるひとは確定申告をすることになります。

確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日までに申告をしましょう。

※遅れても申告はできますが税金が加算される場合があります。


確定申告のながれ
STEP➊マイナンバーカードなど必要なものを用意する
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送する(税金を支払うまたは払い戻される)

くわしくは下記の記事で説明しています

もし、確定申告をするのが不安な方は試しにテキトーに金額を入力して申告書のつくりかたを練習してみてもいいかもしれません。
※税務署に郵送する申告書に正しい金額を入力すれば問題ないので、ためしに申告書を何枚も作ってみましょう。意外にかんたんです。

では次に、子供がYouTubeでいくらお金を稼いでいると扶養控除が利用できなくなるのか下記で説明していきます。
※子供がYouTuberの場合、子供の所得に気をつけなければいけません。くわしくは下記で説明していくのでチェックしておきましょう。


子供がいくら稼ぐと扶養控除が利用できなくなる?

子供の合計所得が48万を超えると扶養親族の対象から外れるので、親は扶養控除が利用できなくなります。
※扶養控除とは:扶養親族(子供など)がいる場合に税金が安くなる制度です。


扶養控除を利用するには、あなたの子供の1年間(1月~12月まで)の合計所得が48万円以下である必要があります。
※出典:国税庁扶養控除


「合計所得48万円ってどういうこと?」という方のために以下でわかりやすく説明していきます。

YouTubeの稼ぎで合計所得48万円とは?
たとえばあなたの子供が1年間(1月~12月まで)にYouTubeで稼いだ金額が48万円とすると、

48万円YouTubeの収入0円経費 = 48万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
※経費になるものがある場合は経費を加算しましょう。
※YouTubeの利益は雑所得になります。

となります。YouTube以外に収入が無いとすると、あなたの子供の合計所得金額は

48万円雑所得 = 48万円合計所得金額
※合計所得金額については合計所得金額とは?を参照。

となります。この場合、1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円以下なのであなたの子供は扶養控除の対象になります。

つまり、ほかに収入がなければ48万円までならYouTubeでお金を稼いでも扶養控除の対象になるということです。
48万を超えて扶養から外れたとき、親の税金は増えてしまいます。
※2020年1月から扶養親族の所得要件が38万円から48万円に引き上げられました(2023年現在も48万円です)。


しかし、YouTubeのほかにもアルバイト収入もある場合も多いでしょう。では、給料ももらっている場合について下記で説明していきます。

※扶養を外れた場合の親の税金については下記で解説。


YouTubeのほかにアルバイトもしている場合は?

子供がアルバイトもしており、合計所得が48万を超えると扶養親族の対象から外れるので、親は扶養控除が利用できなくなります。
※扶養控除とは:扶養親族(子供など)がいる場合に税金が安くなる制度です。


扶養控除を利用するには、あなたの子供の1年間(1月~12月まで)の合計所得が48万円以下である必要があります。
※出典:国税庁扶養控除


「合計所得48万円ってどういうこと?」という方のために以下でわかりやすく説明していきます。

YouTubeのほかにアルバイトもしている場合は?

たとえば子供が高校生で、YouTubeのほかにアルバイトもしており、1年間(1月~12月まで)の給料が90万円、YouTubeでの稼ぎが25万円(雑所得)の場合は扶養控除の対象になるのか見ていきましょう。

まず、給与所得は、

90万円給与収入55万円給与所得控除 = 35万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
こちらのシミュレーションで給与所得の計算ができます。

となります。

つづいて、雑所得は、

25万円YouTubeの収入0円経費 = 25万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
※経費になるものがある場合は経費を加算しましょう。
※YouTubeの利益は雑所得に分類されます。

となります。

したがって、あなたの子供の合計所得金額は、

35万円給与所得 + 25万円雑所得 = 60万円合計所得金額
※合計所得金額については合計所得金額とは?を参照。

となります。この場合、1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が48万円を超えてしまっているので、あなたの子供は扶養控除の対象から外れてしまいます。
48万を超えて扶養から外れたとき、親の税金は増えてしまいます。
※2020年1月から扶養親族の所得要件が38万円から48万円に引き上げられました(2023年現在も48万円です)。

では次に、子供が扶養から外れたら親の税金はどれくらい増えるのかについて下記で説明していきます。
※子供の年齢によって増える税金額が変わります。とくに、19歳~22歳の子供がいる場合は金額が高くなるのがポイントです。


子供が扶養から外れたら親の税金はいくら増える?

あなたの子供がYouTubeでお金を稼ぎ、扶養控除の対象から外れてしまった場合、あなたの税金の負担は年間約5~17万円増えてしまうことになります。
※親の年収が250~850万円、子供が高校生~大学生としてシミュレーションした場合。
※子供の収入がいくらになると扶養から外れるかについては上記で説明しています。


子供の年齢によってどれくらい税金の負担が増えてしまうかについては以下にシミュレーションしてまとめました。
※子供の年齢によって増える税金額が変わります。とくに、19歳~22歳の子供がいる場合は注意しましょう。

扶養控除の対象外になった場合はどれくらい負担が増す?

※下記の表は親族(40歳以下・社会保険加入のサラリーマン)が扶養控除を利用できなくなった場合のシミュレーション。

16歳~18歳の学生が扶養から外れた場合
 

親族の年収 親族が支払う税金
年収250~400万円のとき 親族が支払う税金は約52,000円高くなります。
※所得税は19,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税はこちらで計算
年収500~600万円のとき 親族が支払う税金は約71,000円高くなります。
※所得税は38,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税はこちらで計算
年収700~850万円のとき 親族が支払う税金は約110,000円高くなります。
※所得税は76,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税はこちらで計算

※家族が1人扶養控除の対象外になった場合(年間額)。

19歳以上22歳以下の学生が扶養から外れた場合


親族の年収 親族が支払う税金
年収250~430万円のとき 親族が支払う税金は約77,000円高くなります。
※所得税は31,500円、住民税は45,000円

※所得税と住民税はこちらで計算
年収540~640万円のとき 親族が支払う税金は約110,000円高くなります。
※所得税は63,000円、住民税は45,000円

※所得税と住民税はこちらで計算
年収740~850万円のとき 親族が支払う税金は約170,000円高くなります。
※所得税は126,000円、住民税は45,000円

※所得税と住民税はこちらで計算

※家族が1人扶養控除の対象外になった場合(年間額)。
※上記の表は親族(40歳以下・社会保険加入のサラリーマン)が扶養控除を利用できなくなった場合のシミュレーション。

※親が会社独自の福利厚生扶養手当や家族手当)などをもらっている場合、子供が扶養親族じゃなくなると手当が支給されなくなることがあるので確認しておきましょう。
※会社によっては、子供がいると年間6万円くらい手当がもらえます。

では次に、社会保険の扶養からも外れた場合について下記で説明していきます。収入が130万以上になる方はチェックしておきましょう。

収入が130万円以上で社会保険の扶養から外れる?

あなたの子供の収入が1年間で130万円以上になると社会保険の扶養から外れてしまいます。

※YouTubeや給料等の収入の合計が130万円以上。
社会保険の扶養に入っている場合に限ります。
※ただし、加入している保険組合によっては雑所得になる収入(YouTubeなどの収入)を含まない場合があります。
※参照:日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き


社会保険の扶養から外れると、本人自身が国民健康保険に加入して保険料を支払うことになります。

自分で支払う保険料はどれくらい?
国民健康保険はけっこう高い

YouTube収入が130万円の場合
たとえばYouTubeで収入があり、その利益(雑所得)が1年間で130万円でそれ以外に収入がない場合、国民健康保険料は年間で約14.3万円になります。
※経費は0円としています。
※国民健康保険については国民健康保険とは?を参照。
※保険料はこちらのページでシミュレーションを行いました。
※東京都世田谷区、年齢39歳以下、加入者1人としてシミュレーションしています。



YouTube収入が200万円の場合


たとえばYouTubeで収入があり、その利益(雑所得)が1年間で200万円でそれ以外に収入がない場合、国民健康保険料は年間で約21万円になります。

※経費は0円としています。
※国民健康保険については国民健康保険とは?を参照。
※保険料はこちらのページでシミュレーションを行いました。
※東京都世田谷区、年齢39歳以下、加入者1人としてシミュレーションしています。
YouTubeと扶養まとめ


▶YouTubeの収入がいくらまでなら扶養から外れない?
YouTubeで稼いだお金が48万円以下なら扶養控除の対象から外れない
※くわしくは上記で説明しています。


▶アルバイトもしているときはどうなる?
YouTubeのほかにアルバイトもしている場合は合計で48万円以下なら扶養控除の対象から外れない
※くわしくは上記で説明しています。


▶社会保険の扶養はどうなる?
収入が130万円以上になると社会保険の扶養からも外れる
※くわしくは上記で説明しています。


▶YouTubeで稼ぐと確定申告が必要なの?
YouTubeの稼ぎは基本的に確定申告が必要。ただし、確定申告をしなくてもいい場合もある。ただし、確定申告をしない場合は住民税の申告が必要になる。
※くわしくは上記で説明しています。

ここまで扶養について説明しましたが、子供のうちから動画配信やSNSなどのサービスで数百万円・数千万円のお金を稼げる見込みがあるなら、扶養を気にする必要はありません。

子供がYouTubeでたくさんお金を稼げるなら気にせずにガンガン稼いでもらいましょう。

※扶養控除が利用できなくてもせいぜい10~30万円の負担増になるだけです。