退職したときにやることは?保険や年金などの手続きまとめ

2023.05.31 更新

退職や失業後に保険や年金の手続きは何をすればいいのか、退職したらやることは何なのかわからずに不安になる方は多いと思います。この記事では退職または失業したあとの税金や保険の手続き等について説明していきます。
この記事の目次
退職や失業したときにすることは?

会社員やフリーター・アルバイトなどの方が退職したときには保険や年金などの手続きをすることになります。
※勤務先の社会保険に加入している場合。


転職などですぐに別の会社に勤める場合は特に気にする必要はありませんが、退職後にゆっくりするつもりの方は手続きを忘れないようにしましょう。
※退職後、すぐに転職先に就職する場合は源泉徴収票や雇用保険証など指定されたものを提出すればいいだけです。
※iDeCoに加入している方は転職するときにも手続きが必要になるので注意しましょう。



何もわからないからといって、退職後に何もせずにそのままにしていると保険に未加入のままになってしまうので気をつけましょう。

この記事のポイント(要点まとめ)
  1. 国民年金と国民健康保険の手続きをする(退職したときに社会保険から抜けるため)。ただし、退職後すぐに転職する場合は必要ない。
    ※年金は下記で説明しています。
    ※健康保険は下記で説明しています。

  2. 健康保険の任意継続をする場合は手続きを忘れないようにする。任意継続にしたほうが退職後の保険料が安くなるときがある。
    ※くわしくは下記で説明しています。

  3. 雇用保険証などを退職する会社から受け取っておく。
    ※再就職などで必要になるため
    ※くわしくは下記で説明しています。

  4. iDeCoがある方は手続きを忘れずに。
    ※くわしくは下記で説明しています。


厚生年金から国民年金へ加入する手続き
退職したら国民年金への加入手続きをしましょう

会社を退職したら厚生年金から脱退して国民年金に加入することになります。
※ただし、配偶者の厚生年金の扶養に入る場合には国民年金への加入手続きは必要ありません。


退職後に何もせずにそのままにしていると年金に未加入のままになってしまうので気をつけましょう。年金に未加入のままでいると年金を受け取れないなどのデメリットがあるので気をつけましょう。
※デメリットについては下記の記事で説明しています。
年金を払わないで未納にしているとデメリットがある?


厚生年金から国民年金へ加入する手続き
厚生年金を脱退した後、国民年金へ加入する手続きに必要なものは以下のとおりです。


国民年金への加入手続きに必要なもの
●手続きをする方の本人確認ができるもの
※マイナンバーカード、運転免許証など
●基礎年金番号のわかるもの(年金手帳など)
●離職証明などの退職日のわかるもの

ただし、配偶者の厚生年金の扶養に入る場合には国民年金への加入手続きは必要ありません。


健康保険から国民健康保険へ加入する手続き
退職したら国民健康保険への加入手続きをしましょう

会社を退職したら健康保険から脱退して国民健康保険に加入することになります。
※ただし、親族などの社会保険の扶養に入る場合には国民健康保険への加入手続きは必要ありません。
※脱退したあと健康保険証は会社に返却しなければいけません。


退職後に何もせずにそのままにしていると医療保険に未加入のままになってしまうので気をつけましょう。

医療保険に未加入のままでいると病院代が高くなったり延滞金などのデメリットがあるので気をつけましょう。
※デメリットについては下記の記事で説明しています。
退職して国民健康保険に未加入だとどうなる?


健康保険から国民健康保険へ加入する手続き
健康保険を脱退した後、国民健康保険へ加入する手続きに必要なものは以下のとおりです。


国民健康保険への加入手続きに必要なもの

  • 世帯主と加入される方全員のマイナンバーが確認できるもの
    ※マイナンバーカードまたは通知カードなど
  • 手続きをする方の本人確認ができるもの(運転免許証など)、およびマイナンバーカードまたは通知カード
  • 保険料を振り込むための口座振替用のキャッシュカード
    ※市区町村によっては通帳と金融機関の届出印が必要です。
  • 職場の健康保険をやめた証明書(資格喪失証明書など)
    ※扶養家族がいない方は退職証明書や離職票などでも届出できます。
ただし、親族などの社会保険の扶養に入る場合には国民健康保険への加入手続きは必要ありません。
健康保険を任意継続する場合は?
退職後の保険料が安くなるときがある

退職後は健康保険を抜けて国民健康保険に加入することになります。ですが、退職したあとも勤務先の健康保険に加入することができます。これを健康保険の任意継続といいます。
※任意継続は保険料を期限までに納付することによって個人の希望で加入期間を継続する制度です。

任意継続をすることで保険料は全額負担になりますが、ひとによってはメリットがあります。保険料が安くなったり、加入している保険組合によっては「ほかの公的保険よりも病院代が安くなる」などの給付を退職後も引き続き受けることができます。
※退職する前にどっちが安くなるか比較して任意継続にするか国民健康保険に加入するか選択しましょう。

任意継続とは?メリットは?国保とどっちが高いか比較シミュレーション


退職時に会社から受けとっておくものは?
退職するときに離職票などの書類を受け取っておきましょう

会社をやめるときに会社から受けとっておくものは以下のとおりです。

保険の加入手続きや確定申告など各種手続きのために必要になるので捨てないようにしてください。

退職するつもりの方は忘れないようにチェックしておきましょう。

退職・失業したときに会社から受けとっておくもの
  • 離職票
    ※各種手続きや基本手当を受ける場合に必要になります。
    ※再就職の際に必要になる場合もあります。

  • 雇用保険被保険者証
    ※再就職先に提出することになります。
    ※会社が保管していなければ自分で保管しているはずなので確認しておきましょう。

  • 厚生年金手帳(2022年4月から年金手帳の発行はなくなります。かわりに基礎年金番号通知書が発行されます)
    ※再就職先に提出することになります。
    ※会社が保管していなければ自分で保管しているはずなので確認しておきましょう。

  • 源泉徴収票
    ※年内に再就職する場合は再就職先に提出することになります。
    ※しばらく再就職するつもりのない方は確定申告をするときに必要になります。年末調整をしていない人で税金を多く払い過ぎている場合に確定申告をすると納め過ぎた税金がキャッシュバックされる場合があります。くわしくは退職して年末調整を受けていないひとは確定申告するの?を参照。


会社に返却するものは?
今まで勤務先で加入していた健康保険証は使用できなくなるので必ず返却しましょう。そのほか大事な書類や名刺などをもっている場合は返却しましょう。


iDeCoに加入している方は変更手続きが必要?

iDeCoに加入している方は、退職後に手続きが必要になります。
※国民年金に係る被保険者種別の変更の手続き。

決められた書類に必要項目を記入し、運営管理機関に提出しましょう。
※書類はiDeCo公式サイトからダウンロードすることになります。

また、転職して引き続きiDeCoに加入する場合などでも手続きが必要になるので、iDeCoに加入している方は手続きを忘れないようにしましょう。
※参照:iDeCo公式サイト転職・退職された方へ


では次に、退職後に求職活動をするときに支給されるお金について下記で説明していきます。早めに手続きが必要になるのでチェックしておきましょう。


求職中にお金が欲しいときの手続きは?
再就職をするつもりの方はチェック

会社をやめて再就職先を探している間にお金を支給してくれる基本手当(失業手当)という制度があります。

基本手当をもらう条件はハローワークにて求職の申し込みをするなどの条件があります。
※支給期間は離職した日の翌日から最大1年間なので、再就職先が決まっておらず求職活動をするつもりの方は早めに手続きをしましょう。

基本手当(失業手当)を受けるために必要なものは以下のとおりです。

必要なもの

  • 離職票
    ※複数枚の離職票をお持ちの方は全て提出。離職票は勤務していた事業所から交付されます。
  • 個人番号確認書類
    ※マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票の写しのうち、いずれか1つ
  • 身元(実在)確認書類
    ※運転免許証、マイナンバーカード、写真付の身分証明書や資格証明書などのうち、いずれか1つ。
    ※上記の書類がない場合は、保険証、住民票の写し、児童扶養手当証書などのうち異なるものを2種類を用意する。コピー不可。
  • 写真2枚
    ※正面上半身の最近の写真。タテ3.0cm×ヨコ2.4cm
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
    ※一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可。

※参照:厚生労働省Q&A労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)
こんなページもみられています
退職して国民健康保険に未加入だとどうなる?保険料は?

退職理由が自己都合か会社都合で変わる?
最長でも360日

退職理由によって、失業保険(基本手当)がもらえる期間が変わります。
失業保険をもらえる日数は90日間~360日間となります。自己都合ですぐに退職してしまったときは失業保険(基本手当)がもらえません。くわしくは下記の記事で説明しているので気になる方はチェックしておきましょう。

基本手当とは?仕事(派遣等)をやめたら失業保険はいくら?



退職後に次の勤務先ですぐに働く場合は?
転職する場合は就職先に必要書類を提出すればいい

転職予定で、退職後に次の勤務先ですぐに働く場合は年金や保険などの手続きは必要ありません。
※社会保険が適用されている勤務先の場合。

前の勤務先を退職する際に会社から受けとった書類を転職先に提出すれば年金や保険等の手続きは完了します。

会社から受け取るものはすぐに捨てないように保管しておきましょう。
※退職のときに会社から受け取るものについては上記で説明しています。
※iDeCoに加入している方は転職するときにも手続きが必要になるので注意しましょう。


では次に、しばらく再就職するつもりがない場合について下記で説明していきます。退職時期によっては税金が戻ってくる場合もあるのでチェックしておきましょう。


しばらく再就職する気がない場合は?
退職後にしばらくゆっくりするつもりの場合、住民税の支払い方が変わったりする

会社をやめてしばらく再就職する気がないという方は、住民税支払い方法が変わります。

また、年内に再就職する気がない方は確定申告をすると納め過ぎた所得税が戻ってくる場合があります。

退職後の住民税の支払いはどうなる?


会社を退職すると、今まで給料から引き落とされていた住民税は自分で支払うことになります。
※お住まいの市区町村から送られてくる納付書によって納めることになります。

ただし、退職した時期によっては下記のように今年度ぶんの住民税が一括徴収される場合があります。



〇退職日が1月~4月末までの場合
退職月から5月分までの住民税が給与等から一括して徴収されます。足りない分は普通徴収で納付することになります。

〇退職日が6月~12月末まで場合
翌年5月までの住民税を一括徴収または普通徴収で納付することになります。本人の希望によってどちらかを選択することになります。普通徴収の場合は後日お住まいの地域から送られてくる納付書を用いて住民税を納めることになります。
住民税については、住民税とは?計算方法などを参照。

〇退職日が5月中の場合
通常通り、住民税は最後の給与から特別徴収(給料から天引き)されます。

年末調整をせずに退職したときは?
確定申告をしたほうがいい

年末調整をしないうちに会社をやめて、年内に再就職する気がない場合、翌年に確定申告をすることで納め過ぎた所得税がキャッシュバックされる場合があります。その際に源泉徴収票が必要になるので会社をやめるときにもらっておきましょう。くわしくは年末調整を受けないで退職したときは確定申告するの?で説明しています。
※源泉徴収票については源泉徴収票とは?を参照。


ここまでのまとめ

退職や失業したときにやることがわからず不安になる方は多いと思います。

退職するときは下記のまとめを覚えておけば慌てることはありません。

手続きまとめ

年金と保険の手続き
・厚生年金から脱退したあとの手続き
※くわしくは上記で説明しています。

・健康保険から脱退したあとの手続き

※くわしくは上記で説明しています。

会社から受けとっておくもの
・離職票
・厚生年金手帳
・雇用保険被保険者証
・源泉徴収票

※くわしくは上記で説明しています。

iDeCoに加入している方
・退職後の手続きを忘れずに。
※くわしくは上記で説明しています。

求職中にお金がほしいとき
・ハローワークにて基本手当の手続き
※くわしくは上記で説明しています。

しばらく再就職する気がない場合
・住民税の支払い方法が変わる
・確定申告により税金がキャッシュバックされる場合がある

※くわしくは上記で説明しています。

必要なひとは「基本手当(失業手当)の手続き」と「確定申告によるキャッシュバック」をしましょう。