退職後、無職でも住民税は高い?安くなるのは2年目から?

2022.09.02 更新
アルバイトの方や会社員などが会社を退職して収入が無くなったとき、住民税(市民税や県民税など)はどれくらいになるの?と不安に思うひとは多くいるでしょう。この記事では退職後の住民税について説明していきます。
この記事の目次
退職後、収入が無くても最初の年の住民税は高い?

会社員やアルバイトなどが退職して収入が無くなり、今年1月~12月までの収入が0円だとすると、今年の所得税は0円になります。


ですが、住民税については退職後に収入が0円だとしても最初の年は課税されます。
※住民税とは市民税や県民税のこと(東京都23区では区民税や都民税)。


なぜかというと、住民税は前年1月~12月までの所得によって決定するためです。したがって、現在働いておらず、収入が無い場合でも退職して最初の年の住民税は安くないことが多いです。
下記で住民税のシミュレーションをしているので、仕事をやめた後の住民税がいくらになるかザッと把握しておきましょう。

この記事の要点

  • 退職後、最初の年は住民税がそれなりの金額になる。
    ※くわしくは下記で説明しています。

  • 住民税は去年の所得で決まる。

  • 去年の所得が少なければ住民税は0円になる。
    ※くわしくは下記で説明しています。

  • 退職後の保険料も最初の年はそれなりの金額になる。
    ※くわしくは下記で説明しています。

では最初に、無職でも住民税が課税される理由について下記で説明していきます。金額をあてはめてシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。


無職でも最初の年の住民税が高いのはなぜ?
住民税は去年の所得で決まる

住民税前年1月~12月までの所得によって決まります。
※所得については所得ってなに?を参照。


したがって、会社員などとして去年1月~12月にお金を稼いでいれば今年の住民税はそれなりの金額になります。

※たとえば定年退職後に収入が0円になっても、去年1月~12月にお金を稼いでいれば住民税はかかります。
※住民税が高くて払えない…とならないように、ある程度のお金を退職後に用意しておきましょう。



たとえば40歳未満・独身・東京都世田谷区に住んでいる方が2021年3月に退職した場合、去年(2020年1月~12月まで)の給料が400万円だとすると、今年度(6月~翌年5月まで)の住民税は約179,000円になります。


では次に、退職した初年度~翌々年の住民税がどれくらいになるか説明していきます。退職予定の方はチェックしておきましょう。

3月末に退職したときの住民税シミュレーション

住民税は前年1月~12月の所得をもとに今年度の税額が計算されます。


以下に退職した初年度の住民税、退職した翌年度の住民税、退職した翌々年度の住民税をシミュレーションしました。

3月末に退職したときの住民税
退職前の年収が500万円(月収約42万円)とした場合のシミュレーションです。
※住民税は6月から翌年5月までの合計が1年分となります。


初年度の住民税
1年間で約247,000円
※計算過程は下記で説明しています。

翌年度の住民税
1年間で5,000円
※計算過程は下記で説明しています。

翌々年度の住民税
1年間で0円
※計算過程は下記で説明しています。

※計算過程は以下で説明しています。

それぞれの住民税の計算は以下のように行いました。退職予定のサラリーマンなどはチェックしておきましょう。

退職した初年度の住民税(1年目)

たとえば2021年3月31日に退職し、4月1日から収入が0円になった場合。

①まず給与所得を計算
前年(2020年)1月~12月までの給与収入が500万円だったとすると、給与所得は

500万円給与収入144万円給与所得控除 = 356万円給与所得
給与所得控除についてはこちらを参照

となります。

給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。



②次に課税所得の計算
総所得金額(356万円)が計算できたので次に課税所得を計算します。課税所得は、

356万円総所得金額所得控除しょとくこうじょ = 課税所得

総所得金額とは:各所得の合計(一部所得は除く)。
所得控除とは:税の負担を軽くするもの。

となります。所得控除を114万円とすると、

356万円総所得金額114万円所得控除 = 242万円課税所得

課税所得については課税所得とは?を参照。
所得控除についてはこちらを参照。

となります。

③住民税を計算
課税所得がわかったので、住民税を計算します。住民税の計算式は、

所得割 + 均等割 = 住民税

なので、まず所得割を求めます。

所得割は、

所得割 = 課税所得 × 10%

なので、課税所得の242万円をあてはめると、所得割は、

242万円 × 10% = 242,000円所得割
住民税率は全国一律10%です。

となります。

均等割は定額で5000円なので、住民税は、

242,000円所得割 + 5,000円均等割 = 247,000円住民税
※世田谷区・独身・40歳未満の会社員として計算。
※おおよその金額です。

となります。

以下のページで税金や保険料がいくらになるかシミュレーションすることができます。

手取りと税金をパッと計算!かんたんシミュレーション

では次に、退職して2年目の住民税について下記で説明していきます。




退職した翌年度の住民税(2年目)

たとえば年収500万円(月収約42万円)のサラリーマンが2021年3月31日に退職し、4月1日から収入が0円になった場合。

翌年(2022年)の住民税は今年(2021年)1月~12月までの所得をもとに決定されます。

今年3月31日に退職しており、4月からは収入0円なので、今年1月~12月までの給与収入が126万円(月収42万円 × 3)だったとすると、翌年の住民税は5,000円となります。
つまり、収入が0円なら、退職してから2年目の住民税は5,000円になります。
※今年4月までの社会保険料が約18万円、今年4月から国民年金と国民健康保険に加入し、12月までの保険料が合計約41万円となるので、社会保険料控除が合計約59万円となります。したがって、給与収入126万円(給与所得71万円)から所得控除(基礎控除48万円 + 社会保険料控除59万円)を差し引くと、課税所得は0円になります。したがって、所得割は0円なので、均等割の5,000円だけ課税されることになります。
※世田谷区・独身・40歳未満のサラリーマンとして計算。住民税の計算方法は住民税とは?を参照。

では次に、退職して3年目の住民税について下記で説明していきます。




退職した翌々年度の住民税(3年目)

たとえば年収500万円(月収約42万円)のサラリーマンが2021年3月31日に退職し、4月1日から収入が0円になった場合。

翌々年(2023年)の住民税は前年(2022年)1月~12月までの所得をもとに決定されます。

2021年3月31日に退職しており、2021年4月からは収入0円なので、2022年の収入は0円となります。したがって、翌々年の住民税は0円となります。
つまり、収入が0円なら、退職してから3年目の住民税は0円になります。



所得が少ないひとは住民税が0円?
所得が少ないひとは住民税の均等割が課税されません。たとえば無職で今年度の収入が0円(所得が無い)場合、翌年の住民税は0円となります。
※1年間の合計所得が45万円以下の方(お住まいの地域によっては42万円以下などの場合があります)。

くわしくは下記の記事で説明しています。
住民税がかからない?いくらからかかる?住民税が0円になるとき

では次に、年度の途中で退職したときの住民税について下記で説明していきます。具体的に金額をあてはめてシミュレーションしているので退職予定の方は住民税がいくらになるかチェックしておきましょう。


年度の途中で退職したときの住民税シミュレーション

住民税は前年1月~12月の所得をもとに今年度の税額が計算されます。


以下に年度の途中(10月末)で退職したときの住民税をシミュレーションしました。


退職した初年度の住民税、退職した翌年度の住民税、退職した翌々年度の住民税をそれぞれシミュレーションしています。

10月末で退職したときの住民税
退職前の年収が500万円(月収約42万円)とした場合のシミュレーションです。
※住民税は6月から翌年5月までの合計が1年分となります。


初年度の住民税
1年間で約144,000円
※10月に退職後、今年11月~翌年5月までの住民税。

翌年度の住民税
1年間で約192,000円
※退職後、翌年6月から翌々年5月までの住民税。

翌々年度の住民税
1年間で0円

※計算過程は以下で説明しています。

それぞれの住民税の計算は以下のように行いました。退職予定のサラリーマンなどはチェックしておきましょう。

退職した初年度の住民税(1年目)

たとえば年収500万円(月収約42万円)のサラリーマンが2021年10月末に退職し、11月から収入が0円になった場合。

今年度(6月から翌年5月まで)の住民税は前年1月~12月までの所得によって決まります。

前年1月~12月までの収入が500万円の場合、今年度の住民税は約247,000円となります。

したがって10月末に退職後の住民税は、2021年11月~翌年5月までの7カ月分の約14万円を支払うことになります。

※住民税は6月から翌年5月までの合計が1年分となります。

247,000円1年間の住民税 ÷ 12 × 7カ月分 = 約144,000円11月~翌年5月の住民税
※世田谷区・独身・40歳未満のサラリーマンとして計算。
※おおよその金額です。

では次に、退職して2年目の住民税について下記で説明していきます。




退職した翌年度の住民税(2年目)

たとえば年収500万円(月収約42万円)のサラリーマンが2021年10月末に退職し、11月から収入が0円になった場合。

翌年(2022年)の住民税は今年(2021年)1月~12月までの所得をもとに決定されます。

今年(2021年)10月末に退職しており、11月からは収入0円なので、今年1月~12月までの給与収入が420万円(月収42万円 × 10)だったとすると、翌年の住民税は192,000円となります。

※世田谷区・独身・40歳未満のサラリーマンとして計算。

では次に、退職して3年目の住民税について下記で説明していきます。



退職した翌々年度の住民税(3年目)

たとえば年収500万円(月収約42万円)のサラリーマンが2021年10月末に退職し、11月から収入が0円になった場合。

翌々年(2023年)の住民税は前年(2022年)1月~12月までの所得をもとに決定されます。

2021年10月末に退職しており、2021年11月から収入0円なので、2022年1月~12月までの収入は0円となります。したがって、翌々年の住民税は0円となります。


※所得が少ないひとは住民税の均等割が課税されません。たとえば無職で今年度の収入が0円(所得が無い)場合、翌年の住民税は0円となります。くわしくは住民税がかからない?住民税が0円になるときで説明しています。

では次に、以前から収入が少ない場合の住民税について下記で説明していきます。

以前から収入が少ない場合は住民税はかからない?

以前からずっと収入が少ないまたは0円の場合は住民税も所得税も0円になります。

したがって、収入が0円で働いていないひとは税金が0円になります。
※住民税がかかるときは市区町村から納付書が届きます(普通徴収)。

住民税は前年の所得で決定するため、ずっと収入が0円だとすると1年間の住民税は0円になります。

ちなみに、アルバイトやパートなどをして収入があっても今年1年間(1月~12月まで)の合計所得が45万円以下なら翌年の住民税は0円になります。

※市区町村によっては42万円や38万円の場合があります。
住民税が0円になる条件は下記の記事で説明しています。
住民税がかからない?住民税が0円になるとき

では次に、失業したときにもらえるお金(基本手当)について下記で説明していきます。

失業したときは失業保険がもらえる?

失業などで職を失ったときは、雇用保険から「基本手当(失業保険)」としてお金が支給されます。

ただし、お金が支給されるのは失業してから1年までです。


また、基本手当を支給してもらうにはハローワークで手続きをし、再就職の活動をしていることが条件となります。

就職活動をしているあいだのお金を確保したい場合はかならず手続きをしましょう。

くわしくは下記の記事で説明しています。
基本手当とは?仕事(派遣等)をやめたら失業保険はいくら?

では最後に、ここまでのまとめを下記で説明していきます。退職後の保険料にも気をつけましょう。


まとめ:退職後の保険料にも気をつけよう

ここまで説明したように、退職してすぐの住民税はそれなりの金額になります。住民税が安くなるのは収入が無くなって2年目からです。

退職後に収入が0円だからといって初年度の住民税も安くなると思っているサラリーマンなどの方はしっかり覚えておきましょう。

ここまでのまとめ

  • 退職後、収入が0円でも初年度の住民税はそれなりの金額になる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 住民税は前年1月~12月までの所得によって決まる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 以前から無職で収入が少なければ住民税は0円になる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 退職した初年度、翌年度、翌々年度で住民税が変わる
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 1年間の所得が少ないと住民税が0円になる。たとえば、今年1月~12月まで所得が少なければ住民税は課税されない。
    ※くわしくは上記で説明しています。
退職後の保険料にも気をつけよう

退職後に収入が無くなったとしても、国民健康保険に加入しなければいけないので保険料を支払わなければいけません。
※親族の扶養に入る場合は除きます。

ただし、国保の保険料は「前年の所得」によって決定されるので、現在収入が0円だとしても最初の年は保険料がそれなりの金額になることを覚悟しておきましょう。

くわしくは下記の記事で説明しています。

退職後の国民健康保険料はいくら?退職して1年目は高い?