ひとり親控除とは?わかりやすく解説。ひとり親の条件は?

2022.09.26 更新

母子家庭などのひとり親の方は「ひとり親控除」で税金がいくら安くなるか等についてザッと把握しておきましょう。この記事ではひとり親になる条件や子供の収入など、ひとり親控除についてわかりやすく説明していきます。
この記事の目次
ひとり親控除とは?

ひとり親控除とは、簡単に説明するとひとり親の家庭の税金の負担を軽くしてくれる制度です。

ひとり親とは、妻または夫と離婚または死別し、ひとり親となった方をいいます。

ひとり親に該当するための条件や税金がいくら戻るか等についてチェックしておくことをおすすめします。
※今まで寡婦控除にはひとり親も含まれていましたが、2020年の税制から「ひとり親控除」として別に新設されました。くわしくはこちらのお知らせを参照。

この記事の要点

  • ひとり親にあてはまるには所得などの条件がある。

  • ひとり親控除を利用すると約5万円~8万円安くなる場合が多い。

  • 事実婚をしている場合はひとり親控除の対象外。

  • ひとり親控除を利用するには申請が必要。

では最初に、ひとり親に該当するための条件について下記で説明していきます。

ひとり親になる条件は?
合計所得が500万円を超える人はひとり親に該当しない

ひとり親とは、以下のすべての要件にあてはまる方をいいます。「寡婦」と違いますので気をつけましょう。
※「寡夫」や「特別の寡婦」はまとめて「ひとり親」として分類されました。


シングルマザーなどの母子家庭や父子家庭の方はひとり親に該当するための条件をチェックしておきましょう。


以下にあてはまる方はひとり親控除を利用することができます。ひとり親控除を利用しようとしている方はチェックしておきましょう。
※子供がアルバイトをしている場合は下記の所得に気をつけましょう。

ひとり親になる条件

下記の条件❶~❸にあてはまる方は「ひとり親」になります。

ひとり親になる条件
ひとり親になる条件

※出典:国税庁ひとり親控除
※生計を一にするについては生計を一にするとは?を参照。

たとえば妻と死別した夫の場合は?
妻と死別した夫の場合は「総所得金額等が48万円以下の子供がいる」かつ「合計所得金額が500万円以下である」ときにひとり親控除を利用することができます。
ちなみに、生計を一にする子供の年齢に制限はありません。

※あなたの子供の収入がアルバイトの給料のみだとすると、年収103万円以下なら総所得金額等が48万円以下になります。
※あなたの収入が給料のみだとすると、年収約670万円以下なら合計所得が500万円以下になります。


たとえば夫と離婚した妻の場合は?
夫と離婚した妻の場合は「総所得金額等が48万円以下の子供がいる」かつ「合計所得金額が500万円以下である」ときにひとり親控除を利用することができます。
ちなみに、生計を一にする子供の年齢に制限はありません。

※あなたの子供の収入がアルバイトの給料のみだとすると、年収103万円以下なら総所得金額等が48万円以下になります。
※あなたの収入が給料のみだとすると、年収約670万円以下なら合計所得が500万円以下になります。
子供の年齢は何歳まで?
ひとり親となる条件に子供の年齢は関係ありません。「何歳まで」という指定はありません。
未成年じゃないとひとり親控除が適用されない等のことはないので安心してください。

※子供が就職してお金をたくさん稼ぐようになれば、子供の収入が増えることで総所得金額等が48万円を超えるので、ひとり親控除の対象から外れます。
※参照:国税庁ひとり親控除

では次に、子供に収入があってもいいのかについて説明していきます。ひとり親控除の対象から外れてしまう場合もあります。

子供に収入があってもいい?

あなたがシングルマザーなどであり、あなたに子供がいればひとり親控除を利用することができます。

ただし、子供がアルバイトなどで収入がたくさんある場合、ひとり親控除が使えなくなってしまいます。

具体的には、子供の総所得金額等が48万円を超えてしまうと対象外になります。

総所得金額等48万円とは?

例えば、あなたの子供の収入がアルバイトの給与収入のみであり、1年間(1月~12月まで)の収入が103万円のとき、給与所得は48万円となります。それ以外に所得がないので総所得金額等は48万円となります。

103万円給与収入55万円給与所得控除 = 48万円給与所得(総所得金額等)
※給与所得控除については給与所得控除とはを参照。

※上記の金額を超えて、親の扶養から外れるとひとり親控除の対象から外れます。

では次に、ひとり親控除を利用するとどれくらい税金が安くなるのかについて説明していきます。下記でシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。

ひとり親控除を利用でいくら安くなる?

年収にもよりますが、ひとり親控除を利用すると税金の負担は約5~8万円ほど軽くなる方が多いと思います。
※これからひとり親控除を適用する方は約5~8万円の税金が安くなることになります。


下記でひとり親控除を利用したときの金額を年収別にシミュレーションしています。


ひとり親控除を利用する方はいくら戻るのかチェックしておきましょう。
※住民税は翌年の金額に反映されます(住民税は前年の所得で決定するため)。

ひとり親控除でどれくらい安くなる?
たとえば、40歳以下主婦・社会保険加入・子ども1人という条件の方がひとり親控除を利用したとき。

ひとり親控除を利用するひとの年収 減額される税金
年収250~400万円のとき 所得税は17,500円安くなります。
住民税は30,000円(固定)安くなります。
年収500~600万円のとき 所得税は35,000円安くなります。
住民税は30,000円(固定)安くなります。
年収670万円のとき 所得税は約53,000円安くなります。
住民税は30,000円(固定)安くなります。

税金等は下記で計算しています。ひとり親控除を利用したときの手取りや社会保険料なども計算したい方はシミュレーションしてみましょう。

年収約670万円を超えるとひとり親控除の対象外になる?
あなたの収入が給料のみだとすると、年収約670万円を超えるとひとり親控除の対象外となります。
ひとり親控除を利用するには合計所得が500万円以下でなければいけないため、年収約670万円(つまり、給与所得500万円)を超えてしまうと、ひとり親控除を利用できなくなります。

では次に、ひとり親の住民税が0円になるときについて下記で説明していきます。収入がそれほど多くなければ住民税は0円になります。


住民税が非課税(0円)になるときがある?

あなたがひとり親の場合、前年(1月~12月まで)の合計所得が135万円以下の場合、住民税が非課税(0円)になります。


合計所得135万円とは、給料のみで年収約204万円になります。ほかに所得がある場合は、それぞれの所得を合計した金額が合計所得金額になります。
※くわしくは合計所得金額とはを参照。


ただし、合計所得が135万円を超える場合には通常と同じように住民税が課税されます。
※たとえば、給料のみで年収250万円や300万円以上稼いでいる場合は、住民税が非課税にならないことを覚えておきましょう。ただし、子供が複数人いる場合は住民税が非課税になることがあります。

くわしくは下記の記事で説明しています。
住民税がかからない?住民税が0円になるとき。

では次に、ひとり親控除の申請方法について下記で説明していきます。何もしないでひとり親控除が適用されるわけではありません。

ひとり親控除の申請は?

シングルマザーなどの方はひとり親控除を適用すると税金が安くなるので必ず利用しましょう。


ただし、ひとり親控除を適用するには年末調整でひとり親控除の申請をしなければなりません。


以下のページで年末調整の書き方とひとり親控除の申請方法を説明しています。ひとり親控除を利用する方はぜひ参考にしてみてください。
※年末調整を忘れた方でも、確定申告で申請すればひとり親控除が適用されます。確定申告については下記で説明しています。

年末調整でひとり親控除の申請をする方はこちら

下記は年末調整での記入例です。チェックを入れるだけなので申請は簡単です。

ひとり親控除の申請方法については、ひとり親控除の申請(年末調整の記入例)を参照。
年末調整の書き方については、年末調整の書き方見本・記入例を参照。

では次に、確定申告で申請する場合について下記で説明していきます。



確定申告の場合は?

確定申告で申請するときは申告書作成の際に「ひとり親控除の項目」に記入すれば申請することができます。
※下記は確定申告のひとり親控除の入力ページの例です。
※年末調整で申請を忘れたひとも、確定申告で申請すればひとり親控除が適用されます。

確定申告のやりかたは下記の記事で説明しています。今はネットでかんたんに確定申告書を作成することができます。作成した申告書を税務署に郵送すると申告完了となります。

確定申告のながれ
STEP➊身分証明書など必要なものを用意する
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送する

ひとり親にあてはまる方は控除の申請を忘れないようにしましょう。ひとり親控除で安くなる税金額については上記で説明しています。

ひとり親は扶養控除も申請できる?
ひとり親控除と扶養控除は併用できる

ひとり親控除を受ける方は扶養控除も利用することはできます。
※参照:国税庁ひとり親控除

条件に当てはまっていれば扶養控除とひとり親控除は併用(両方利用)できるので安心してください。


ただし、子供が16歳未満なら扶養控除は利用できないので注意しましょう。

また、あなたの合計所得金額が500万円を超えていれば、ひとり親控除の対象外となるので注意しましょう。
※ちなみにあなたの年収にもよりますが、扶養控除を利用すると約5万円~17万円安くなります。

くわしくは下記の記事で説明しています。

扶養控除とは?養う家族がいれば税金が安くなる?

では次に、事実婚をしている場合のひとり親控除について下記で説明していきます。該当する方はチェックしておきましょう。

事実婚は適用されない?

ひとり親控除を利用するには婚姻していないこと(配偶者の生死が不明なこと)、または事実婚をしていないことです。

したがって、離婚して子供がいたとしても、事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいる場合はひとり親控除の対象外となります。
参照:国税庁ひとり親控除

シングルマザーなどの母子家庭や父子家庭の方は上記のことを覚えておきましょう。

ひとり親控除の金額は?ひとり親控除込みで所得税を計算してみよう(年収300万円のとき)

ひとり親控除の金額は35万円です。ひとり親控除を利用すると、1年間に稼いだ所得から所得控除として35万円差し引いて所得を減らしてくれるので税金が安くなるという仕組みです。


では、会社から給料をもらっている方がひとり親控除を利用したときの税金がどれくらいになるかシミュレーションしてみましょう。条件は以下のとおりです。


この条件で所得税はいくらになる?
たとえば1年間の収入が給与収入のみで300万円、所得控除が114万円の場合。


①まずは給与所得の計算
上記の条件のとき、給与所得は、

300万円給与収入98万円給与所得控除  =  202万円給与所得
給与所得控除については、給与所得とは?を参照。

となります。給与所得のほかに所得がないので、これが総所得金額となります。

②次に課税所得を計算
総所得金額は計算できたので(202万円)、次に課税所得を算出します。課税所得は、

202万円総所得金額 - 所得控除 = 課税所得
総所得金額とは:各種所得の合計(一部所得は除く)。
課税所得については、課税所得とは?を参照。

となります。

最初に決めた条件から、所得控除は114万円(48万円基礎控除 + 35万円ひとり親控除 + 31万円社会保険料控除)なので、課税所得は、

202万円総所得金額114万円所得控除 = 88万円課税所得
所得控除については、所得控除とは?を参照。
課税所得については、課税所得とは?を参照。

となります。

③次に所得税を計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

88万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

88万円課税所得 × 5% = 44,000円所得税
所得税の税率については、所得税率とは?を参照。
所得税の計算については、こちらを参照。

ちなみに上記の条件のとき、住民税約9万円かかります。

となります。

もしひとり親控除を利用しなければ?
ひとり親控除を申請しなければ、そのぶん課税所得が35万円増えるので、

(88万円 + 35万円課税所得) × 5% = 61,500円所得税

ちなみに上記の条件のとき、住民税約12万円かかります。

となり、控除を申請したときと比べて税金の負担が重くなってしまいます。

このように、控除してくれるおかげで税金が安くなっていることがわかります。ひとり親控除の適用対象となる場合は控除の申請を忘れないようにしましょう。
※申請方法は上記で説明しています。

子供の総所得金額が48万円を超えていたり、事実婚をしている場合はひとり親控除の対象外になってしまうので気をつけましょう。