仮想通貨で稼いだけど親に扶養されている…どうなる?

2025.05.16 更新
親の扶養に入りながらビットコインなどで稼いでいる方もいると思います。この記事では仮想通貨の利益によって子供の扶養がどうなるかについて説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)
  • 48万円を超えると扶養から外れてしまう。
    ※くわしくは下記で説明しています。

  • 扶養から外れると親の税金は約5万円~17万円上がる。
    ※くわしくは下記で説明しています。

  • 給料をもらっている場合は20万円以下なら確定申告しなくてもいい。ただし、確定申告をしない場合は住民税の申請が必要になる。
    ※くわしくは下記で説明しています。


この記事の目次

仮想通貨の利益が58万を超えると扶養から外れる?
仮想通貨の利益が58万円以下なら扶養から外れない

親の扶養親族でいるには、子供の合計所得が1年間で58万円以下でなければいけません。
※社会保険の扶養とは別です。社会保険の扶養については下記で説明しています。


つまり、子供の仮想通貨による利益(雑所得)が58万円を超えてしまうと扶養親族の対象から外れてしまい、親が扶養控除が利用できなくなります。
※収入が仮想通貨だけの場合。
※2024年の税制では48万円でした(くわしくは2025年の税制を参照)。
扶養控除とは、扶養親族がいると税金が安くなる制度です。



「合計所得58万円ってなに?ビットコインの利益がいくらまで扶養でいられるの?」という方のために以下でわかりやすく説明していきます。

仮想通貨の稼ぎで合計所得金額58万円とは?

たとえばあなたが1年間(1月~12月まで)にビットコインで稼いだ金額が58万円とすると、

58万円仮想通貨の収入0円経費 = 58万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
※仮想通貨の利益は雑所得になります。

となります。仮想通貨以外に収入が無いとすると、あなたの合計所得金額は

58万円雑所得 = 58万円合計所得金額
※合計所得金額については合計所得金額とは?を参照。

となります。この場合、合計所得が58万以下なのであなたは扶養親族の対象になります。

つまり、ほかに収入がなければ58万円まで仮想通貨でお金を稼いだとしても、あなたは扶養親族の対象から外れないので、親の扶養控除の対象になるということです。ただし、仮想通貨の収入が58万円を超えてしまうと扶養から外れて親の税金が上がってしまうので気をつけましょう。

※2025年の年間収入(1月~12月まで)については2025年の税制が適用されます(扶養親族の所得要件が48万円から58万円に引き上げ)。

いくらから税金がかかるか等については下記の記事を参照。
ビットコインなどの仮想通貨の税金はいくらから?計算方法は?


仮想通貨のほかにアルバイトもしている場合は?

ビットコインなどの仮想通貨のほかアルバイトもしている場合、少し計算がややこしくなります。


親の扶養親族でいるには、子供の合計所得が1年間で58万円以下でなければいけません。
※2024年の税制では48万円でした(くわしくは2025年の税制を参照)。

つまり、合計所得が58万円を超えると扶養から外れてしまい、親が扶養控除を利用することができなくなってしまいます。
扶養控除とは、扶養している親族がいると税金が安くなる制度です。


仮想通貨とアルバイト収入がある場合の計算がわからない方のために、下記で具体的に金額をあてはめてシミュレーションしています。
※仮想通貨の利益(雑所得)と給与所得を合計した金額で扶養親族の対象になれるか判定をすることになります。

仮想通貨のほかにアルバイトもしている場合は?

たとえば仮想通貨のほかにアルバイトもしており、1年間(1月~12月まで)の給料が90万円、仮想通貨の利益が45万円(雑所得)の場合、扶養控除の対象になるのか見ていきましょう。

まず、あなたの給与所得は、

90万円給与収入65万円給与所得控除 = 25万円給与所得
※給与所得控除については給与所得控除とは?を参照。
こちらのシミュレーションで給与所得の計算ができます。
※2025年(1月~12月末まで)の収入については給与所得控除の最低保証額が10万円引き上げされました。

となります。

つづいて、雑所得は、

45万円仮想通貨の収入0円経費 = 45万円雑所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
※仮想通貨の利益は雑所得になります。

となります。

したがって、あなたの合計所得金額は、

25万円給与所得 + 45万円雑所得 = 70万円合計所得金額
※合計所得金額については合計所得金額とは?を参照。

となります。この場合、あなたの合計所得が58万円を超えてしまっているので、あなたは扶養親族の対象から外れてしまいます。

したがって、あなたの親は扶養控除を利用できなくなるので税金の負担が増えてしまいます。もし、上記の合計所得金額が58万円以下ならあなたは扶養親族の対象になるので、親の税金は上がりません。

※2025年の年間収入(1月~12月まで)については2025年の税制が適用されます(扶養親族の所得要件が48万円から58万円に引き上げ)。

いくらから税金がかかるか等については下記の記事を参照。
ビットコインなどの仮想通貨の税金はいくらから?計算方法は?

では次に、扶養を外れると親の税金はいくら増えるのかについて下記で説明していきます。扶養を外れた影響を知っておきましょう。

扶養控除の対象から外れると親の負担はいくら増す?

あなたがビットコインなどの仮想通貨でお金を稼ぎ、扶養控除の対象から外れてしまった場合、あなたの親の税金の負担は年間約5~17万円増えてしまうことになります。
※親の年収が250~850万円、子供が高校生~大学生としてシミュレーションした場合。


親に扶養されている子供の年齢によってどれくらい税金の負担が増えてしまうかについては以下にシミュレーションしてまとめました。

扶養控除の対象外になったときの親の負担額シミュレーション

※あなたの父親または母親が(40歳以下・社会保険加入の会社員)が扶養控除を利用できなくなった場合のシミュレーション。

16歳以上の子供が扶養から外れた場合

親族の年収 親族が支払う税金
年収250~400万円のとき 親族が支払う税金は約52,000円高くなります。
※所得税は19,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税はこちらで計算
年収500~600万円のとき 親族が支払う税金は約71,000円高くなります。
※所得税は38,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税はこちらで計算
年収700~850万円のとき 親族が支払う税金は約110,000円高くなります。
※所得税は76,000円、住民税は33,000円

※所得税と住民税はこちらで計算



19歳以上22歳以下の子供が扶養から外れた場合
※19歳~22歳の場合は少し特殊で、合計所得58万円を超えると扶養親族ではなくなりますが、合計所得85万以下までは控除額が同じになっています(くわしくは扶養親族と19歳~22歳の扶養控除の条件が変わった?を参照)。
※合計所得58万超えからは特定親族。

 

扶養親族の合計所得 あなたの年収300~400万円のとき あなたの年収570~640万円のとき あなたの年収760~850万円のとき
58万円以下 税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円

※合計所得58万以下は扶養親族の対象。58万超からは特定親族特別控除の対象。表を見てわかるように、合計所得85万以下であれば親の税金は増えません。

85万円以下 税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
税金は0円高くなります。
所得税0円
住民税0円
90万円以下 税金は約5,000円高くなります。
所得税1,000円
住民税4,000円
税金は約7,000円高くなります。
所得税3,000円
住民税4,000円
税金は約8,000円高くなります。
所得税4,000円
住民税4,000円
95万円以下 税金は約9,000円高くなります。
所得税5,000円
住民税4,000円
税金は約16,000円高くなります。
所得税12,000円
住民税4,000円
税金は約28,000円高くなります。
所得税24,000円
住民税4,000円
100万円以下 税金は約14,000円高くなります。
所得税10,000円
住民税4,000円
税金は約26,000円高くなります。
所得税22,000円
住民税4,000円
税金は約48,000円高くなります。
所得税44,000円
住民税4,000円
105万円以下 税金は約29,000円高くなります。
所得税15,000円
住民税14,000円
税金は約46,000円高くなります。
所得税32,000円
住民税14,000円
税金は約77,000円高くなります。
所得税63,000円
住民税14,000円
110万円以下 税金は約44,000円高くなります。
所得税20,000円
住民税24,000円
税金は約64,000円高くなります。
所得税42,000円
住民税24,000円
税金は約86,000円高くなります。
所得税84,000円
住民税24,000円
115万円以下 税金は約59,000円高くなります。
所得税25,000円
住民税34,000円
税金は約86,000円高くなります。
所得税52,000円
住民税34,000円
税金は約137,000円高くなります。
所得税104,000円
住民税34,000円
120万円以下 税金は約68,000円高くなります。
所得税29,000円
住民税39,000円
税金は約96,000円高くなります。
所得税57,000円
住民税39,000円
税金は約153,000円高くなります。
所得税114,000円
住民税39,000円
123万円以下 税金は約73,000円高くなります。
所得税31,000円
住民税42,000円
税金は約102,000円高くなります。
所得税60,000円
住民税42,000円
税金は約162,000円高くなります。
所得税120,000円
住民税42,000円
123万円超え 税金は約77,000円高くなります。
所得税32,000円
住民税45,000円
税金は約108,000円高くなります。
所得税63,000円
住民税45,000円
税金は約171,000円高くなります。
所得税126,000円
住民税45,000円

※扶養控除の対象となる家族1人あたりの年間額。
※上記の表はあなたの父親または母親が(40歳以下・社会保険加入の会社員)が扶養控除を利用できなくなった場合のシミュレーション。

※税金は税金保険料シミュレーションで計算。

上記の表を見てみると、たとえばあなたの年収が570万~640万円であり、19歳の子供の合計所得が95万円以下のとき、あなたの税金は年間約16,000円高くなります。

では次に、社会保険の扶養はいくらから外れるのかについて下記で説明していきます。扶養にも違いがあります。

収入が130万円以上で社会保険の扶養から外れる?

あなたが親に扶養されており、あなたの収入が1年間で130万円以上になると社会保険の扶養から外れてしまいます

※あなたの親が社会保険に加入している場合に限ります。
※仮想通貨や給料等の収入の合計が130万円以上。ただし、定期的・継続的な収入(頻繁な売買やアルバイトの給料など)じゃなければ一時的な収入とみなされ、社会保険の扶養から外れない場合があります。くわしくは加入している保険組合にてご確認ください。


社会保険の扶養から外れると、自分で国民健康保険に加入して保険料を支払うことになります。

自分で支払う保険料はどれくらい?

仮想通貨収入が130万円の場合
たとえば仮想通貨の利益(雑所得)が1年間で130万円でそれ以外に収入がない場合、国民健康保険料は年間で約15.5万円になります。
現在、社会保険の扶養になっており、国民健康保険の保険料を支払いたくない場合は1年間の収入を130万円未満にしておくことをオススメします。

※40歳以上なら年間で約19.1万円。
※経費は0円としています。
※国民健康保険については国民健康保険とは?を参照。
※保険料はこちらのページでシミュレーションを行いました。
※東京都世田谷区、年齢39歳以下、加入者1人としてシミュレーションしています。


仮想通貨収入が150万円のとき

たとえば仮想通貨の利益(雑所得)が去年1年間(1月~12月まで)で150万円でそれ以外に収入がない場合、国民健康保険料は年間で約17.5万円になります。
※40歳以上なら年間で約21.6万円。
※経費は0円としています。
※国民健康保険については国民健康保険とは?を参照。
※保険料はこちらのページでシミュレーションを行いました。
※東京都世田谷区、年齢39歳以下、加入者1人としてシミュレーションしています。

では次に、仮想通貨の利益があるときの確定申告について下記で説明していきます。基本的には確定申告が必要です。

確定申告をする必要は?

ビットコインなどの仮想通貨の利益があったとき、基本的には確定申告をして所得の申告をすることになります。


ただし、あなたがアルバイトをしながら仮想通貨の利益もある場合、仮想通貨の利益が1年間で20万円以下なら確定申告をする必要がありません。
※ただし、住民税の申告が必要になる場合があります。くわしくは下記のとおりです。

無職の場合
無職で収入がビットコインなどの仮想通貨だけのとき、雑所得(仮想通貨の利益)が1年間で48万を超えるなら確定申告をしなくてはいけません。


※出典:国税庁確定申告が必要な方

ただし、雑所得が48万円以下でも確定申告をしない場合は住民税の申告が必要になります(確定申告をした場合、住民税の申告は必要ありません)。
※ただし、無職の方は所得が0円でも確定申告(または住民税の申告)をすることをオススメします。本人の所得が0円であることを役所で確認できれば保険料などが減額されるので、確定申告をして自分の所得を申告しておきましょう(確定申告はネットで作成できるので簡単でおすすめです)。確定申告のやり方は下記で説明しています。

20万円以下なら確定申告は不要?
確定申告しないなら住民税の申告が必要になっちゃう

あなたがアルバイトなどで給料をもらっている場合、仮想通貨の利益があれば税金が加算されます。ただし、給料をもらっているひとは雑所得(仮想通貨の利益)が1年間(1月~12月まで)で20万円以下ならば確定申告をしなくてもいい決まりになっています。
※給与所得と雑所得のほかに所得が無い場合。
※経費は0円としています。雑所得については雑所得とは?を参照。


確定申告をしない場合、雑所得(仮想通貨の利益)が20万円以下でも住民税の申告が必要になります(確定申告をした場合、住民税の申告は必要ありません)。確定申告はネットで簡単に作成できるので、確定申告をすることをオススメします。確定申告のやり方は下記で説明しています。
※確定申告をする場合は、20万円以下だとしても雑所得の申告をしなければいけません。
※出典:国税庁確定申告を要しない場合の意義
※参照:国税庁給与所得者で確定申告が必要な人

確定申告のやりかたは?
※下記は確定申告の入力ページの一部です

確定申告のながれ
STEP➊マイナンバーカードなど必要なものを用意する

STEP➋確定申告書を作成する

STEP➌確定申告書を提出する(提出後、税金を支払うまたは払い戻される)

※くわしい手順は下記の記事でわかりやすく説明しています。
※2024年(1月~12月まで)の収入についての確定申告書(令和6年分)は2025年1月以降に作成できます。作成したら提出しましょう。

もしも確定申告をするのが不安な場合は、ためしにテキトーに金額を入力して申告書のつくりかたを練習してみてもいいかもしれません。
※作成した申告書を税務署に提出しなければ問題ないので、上記のページを参考に申告書をためしに作成してみましょう。

ここまで説明したように、親に扶養されている子供がビットコインなどの仮想通貨でお金を稼ぐ場合は扶養のボーダーラインに注意しなければいけません。
扶養から外れれば親の税金が増えたり、自分で保険料を支払うことになることを覚えておきましょう。

仮想通貨の税金はどれくらい?利益10~1,000万円で計算