再就職手当とは?8つの条件クリアでお金がもらえる?税金は?

2024.10.07 更新
現在失業中で基本手当をもらっている人がすぐに再就職が決まったときにはお金がもらえます。この記事では再就職手当とは何か、どれくらいお金がもらえるかなどについてわかりやすく説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶再就職手当をもらうにはどうすればいい?
再就職手当をもらうには条件を8つクリアする必要がある。
※くわしくは下記で説明しています。


▶すぐにもらえるの?
申請してすぐにもらえるわけではない。
※くわしくは下記で説明しています。


▶月収30万のひとは再就職手当はいくらもらえる?
たとえば退職前の月収が約30万で、所定給付日数180日ある人が支給残日数120日を残して再就職が決まった場合は約50万円もらえる。
※くわしくは下記で説明しています。


▶再就職手当は収入になる?ならない?
再就職手当は非課税所得なので年収に含まないが、社会保険の扶養の年収算定には含むので注意。収入に含む場合と含まれない場合がある。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次
再就職手当ってなに?

再就職手当とは、再就職が早く決まったひとにお金を支給してくれる制度です。
※基本手当の受給手続きをしたひとが対象です。くわしい受給条件は下記で説明しています。

ハローワークで再就職が決まったことを報告するとお金が支給されます。
※支給される金額は基本手当がもらえる期間によって変わってきます。また、再就職手当をもらうには条件があります。

再就職手当をもらうための条件は?

再就職手当をもらうためには以下の8つの条件をすべて満たす必要があります。

基本手当(失業手当)がもらえる日数の残りが少ないと再就職手当がもらえないことを覚えておきましょう。

再就職手当がもらえないことは?
たとえば、基本手当の支給残日数が3分の1以上残っていなかったり、前の職場に再び就職した場合は再就職手当がもらえません。
※くわしくは下記の条件をチェック。
再就職手当を受けるための8つの条件

  1. 基本手当の受給手続き後、7日間の待期期間が終わった後に就職したものであること
  2. 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていること
  3. 離職した前の職場に再び就職したものではないこと
    また、離職した前の職場と資本や人事・取引面など密接な関わり合いがないところに就職したこと
  4. 給付制限がある方は、待期期間が終わった後の1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること
  5. 1年を超えて勤務することが確実であること
  6. 原則として雇用保険被保険者になっていること
  7. 過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
  8. 受給資格決定(求職申込み)前から採用が決まっていたところに雇用されたものではないこと

※出典:ハローワーク就職促進給付

失業保険をもらう前に再就職したときは注意?

失業保険(失業手当)の給付が始まる前に再就職しても手当をもらうことはできます。

ただし、上記の条件を見てわかるように、7日間の待期期間が終わる前に再就職が決まったときは再就職手当がもらえないことを覚えておきましょう。
また、給付制限がある方も再就職手当がもらえないことがあるので注意しましょう。

基本手当(失業保険)をもらう前に再就職が決まった方は上記の点に注意しましょう。

では次に、再就職手当は収入に含まれるのかについて下記で説明していきます。

再就職手当は収入に含まれる?扶養から外れる?

再就職手当や基本手当などといった「雇用保険の失業等給付」は、収入に含まない場合と収入に含む場合があります。

それぞれ分けて説明していきましょう。
※税法上の扶養と社会保険の扶養に分けて下記で説明していきます。

収入に含まない場合(扶養から外れない?)

雇用保険の失業等給付(再就職手当など)は非課税所得なので収入に含みません(つまり、所得にはなりません)。
※年収に含めないようにしましょう。
※雇用保険法第12条。


また、再就職手当が支給されたことで「扶養控除配偶者控除の対象から外れてしまい、親族の税金が増えてしまう」ようなこともありません。

※ただし、給料等をもらうようになり、合計所得が48万円を超えれば扶養親族の対象から外れます。
※配偶者の場合は合計所得が133万円を超えれば配偶者特別控除の対象外になります。




収入に含む場合(社会保険の扶養から外れてしまう?)

社会保険(健康保険や厚生年金)の扶養については上記と考え方が異なります。

社会保険の扶養の場合、雇用保険の失業等給付(再就職手当など)は収入に含まれる場合があります。したがって、扶養の条件「1年間の見込み収入130万円未満」を満たせなければ、社会保険の扶養から外れることになります。
※一時的な収入は含まないこともあります。くわしくは加入している保険組合にてご確認ください。

社会保険の扶養から外れれば、本人自身で国民健康保険などに加入して保険料を支払うことになります。

※被扶養者(扶養されている方)の収入には「雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金」も含まれます。
※参照:日本年金機構従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き

では次に、再就職手当を年末調整や確定申告で申告するのかについて下記で説明していきます。


再就職手当は年末調整や確定申告で申告する必要ない?

雇用保険の失業等給付(再就職手当など)は、税金がかけられない支給金なので収入に含みません。
※雇用保険法第12条。
※所得税も住民税もかかりません。
※ただし、社会保険の扶養の判定については収入に含まれます。くわしくは上記で説明しています。


したがって、年末調整確定申告で1年間(1月~12月まで)の収入や所得を申告するときに、再就職手当の金額は収入に含みません。
※つまり、再就職手当として受け取ったお金は年末調整や確定申告で申告しません。

再就職手当の金額を年収(収入)に含んで申告しないように気をつけましょう。

再就職手当などを80万もらったとしたら?

たとえば年収400万のひとが再就職手当や基本手当を計80万もらったとしても、80万円は非課税所得なので、あなたの所得税や住民税は年収400万をもとに計算されます。
年末調整や確定申告をするときに「年収480万円」で申告しないように気をつけましょう。
※税金や手取りは税金保険料シミュレーションで計算できます。


再就職手当の計算式は?

基本手当の支給残日数によってもらえる金額が異なります。計算式は以下のとおりです。

▶支給残日数を3分の2以上残して再就職したとき
基本手当日額 × 70% × 支給残日数 = 再就職手当の金額

▶支給残日数を3分の1以上残して再就職したとき
基本手当日額 × 60% × 支給残日数 = 再就職手当の金額

※金額には上限があります。
基本手当日額についてはこちらを参照。

※出典:ハローワーク就職促進給付
どれくらいの金額がもらえる?

再就職手当の金額は基本手当の支給残日数によって決まります。
※基本手当がもらえる残りの日数

以下にどれくらいの金額がもらえるのか例を示します。早めに再就職できる予定の方はチェックしておきましょう。

たとえばどれくらいの金額になる?①

たとえば基本手当日額5,950円、所定給付日数180日の人が支給残日数120日を残して再就職が決まった場合、再就職手当としてもらえる金額は以下のようになります。

5,950円基本手当日額 × 70% × 120日支給残日数 = 499,800円再就職手当
くわしい計算式は上記を参照。


※支給残日数が60日の場合は以下のようになります。
5,950円基本手当日額 × 60% × 60日支給残日数 = 214,200円再就職手当
くわしい計算式は上記を参照。

※上記は30歳以上45歳未満、月収30万、勤続年数7年の方が会社都合で離職したとき(特定理由退職者)

たとえばどれくらいの金額になる?②


たとえば基本手当日額5,950円、所定給付日数90日の人が支給残日数60日を残して再就職が決まった場合、再就職手当としてもらえる金額は以下のようになります。

5,950円基本手当日額 × 70% × 60日支給残日数 = 249,600円再就職手当
くわしい計算式は上記を参照。


※支給残日数が30日の場合は以下のようになります。
5,950円基本手当日額 × 60% × 30日支給残日数 = 107,100円再就職手当
くわしい計算式は上記を参照。

※上記は30歳以上45歳未満、月収30万、勤続年数7年の方が自己都合で離職したとき


再就職手当をもらうための手続きは?

ハローワークにて再就職が決まったことを申告すると再就職手当支給申請書が交付されます。

再就職先の証明をもらったうえで就職してから1か月以内に申請書をハローワークに提出しましょう(郵送可)。

申請してからどれくらいでもらえる?

ハローワークにて再就職手当支給の審査を行った上で支給の可否を判断するため、申請書を受理後、支給までには一定時間を要します(約1~2か月前後)。

すぐにもらえるわけではないので気をつけましょう。