個人事業主でも保険料や年金が減額免除される?

2022.06.03 更新

個人事業主の方でも所得が少ない方は年金や国民健康保険の保険料を減額免除することができます。この記事では個人事業主の保険料の減免について説明していきます。
この記事の目次
個人事業主でも年金が免除できたり、保険料が安くなる?

個人事業主だとしても、いろいろな事情で収入や利益が少ない方は保険料が減額免除の対象になります。

ただし、年金の免除を受けるには申請をする必要があります。
※国民健康保険料については申請は不要です。

個人事業主で免除を受けようとしている方はチェックしておきましょう。

この記事の要点

  • 全額免除してもらうには所得条件67万円以下をクリアしないといけない。

  • 免除申請をしないで年金を滞納するとリスクがある。

  • 年金の支払いを免除すると老後の年金が減ってしまうデメリットがあるが、追納すれば減ることは無い。

  • 本人以外が世帯主の場合、世帯主がたくさん稼いでいるときは減額免除の対象にならない。

では最初に、全額免除の条件について下記で説明していきます。自分の収入が少なくても全額免除を受けられない場合があるのでチェックしておきましょう。


条件にあてはまれば年金が全額免除できる?
去年の所得が67万円以下なら全額免除ができる

全額免除を受けるには条件があります。かんたんに説明すると、あまりお金を稼いでいないことが条件です。


くわしく説明すると、本人と配偶者世帯主の前年1年間(1月~12月まで)の所得を合計した金額が67万円以下である必要があります。
※独身の場合。くわしい内容はこちらの審査表を参照。
※参照:日本年金機構国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度



免除を「①受けられる場合」と「②受けられない場合」をシミュレーションしているのでチェックしておきましょう。

所得が67万円以下とは?①全額免除を受けられる場合と②受けられない場合
所得67万円以下で免除を受けられるパターン(ひとり暮らしの場合)

たとえばあなたが世帯主で一人暮らしの個人事業主であり、去年1年間(1月~12月まで)の事業収入が132万円以下なら事業所得は67万円以下となるので、国民年金の全額免除を受けることができます。

※事業収入のほかに収入が無い場合。

132万円事業収入65万円青色申告控除0円経費 = 67万円事業所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
青色申告特別控除とは:青色申告をする方が受けられる控除。

ただし、あなたの事業所得が所得67万円を超えてしまう場合、全額免除を受けることができないので注意しましょう。
※ただし、半額免除などが受けられる場合があるので、全額支払うのが難しい方は免除申請をしましょう。くわしくは次の項目で説明しています。

所得67万円超えのため免除を受けられないパターン(親と同居している場合)

たとえば親(世帯主)と同居しており、親の年間所得は200万円、あなたの1年間の事業収入が50万円(事業所得は0円)とした場合、本人と世帯主の所得の合計は200万円なので国民年金の全額免除を受けることはできません。
※前年所得67万円以下の条件をクリアしていないため。

親と同居している場合、親(世帯主)の収入(所得)が多ければ全額免除を受けられないことを覚えておきましょう。

※あなたが独身の場合。上記の場合には全額免除を受けることはできませんが、支払いを先送りする国民年金の納付猶予を受けられる場合があります。くわしくは次の項目で説明しています。

では次に、親族と同居していても全額免除が受けられる場合について下記で説明していきます。親と同居している方はチェックしておきましょう。


全額免除を受けられないひとは?半額免除や納付猶予?
全額免除が受けられなくても納付猶予などが受けられるなら申請しましょう

全額免除の対象にならない方は半額免除や納付猶予が受けられる場合があります。


たとえば半額免除なら前年の所得が67万円を超えても対象になります。
※独身の場合。くわしい金額はこちらの審査表を参照。
※半額免除とは、国民年金の支払いを半額にしてくれる制度です。



また、納付猶予なら世帯主がたくさん稼いでいても、本人と配偶者の前年の所得が67万円以下なら対象になります。
納付猶予とは年金の支払いを先送りする制度です。


以上のように、全額免除を受けられなかったとしても、半額免除や納付猶予などが受けられる場合があるので、年金を支払うのが難しい方はかならず申請するようにしましょう。

では次に、免除の申請について下記で説明していきます。申請をしなければ免除されません。


年金を免除するには申請書が必要?書き方は?
全額免除するには申請が必要

免除を受けるには申請書を提出または送付する必要があります。
※免除の条件にあてはまっても、何もしなければ保険料は免除されません。


申請はお住まいの市区町村役所や年金事務所にて受け付けています。


全額免除の申請の手続きを行えば、国民年金保険料は0円になります。

年金免除・納付猶予の申請書の様式

※免除申請をしたのに納付書が届く場合があります。申請の結果は、申請してから約2~3か月後に通知ハガキでお知らせがきます。したがって、行き違いになっているだけなので安心してください。
全額免除が承認された場合は納付書を破棄してください。免除申請の結果が届くまでは保険料は納付せずに納付書を保管しておいてください。

※参照:日本年金機構国民年金保険料の免除を受けたいとき

年金免除・納付猶予の申請書の書き方は?

本人や世帯主の氏名、希望する免除区分、扶養親族などを記入して提出することになります。
年金免除・納付猶予の申請書の書き方は下記の記事でくわしく説明しています。

では次に、年金の支払いを免除したときのデメリットについて下記で説明していきます。


免除をするデメリットは?

年金の免除をしたときのデメリットは老後の年金が減ってしまうことです。


たとえば2年間(24ヶ月ぶん)国民年金保険料の支払いを全額免除申請し、免除したぶんをあとから支払う追納をしなかった場合、老後にもらう国民年金(老齢基礎年金)は年間約2万円減額されます。
※全額免除した期間以外(20歳から60歳までのうち38年間)はすべて保険料を支払った場合。ちなみに、40年間すべて保険料を支払った場合には老後にもらえる国民年金(老齢基礎年金)は年間約78万円となります。厚生年金に加入していた期間があれば受けとる年金額はそのぶん増えます。

免除されたぶんはあとから支払う「追納」ができる

全額免除を受けた期間については10年以内であれば保険料をさかのぼって納める「追納」ができます。将来受け取る年金額を減らしたくない人は経済的に余裕が出来てから追納をしましょう。
※たとえば2019年4月ぶんは2029年4月末まで。
※10年を過ぎたぶんは支払うことが出来ません。この場合、上記で説明するように老後の年金が減ってしまいます。

では次に、年金の支払いを滞納したときのリスクについて下記で説明していきます。免除の申請をしないでそのままにしている方は注意しましょう。


国民年金を未納にするとリスクがある?どうなるの?
滞納すると年金がもらえなくなる

老後の年金は65歳になると受け取ることができます。ほかにも、病気やケガで障害を負ったり死亡したときには年金を受け取ることができます。


しかし、免除等の申請をしないで、国民年金の保険料を滞納して「未納」にしておくと「老後の年金」も「障害年金」も「遺族年金」も受け取れません。
※老後の年金を受け取るには10年以上の受給資格期間が必要なため。
※障害年金と遺族年金については保険料納付済期間(免除期間を含む)が3分の2以上必要なため。

※出典:日本年金機構老齢年金

さらに、年金を支払わないで滞納(未納)していると延滞金が加算されたり、親族の財産が差し押さえされたりするので注意しましょう。

未納にしないで免除制度の申請をしましょう

「でも、お金がなくて払えない…」という人は免除制度を申請すれば、年金が受けとれないといった問題を解決できます。
※免除等をした期間については受給資格期間に反映されるので、年金を受け取る資格が得られます。

なので、もし保険料を支払うのが経済的にきびしいときは免除制度をかならず利用しましょう。未納にしているリスクについてくわしくは下記の記事で説明しています。

国民健康保険料が減額される?

個人事業主であり、前年1年間(1月~12月まで)の所得が少ない場合、国民健康保険料が減額されます。
※くわしくは世帯主と加入者(被保険者)の所得の合計。

ポイントは、本人の所得が少なくても「世帯主の所得」が多ければ減額されないところです。
※くわしくはページ下記で説明しています。

下記のとおり、保険料は最大で7割減額されます。

では、個人事業主の場合の保険料をシミュレーションしていきます。

保険料(均等割)の減額割合
※参照:厚生労働省国民健康保険の保険料・保険税について

総所得金額等とは:各種所得の合計
退職所得(一括で受けとる場合)、労災保険の給付(休業補償給付など)・失業手当(基本手当)・傷病手当金・児童手当・児童扶養手当・遺族年金・障害年金などは総所得金額等に合計されません。

ここから保険料のシミュレーション
たとえば個人事業主の事業収入が前年1年間(1月~12月まで)で108万円だとします。
※前年とは、去年1年間(1月~12月まで)のことです。

まず事業所得を計算
あなたの事業収入は108万円なので事業所得は以下のようになります。

108万円事業収入65万円青色申告特別控除 = 43万円事業所得
※計算をわかりやすくするために経費は0円としています。
青色申告特別控除とは:青色申告をする方が受けられる控除。

次に総所得金額等を計算
あなたの所得は「事業所得のみ」なので、総所得金額等は以下のようになります。

43万円事業所得 = 43万円総所得金額等
事業所得とは:事業収入についての所得。
総所得金額等とは:各種所得の合計のこと。

次に保険料を計算
あなたの前年1年間の総所得金額等は43万円なので所得割は0円になります。したがって、あなたが支払う保険料は均等割だけになります。
所得割については(前年の所得金額-43万円)×所得割率なので0円になります。
※東京都23区の場合、平等割・資産割は0円。


また、あなたの1年間の所得の合計は43万円なので上記の減額割合と照らし合わせると国民健康保険料(均等割)は7割減額されます。
※世帯の所得の合計が「43万円 + a」以下の場合

均等割を52,000円とすると7割減額で15,600円になるので、あなたが1年間に支払う保険料は、

0円所得割 + 15,600円均等割 = 15,600円1年間の保険料
※独身ひとり暮らし、あなたが世帯主とした場合。
※本人以外が世帯主であり、世帯主がたくさん稼いでいる場合は対象外になる場合があります。くわしくは下記で説明しています。

となります。

では次に、世帯主などが稼いでいる場合について下記で説明していきます。自分以外が稼いでいる場合、減額の対象外になる場合があります。


自分が無収入でも世帯主または自分以外の加入者が稼いでいる場合は保険料は減額されない?
世帯主などが稼いでいれば、本人の所得が少なくても保険料は安くならない

上記で説明したように、世帯主および加入者の合計所得が少ないときに保険料が減額されます。


したがって、あなたの事業所得が0円でも世帯主(または本人以外の加入者)が稼いでいる場合には保険料が減額されないので注意しましょう。
※世帯主以外の親族が国保に加入していなければ、その親族がサラリーマンなどとして稼いでいても国保の保険料には影響しないので安心してください。


以下に事業所得が0円だとしても、世帯主に所得がある場合の保険料について説明していきます。

保険料が減額されないケース
たとえば世帯主の給与収入が300万円(給与所得202万円)、国保に加入している人の所得合計が0円の場合。

上記の場合、世帯主と国保加入者の合計所得は202万円になります。したがって、国保加入者の収入が0円だとしても保険料減額の対象から外れてしまいます
上記のようにあなたの事業所得が0円だとしても、世帯主(親など)に所得がある場合には減額割合が変わってしまう場合があります。

世帯の所得の計算の仕方がわからない場合は下記の記事で説明しているのでチェックしておきましょう。

ここまでのまとめ

ここまで説明したように、個人事業主だとしても去年の所得が少なければ国民年金や保険料が減額免除されます。

ただし、自分の収入が0円でも世帯主がたくさんお金を稼いでいる場合は減額免除の対象から外れることがあるので気をつけましょう。

また、免除をした期間が長いほど老後の年金は少なくなることを覚えておきましょう。
※くわしくはページ下記で説明しています。

ここまでのまとめ

  • 全額免除を受けるには前年1年間の所得が67万円以下である必要がある
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 前年1年間の所得が67万円でも世帯主がたくさん稼いでいると全額免除を受けられない
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 全額免除を受けるには申請が必要
    ※くわしくは上記で説明しています。

  • 前年1年間(1月~12月まで)の所得が少なければ保険料が減額される。減額の申請は必要なし。
    ※くわしくは上記で説明しています。

また、1年間の事業所得が少なければ税金が0円になります。個人事業主にかかる税金については下記の記事で説明しています。