親に扶養されているひとがブログで稼いだときの税金は?

2025.06.02 更新
親の扶養に入っている方がブログの広告収入などでお金を稼いだ場合、税金や扶養の範囲など気をつけることがいくつかあります。この記事ではブログ収入によって扶養がどうなるかについて説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶いくら稼ぐと親の扶養を外れるの?
合計所得が58万円を超えると扶養から外れて親の税金が上がる。
※くわしくは下記で説明しています。


▶扶養を外れると親の税金が増える?
合計所得が58万を超えて扶養から外れると親の税金は約5~17万円上がる。
※くわしくは下記で説明しています。


▶社会保険の扶養も外れるの?
収入130万円が社会保険の扶養のボーダーライン。
※くわしくは下記で説明しています。


▶確定申告ってしなきゃダメ?
ブログで利益があれば基本的には確定申告が必要。ただし、給与所得者はブログの利益(雑所得)が20万以下なら確定申告は不要。確定申告をしない場合は住民税の申告が必要になる。
※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次
ブログで稼いだけど親に扶養されている場合どうなるの?

親に扶養されている子供がブログでお金を稼いでいる場合に気になるのが扶養控除(税金が安くなる制度)社会保険の扶養です。

子供でもブログの広告収入などの利益がたくさんあれば扶養を外れることになります。
※扶養の対象から外れると親の税金が上がったり、自分で支払う保険料が発生したりします。


ブログの広告収入などでお金を稼ごうと考えている方は税金や確定申告などについて知っておくことをオススメします。

扶養でいられる金額のボーダーラインが違う

「社会保険の扶養」と「税金が安くなる扶養(扶養控除)」で金額のルールが違います。
それぞれ下記で説明していきます。

※ちなみに、社会保険の扶養は収入130万がボーダーライン。扶養控除については合計所得58万がボーダーラインです。

▶税金については?
ブログ収入がいくらまでなら税金が0円になるか等については下記の記事で解説しています。
ブログ収入はいくらから税金がかかる?確定申告は?学生も?


ブログ収入が58万円を超えると扶養から外れる?

ブログでお金をたくさん稼いで扶養から外れると、親が扶養控除(税金が安くなる制度)を利用できなくなります。そうなれば、親が支払う税金がふえてしまいます。


親が扶養控除を利用するには、子供の合計所得が1年間で58万以下でなければいけません。ブログの稼ぎがこの金額を超えてしまうと、親が扶養控除を利用できなくなります。
※2024年の税制では48万円でした(くわしくは2025年の税制を参照)。
※出典:国税庁扶養控除
※95万円を超えると所得税がかかり始めます。
※住民税は45万円を超えるとかかり始めます(市区町村によっては42万や38万を超えると住民税がかかる場合があります)。
くわしくはブログ収入はいくらから税金がかかる?を参照。



「合計所得58万円ってどういう意味?」という方のために以下でわかりやすく説明していきます。

ブログ収入で合計所得金額58万円とは?
たとえばあなたが1年間(1月~12月まで)にブログで稼いだ金額が58万円とすると、

58万円ブログ収入0円経費 = 58万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
※ブログ収入は雑所得としています。

となります。ブログ以外に収入が無いとすると、あなたの合計所得金額は

58万円雑所得 = 58万円合計所得金額
※合計所得金額については合計所得金額とは?を参照。

となります。この場合、1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が58万円以下なので、あなたは扶養控除の対象になります。つまり、ほかに収入がなければ58万円までならブログでお金を稼いだとしても親の扶養控除の対象になるということです。

しかし、ブログのほかにもバイト収入もある場合も多いでしょう。では、給料ももらっている場合について下記で説明していきます。




ブログのほかにアルバイトもしている場合は?
それぞれの所得を合計して計算

たとえばブログのほかにアルバイトもしており、1年間(1月~12月まで)の給料が100万円、ブログの収入が25万円の場合は扶養控除の対象になるのか見ていきましょう。

まず、給与所得は、

100万円給与収入65万円給与所得控除 = 35万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
こちらのシミュレーションで給与所得の計算ができます。
※2025年(1月~12月末まで)の収入については給与所得控除の最低保証額が10万円引き上げされます。

となります。

つづいて、ブログ収入が25万円なので雑所得は、

25万円ブログ収入0円経費 = 25万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
※ブログ収入は雑所得としています。

となります。

したがって、あなたの合計所得金額は、

35万円給与所得 + 25万円雑所得 = 60万円合計所得金額
※合計所得金額については合計所得金額とは?を参照。

となります。この場合、1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が58万円を超えてしまっているので、あなたは扶養控除の対象から外れてしまいます。したがって、あなたの親は扶養控除を利用できなくなるので税金の負担が増えてしまいます。

こんなページもみられています
ブログ収入はいくらから税金がかかる?扶養外れる?学生も?


親への影響は?扶養を外れたときの税金

あなたがブログでお金を稼ぎ、扶養から外れてしまい、親が扶養控除を利用できなくなってしまった場合、あなたの親の税金の負担は年間約5~17万円増えてしまうことになります。
※親の年収が250~850万円、子供が高校生~大学生としてシミュレーションした場合。


親に扶養されている子供の年齢によって、どれくらい税金の負担が増えてしまうか以下にシミュレーションしてまとめました。


扶養から外れたときにどれくらい税金が増えるかザッと把握しておきましょう。

扶養控除の対象外になった場合はどれくらい負担が増す?

 
▶16歳以上の子供が扶養から外れた場合
 

親族の年収 親族が支払う税金
年収250~400万円のとき 親族が支払う税金は約52,000円高くなります。
※所得税は19,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税は税金保険料シミュレーションで計算
年収500~600万円のとき 親族が支払う税金は約71,000円高くなります。
※所得税は38,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税は税金保険料シミュレーションで計算
年収700~850万円のとき 親族が支払う税金は約110,000円高くなります。
※所得税は76,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税は税金保険料シミュレーションで計算

※家族1人が扶養控除の対象外になった場合の1年間の金額。
※上記の表は親族(40歳以下・社会保険加入のサラリーマン)が扶養控除を利用できなくなった場合のシミュレーション。



▶19歳以上22歳以下の子供が扶養から外れた場合

※19歳~22歳の場合は少し特殊で、合計所得58万円を超えると扶養親族ではなくなりますが、合計所得85万以下までは控除額が同じになっています(くわしくは扶養親族と19歳~22歳の扶養控除の条件が変わった?を参照)。
※合計所得58万超えからは特定親族。

 

扶養親族の合計所得 あなたの年収300~400万円のとき あなたの年収570~640万円のとき あなたの年収760~850万円のとき
58万円以下 税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円

※合計所得58万以下は扶養親族の対象。58万超からは特定親族特別控除の対象。表を見てわかるように、合計所得85万以下(給与のみで年収150万以下)であれば親の税金は増えません。

85万円以下 税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
90万円以下 税金は約5,000円高くなります。
所得税1,000円
住民税4,000円
税金は約7,000円高くなります。
所得税3,000円
住民税4,000円
税金は約8,000円高くなります。
所得税4,000円
住民税4,000円
95万円以下 税金は約9,000円高くなります。
所得税5,000円
住民税4,000円
税金は約16,000円高くなります。
所得税12,000円
住民税4,000円
税金は約28,000円高くなります。
所得税24,000円
住民税4,000円
100万円以下 税金は約14,000円高くなります。
所得税10,000円
住民税4,000円
税金は約26,000円高くなります。
所得税22,000円
住民税4,000円
税金は約48,000円高くなります。
所得税44,000円
住民税4,000円
105万円以下 税金は約29,000円高くなります。
所得税15,000円
住民税14,000円
税金は約46,000円高くなります。
所得税32,000円
住民税14,000円
税金は約77,000円高くなります。
所得税63,000円
住民税14,000円
110万円以下 税金は約44,000円高くなります。
所得税20,000円
住民税24,000円
税金は約64,000円高くなります。
所得税42,000円
住民税24,000円
税金は約86,000円高くなります。
所得税84,000円
住民税24,000円
115万円以下 税金は約59,000円高くなります。
所得税25,000円
住民税34,000円
税金は約86,000円高くなります。
所得税52,000円
住民税34,000円
税金は約137,000円高くなります。
所得税104,000円
住民税34,000円
120万円以下 税金は約68,000円高くなります。
所得税29,000円
住民税39,000円
税金は約96,000円高くなります。
所得税57,000円
住民税39,000円
税金は約153,000円高くなります。
所得税114,000円
住民税39,000円
123万円以下 税金は約73,000円高くなります。
所得税31,000円
住民税42,000円
税金は約102,000円高くなります。
所得税60,000円
住民税42,000円
税金は約162,000円高くなります。
所得税120,000円
住民税42,000円
123万円超え 税金は約77,000円高くなります。
所得税32,000円
住民税45,000円
税金は約108,000円高くなります。
所得税63,000円
住民税45,000円
税金は約171,000円高くなります。
所得税126,000円
住民税45,000円

上記は1年間の金額です。子供1人が扶養を外れたときの年間額。
※税金は税金保険料シミュレーションで計算。
※個人事業主は個人事業主の税金シミュレーションで計算できます。上記の年収と結果が変わるので気をつけましょう。

上記の表を見てみると、たとえば親の年収が570万~640万円であり、19歳の子供の合計所得が95万円以下のとき、親の税金は年間約16,000円高くなります。


収入が130万円以上で社会保険の扶養から外れる?

あなたが親に扶養されており、あなたの収入が1年間で130万円以上になると社会保険の扶養から外れてしまいます
※ブログや給料等の収入の合計が1年間で130万以上。
※社会保険の扶養に加入している場合。


社会保険の扶養から外れると、自分で国民健康保険に加入して保険料を支払うことになります。


保険料は安い金額ではないので、自分で支払うことになる場合は覚悟しましょう。以下で保険料のシミュレーションをしています。
※すでに国民健康保険に加入している場合は下記のように保険料がかかります。

自分で支払う保険料はどれくらい?

ブログ収入が130万円の場合
たとえばブログ収入が1年間で130万円(経費0円)でそれ以外に収入がない場合、雑所得が130万になるので、国民健康保険料は年間で約15.7万円になります。
現在、社会保険の扶養になっており、国民健康保険の保険料を支払いたくない場合は1年間の収入を130万円未満にしておくことをオススメします。

※国民健康保険については国民健康保険とは?を参照。
※保険料は国民健康保険料シミュレーションで計算。
※東京都世田谷区、年齢39歳以下、加入者1人としてシミュレーションしています。


ブログ収入が200万円の場合

たとえばブログ収入が1年間で200万円(経費0円)でそれ以外に収入がない場合、雑所得が200万になるので、国民健康保険料は年間で約22.7万円になります。
※国民健康保険については国民健康保険とは?を参照。
※保険料はこちらのページでシミュレーションを行いました。
※東京都世田谷区、年齢39歳以下、加入者1人としてシミュレーションしています。

社会保険の扶養については下記の記事で説明しています。
社会保険の扶養とは?保険料が0円になる?収入などの条件は?


こんなページも見られています
扶養から外れるタイミングはいつ?
ブログ収入も確定申告する必要あるの?

ブログ収入があるときは基本的に確定申告をして所得の申告をすることになります。
※ただし、合計所得が95万円以下なら申告しても所得税は0円になります。


ですが、あなたがアルバイトをしながらブログ収入もある場合、1年間(1月~12月まで)のブログ収入がそれほど多くなければ確定申告をする必要がありません。
※確定申告をしない場合、住民税の申告が必要になります。

所得がブログの利益(雑所得)だけの場合

雑所得が1年間(1月~12月まで)で95万円以下なら所得税が0円となります。
基礎控除によって所得税が0円になるため。

所得税がかかる場合には確定申告をしなくてはいけません。

※出典:国税庁確定申告が必要な方
※ただし、無職の方は所得が0円でも確定申告をすることをオススメします。本人の所得が0円であることを役所で確認できれば保険料などが減額されるので、確定申告をして自分の所得を申告しておきましょう。確定申告のやり方は下記で説明しています。
※確定申告をしない場合、利益があれば住民税の申告が必要になります(確定申告をする場合は住民税の申告をする必要はありません)。




バイトしてるひとは20万円以下なら確定申告は不要なの?

あなたがアルバイトなどで給料をもらっている場合、ブログの稼ぎがあれば税金が加算されますが、給料をもらっているひとは雑所得(ブログの利益)が1年間(1月~12月まで)で20万円以下ならば確定申告をしなくてもいい決まりになっています。
※所得が給与所得と雑所得のみである場合。
※経費は0円としています。雑所得については雑所得とは?を参照。


確定申告をしない場合、雑所得が20万円以下でも住民税の申告が必要になります(確定申告をする場合は住民税の申告をする必要はありません)。確定申告はネットで簡単にできるので、下記を参考にサッと確定申告を終わらすことをオススメします。
※確定申告をする場合は、20万円以下だとしても雑所得の申告をしなければいけません。
※出典:国税庁確定申告を要しない場合の意義
※出典:国税庁給与所得者で確定申告が必要な人

確定申告のやりかた
確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日までに申告をしましょう。
※2025年は2月17日~3月17日(1月から提出も可能)。
※たとえば2024年1月~12月までの収入について確定申告するときは、2025年3月17日までに申告をしましょう。遅れても申告することはできますが、税金が加算される場合があります。


確定申告のながれ
STEP❶収入を記入するための明細書やマイナンバーカードなど必要なものを用意する

STEP❷確定申告書を作成する

STEP❸確定申告書を提出する(提出後、税金を支払うまたは払い戻される)

くわしいやり方や手順は下記の記事で説明しています。
雑所得(ブログ収入)があるひとの確定申告のやりかた


今は確定申告の申告書はネットでかんたんにつくれます。申告書が作成できるか不安な方は、まずはテキトーに金額を入力して確定申告書をためしに作成してみてもいいかもしれません。
※税務署に提出する申告書に正しい金額を入力すれば問題ないので、ためしに申告書を何枚も作ってみましょう。