寡婦控除とは?いくら税金が安くなる?わかりやすく解説

2022.09.10 更新

夫と離婚または死別した方の税金を安くしてくれる寡婦控除。この記事では寡婦控除とは何か、どれくらい税金が安くなるか等を説明していきます。
この記事の目次
寡婦控除とは?(この記事の要点)

寡婦控除かふこうじょとは、簡単に説明すると夫と離婚または死別した方の税金の負担を軽くしてくれる制度です。
※夫とは民法上の婚姻関係にある者をいいます。参照:国税庁寡婦控除
※事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいる場合は寡婦控除の対象となりません。



シングルマザーなどの「ひとり親」については2020年から新設されたひとり親控除が適用されます。
※寡婦控除とひとり親控除を併用することはできません。


寡婦控除を利用する方は所得税や住民税がどれくらい安くなるか、利用するための条件等についてチェックしておくことをオススメします。

この記事の要点

  • 寡婦控除は夫と離婚または死別した方が対象。

  • 寡婦控除で約4万円~7万円安くなる場合が多い。

  • 事実婚は寡婦控除の対象にならない。

  • 寡婦控除を利用するには申請が必要。

では最初に、寡婦にあてはまる条件について下記で説明していきます。寡婦控除が適用するには「寡婦」にあてはまる必要があります。


寡婦になる条件は?

寡婦とは、以下に示す条件の①②どちらかにあてはまる方をいいます。

以下にあてはまる方は寡婦控除を利用することができます。寡婦控除を利用しようとしている方はチェックしておきましょう。

条件を見てわかるように、合計所得500万円以下までが寡婦の対象です。

寡婦になる条件

出典:国税庁寡婦控除

寡婦になる条件
寡婦になる条件

※夫とは民法上の婚姻関係にある者をいいます。
※事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいる場合は寡婦控除の対象となりません。


たとえば夫と死別した妻の場合は?
夫と死別した妻の場合は「1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が500万円以下である」ときに寡婦控除を利用することができます。扶養親族がいなくても寡婦になります。
※あなたの収入が給料のみだとすると、年収約670万円以下なら合計所得が500万円以下になります。


たとえば夫と離婚した妻の場合は?
夫と離婚した妻の場合は「扶養親族がいる」かつ「1年間(1月~12月まで)の合計所得金額が500万円以下である」ときに寡婦控除を利用することができます。
ちなみに、子供を扶養しているときはひとり親控除が適用されます。

※あなたの収入が給料のみだとすると、年収約670万円以下なら合計所得が500万円以下になります。稼ぎがいくらまで寡婦の対象になるか不安な方は覚えておきましょう。
※寡婦控除とひとり親控除を併用することはできません。
※ひとり親控除を利用する際、子供の年齢に制限はありません。

では次に、ひとり親と寡婦の違いについて下記で説明していきます。今まで寡夫や特別寡婦だった方についても説明していきます。


ひとり親と寡婦の違いは?寡夫や特別寡婦は?
寡婦とひとり親の違い、特別寡婦や寡夫の違い

今まで寡婦(寡夫)控除には「ひとり親」も含まれていましたが、2020年の税制から「ひとり親控除」が新設されました。


ひとり親控除とは、配偶者と離婚または死別しており、子供を扶養している方の税金を安くしてくれる制度です。


これまで「寡夫」や「特別の寡婦」は寡婦控除の対象でしたが、これらはまとめて「ひとり親」として分類されました。

ひとり親と寡婦の違いは?

ひとり親と寡婦の違いはそれぞれ以下のとおりです。ごちゃごちゃにしないように気をつけましょう。

寡婦とは
寡婦とは、夫と離婚または死別し、扶養親族がおり、合計所得500万円以下の方。
※死別の場合は、扶養親族がいなくてもよい。
※くわしい条件は上記で説明しています。



特別の寡婦とは
特別の寡婦とは、夫と離婚または死別し、生計を一にする子供をもつ、合計所得が500万円以下の方。
※2020年から「特別の寡婦」はひとり親として分類されました。



寡夫とは
寡夫とは、妻と離婚または死別し、生計を一にする子供をもつ、合計所得が500万円以下の方。
※2020年から「寡夫」はひとり親として分類されました。

ひとり親控除について
シングルマザーなどの母子家庭や父子家庭の方は寡婦控除ではなく、ひとり親控除を利用してください。ちなみに、子供の年齢については制限はありません。
寡婦控除とは控除される金額が違ったりするので、ひとり親にあてはまる方は条件や税金がいくら戻るのか等について下記の記事をチェックしておきましょう。

ひとり親控除については下記の記事をチェック
ひとり親控除とは?わかりやすく解説。どれくらい税金が安くなる?

では次に、寡婦控除を利用すると税金がどれくらい安くなるのか下記で説明していきます。年収別にシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。


寡婦控除を利用でいくら安くなる?

寡婦控除を利用するといくら税金が安くなるのか年収別にシミュレーションした結果が以下のとおりです。
※所得税や住民税がいくら安くなるのかチェックしておきましょう。


年収にもよりますが、寡婦控除を利用すると税金の負担は年間約4~7万円ほど軽くなる方が多いと思います。
※これから初めて控除を受ける会社員などは約4~7万円の税金が安くなることになります。


寡婦控除を利用する方は税金がいくら戻るのか下記のシミュレーションをチェックしておきましょう。

※住民税は翌年の金額に反映されます(住民税は前年の所得で決定するため)。
※ちなみに、合計所得135万円以下(給料のみで年収約204万円以下)の場合は住民税が非課税(0円)になります。くわしくは住民税がかからない?住民税が0円になるときを参照。
税金はどれくらい安くなる?
たとえば40歳以下・社会保険加入という条件の方が寡婦控除を利用したとき。

寡婦控除を利用するひとの年収 減額される税金
年収250~400万円のとき 所得税は13,500円安くなります。
住民税は26,000円(固定)安くなります。
年収500~600万円のとき 所得税は27,000円安くなります。
住民税は26,000円(固定)安くなります。
年収670万円のとき 所得税は約45,000円安くなります。
住民税は26,000円(固定)安くなります。

※税金等はこちらのシミュレーションで計算しています。

ひとり親についてはひとり親控除が2020年から新設されました。

合計所得500万円を超えると対象外?
合計所得500万円を超えると、寡婦になる条件を満たさなくなるため、寡婦控除を利用することができません。たくさんお金を稼ぐ方は上記のことを把握しておきましょう。
※合計所得500万円とは、給与収入のみで年収約670万円となります。

では次に、寡婦の住民税が非課税になる場合について下記で説明していきます。


住民税が非課税(0円)になるときがある?

あなたが寡婦の場合、前年(1月~12月まで)の合計所得が135万円以下の場合、住民税が非課税(0円)になります。


合計所得135万円とは、給料のみで年収約204万円になります。ほかに所得がある場合は、それぞれの所得を合計した金額が合計所得金額になります。
※くわしくは合計所得金額とはを参照。


ただし、合計所得が135万円を超える場合には通常と同じように住民税が課税されます。
※たとえば、給料のみで年収250万円や300万円以上稼いでいる場合は、住民税が非課税にならないことを覚えておきましょう。

くわしくは下記の記事で説明しています。
住民税がかからない?住民税が0円になるとき。

では次に、事実婚は寡婦控除の対象になるのかについて下記で説明していきます。寡婦控除を利用するつもりの方はしっかりチェックしておきましょう。


事実婚の場合は寡婦控除が適用されない?
事実婚は寡婦控除の対象外

寡婦控除を利用するには本人が「寡婦」でなければいけません。

寡婦かふとは夫と離婚または死別した方があてはまるのですが、ここでいう「夫」とは民法上の婚姻関係にある者をいいます。
参照:国税不服審判所寡婦・寡夫控除ページ

したがって、離婚または死別した夫との関係が事実婚であった場合は寡婦控除が適用されません。

また、現在事実婚をしているひとについても寡婦控除は適用されません。

では次に、寡婦控除の申請方法について下記で説明していきます。寡婦控除が適用できるひとは控除の申請を忘れないようにしましょう。

年末調整での寡婦控除の申請は?
年末調整における寡婦控除の申請

寡婦控除を受けると、税金が安くなるメリットを受けられます。配偶者と離婚または死別した方は必ず受けましょう。

寡婦控除を適用するには年末調整で寡婦控除の申請をしなければなりません。

以下のページで年末調整の書き方と寡婦控除の申請方法を説明しています。寡婦控除を利用する方はぜひ参考にしてみてください。


寡婦控除の記入例
▶寡婦控除を申請する場合は以下の青枠の中を記入してください。
年末調整で寡婦控除の申請をする方はこちら

勤務先から年末調整の用紙を渡されたら、下記のページを参考にして寡婦控除の申請をしましょう。記入する内容は難しくないので安心してください。

寡婦控除の申請方法については寡婦控除の申請(年末調整の記入例)を参照。
年末調整の書き方については年末調整の書き方見本・記入例を参照。

では次に、確定申告での申請方法について下記で説明していきます。


確定申告での寡婦控除の申請は?

確定申告をする方で寡婦控除を利用できる場合は寡婦控除の申告をしましょう。

今はネットで確定申告書を作成できます。手順にしたがって進めていけば簡単に作成できます。

記入例は下記のとおりです。

作成した申告書を提出または郵送してサッと確定申告を終わらせましょう。

確定申告での寡婦控除の記入例

下記は確定申告書の作成ページです。入力のやりかたは簡単なので安心してください。

確定申告における寡婦控除の申請
確定申告における寡婦控除の申請

確定申告のやりかたは?
確定申告書の作成については下記の記事でパターン別(会社員の場合など)にまとめています。申告書を作るのが不安な方は手順を見ながらサッと作ってみましょう。
確定申告のやり方まとめ(給料や雑所得などのパターン別)


では次に、具体的に金額をあてはめて寡婦控除込みで税金を計算していきます。計算方法などわからない方はチェックしておきましょう。

寡婦控除込みで所得税を計算してみよう(年収300万円のとき)

では、会社から給料をもらっている方が寡婦控除を利用したときの税金がどれくらいになるかシミュレーションしてみましょう。条件は以下のとおりです。
※寡婦控除の控除額は27万円です。


この条件で所得税はいくらになる?
たとえば1年間の収入が給与収入のみで300万円、所得控除が106万円(48万円基礎控除 + 27万円寡婦控除 + 31万円社会保険料控除)の場合。


①まずは給与所得の計算
上記の条件のとき、給与所得は、

300万円給与収入98万円給与所得控除  =  202万円給与所得
給与所得控除については給与所得とは?を参照。

となります。給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。

②次に課税所得を計算
総所得金額は計算できたので(202万円)、次に課税所得を算出します。課税所得は、

202万円総所得金額 - 所得控除 = 課税所得
総所得金額とは:各種所得の合計(一部所得は除く)。
課税所得については課税所得とは?を参照。

となります。

最初に決めた条件から、所得控除は106万円(48万円基礎控除 + 27万円寡婦控除 + 31万円社会保険料控除)なので、課税所得は、

202万円総所得金額106万円所得控除 = 96万円課税所得
所得控除については所得控除とは?を参照。
課税所得については課税所得とは?を参照。

となります。

③所得税を計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

96万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

96万円課税所得 × 5% = 48,000円所得税
所得税の税率については所得税率とは?を参照。
所得税の計算についてはこちらを参照。

ちなみに上記の条件のとき住民税約10万円かかります。

となります。

もし寡婦控除を利用しなければ?
寡婦控除を申請しなければ、そのぶん課税所得が27万円増えるので、

(96万円 + 27万円課税所得) × 5% = 61,500円所得税

ちなみに上記の条件のとき住民税約12万円かかります。

となり、控除を申請したときと比べて税金の負担が重くなってしまいます。このように、控除してくれるおかげで税金が安くなっていることがわかります。
※寡婦控除を適用した税金額はこちらのシミュレーションで計算できます。

寡婦控除が適用できるひとは控除の申請を忘れないようにしましょう。記入する内容は難しくないので安心してください。